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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) E02F
管理番号 1074997
審判番号 審判1999-35617  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-10-29 
確定日 2003-03-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第2517417号実用新案「バックホウ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2517417号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 一 手続の経緯

本件実用新案登録第2517417号の請求項1に記載された考案は、平成2年5月24日に出願された実願平2-54338号の出願を平成6年5月20日に実用新案法9条1項において準用する特許法44条1項の規定により分割して新たな出願とした実願平6-5564号出願に係るものであって、平成8年8月20日にその設定登録がなされ、実用新案登録異議の申立て(平成9年異議第72274号)がなされ、平成9年10月16日付けで取消理由通知がなされ、平成10年1月5日付けで意見書提出、訂正請求がなされ、平成10年5月12日付けで、「訂正を認める。実用新案登録第2517417号の実用新案登録を維持する。」との決定がなされた。
その後、本件無効審判の請求(平成11年審判第35617号)がなされ、平成13年5月24日付けで無効理由通知がなされ、平成13年8月6日付けで意見書が提出された。

二 請求人の請求の趣旨及び被請求人の答弁の趣旨

請求人の請求の趣旨は、「登録第2517417号実用新案の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」であり、被請求人の答弁の趣旨は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」である。

三 無効理由通知の概要

平成13年5月24日付け無効理由通知の概要は次のとおりである。
平成10年1月5日付け訂正請求書により訂正された考案は、引用例1(実願昭63-121167号(実開平2-42961号)のマイクロフィルム)、引用例2(実願昭63-121916号(実開平2-42963号:甲第7号証)のマイクロフィルム)及び引用例3(特開昭63-272820号公報(甲第3号証、乙第2号証))に記載されたものに基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、当該訂正後の考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであって、その訂正が適法になされたものではない。したがって、本件実用新案登録は、平成10年法律51号附則13条により改正された、平成5年法律26号附則4条1項の規定によりなお効力を有するものとされ、同法附則4条2項の規定により読み替えられた、平成5年改正前の実用新案法37条1項2号の2の規定に該当し、無効とすべきものである。

四 本件考案

平成10年1月5日付け訂正請求書により、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として実用新案登録請求の範囲
「【請求項1】旋回台(2)に運転部(4)とバックホウ装置(3)とを左右に並べて配置し、前記運転部(4)とバックホウ装置(3)との間に前記運転部(4)とバックホウ装置(3)とを仕切る縦壁(6)を備えると共に、前記運転部(4)の前部において、前記縦壁(6)の前部に対し前記バックホウ装置(3)とは反対側の前記旋回台(2)の部分と前記縦壁(6)の前部とに亘って、手すり(9)を架設連結し、前記バックホウ装置(3)側を透視可能な透明の板部材で構成された透視部(10)を前記縦壁(6)に備えて、前記縦壁(6)の上端に屋根(7)を片持ち状に支持し前記運転部(4)側に延出してあるバックホウ。」
が、
「【請求項1】旋回台(2)に運転部(4)とバックホウ装置(3)とを左右に並べて配置し、前記運転部(4)とバックホウ装置(3)との間に前記運転部(4)とバックホウ装置(3)とを仕切る縦壁(6)を備えると共に、この縦壁(6)を、前記バックホウ装置(3)側を透視可能な透明の板部材で構成された透視部(10)と、その透視部(10)の前後方向の両側辺位置に立設された前後一対の支柱部を備える周辺枠構成部分とから構成し、前記運転部(4)の前部において、前記縦壁(6)の前部に対し前記バックホウ装置(3)とは反対側の前記旋回台(2)の部分と前記縦壁(6)の前部の支柱部とに亘って、手すり(9)を架設連結し、前記縦壁(6)の上端に屋根(7)を片持ち状に支持し前記運転部(4)側に延出してあるバックホウ。」
と訂正された。
(以下、訂正後の考案を本件考案という。)

五 当審における検討

1 平成13年5月24日付け無効理由通知で引用した公知の刊行物(引用例1ないし引用例3)に記載された技術事項及び周知(引用例4)の技術的事項

1-1 引用例1:実願昭63-121167号(実開平2-42961号)のマイクロフィルム
引用例1には、
(1)「第1図に示す(A)は小旋回型バックホーであり、(1)はクローラ式の走行部、(2)は旋回台、(3)は同旋回台(2)上に設けた運転部、(4)は同運転部(3)の側方において旋回台(2)上に上下回動自在に取付けた掘削装置である。運転部(3)には、走行操作レバー(5)や掘削装置操作レバー(6)等を設け、これらレバー(5)(6)の後方に座席(7)を配置している。(7’)は座席下方に配設した原動機部である。(8)は天蓋、(9)は掘削装置(4)側に立設した運転部(3)の側壁である。」(同明細書6頁15行?7頁6行)、
(2)「また、第5図及び第6図中、(35)は、天蓋(8)のブーム(11)側角部に設けた土落下防止体であり、同土落下防止体(35)により、天蓋(8)上に落下した土砂等がブーム(11)や原動機部(7’)側に落下して、ブーム(11)や油圧ホース(26)等を損傷等するのを防止している。そして、天蓋(8)は、前高後低の傾斜面として、落下土砂等が後方へすべり落ちやすいようにしている。」(同明細書11頁3?11行)、
(3)第1図及び第4?6図、
が記載されており、第1図において、運転部3の前方には手すりが設けられていることは明らかであるから、引用例1には、
「旋回台に運転部とバックホー装置とを左右に並べて配置し、前記運転部とバックホー装置との間に前記運転部とバックホー装置とを仕切る側壁を備えると共に、この側壁を、前記バックホー装置側を透視可能な透視部と、その透視部の前後方向の両側辺位置に立設された前後一対の支柱部を備える周辺枠構成部分とから構成し、前記運転部の前部において、手すりを架設連結し、さらに運転部を介して側壁とは反対側の運転部の側部後方位置に、側壁を構成する周辺枠構成部分の後の支柱部にほぼ対向して第3の支柱を立設し、前記側壁の上端と第3の支柱により天蓋を支持し、前記運転部側に延出してあるバックホー」
が記載されているものと認められる。
なお、同明細書の「(9)は掘削装置(4)側に立設した運転部(3)の側壁である。」との記載によると、運転部とバックホー装置との間に運転部とバックホー装置とを仕切る「側壁」が設けられるものであり、しかもその「側壁」は、引用例1が「小旋回形バックホーにおける掘削装置の土溜り防止構造」に関するものであって運転部側方に配置されるバックホー装置のブーム基端部に土砂が滞留し不具合を解消するものであるとの点からすると、その透視部がいわゆる素通しの構成ではなく、透視可能であるとともに何らかの部材で運転席への土砂等の侵入を防止する構成が当然に考慮されているものとするのが相当であり、上記のとおり認定した。
1-2 引用例2:実願昭63-121916号(実開平2-42963号:本件事件の甲第7号証)のマイクロフィルム
引用例2には、
(1)「旋回台(4)の上に運転部(5)を設け、同運転部(5)の側方に掘削装置(B)を上下昇降自在に取付け、さらに、同装置(B)のブーム(7)を左右に移動させ、バケット(9)を運転部(5)の上方に上昇させるように構成した小旋回型バックホーにおいて、同運転部(5)の上方に設けたキャノピールーフ(C)の前部を下方に向けて傾斜状に形成すると共に、同ルーフ(C)の傾斜面(C-1)に透明板(23)を張設して運転部(5)より掘削装置(B)を視認する為の窓部(24)を構成したことを特徴とする小旋回型バックホーにおけるキャノピールーフ構造。」(同明細書実用新案登録請求の範囲)、
(2)「第1図の全体側面図において、Aは本考案に係る小旋回型バックホーを示し、同バックホーAは、左右一対のクローラ1を装備した走行フレーム2の略中央部に旋回基台3を立設している。さらに、旋回基台3の上面には、旋回台4を旋回自在に載設し、同旋回台4の上面左側部に運転部5、その後方に原動機M等を収納したボンネット6を配設し、運転部5の側方、すなわち、同旋回台4の略中央部に掘削装置Bの基端部を上下回動自在に枢着している。」(同明細書5頁12行?6頁1行)、
(3)「また、かかる運転部5には、前部に操作スタンド17を立設して上面に各種操作レバー18を傾動自在に立設し、後部に座席19を配設している。さらに、運転部5の上方には、キャノピールーフCを配設しており、同ルーフCは、運転部5の右側前後端と、座席19の左側に、それぞれ立設した前支柱20、後支柱21、左支柱22によって支持されている。本考案は、第2図に示すように、かかるキャノピールーフCの前部を下方に傾斜させて、同ルーフCの前部に昇降するバケット14が通過する為の空間を形成している。従って、掘割装置Bのバケット14を上昇した際に、同バケット14とキャノピールーフCとの接触を回避すると共に、バケット14等を大きく作動して円滑な操作を行うべく構成している。また、かかるキャノピールーフCの傾斜面C-1には、アクリル製の透明板23を張設して窓部24が形成されており、同窓部24によって運転部5の作業者が上方に作動した掘削装置Bを確認しながらその操作を行うものである。なお、25は窓部24のガードであり、同ガード25は、キャノピールーフCの傾斜面C-1に沿って前後方向に取付けて掘削土が円滑に滑り落ちるようにしている。かかる構造により、キャノピールーフCは、その上に落下した掘削土を傾斜面C-1に沿って運転部5の前方に滑り落とし、掘削土の堆積による窓部24の閉塞を防止すべく構成している。また、キャノピールーフCの傾斜面C-1に設けた窓部24は、運転部5の作業者に対して略直面状態になり、可及的に視界を拡げると共に、窓部24を構成する透明板23が光を反射しないようにしている。」(同明細書7頁3行?8頁16行)、
(4)第1?4図、
が記載されており、これらによると、引用例2には、
「旋回台に運転部とバックホー装置とを左右に並べて配置し、運転部の上方にはキャノピールーフを配設し、同キャノピールーフの前部の下方傾斜面にアクリル製の透視可能な透明の板部材で構成された透明板を設けたバックホー」
が記載されているものと認められる。
1-3 引用例3:特開昭63-272820号公報(本件事件の甲第3号証、乙第2号証)
引用例3には、
(1)「本発明は、・・・小旋回を必要とする全旋回式バックホー等の掘削運搬車両に関するものである。」(同公報1頁左下欄15?18行)、
(2)「第1図、第2図、第3図において、1は車両、2は車体フレーム、3はバックホー、4は旋回台、5は車体フレーム2の後部に配設した荷台、6は荷台リンク装置、7は走行装置である。バックホー3は、車体フレーム2の前部で、運転席18の斜め前方に設置される。」(同2頁右上欄12?17行)、
(3)「第2図は第1図の側面図」(同3頁左上欄13行)、
(4)第1?8図、
が記載されており、特にその第2図には、掘削運搬車両の側面図が記載されており、運転席18とバックホー3との間に、図において運転席18の左側から上部にかけて屋根が記載されており、運転席の図において右側においては、当該屋根の下には何も記載されていない。ここで、第2図が第1図(掘削運搬車両の正面図)における側面図を表しており、断面図でないことを考慮すると、当該屋根は図において運転席の左側においてのみ支持され右側は支持されていない、いわゆる片持ちの状態で支持されていると考えられる。
また、第2図において、運転席18の左側に図示された屋根の支持部材の中程から右側へ延出し、旋回台4の方向に下方に屈曲している部材は、運転席の前方に設けられた手すりであることは明らかである。
したがって、引用例3には、
「旋回台に運転席とバックホー装置とを左右に並べて配置し、前記運転席とバックホー装置との間に前記運転席とバックホー装置とを仕切る部材を備えると共に、前記運転席の前部において、前記部材の前部に対し前記バックホー装置とは反対側の前記旋回台の部分と前記部材の前部とに亘って、手すりを架設連結し、前記部材の上端に屋根を片持ち状に支持し、前記運転席側に延出してあるバックホー」
が記載されているものと認められる。
1-4 引用例4:実願昭58-137768号(実開昭60-45276号)のマイクロフィルム
引用例4には、
(1)「本考案は、ブルドーザやドーザショベル等の建設車両の運転席を覆う屋根に関するものである。」(明細書2頁2?4行)、
(2)「3はこの運転席2の上方を覆う屋根であり、この屋根3は屋根本体4と、これを支える支柱5・5とからなっている。支柱5・5は運転席2の後両側に立設されており、その上端部は第2図に示すようにフレーム6にて連結されている。そしてこのフレーム6にはアーム7・7が前方へ突出して設けてある。」(明細書3頁4?11行)、
(3)「屋根本体4の下側壁には支柱5・5の上部構成部材、すなわちフレーム6及びアーム7・7が嵌合する支柱受溝10・・・・が設けてある。」(明細書4頁2?6行)、
(4)「上記構成において、屋根本体4は、この屋根本体4の支柱受溝10を支柱5・5の上部構成部材に嵌合することにより支柱5・5に固定される。」(明細書5頁2?5行)、
(5)第1図?第7図、
が記載されており、特に第1図及び第2図を参照すると、引用例4には、
「ブルドーザやドーザショベル等の建設車両の運転席を覆う屋根本体4を、支柱5、フレーム6、アーム7により片持ち状に支持し、屋根本体4はフレーム6の上に嵌合して設けた構造。」
が記載されていると認められる。

2 本件考案と、引用例1に記載されたものとの対比、判断

2-1 対比
本件考案と引用例1に記載されたものとを対比すると、両者は、
「旋回台に運転部とバックホウ装置とを左右に並べて配置し、前記運転部とバックホウ装置との間に前記運転部とバックホウ装置とを仕切る縦壁を備えると共に、この縦壁を、前記バックホウ装置側を透視可能な透視部と、その透視部の前後方向の両側辺位置に立設された前後一対の支柱部を備える周辺枠構成部分とから構成し、前記運転部の前部において、手すりを架設連結し、少なくとも、前記縦壁の上端に屋根を支持し、前記運転部側に延出してあるバックホウ」
である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:
本件考案においては、その透視部を、「透明の板部材で構成された透視部」としているのに対し、引用例1に記載されたものにおいては、その構成が明確でない点。
相違点2:
本件考案においては、手すりを、「前記縦壁(6)の前部に対し前記バックホウ装置(3)とは反対側の前記旋回台(2)の部分と前記縦壁(6)の前部の支柱部とに亘って」架設連結しているのに対し、引用例1に記載されたものにおいては、その構成が明確でない点。
相違点3:
本件考案においては、屋根を支持するのに、「縦壁の上端に屋根を片持ち状に支持し、前記運転部側に延出し」た構成としているのに対し、引用例1に記載されたものにおいては、「さらに運転部を介して側壁とは反対側の運転部の側部後方位置に、側壁を構成する周辺枠構成部分の後の支柱部にほぼ対向して第3の支柱を立設し、」そして、「側壁の上端と第3の支柱により天蓋を支持し、前記運転部側に延出し」た構成としている点。

2-2 相違点に対する判断
(1) 相違点1について
引用例2には、「旋回台に運転部とバックホー装置とを左右に並べて配置し、運転部の上方にはキャノピールーフを配設し、同キャノピールーフの前部の下方傾斜面にアクリル製の透視可能な透明の板部材で構成された透明板を設けたバックホー」が開示されている。
本件考案は、引用例1に記載されたものにおける透視部の具体的構成として、引用例2におけるアクリル製の透明板におけるような、透視可能な透明の板部材の構成を採用したものに相当するが、このようなことは、引用例1及び2が何れも本件考案におけるバックホウとは同一の技術に関するものであること、さらに引用例1に記載されたものに、引用例2に記載された技術事項を適用・組み合わせることを阻害する特段の要因もないことを考慮すると、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなくきわめて容易になし得た程度のことである。
(2)相違点2について
引用例3には、「旋回台に運転席とバックホー装置とを左右に並べて配置し、前記運転席とバックホー装置との間に前記運転席とバックホー装置とを仕切る部材を備えると共に、前記運転席の前部において、前記部材の前部に対し前記バックホー装置とは反対側の前記旋回台の部分と前記部材の前部とに亘って、手すりを架設連結」たバックホーが開示されていることから、引用例1に記載されたバックホーにおいて、その運転部の前部に設けた手すりの構成として、引用例3における手すりの構成を採用して本件考案の相違点2に係る構成とすることは、引用例1及び3が何れも本件考案におけるバックホウとは同一の技術に関するものであること、さらに引用例1に記載されたものに、引用例3に記載された技術事項を適用・組み合わせることを阻害する特段の要因もないことを考慮すると、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなくきわめて容易になし得た程度のことである。
なお、バックホウ装置において、本件考案の相違点2に係る構成のように、手すりを、屋根を支持する縦壁フレームの前部に対しバックホウ装置とは反対側の旋回台の部分と縦壁フレームの前部の支柱部とに亘って架設連結することは、本件考案出願前に周知の技術的事項にすぎない(必要なら、請求人提出の甲第5号証(ヤンマーディーゼル株式会社の昭和63年8月頃作成のヤンマークローラバックホーB3のカタログ)、同甲第9号証の1(久保田鉄工株式会社の昭和63年2月頃作成のクボタ全旋回ミニバックホーSRシリーズのカタログ)参照のこと)。
(3) 相違点3について
本件考案は、引用例1に記載されたものにおけるようなバックホーにおいて、その運転部側に延出した屋根を支持する構成として3本の柱により支持する構成に代えて、運転席側に延出した屋根を片持ち状に支持する構成を採用したものに相当する。
しかしながら、引用例3には、「旋回台に運転席とバックホー装置とを左右に並べて配置すると共に、前記運転席とバックホー装置との間に前記運転席とバックホー装置とを仕切る部材を備え、その部材の上端に前記運転席側に延出した屋根を片持ち状に支持してあるバックホー」が開示されており、また、屋根を設けるに当たり、本件考案のように、「運転部側に延出した屋根を片持ち状に支持」する構成や、「梁部上に連ねて」屋根を片持ち状に支持する構成は、上記引用例4にも記載されている(引用例4におけるフレーム6は訂正考案における「梁部」に相当し、引用例4の屋根本体4はフレーム6の上に嵌合して設けられている。)ようにブルドーザやドーザショベル等の建設車両の運転席を覆う屋根において、本件考案出願前に周知の事項にすぎない。
そして、引用例1、引用例3、引用例4が何れも本件考案におけるバックホウとは同一の技術分野の建設車両に属するものであること、さらに引用例1に記載されたものに、引用例3、引用例4に記載された技術事項を適用・組み合わせることを阻害する特段の要因もないことを考慮すると、本件考案の相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば格別の困難性を伴うことなくきわめて容易になし得た程度のことである。
(4)まとめ
そして、全体として、本件考案によってもたらされる効果も、引用例1ないし引用例4にそれぞれ記載された事項から、当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、平成10年1月5日付け訂正請求書により訂正された本件考案は、引用例1ないし引用例4に記載されたものに基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条第2項に該当し、本件考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
(5)請求人の主張に対して
請求人は、平成13年8月6日付け審判事件意見書において、引用例3に記載された事項、特に図面には「屋根を片持ち状に支持する」技術は開示されておらず、かえって、第1図ないし第3図を総合すれば、屋根は運転席を跨って左右両持ち支持されている旨主張する。
しかしながら、引用例3において、第1図ないし第3図は、製図法に則り正確に記載されていない部分も存するが、運搬車両の全体を示す図面としては概ね正確に記載されており、その第2図に示された側面図において、屋根を支持する部材が運転席の左右に設けられている場合に、図面上右側に設けられている支持部材を欠落して記載しているとは考えにくく、上記「1」の「1-3」に記載したように、屋根は片持ちの状態で支持されていると理解するのが合理的であって、請求人の主張は採用できない。

六 むすび

以上のとおりであるから、本件実用新案登録は、平成10年1月5日付け訂正請求書による訂正が、平成6年法律116号附則9条2項の規定により準用され、同6条1項の規定によりなお従前の例とされる、特許法120条の4第3項の規定によりさらに準用される平成6年法律116号による改正前の特許法126条3項の規定に違反してなされたものであって、実用新案登録を受けることができないものであり、平成10年法律51号附則13条により改正された、平成5年法律26号附則4条1項の規定によりなお効力を有するものとされ、同法附則4条2項の規定により読み替えられた、平成5年改正前の実用新案法37条1項2号の2の規定に該当し、無効とすべきものであり、平成13年5月24日付け無効理由通知における無効の理由は妥当なものである。
また、審判費用の負担については、実用新案法第41条の規定により準用し、特許法第169条第2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-29 
結審通知日 2001-12-04 
審決日 2001-12-17 
出願番号 実願平6-5564 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (E02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安藤 勝治  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
鈴木 公子
登録日 1996-08-20 
登録番号 実用新案登録第2517417号(U2517417) 
考案の名称 バックホウ  
代理人 荒垣 恒輝  
代理人 荒垣 恒輝  
代理人 北村 修一郎  
代理人 荒垣 恒輝  
代理人 荒垣 恒輝  
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