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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) E04F
管理番号 1074999
審判番号 無効2001-35280  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-06-29 
確定日 2003-03-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第2534671号実用新案「配線用フロアパネル」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2534671号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件実用新案登録第2534671号に係る考案(平成3年12月2日出願、平成9年2月13日設定登録。)はその登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載したとおりのものであるところ、請求項1に係る考案(以下、本件考案という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 略方形パネル(P)を配線経路(3)が直交して形成されるように設け、その配線経路(3)の底に床面不陸に追従する不陸追従部(2)を有し、該配線経路の直線部分と交差部分の上面開口縁に設けた段部(5)に直線部カバー板(4A)および交差部カバー板(4B)を落とし込み式に嵌めて配線経路(3)の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、交差部カバー板(4B)の裏側を支える第1の支持部(7)を配線経路の交差部分の底に有するとともに、直線部カバー板(4A)の裏側を支える第2の支持部(7)を、不陸追従部(2)の配線経路幅方向略中央近傍であって、前記第1の支持部(7)と並んで配線経路を二経路に略区分するように、前記パネル(P)と一体成形により小柱状、または衝立状に、配線横切り可能な一定間隔をあけて複数個連続配置し、且つ、第1および第2の支持部(7)の頂部(7B)は、前記直線部カバー板(4A)および交差部カバー板(4B)の裏側を一定の面積で支える略平坦面に形成されていることを特徴とする配線用フロアパネル。」

2.請求人の主張
これに対して、請求人は、本件考案の実用新案登録を無効とするとの審決を求め、その理由として、本件考案は、本件出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、この実用新案登録は無効であるべきと主張し、証拠方法として甲第2号証ないし甲第14号証を提出している。
甲第1号証:平成11年無効審判第35388号の審決
甲第2号証:特開昭62ー284854号公報
甲第3号証:実願平1ー130841号(実開平3ー74735号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実願平2ー9327号(実開平3ー99142号)のマイクロフィルム
甲第5号証:実願昭50ー116117号(実開昭52ー29722号)のマイクロフィルム
甲第6号証:特開平1ー185117号公報
甲第7号証:実願昭60ー193169号(実開昭62-101942号)のマイクロフィルム
甲第8号証:特開平2-292455号公報
甲第9号証:意匠登録第880856号公報
甲第10号証:「OAフロアの本因坊 碁VAN」(未来工業株式会社)
甲第11号証:「日経ニューマテリアル」(日経BP社)1992年8月3日発行(モノクロ)
以下は、平成13年11月28日付け弁駁書に添付されたものである。
甲第11号証:「日経ニューマテリアル」(日経BP社)1992年8月3日発行(カラー)
甲第12号証:「床の総合専門誌 ゆか monthly」((株)インテリアタイムス社)1991年5月1日発行
甲第13号証:「床の総合専門誌 ゆか monthly」((株)インテリアタイムス社)1991年7月1日発行
甲第14号証:「床の総合専門誌 ゆか monthly」((株)インテリアタイムス社)1991年11月1日発行。

3.被請求人の主張
一方、被請求人は、次の主張をしている。
(3-1)「請求人は、前審判の審決内容を述べるにとどまり、本件考案の無効理由を具体的に主張していない。本件無効審判手続においては、前審決は単に事情を示すにすぎず、その審判が確定した事実は何ら無効理由を構成するものではない。従って、本件審判請求は、請求の理由の記載がなく不適法である(実新38条)。」(答弁書2頁17?21行)。
(3-2)「甲第9号証及び甲第11号証は出願前に頒布されたものではない。そして甲第10号証はその末頁に「このカタログの記載内容は、平成3年9月現在のものです。」との記載があるにすぎず出願前頒布に係るものではない。」(答弁書3頁2?5行)
(3-3)「(i)甲第2乃至8、10号証に記載の技術内容に関する被請求人の主張は以下のとおりである。
甲第2号証
請求人主張の事実が記載されていることは認める。
甲第3号証
直線部分のカバー体が配線溝交差部分におよび、その先端部下面の一部分を支持する支柱13が開示されている。カバー板は直線部と交差部とに分離されておらず直線部をカバーするカバー板のみが認められる。かような支柱は、構成要件(マル4)の「交差部カバー板の裏側を支える第1の支持部」とは認められない。
甲第4号証
請求人は第1図中のコード挿通溝2,3の交差部分の床に形成されている部材(符号なし)が、本件考案の「交差部カバー板の裏側を支える第1の支持部」に該当するかの如き主張している。しかし、かような部材は床用ブロック1の一部であって、上方にカバー板が配置されてそのカバー板の裏面を支持するものではないので、本号証に関して技術内容の著しい誤解がみられる。
甲第5号証
床面を利用して配線を隠ぺいし、かつ任意の箇所から配線をとり出すことができる床タイルを提供することを目的とする。第2図には、配線溝3をセパレータ4によって2条に分割した例が記載されているが、セパレータ4は配線溝3を分割することを目的とするものであって、カバー板等の上部カバーを支持補強するためのものではない(3頁1?4行目)。配線溝の直線部と交差部の各開口は一枚の上部タイル1によって下部タイル2上に載置されている(図1)。セパレータ4については上記のとおり、配線溝を分割するための板状構造をしたものであり、第2図に示されているセパレータ4がカバー板たる上部タイル1の裏側を支えるに足りる構造(寸法も含めて)であるかに関しては何ら記載はない。従って、本号証は、本件考案の構成(マル1)のみが開示された考案にすぎない。
甲第6号証
壁際設置用ダクトに関する考案であり、その壁際設置ダクトから配線用床材(基本パネル)への配線導入をダクト側面を一部カットして開口を形成して、容易に施工できるようにしたものである。考案の目的、構成、効果の各観点からみて本件考案と共通するものはなく技術的関連性はない。請求人は本号証には本件考案の構成(マル6)が記載されていると主張するが、本号証にはそのような記載は全くない。
甲第7号証
本号証は、配線経路を複数の凸状部間に設けたOA用床構造に関する考案であるところ、凸状部の任意の位置で切除された間隔5は、新たな配線経路を設けて配線6を縦横自在に配線するためのものであって、配線経路を二経路に区分する技術ではない。又、配線経路を二経路に区分するように衝立状に複数個連続配置された本件考案の第2の支持部に相当するものは記載されていない。
甲第8号証
本号証には、請求人の主張にもかかわらず、本件考案の構成(マル6)(マル7)の記載又はそれに相当する記載は一切なく、請求人の本号証に係る主張は誤りである。
・・・
(ii)以上により、甲第2乃至8、10号証には、いかような組み合わせによっても本件考案を創作できる記載がないので、請求人の主張は理由がない。」(答弁書4頁6行?5頁28行)。

4.甲第2号証ないし甲第8号証の記載事項
甲第2号証(特開昭62ー284854号公報)には、
(1) 「所定の間隔を置いて配置した配線溝形成用ブロック相互を可撓性シートで結合して、ブロックとブロックの間に可撓性シートを底とする配線溝を形成し、その配線溝の上面開口をカバー板で覆って上面を平らに構成したフロアパネル装置。」(1頁左下欄5?9行、特許請求の範囲第1項参照)、
(2) 「(作用)本発明のフロアパネル装置を床に敷設すると、床面に連続した配線溝3が形成されるもので、その配線溝3に電力線・電話線・信号線等を収めてカバー板4で覆う。そして設置された負荷機器の最寄りの配線から分岐線を引出して負荷機器と接続する。床がコンクリートの打放し等で多少不陸(凹凸)があっても、配線溝3の底の部分でシート2が自由にたわむのでフロアパネル装置は床に密着する。」(3頁左上欄1?11行参照)、
(3) 「(実施例)所定の間隔を置いて配置した配線溝形成用ブロック1・1相互を可撓性シート2で結合して、そのブロック1とブロック1の間に可撓性シート2を底とする配線溝3を形成したパネル基体は、例えば一辺が40?60cmの正方形、あるいは長方形、その他一定の幅を有する長尺状のもの、またあらかじめ広い面積に作られ、多数の配線溝を持ったものなど任意である。」(3頁左下欄4?12行参照)、
(4) 「可撓性シート2は合成樹脂シート、ゴムシート、極薄の鋼板・アルミニウム板・硬質合成樹脂板など任意で、要するに床面の凹凸に倣ってたわむ性質を持ったものを用いる。」(3頁右下欄1?4行参照)、
(5) 「カバー板4の形状としては、次の各種のものを採用できる。・・・・・d.1個のユニットパネルの配線溝の上面開口のみを一度に覆うカバー板(第1図・第12図示の十字形および井桁形・格子形等)。・・・・・また上記d・e項記載の配線溝3の上面開口のみを覆う一体または分割式のカバー板の場合は、配線溝3の開口縁に形成したカバー板の厚さと等しい高さの段部1D(第2図示)に落し込み式にはめるものである。」(4頁右上欄13行?同右下欄18行参照)、
(6) 「敷設によって床に連続した配線溝3を容易に形成することができ、その配線溝3に各種配線を上方から収めるので配線および分岐接続等の作業が簡単で楽である。敷設後の配線変更その他点検などに際しては、必要箇所のカバー板4を除去することにより、上記の作業を迅速容易に行うことができる。敷設する床面に多少の凹凸があってもフロアパネル装置はその凹凸になじんで密着するので、がたつきがなくて歩行感覚に優れ、また負荷機器も安定する。」(6頁右下欄20行?7頁左上欄10行参照)と記載されている。
上記(1)?(7)からみて、「略方形可撓性シートを配線溝が直交して形成されるように設け、その配線溝の底に床面不陸に追従する不陸追従部を有し、該配線溝の直線部分と交差部分の上面開口縁に設けた段部に直線部カバー板および交差部カバー板を落とし込み式に嵌めて配線溝の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成した配線用フロアパネル装置」 が記載されていると認められる。

甲第3号証(実願平1ー130841号(実開平3ー74735号)のマイクロフィルム)には、
(1) 「〔実施例〕次に実施例について説明すると、符号1は平面視矩形状の床パネル、2は断面下向きコ字型の長手のカバ一体、3は断面上向きコ字型の部材から成る枠体ユニットを各々示す。」(同明細書4頁15?19行参照)、
(2) 「枠体ユニット3は、前記平面視矩形状の床パネル1に対応する平面視矩形の環状の内周枠部8と、該内周枠部8の4角部から平面視で互いに90度違えて外向きに突出する8本の枝枠部9とから成り、内周枠部8は底板10と該底板10の左右両側から上向きに屈曲させた左右一対の側板11a、11bにて構成され、同様に枝枠部9は底板10と該底板10の左右両側から上向きに屈曲させた左右一対の側板12a、12bにて構成され、底板10は一体的に延設されている。」(同5頁4?13行参照)、
(3) 「床パネル1の周縁に沿って配設する配線コード用の断面下向きコ字型のカバ一体2は、図示するように、枠体ユニット3における内周枠部8及び枝枠部9の各底板10上に載置され、且つ隣接する床パネル1、1の周側板5、5との間に嵌挿される。符号13は、内周枠部8の各角部と枝枠部9との連接個所の底板10から上向きに突設する支柱で、前記連接個所に集まるカバー体2の端部下面を支持するようにするものである。」(同6頁17行?7頁6行参照)と記載されている。
上記(1)?(4)の記載からみて、「枠体ユニットを溝通路が直交して形成されるように設け、該溝通路の直線部分と交差部分の上面開口にカバー体を落とし込み式に嵌めて溝通路の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、カバー体の裏側を支える支柱を溝通路の交差部分の底板に有し、且つ、支柱の頂部は、前記カバー体の裏側を一定の面積で支える略平坦面に形成されている床パネル装置」が記載されていると認められる。

甲第4号証(実願平2ー9327号(実開平3ー99142号)のマイクロフィルム)には、
(1) 「本考案は、コンクリート等の床基盤上に多数個の床用ブロックを整列して載置するようにした床装置に関するものである。」(同明細書1頁19行?2頁1行参照)、
(2) 「例えば、第10図に示すように、縦横両コード挿通溝2,3の側面に段部13を形成する一方、縦横のコード挿連溝2,3で囲われた突起部lbを前記段部13と同じ高さ寸法に形成することにより、各コード挿通溝2,3を1枚のカバー体14にて覆うとか、或いは、板体にて床用ブロックと同じ平面形状に形成して、単に床用ブロックの上面に載置するなど、種々の形態を採用できることは云うまでもない。」(同10頁1?9行参照)と記載されている。
上記(1)?(3)からみて、「略方形床用ブロックをコード挿通溝が直交して形成されるように設け、該コード挿通溝の直線部分と交差部分の上面開口縁に設けた段部にカバー体を落とし込み式に嵌めてコード挿通溝の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、カバー体の裏側を支える突起部をコード挿通溝の交差部分の底面に有し、且つ、突起部の頂部は、前記カバー体の裏側を一定の面積で支える略平坦面に形成されている床装置」が記載されていると認められる。

甲第5号証(実願昭50ー116117号(実開昭52ー29722号)のマイクロフィルム)には、
(1) 「ビニール床タイルにおいて、1条ないしは数条の配線溝3を十文字に設けた下部タイル2と該下部タイル2に組合される上部タイル1とからなり、該配線溝3を床配線用の空間として使用する構造からなる配線用床タイル。」(同明細書1頁5?9行、実用新案登録請求の範囲参照)、
(2) 「第1図は本考案の一実施例で、上部タイル1と下部タイル2からなり、下部タイル2には配線用の配線溝3が設けてあり、上部タイル1は下部タイル2の蓋として組合せて構成する。下部タイル2は電気通信ケーブル等が隠ぺいする程度の肉厚とし、配線溝3は配線を容易にするため十文字に設けられている。」(同2頁12?18行参照)、
(3) 「第2図は本考案の他の実施例で、下部タイル2はセパレータ4を設け2条の配線溝3を持った構造よりなっている。」(同3頁1?3行参照)、
(4) 「この考案に係る配線用床タイルを室内の床タイルとして利用すれば床は隠ぺい配線溝が縦横に連結されるので、室内の任意の個所から配線が容易に引出すことが可能となり、露出配線は皆無となる。そのほか室内の美観上と、配線作業が容易になる等効果的な利点がある。」(同3頁20行?4頁5行参照)
(5)「セパレータ4の高さと下部タイル2の高さがほぼ等しい」(第2図)と記載されている。
上記(1)?(5)からみて、「略方形下部タイルを配線溝が直交して形成されるように設け、上部タイルを蓋として組合せて配線溝の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、底板の配線溝幅方向略中央近傍であって、配線溝を二経路に略区分するように、前記下部タイルと一体成形により衝立状に、セパレータを配置した配線用床タイル」が記載されていると認められる。

甲第6号証(特開平1ー185117号公報)には、
(1)「第7図?第9図に示すように、配線用床材(20)に形成され配線ビット(21)に対応する箇所で各壁(12)(17)を折り取ることにより、配線ビット(21)の側面開口(22)に面する開口部(15)が形成され、この開口部(15)を介してケーブル(W1)(W2)をダクト(10)から配線ビット(21)に引き込めるようになっている。」(4頁右上欄17行?左下欄5行)。
上記(1)より「配線用床材20に併設する床配線用ダクト10において、配線経路を区分する衝立状の仕切壁17を折り取ることにより開口部15を設けたこと」が記載されていると認められる。

甲第7号証(実願昭60ー193169号(実開昭62-101942号)のマイクロフィルム)には、
(1)「この考案は、・・・床基盤上に、下面または上面のどちらか一方に所望間隔をおいて任意の位置で切除可能な凸状部が複数設けられた床下地板を載置し、その上に中間板材を介するかまたは介さずに床仕上げ材を敷設してなるOA用床構造、をその要旨とする。」(明細書2頁8?13行)、
(2)「実際の配線は凸条部と凸条部の間の溝と凸条部を任意の位置で切除して形成した間隙5(第3図)とを用いて縦横自在に行なわれる。」(同3頁4行?7行)、
(3)「本考案は第4図に示すように、上面に先に述べた床下地板と同様の多数の凸状部4を設けた下地板2’も用いられる。この場合は床下地板2’と床仕上材3との間に中間板材7が必要である。」(同3頁8?12行)、
(4)「本考案は以上のごとく、従来のフリーアクセスフロアに比べ、極めて単純な構成で施工も迅速に行なえる。また床下地板も安価に提供できるし、配線も縦横自在に実施でき、後からの配線変更も容易である。また、床の高さもフリーアクセスフロアに比べ低くおさえられ、室内空間を広く利用できるし、高層建築にも適しているなど、利点の多いものである。」(同4頁9?16行)と記載されている。
上記(1)?(4)からみて、「配線経路が複数の直線部からなる床下地板2において、床仕上材3及び中間板材4の裏側を支える複数の凸条部4を、配線横切り可能に切除可能にしたもの」が記載されていると認められる。

甲第8号証(特開平2-292455号公報)には、
(1)「第13A図および第13B図には、・・・他の配線材収容部材74が示されている。・・・第13A図に示されるように、中央の脚部78を除いて、配線を通過させるための切り欠き78aが形成されている。同図に示されるように、形成された通路は2つずつに分離され、それぞれ電力線用、電話線用として使用されている。」(明細書8頁左上欄1?11行)、
(2)「分離された電力幹線66は切り欠き78aを通して端部の通路へ導かれ、端部側の通路において床面に固定された配線器具86により電力分岐線58に配線される、右側の2つの通路部分においては、中央側の通路に電話幹線64が配置され、分離された電話幹線64は切り欠き78aを通して端部側の通路へ導かれ、端部側の通路において床面に固定された配線器具86によりさらに分岐され、電話分岐線56に配線される。」(同8頁左上欄12行?同右上欄1行)と記載されている。
上記(1)?(2)の記載からみて、この公知文献には、「配線収容部材74において、配線経路を区分する脚部78に一定間隔に切り欠き78aを設けること」が記載されていると認められる。

5.対比
そこで、本件考案と甲第2号証記載の考案とを対比すると、甲第2号証記載の「可撓性シート2」、「配線溝3」、「フロアパネル装置」は、本件考案における、「略方形パネル(P)」、「配線経路(3)」、「配線用フロアパネル」に相当し、両者の一致点、相違点は、下記のとおりとなる。
(一致点)
「略方形パネルを配線経路が直交して形成されるように設け、その配線経路の底に床面不陸に追従する不陸追従部を有し、該配線経路の直線部分と交差部分の上面開口縁に設けた段部に直線部カバー板および交差部カバー板を落とし込み式に嵌めて配線経路の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成した配線用フロアパネル」である点。
(相違点1)
本件考案においては、「交差部カバー板(4B)の裏側を支える第1の支持部(7)を配線経路の交差部分の底に有する」のに対し、甲第2号証記載の考案においては、このような構成を有していない点。
(相違点2)
本件考案においては、「直線部カバー板(4A)の裏側を支える第2の支持部(7)を、不陸追従部(2)の配線経路幅方向略中央近傍であって、前記第1の支持部(7)と並んで配線経路を二経路に略区分するように、前記パネル(P)と一体成形により小柱状、または衝立状に、配線横切り可能な一定間隔をあけて複数個連続配置」するのに対し、甲第2号証記載の考案においては、このような構成を有していない点。
(相違点3)
上記相違点1及び2に関連して、本件考案においては、「第1および第2の支持部(7)の頂部(7B)は、前記直線部カバー板(4A)および交差部カバー板(4B)の裏側を一定の面積で支える略平坦面に形成されている」のに対し、甲第2号証記載の考案においては、第1および第2の支持部そのものの構成がないことから、当然のこととしてこのような構成を有していない点。

6.当審の判断
(6-1)相違点1について
甲第3号証には、「枠体ユニットを溝通路が直交して形成されるように設け、該溝通路の直線部分と交差部分の上面開口にカバー体を落とし込み式に嵌めて溝通路の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、カバー体の裏側を支える支柱を溝通路の交差部分の底板に有し、且つ、支柱の頂部は、前記カバー体の裏側を一定の面積で支える略平坦面に形成されている床パネル装置」が記載され、又甲第4号証には、「略方形床用ブロックをコード挿通溝が直交して形成されるように設け、該コード挿通溝の直線部分と交差部分の上面開口縁に設けた段部にカバー体を落とし込み式に嵌めてコード挿通溝の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、カバー体の裏側を支える突起部をコード挿通溝の交差部分の底面に有し、且つ、突起部の頂部は、前記カバー体の裏側を一定の面積で支える略平坦面に形成されている床装置」が記載されている。
これらの「支柱」及び「突起部」は、「連接個所に集まるカバー体2の端部下面を支持するようにするもの」(甲第3号証)であり、又、「突起部lbを前記段部13と同じ高さ寸法に形成することにより、各コード挿通溝2、3を1枚のカバー体14にて覆う」(甲第4号証)ものであって、何れも本件考案における、「配線経路の交差部分の底に」構成された「交差部カバー板の裏側を支える第1の支持部」に相当するものである。
そして、これら甲第2号証ないし甲第4号証及び本件考案は、何れもこの種の配線用フロアパネル等に関するものであり、同じ技術分野に属するものである。
してみると、上記甲第2号証に記載された配線用フロアパネル装置に、従来周知の上記甲第3号証あるいは甲第4号証において開示されているような「支柱」及び「突起部」を適用して、相違点1の本件考案に関する構成とすることに格別の困難性はなく、このようなことは当業者であれば必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(6-2)相違点2について
甲第5号証によると、「略方形下部タイルを配線溝が直交して形成されるように設け、上部タイルを蓋として組合せて配線溝の上面開口を覆うことによって上面を平らに構成し、底板の配線溝幅方向略中央近傍であって、配線溝を二経路に略区分するように、前記下部タイルと一体成形により衝立状に、セパレータを配置した配線用床タイル」が記載されている。甲第5号証における「セパレータ」は、「2条の配線溝3を持った構造」、「上部タイル1は下部タイル2の蓋として組合せて構成する」、及び、第2図の「セパレータ4の高さと下部タイル2の高さがほぼ等しい」記載によると、該セパレータは、事実上、上部タイルの裏側を支える支持部であり、「配線溝を二経路に略区分する」ものであり、甲第5号証における配線用床タイルは本件考案の配線用床パネルに対応するから、甲第5号証には、「カバー板の(配線経路の直線部)裏側を支える支持部を、底板の配線経路幅方向略中央近傍であって、配線経路を二経路に略区分するように、パネルと一体成形により衝立状に配置」したことが記載されていると認めることができる。
さらに、本件考案と同様の作用効果(異種配線の混触防止、配線付設経路の変更容易(本件登録公報【0015】参照))を奏するために、甲第7号証には、配線経路が複数の直線部からなる配線用床パネル(床下地板2)において、カバー板(床仕上げ材3及び中間板材7)の裏側を支える複数の支持部(凸条部4)を、配線横切り可能に切除可能にしたものが記載されており(第4図参照)、甲第6号証及び甲第8号証には、配線用床パネルそのものではないが、甲第6号証には、配線用床パネル(配線用床材20)に併設する床配線用ダクト10において、配線経路を区分する衝立状のカバー支持部(仕切壁17)を折り取ることにより開口部15を設けたことが記載され、甲第8号証には、配線収容部材74において、配線経路を区分する衝立(脚部78)に一定間隔に切り欠き78aを設けることが、それぞれ記載されている。したがって、配線用の床構成部材において、異種配線の混触防止、配線付設経路の変更容易を図るため、配線経路を区分する衝立状の支持部材に切欠を設けることは周知である。
そうすると、甲第5号証記載の考案を甲第2号証記載の考案に適用するにあたって、周知技術を参酌して、配線経路を区分する衝立状部材に切欠を設け、結果、配線経路の直線部中央に設けた支持部材を、配線可能な一定間隔をあけて複数個連続配置することは、当業者であればきわめて容易に思い付く程度の技術事項であり、また、配線経路の交差部に設けた「第1の支持部材」と、配線経路の直線部中央に設けた「第2の支持部」を並設することに何ら阻害要因はなく、両者を並設すれば、当然のことながら、第2の支持部を第1の支持部と並んで配線経路を略区分するように配置することになる。
したがって、上記相違点2の本件考案に係る構成とすることは、甲第2号証、甲第5号証記載の考案及び周知技術(甲第3、4号証、甲第6?8号証参照)に基いて当業者であればきわめて容易になし得ることである。

(6-3)相違点3について
甲第3号証記載の「支柱13」あるいは甲第4号証記載の「突起部1b」において、本件考案における「交差部カバー板(4B)の裏側を支える第1の支持部(7)を配線経路の交差部分の底に有する」点が開示されており、それら「支柱13」及び「突起部1b」の「頂部」は、カバー体の裏側を支える略平坦面に形成されている。
また、甲第5号証記載の「セパレータ4」あるいは甲第7号証の第4図に示される「凸条部4」において、本件考案における「直線部カバー板(4A)の裏側を支える第2の支持部(7)を配線経路の直線部分の底に有する」点が開示されており、それら「セパレータ4」及び「凸条部4」は、カバー体の裏側を支える略平坦面に形成されている。
したがって、カバー板の裏面を一定面積で支える略平坦面に形成した支持部は周知であり、上記相違点3の本件考案に係る構成とすることは、甲第2号証記載の考案及び周知技術(甲第3、5、7号証参照)に基いて当業者であればきわめて容易になし得ることである。

(6-4)むすび
以上のとおり、本件考案は、本件出願前に頒布された甲第2号証、甲第5号証記載の考案及び周知技術(甲第3、4号証、甲第6?8号証参照)に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
そして、上記甲号各証記載の考案を組み合わせたことによる格別の効果も認められない。

7.被請求人の主張について
(3-1)について
被請求人は「請求人は、前審判の審決内容を述べるにとどまり、本件考案の無効理由を具体的に主張していない。」という。確かに、審判請求書「7.3 本件審判請求の背景と事情」等には、前審判(平成11年審判第35388号の審決)の審決内容を述べるにとどまる記載が認められるが、同書「7.4 実用新案登録無効の理由の要点」及び「7.6 本件考案と公知技術との対比と判断」の記載、及び、甲第1号証以下の証拠方法を同書に添付したことからすると、審判請求書には、事実上具体的な無効理由が記載されているということができる。

(3-2)について
被請求人は、「甲第9号証ないし甲第11号証は本件考案出願前に頒布された刊行物ではない」旨の主張をしているが、甲第9号証ないし甲第11号証は証拠として採用しなかったから、被請求人のこの主張の正否は本審決の結論には影響しない。

(3-3)について
被請求人は、甲第2号証に請求人主張の事実が記載されていることを認めた上で、甲第2号証記載の考案と、甲第3号証ないし甲第10号証記載の考案とをいかように組み合わせても、本件考案を創作できない旨の主張をしている。
(相違点1に関する証拠について)
甲第3号証について、被請求人は「カバー板は直線部と交差部とに分離されておらず直線部をカバーするカバー板のみが認められる」というが、本件考案の構成要件には「カバー板は直線部と交差部とに分離する」ということは記載されておらず、被請求人の主張は実用新案登録請求の範囲の記載に基づかない主張である。
甲第4号証について、被請求人は第1図を引用して「かような部材は床用ブロック1の一部であって、上方にカバー板が配置されてそのカバー板の裏面を支持するものではない」というが、上記4.に記載のとおり甲第4号証の記載事項として第10図記載の実施例を引用したのであって、第1図の実施例を引用したわけではない。
そして、(6-1)に記載したとおり、上記甲第2号証に記載された配線用フロアパネル装置に、上記甲第3号証あるいは甲第4号証において開示されているような「支柱」及び「突起部」を適用することに格別の困難性はなく、このようなことは当業者であれば必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことであるとしたのである。
(相違点2に関する証拠について)
甲第5号証について、被請求人は、「セパレータ4がカバー板たる上部タイル1の裏側を支えるに足る構造(寸法も含めて)であるかに関しては何ら記載はない」と主張するが、甲第5号証における「セパレータ」は、「2条の配線溝3を持った構造」、「上部タイル1は下部タイル2の蓋として組合せて構成する」、及び、第2図の「セパレータ4の高さと下部タイル2の高さがほぼ等しい」記載によると、該セパレータは、事実上、上部タイルの裏側を支える支持部と認められる。このことは、甲第7号証の第4図には、配線用床パネル(床下地板2’)の上面に設けた複数の凸条部4にてカバー板(床仕上材3及び中間板材7)を支持した構成が認められ、配線用床パネルそのものではないが、甲第6号証には、配線用床パネル(配線用床材20)に併設する床配線用ダクト10において、配線経路を区分する衝立状の仕切壁17が、化粧カバー4を支持することが記載されていることから、当分野において、配線経路を区分する凸状部、仕切壁等を、支持部とすることが技術常識と考えられ、甲第5号証に接した当業者であれば、「セパレータ」が支持部として開示されていると認めることができる。
甲第7号証には、本件考案と同様の作用効果(異種配線の混触防止、配線付設経路の変更容易(本件登録公報【0015】参照))を奏するために、配線経路が複数の直線部からなる配線用床パネル(床下地板2)において、カバー板(床仕上材3及び中間板材7)の裏側を支える複数の支持部(凸条部4)が記載されており(第4図参照)、被請求人の「配線経路を二経路に区分する技術ではない」という主張は認められない。
甲第6号証及び甲第8号証は、確かに、配線用床パネルそのものではないが、床配線用ダクト、配線収容部材であって、配線用の床構成部材という点において共通する分野であり、同一分野において、配線経路を区分する衝立状の部材を設け、本件考案と同様の作用効果(異種配線の混触防止、配線付設経路の変更容易(本件登録公報【0015】参照))を奏するから、被請求人の「技術的関連性はない」という主張は認められない。
そして、上記(6-2)に記載したとおり、甲第5号証記載の考案を甲第2号証記載の考案に適用するにあたって、周知技術(甲第6号証ないし甲第8号証)を参酌して、配線経路を区分する衝立状部材に切欠を設け、結果、配線経路の直線部中央に設けた支持部材を、配線可能な一定間隔をあけて複数個連続配置することは、当業者であればきわめて容易に思い付く程度の技術事項であり、また、配線経路の交差部に設けた「第1の支持部材」と、配線経路の直線部中央に設けた「第2の支持部」を並設することに何ら阻害要因はなく、両者を並設すれば、当然のことながら、第2の支持部を第1の支持部と並んで配線経路を略区分するように配置することになるとしたのである。
(相違点3に関する証拠について)
甲第5号証及び甲第7号証については上記のとおりであり、(6-3)記載のとおり、カバー板の裏面を一定面積で支える略平坦面に形成した支持部は周知であり、上記相違点3の本件考案に係る構成とすることは、甲第2号証記載の考案及び周知技術(甲第3、5、7号証参照)に基いて当業者であればきわめて容易になし得ることである。

8.むすび
以上のとおり、本件考案は、その出願前に頒布された甲第2号証、甲第5号証及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は、実用新案登録第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定において準用する特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-01-17 
結審通知日 2002-01-22 
審決日 2002-02-04 
出願番号 実願平3-107231 
審決分類 U 1 122・ 121- Z (E04F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 由木住田 秀弘  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 中田 誠
鈴木 公子
登録日 1997-02-13 
登録番号 実用新案登録第2534671号(U2534671) 
考案の名称 配線用フロアパネル  
代理人 牛木 理一  
代理人 元井 成幸  
代理人 高橋 隆二  
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