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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60J
管理番号 1075007
審判番号 不服2000-331  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-12 
確定日 2003-04-10 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 63602号「車両用ウインドモールディング」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 3月 8日出願公開、実開平 6- 18024]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 一.出願の経緯・本願考案
本願は、平成4年8月18日の出願であって、その請求項1,2に係る考案は、平成14年12月13日付の手続補正書により補正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1,2に記載された次のとおりのものと認める。

「【請求項1】 車体パネルの窓開口部の周壁面と前記窓開部に組付けられるウインドガラス周縁との間の隙間に嵌込まれる支持脚と、
前記支持脚の車外側端部から前記ウインドガラスの表面に張出された装飾リップと、
前記支持脚の車内側端部から前記ウインドガラスの背面に向けて突出され該背面に係合する係止片と、を備え、
前記窓開口部の周壁面に対向する前記支持脚の側面の車外側端部から所定距離だけ離れた位置には中空断面の基体部が前記周壁面に向けて突出され、
前記基体部の表面側突出部には、前記周壁面に向けて外側リップが延出され、
前記隙間に前記支持脚を嵌込んで装着したときに、前記外側リップは、前記周壁面に弾接するとともに車外側に屈曲されかつ前記支持脚の前記周壁面側の側面及び前記基体部の表面と協働して横断面凹状の排水溝を形成し、
前記基体部の背面側突出部には、前記周壁面に向けて内側リップが延出され、前記装着時において、前記内側リップは前記周壁面に弾接して車外側に屈曲され、
前記支持脚の側面から前記外側リップ及び前記内側リップ先端までの距離寸法に比べ、前記中空断面の基体部の表面側及び背面側の各突出部から前記外側リップ及び前記内側リップ先端までの長さ寸法が前記基体部の表面側及び背面側の各突出部の突出量に相当する分だけそれぞれ短く形成されことで、前記外側リップ及び前記内側リップの車外方向への捲れ上り変形を防止する構成にしてあること
を特徴とする車両用ウインドモールディング。(以下、「本願第1考案」という。)
【請求項2】 請求項1の車両用ウインドモールディングにおいて、内外の両リップは装着前の自由状態において装着時の屈曲方向とは逆方向にそれぞれ湾曲されていることを特徴とする車両用ウインドモールディング。(以下、「本願第2考案」という。)」

二.引用刊行物とその記載事項
1.刊行物1の記載事項
これに対して、当審における、平成14年10月25日付で通知した拒絶の理由で引用した本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭63-73863号(実開平1-176514号公報)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、「自動車のウインドガラスモール」に関し、図1?8と共に、以下の事項が記載されている。
イ)「本考案は、自動車のウィンドガラスモールに関する。」(明細書第2頁第2,3行)
ロ)「弾性材料から構成されていて、車体に固定されたウィンドガラスの端面とこれに対向する車体の立壁面との間の隙間に嵌着される自動車のウィンドガラスモールであって、ウィンドガラス端面とこれに対向する車体の立壁面との間に位置する基部と、該基部から前記立壁面に向けて突出し、該立壁面に弾性的に圧接するリップと、前記基部の下部とリップの中間部とに各端部をそれぞれ一体に連結されたブリッジとを具備し、前記リップは前記立壁面にのみ当接し、該立壁面に連続する車体表面には当接しないように形成され、リップの外面に、前記車体表面よりも凹入した溝が形成されていることを特徴とする自動車のウィンドガラスモール。」(実用新案登録請求の範囲)
ハ)「第3図に示すようにウィンドガラス端面7とこれに対向する立壁面8との間に位置する基部30から立壁面8に向けて突出するリップ32を有していることは従来と同様であるが、このリップ32は、その先端部が立壁面8に弾性的に圧接している。即ちリップ32は、車体の立壁面8にのみ当接し、該立壁面8に連続する車体表面14には当接しないように形成され、車体表面14に対するガラス表面13の高さがばらついても、リップ32の先端部が必ず立壁面8に圧接するように構成されているのである。」(明細書第9頁第16行?第10頁第6行)
ニ)「リップ32の中間部と基部30の下部には、ブリッジ42の各端部が一体に連結されている。またモール9が隙間Gに嵌着された状態で、リップ32の外面34に、車体表面14よりも凹入した溝38が形成され、この溝38はモール9の全長に亘って延びている。」(明細書第10頁第7?12行)
ホ)「リップ32と反対側に延びる突部11がウィンドガラス表面13に密着し、下リップ15に形成された段状部19がガラス1の角部20に係合してモールの抜け出しを防止していることは従来のモールと変りはない。」(明細書第10頁第13?17行)
ヘ)「また基部30の下部から突出したもう1つの下リップ17は、その中間部がフランジ部4に、その先端部が立壁面8に圧接している。」(明細書第10頁第18?20行)
ト)「上述の如く形成されたウィンドガラスモール9は、隙間Gに嵌着された状態では第3図に実線で示すように位置するが、これに加力が加えられていないフリーの状態では、その各リップ32、17、15は鎖線で示すように開いている。」(明細書第11頁第1?5行)
チ)「前述のようにリップ32の外面には、モール9に沿って延びる溝38が形成されているため、自動車を急発進させ、或いは急停車したときも、ウィンドガラス1上のウォッシャ液や雨水31は第3図に矢印Yで示すように溝38に落ち込み、該溝38にガイドされて流通する。即ち溝38が樋としての働きをなすのである。」(明細書第14頁第14?20行)
リ)また、第3?5図には、「ウィンドガラス端面とこれに対向する車体の立壁面との間に位置する基部30と、基部30の車外側端部からウィンドガラスの表面に張出された突部11と、基部30の車内側端部からウィンドガラスの背面に向けて突出され、該背面に係合する下リップ17を具備した自動車のウィンドガラスモール」が記載されている。

2.刊行物2の記載事項
同じく、拒絶の理由で引用した本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭61-78403号(実開昭62-189222号公報)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)には、「自動車のウインドシールドガラスモール」に関し、図1?5と共に、以下の事項が記載されている。
ヌ)「モール2の頭部にはリップ4とガラス押え5がそれぞれ形成され、中空部3を区画する一方の側壁部6の外面には2つのひれ状部7,8が形成されている。他方の側壁部9には爪状部10が突設されている。」(明細書第4頁第1?5行)

三.対比・判断
1.本願第1考案について
(一)本願第1考案と刊行物1の記載事項との対比
刊行物1の「ウィンドガラス端面」は本願第1考案の「ウインドガラス周縁」に、同じく、「車体の立壁面」は「窓開口部の周壁面」に相当するから、刊行物1の、「ウィンドガラス端面とこれに対向する車体の立壁面との間」(上記リ、参照。)は、本願第1考案の「車体パネルの窓開口部の周壁面とこの窓開口部に組付けられるウィンドガラス周縁との間の隙間」といいうる。そして、「基部30」は、この隙間に嵌込まれている(上記ハ、リ)から、本願第1考案の「車体パネルの窓開口部の周壁面と前記窓開部に組付けられるウインドガラスの周縁との隙間に嵌込まれる支持脚」に相当する。
また、刊行物1の「突部11」は、基部30の車外側端部からウィンドガラスの表面に張出されている(上記ホ、リ)から、本願第1考案の「支持脚の車外側端部からウインドガラスの表面に張出された装飾リップ」に相当する。
さらに、刊行物1の「もう1つ下のリップ17」は、基部30の車内側端部からウィンドガラスの背面に向けて突出されウィンドガラスの背面に係合している(上記ヘ、リ)から、本願第1考案の「支持脚の車内側端部からウインドガラスの背面に向けて突出され該背面に係合する係止片」に相当する。
そして、刊行物1の「ブリッジ42」は「リップ32の中間部と基部30の下部」を連結するものであり、車体の立壁面に対向する基部30の側面に設けられ、これによって、結果的には「中空部を有する部分」が基部30から立壁面に向けて設けられているといいうる(上記ハ、ニ及び刊行物1の第3図)から、本願第1考案の「窓開口部の周壁面に対向する前記支持脚の側面の車外側端部から所定距離だけ離れた位置には中空断面の基体部が前記周壁面に向けて突出され」る構成に相当する構成が開示され、しかも、刊行物1の「リップ32」の中間部より先端部分は、上記「中空部を有する部分」から延出されているといえ、かつ、「ウィンドガラス端面7とこれに対向する立壁面8との間に位置し、」「その先端部が立壁面に弾性的に圧接し、」「車体の立壁面8にのみ当接」する(上記ハ)ことにより、「リップ32の外面には、モール9に沿って延びる溝38が形成され」「溝38が樋としての働きをなす」ものである(上記チ)から、本願第1考案の「基体部の表面側突出部には、周壁面に向けて外側リップが延出され、前記隙間に前記支持脚を嵌込んで装着したときに、前記外側リップは、前記周壁面に弾接するとともに車外側に屈曲されかつ前記支持脚の前記周壁面側の側面及び前記基体部の表面と協働して横断面凹状の排水溝を形成」することに相当する構成が開示されている。
また、刊行物1の「もう1つの下リップ17」は「基部30の下部から突出し」、「その中間部がフランジ部4に、その先端部が立壁面8に圧接している」(上記ヘ)から、本願考案の「周壁面に向けて内側リップが延出され、前記装着時において、前記内側リップは前記周壁面に弾接して車外側に屈曲され」ることに相当する。
さらに、上記刊行物1の「ブリッジ42」の構成により、基部30の側面からリップ32の先端までの距離寸法に比べ、ブリッジ42の端部からリップ32の先端までの長さ寸法が基部30からブリッジ42の端部に相当する分だけ短くなっているものといいうる。
したがって、本願第1考案と、刊行物1記載の考案の一致点と相違点は以下のとおりと認められる。
<一致点>
車体パネルの窓開口部の周壁面と前記窓開部に組付けられるウインドガラス周縁との間の隙間に嵌込まれる支持脚と、
前記支持脚の車外側端部から前記ウインドガラスの表面に張出された装飾リップと、
前記支持脚の車内側端部から前記ウインドガラスの背面に向けて突出され該背面に係合する係止片と、を備え、
前記窓開口部の周壁面に対向する前記支持脚の側面の車外側端部から所定距離だけ離れた位置には中空断面の基体部が前記周壁面に向けて突出され、
前記基体部には、前記周壁面に向けて外側リップが延出され、
前記隙間に前記支持脚を嵌込んで装着したときに、前記外側リップは、前記周壁面に弾接するとともに車外側に屈曲されかつ前記支持脚の前記周壁面側の側面及び前記基体部の表面と協働して横断面凹状の排水溝を形成し、
前記周壁面に向けて内側リップが延出され、前記装着時において、前記内側リップは前記周壁面に弾接して車外側に屈曲され、
前記支持脚の側面から前記外側リップ先端までの距離寸法に比べ、前記中空断面の基体部の表面側突出部から前記外側リップ先端までの長さ寸法が前記基体部の突出量に相当する分だけそれぞれ短く形成されている車両用ウインドモールディング。
<相違点1>
本願第1考案の基体部は、背面側突出部を備え、この背面側突出部から内側リップが延出されているため、中空断面の基体部の背面側突出部から前記内側リップ先端までの長さ寸法が、支持脚の側面から内側リップ先端までの距離寸法に比べ、基体部の突出量に相当する分だけ短く形成されているのに対し、刊行物1記載の考案では基体部を構成するブリッジ42の端部が基部30の下部に連結されているため、背面側突出部に相当する構成を備えているとはいえず、下リップ17(内側リップに対応)先端までの距離寸法は基部30の側面からの長さとなっている点。
<相違点2>
本願第1考案では、外側リップ及び内側リップの寸法を短く形成することで、外側リップ及び内側リップの車外方向への捲れ上がり変形を防止するものであるのに対し、刊行物1記載の考案では、この点について言及が無い点。

(二)相違点についての検討
(1)<相違点1>について
中空断面の基体部の形状については、その形状をいかなる形状とするかは当業者であれば適宜選択しうる設計事項といい得るし、しかも、刊行物2には、中空断面の基体部に相当する部分の形状を断面コ字状とすることにより、その背面側も他方の側壁部9から所定距離だけ離れて構成されているものが記載されている。
したがって、刊行物1記載の考案において、ブリッジ42の端部を基部30の下部に連結することで中空断面の基体部を構成することに変えて、ブリッジ42の端部を基部30から所定距離だけ離れた位置とすることにより中空断面の基体部を構成すること、つまり、基体部の背面側にも支持脚から所定距離だけ離れた突出する部分を設けるようなことは、刊行物2に記載の技術を参考に、当業者であればきわめて容易に想到し得たものである。そして、かかる構成を採れば、もう1つの下リップ17の寸法が実質的に短くなるということは、当業者には明らかである。

(2)<相違点2>について
ウインドモールディングにおいて、弾性材からなるリップの長さを短くすれば、その特性上リップの変形に対する抗力が増加し、リップの捲れ上がりを防止しうることは当業者には自明の事項である。
そして、刊行物1記載の考案では、そのリップ32(本願第1考案の外側リップに相当)の寸法は、ブリッジ42のないものに比べて実質的に短くなっているし、また、もう1つの下リップ17(本願第1考案の内側リップに相当)の寸法を実質的に短くすることがきわめて容易に想到できることは上記「1.(二)(1)」で説示のとおりである。
したがって、外側リップの捲れ上がり変形を防止するものである点は、刊行物1記載の考案に実質的に開示されていたといえるし、内側リップの捲れ上がり変形を防止するものである点は、内側リップの構成の変更に伴う付随的なものであり、当業者であれば刊行物1記載の考案に基づききわめて容易に想到できたものであるといえる。
なお、本願第1考案の効果は、上記刊行物1,2に記載されたものより当業者が予測することができる程度のものであるといえる。

2.本願第2考案について
本願第2考案は、本願第1考案の「内外の両リップ」について、「装着前の自由状態において装着時の屈曲方向とは逆方向にそれぞれ湾曲されている」という構成を付加するものである。
しかしながら、ウインドモールディングのリップが自由状態において装着時の屈曲方向とは逆方向に湾曲されている構成は、上記刊行物1に記載されている(刊行物1に関する記載ト、参照)。
そして、本願第2考案の効果は、上記刊行物1,2に記載されたものより当業者が予測することができる程度のものである。

四.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1,2に係る考案は、上記刊行物1,2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
審理終結日 2003-01-22 
結審通知日 2003-01-28 
審決日 2003-02-26 
出願番号 実願平4-63602 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B60J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 康史石原 正博水野 治彦  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 尾崎 和寛
鈴木 久雄
考案の名称 車両用ウインドモールディング  
代理人 池田 敏行  
代理人 岡田 英彦  
代理人 池田 敏行  
代理人 岡田 英彦  
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