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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) H01M
管理番号 1075010
判定請求番号 判定2002-60089  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2003-05-30 
種別 判定 
判定請求日 2002-10-11 
確定日 2003-04-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第1962813号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「筒形アルカリ電池」は、登録第1962813号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 1.請求の趣旨
本件判定請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示す「筒形アルカリ電池」(以下、「イ号物件」という。)は、実用新案登録第1962813号考案(以下、「本件考案」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めたものである。

2.本件考案
本件考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項に記載された次のとおりのものと認める。
「(A)発電要素を収納した電池缶の開口部を絶縁パッキングと端子板とを組合わせて封口してなる筒形素電池の外周面に外装フィルム材を被包し、(B)また前記端子板が外周立上がり部と中央端子部の間に環状凹部を有する形式の筒形アルカリ電池において、(C)筒状の絶縁部材を前記環状凹部に嵌め込み、(D)またこの絶縁部材の外周側端部に形成した突片を、電池缶開口部とこの開口部を被覆する前記外装フィルム材との間に介在させたことを特徴とする筒形アルカリ電池。」(なお、上記(A)?(D)は構成を分説するために付した記号である。)

3.イ号物件について

イ号物件の構成は、平成15年3月11日に行われた第1回口頭審理において、調書に記載された以下のとおりのものと特定されることが、当事者双方に確認された。
「イ号物件の構成を、平成15年1月9日付け答弁書第7頁第23行?第8頁16行「(3)イ号物件の詳細」に記載されたとおり特定する。ただし、次の部分を除く。
(1) 答弁書第8頁第3行?第4行「スカート部6dの円周上の四等分点位置には、ガス抜き孔10が設けられている。」
(2) 同書第8頁第13行「0.44mmの」」

よって、イ号物件は、上記答弁書に添付された別紙図面1に記載された符号を用い、次のとおりのものと認める。

「(a)(a-1)筒形アルカリ電池であって、上端が開口した有底円筒状の電池缶1の内部に発電要素が充填されている。
(a-2)電池缶1の上端開口部は、絶縁パッキング7と端子板6とを組合わせて封口してなる素電池の外周面に、熱収縮性の外装フィルム材8が被包されている。
(b)端子板6は、中央端子部6aと、断面円弧状の外周立上がり部6cとの間に、上端が中央端子部6aに連なる下すぼまりテーパー状のスカート部6dを含む環状凹部6bが形成されている。
(c)(c-1)端子板6の中央端子部6aの外周には、合成樹脂製の絶縁部材9を備えている。この絶縁部材9は、筒状の本体9aと、筒状本体9aの上端外周に形成した薄肉円盤状の突片9bとからなる。
(c-2)筒状本体9aの内周面には小突起11が環状に設けられている。筒状本体9aは、端子板6のスカート部6dの外周に圧入嵌合され、絶縁部材9の全体が端子板6に抜け止め状に保持されている。その際に、前記小突起11が前記スカート部6dの外周面に密着している。
(c-3)絶縁部材9を嵌合装着した状態において、筒状本体9aの外周面は、電池缶1の缶端部1aに対して隙間部分Gを有して内方に離れている。
(d)(d-1)絶縁部材9の突片9bは、電池缶1のカール部1bと外装フィルム材8の端部との間に挟持され、
(d-2)外装フィルム材8が破れて電池缶面が露出するのを防止するとともに、
(d-3)前記隙間部分Gの外側上面を被覆している。」
(なお、上記(a)?(d)、(a-1)?(d-3)は構成を分説するために付した記号である。)

4.対比・判断

本件考案とイ号物件とを、以下、構成(A)?(D)に分節して対比する。
(1)構成(A)について
イ号物件の(a-1)「上端が開口した有底円筒状の電池缶1」であって、「内部に発電要素が充填されている。」ものは、本件考案の構成(A)の「発電要素を収納した電池缶」に相当し、イ号物件の(a-2)「電池缶1の上端開口部は、絶縁パッキング7と端子板6とを組合わせて封口してなる素電池の外周面に、熱収縮性の外装フィルム材8が被包されている。」は、本件考案の構成(A)の「電池缶の開口部を絶縁パッキングと端子板とを組合わせて封口してなる筒形素電池の外周面に外装フィルム材を被包し」に相当する。
よって、イ号物件の構成(a)は、本件特許発明の構成(A)を充足する。

(2)構成(B)について
本件の図面に示された環状凹部6bは、下すぼまりテーパー上のスカート部を含むものではないが、本件考案の環状凹部は図面に記載されたものに限定されないから、イ号物件の「端子板6」、「中央端子部6a」、「断面円弧状の外周立上がり部6c」、及び「上端が中央端子部6aに連なる下すぼまりテーパー状のスカート部6dを含む環状凹部6b」は、それぞれ、本件考案の構成(B)の「端子板」、「中央端子部」、「外周立ち上がり部」、及び「環状凹部」に相当する。
よって、イ号物件の構成(b)は、本件考案の構成(B)を充足する。

(3)構成(C)について
請求人は、本件考案の構成(C)における「筒状の絶縁部材」について、公知文献等の検討の結果から、この「筒状の絶縁部材」を、「絶縁部材9の筒状本体9a」と限定して解釈することはできず、「筒状の本体9aとその外周側端部に形成した突片9bとを含む概念」と解釈するべきであるとし(口頭審理陳述要領書第2頁第18?21行)、同構成(C)における「嵌め込み」とは、「嵌めて入れる」ことであって、「入れる」という文言に重点が置かれ、筒状の絶縁部材を前記環状凹部に入れることに力点が入れられた表現であるから、「嵌め」は、筒状の絶縁部材が何らかの手段で嵌められていればよいという程度の意味であるとし(判定請求書第6頁第1?16行)、上記のような解釈は、本件考案の明細書の考案の詳細な説明及び図面の記載内容に何ら矛盾を生じさせないところ、イ号物件の筒状の本体9aと薄肉円盤状の突片9bとからなる概ね筒状の絶縁部材9も(c-1)、その筒状の本体9aを端子板6のスカート部6dの外周面に抜け止め状に圧入嵌合され(c-2)、端子板6の環状凹部6bに入れられているから、イ号物件の構成(c)は、本件考案の構成(C)を充足すると主張している。
一方、被請求人は、本件考案の構成(C)における「筒状の絶縁部材」は、公知技術との関連、及び本件考案明細書の詳細な説明及び図面の記載から、「筒状の本体9a」と解するべきであって、本件考案では、筒状の本体9aを環状凹部に嵌め込み、電池缶端部と端子板との隙間を埋めることによって電池缶開口部と端子板の間のショートを防止する作用を奏するのに対し、イ号物件の筒状の本体9aは、端子板6のスカート部6dの外周に圧入嵌合されてはいるものの、その外周面が電池缶1の缶端部1aに対して隙間部分Gを有して内方に離れており(c-3)、筒状の本体9aのみで電池缶端部と端子板との隙間を埋めるものではないから、筒状の本体9aが環状凹部に嵌め込まれているとはいえず、イ号物件の構成(c)は、本件考案の構成(C)を充足しないと主張している。

実際、実用新案登録請求の範囲の請求項に記載された「筒状の絶縁部材」は、筒状である本体9aのみを指すともいえるし、筒状の本体9aとその外周側端部に形成した突片9bとを含み、全体として概ね筒状である絶縁部材9を指すともいえる。また、「この絶縁部材の外周側端部に形成した突片」は、「この筒状の本体9aの外周側端部に形成した突片9b」を表すともいえるし、「この全体として概ね筒状の絶縁部材9の一部として筒状の本体9aの外周側端部に形成された突片9b」を表すともいえる。つまり、請求項の記載によっては、「筒状の絶縁部材」に関する請求人、被請求人のいずれの主張を受け入れるべきか明確でない。

そのような場合、考案の構成は、明細書及び図面の記載全体を斟酌して把握されるべきであるから、以下に検討する。

明細書の考案の詳細な説明の考案が解決しようとする課題の欄には、下記の記載がある。
ア.「<考案が解決しようとする課題>
しかしながら、上記の外装フィルム材を用いた電池では、この外装フィルム材の強度が比較的弱いことから、例えば、この電池を電気機器の電池収納ケースに入れる際、電池取出し用のスプリング端子の先端が電池缶開口部と端子板の隙間に侵入し、この際電池缶開口部を被包するフィルム材が破られ、また破れた面から露出した電池缶表面と負極端子板とがこのスプリング端子等を介して接続し、電池が外部ショートを起こしてしまうといった問題がある。
この様な外部ショートをなくすため、電池缶開口部の外周部分を被包するような合成樹脂等で作った筒状の絶縁ケースを装着することも提案されているが、このような絶縁ケースは、肉厚が厚すぎれば電池外径が規格を外れ更には電池の外観性を損ねる等の虞があるから、その厚さは0.1mm程度以下に制限され、このため変形し易く、割れ易く、電池に装着する際の作業性が悪い等の不都合があり、余り実用的でない。
この考案は、この種の不都合なく、上記の如き外部短絡を確実に防止し得る筒形アルカリ電池を提供することを目的とする。」

また、同じく作用の欄には、下記の記載がある。
イ.「<作用>端子板の環状凹部に上記絶縁部材を嵌込ことで、電池缶端部と端子板との隙間が埋められ、この隙間へのスプリング端子等の侵入が阻止できる。またこの絶縁部材の上記突片により電池缶開口部のカール部分が確実に絶縁され、更にこの開口端部の外装フィルム材が破れても電池缶面が露出することはなくなる。この結果、電池缶外面と負極端子板とが上記のスプリング端子等を介してショートすることを確実に防ぐことができるようになる。
更に、この絶縁部材は電池缶端部と端子板との隙間程度の肉厚(約1mm)で作られるので丈夫であり、また電池缶開口部封口後の適当な工程でこの隙間に嵌込むことで簡単に装着できるため、前記絶縁ケースを用いた場合のように不都合は生じない。」

同じく実施例には下記の記載がある。
ウ.「<実施例>・・・
一方、電池缶開口部には、・・・絶縁部材9が設けられている。この絶縁部材9は、第2図A,Bの通り、筒状の本体9aと薄肉円盤状の突片9bを有して構成される。
このうち、本体9aは、端子板6の中央端子部6aの外径程度の寸法の内径Φ1(例えばLR03タイプでは約6mm)と、電池缶開口部のカール端における内径程度の寸法の外径Φ2(同じく約7.4mm)をそれぞれ有してなる肉厚0.7mm程度のもので、上記環状凹部6bに嵌込まれる。
一方、突片9bは、本体9aの図中上部の電池外面側の外周端から外周方向に延在する、厚さが0.1mm程度のもので、電池缶開口部の外径より小さな寸法の外径Φ3(LR03タイプでは約10mm)を有し、またその外側部分は、電池缶開口部のカール部外面とこの外面に装着された外装フィルム8との間に介在している。・・・」

エ.本件考案の図面の第1図は、実施例の電池の断面図であり、筒状の本体9aが、端子板6と電池缶1の開口部のカール端に当接して電池缶端部と端子板との隙間を埋めるとともに、突片9bが、本体9aの電池外面側の外周端、すなわち、電池缶1の開口部のカール端上部から外周方向に向かって電池缶1と外装フィルム材8との間に介在していることが示されている。同じく第2図A,Bは、それぞれ、この電池に使用する絶縁部材の断面図、及び平面図であり、筒状の本体9aが、Φ2とΦ1との差分の隙間を埋める肉厚を有することが示されている。

上記の考案の解決しようとする課題の記載アからは、外装フィルム材を用いた電池においては、スプリング端子等が電池缶開口部と端子板の隙間に侵入して電池開口部を被包するフィルム材が破られ、破れた面から露出した電池缶表面と負極端子とがこのスプリング端子を介してショートする問題があり、そのため、電池缶開口部の外周部分を被包するような筒状の絶縁ケースが提案されたが、その肉厚は0.1mm以下に制限されることから、変形や割れが生じやすく、また、電池に装着する際の作業性が悪いものであったことが理解できる。
また、上記の作用の記載イによると、端子板の環状凹部に本件考案の絶縁部材を嵌込むことで、電池缶端部と端子板との隙間が埋められ、この隙間へのスプリング端子等の侵入が阻止でき、また、この絶縁部材は電池缶端部と端子板との隙間程度の肉厚(約1mm)であるため、丈夫であり、また、簡単に装着できるので、従来の絶縁ケースを用いた場合のような不都合が生じないことが分かる。
さらに、上記の実施例の記載ウ、及び図面の記載エからは、LR03タイプの筒形電池の場合、電池缶端部と端子板との隙間は、端子板6の中央端子部6aの外径約6mm(半径3mm)から電池缶開口部のカール端の内径約7.4mm(半径3.7mm)に至る幅0.7mm(3mmと3.7mmの差)の円弧状の部分であり、環状凹部6bに嵌込まれる筒状の本体9aの肉厚は0.7mm程度であること、すなわち、実施例に記載された絶縁部材は、環状凹部に嵌め込むことによって、筒状の本体9aこれ単独で電池缶端部と端子板との隙間をその肉厚0.7mm程度を以て埋めているものであり、本体9aの電池外面側の外周端から外周方向に延在する厚さ0.1mmの突片9bは、上記隙間の上には存在しないものであることが分かる。

ここで、「嵌め込む」の通常意味するところについて考察すると、「嵌め込む」とは、「はめて入れる」ことであり、「はめる(嵌める)」とは、「くぼんだ所におとし入れて身動きならないようにする。くぼみに入れて固定する。ある形のものにぴったり入れる、またはかぶせる。」という意味である(「広辞苑」より)。そうすると、本件考案の構成(C)は、「筒状の絶縁部材を前記環状凹部に入れて固定する」ことであると解することができる。
そこで、本件考案の構成(C)における「筒状の絶縁部材」を、請求人が主張するように、「筒状の本体9aとその外周側端部に形成した突片9bとを含む概念」であるとすると、「突片9b」は、「環状凹部」に入れられるものではなく、電池缶端部と端子板との隙間のより缶端部に近い側の上面に置かれるものであることが、請求人の主張及び明細書及び図面の記載から明らかであるから、突片9bを含む概念である「筒状の絶縁部体9」を、通常の意味で「環状凹部に嵌め込む」ものとすることはできない。
また、本件考案における「嵌め込む」の意味を、「突片9b」までも「環状凹部」に入れることを要せず、絶縁部材9の一部である筒状の本体9aを環状凹部にはめて入れればよいものと解したとしても、突片9bが上記隙間のより缶端部に近い隙間部分の上面に置かれるだけでは、その隙間部分にスプリング端子等が侵入してくると、従来例の絶縁ケース(ア「・・・その厚さは0.1mm程度以下・・・」)と同程度に薄い突片9b(ウ「・・・厚さが0.1mm程度・・・」)は容易に変形したり、割れたりしたりしてスプリング端子等の侵入を容易に許し、スプリング端子等とのショートをより防がなくてはならない缶端部に近い側で、従来例の絶縁ケースに優る作用効果が得られなくなると認められるし、筒状の本体9aの肉厚が、電池缶端部と端子板との隙間の幅より小さな寸法となる場合に、例えばイ号物件における筒状の本体9a内面の小突起11と下すぼまりテーパー状のスカート部による圧入嵌合のような抜け止め機構を有するとは限らない本件考案においては、絶縁部材9の上記隙間に対する位置決めが困難なため、電池への装着作業が効率の悪いものにならざるを得ない。
結局、構成(C)における「筒状の絶縁部材」を、「筒状の本体9aとその外周側端部に形成された突片9bとを含む概念」であるとすると、上記のような不具合が生じるから、請求人の主張は考案の詳細な説明に記載された事項と整合し難い不合理なものである。
一方、被請求人が主張するように、本件考案の構成(C)における「筒状の絶縁部材」を、「筒状の本体9a」と解すると、筒状の本体9aそれ自体で環状凹部に身動きならないように入れて固定することができるから、「嵌め込む」の通常の意味において「環状凹部に嵌め込む」ことができるものである。
そして、筒状の本体9aは、電池缶端部と端子板との隙間を、この隙間程度の肉厚である「約1mm」(イ)、または、「・・・LR03タイプでは、・・・0.7mm程度・・・」(ウ)で以て埋めることによって、より缶端部に近い側の隙間も、十分な機械的強度を以てスプリング端子等の侵入を阻止することができ、また、筒状の本体9aが環状凹部に入れられて固定されるから、位置決めが容易で、簡単に装着できるものと認められ、しかも、実施例や第1,2図に記載された態様とも整合するから、明細書及び図面の記載全体からすると、本件考案の構成(C)における「筒状の絶縁部材」を、「筒状の本体9a」と解することが合理的である。

そうすると、本件考案の構成(C)は、「筒状の本体9aを前記環状凹部に嵌め込み」と解されるのに対し、イ号物件の筒状の本体9aは、端子板6の逆テーパー状のスカート部6dの外周部にその小突起を圧入して嵌合するものであって(c-2)、その外周面は電池缶1の缶端部1aに対して隙間部分Gを有して内方に離れており(c-3)、電池缶端部と端子板との隙間を埋めることができず、環状凹部に入れて固定する、すなわち、「嵌め込む」ものであるとはいえない。
よって、イ号物件の構成(c)は、本件考案の構成(C)を充足しない。

(4)構成(D)について
本件考案の構成(D)における「この絶縁部材」は、構成(C)における「筒状の絶縁部材」を指すことが、文言上明らかであって、この「筒状の絶縁部材」は、上記4.(3)の検討の結果、「筒状の本体9a」と解されるから、構成(D)の「この絶縁部材の外周側端部に形成した突片」は、「筒状の本体9aの外周端部に形成した突片9b」を指すことが明らかである。
また、構成(D)における「電池缶開口部」は、本件明細書の考案の詳細な説明には、「電池缶開口部と端子板の隙間」(第2欄第16行)や、「電池缶端部と端子板との隙間」(第3欄第23行、第3欄第32?33行)というように電池缶端部と同様の意味で使用されており、また、「電池缶開口部を内側にカールさせ」(第1欄第20?21行、第4欄第7行)、「電池缶開口部のカール端」(第4欄第32行、第5欄第2行)、及び「電池缶開口部のカール部外面」(第4欄第40?41行)なる記載もあるから、「電池缶開口部」は、「電池缶における開口端部のカール部を含む部分」と解される。
そうすると、イ号物件の構成(d-1)における「電池缶1のカール部1b」が、本件考案の構成(D)における「電池缶開口部」に相当することは明らかであり、(d-1)「絶縁部材9の突片9bは、電池缶1のカール部1bと外装フィルム材8の端部との間に挟持され」る点は、本件考案の構成(D)における「筒状の本体の外周側端部に形成した突片を、電池缶開口部とこの開口部を被覆する前記外装フィルム材との間に介在させた」点に相当し、前者の(d-2)「外装フィルム材8が破れて電池缶面が露出するのを防止する」点も、後者の突片9bの奏する作用に相当する(イの記載参照)。
したがって、イ号物件の構成(d)は、(d-1)、(d-2)の点で本件考案の構成(D)を充足する。

以上のとおりであり、イ号物件は、本件考案の構成(C)を充足しない。

5.むすび
したがって、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 イ号図面及びその説明書

1.イ号物件の種類
「ダイナミックアルカリ」と総称する「maxellダイナミックアルカリ乾電池」
2.イ号図面の簡単な説明
イ号図面はイ号物件の構成を発電要素を除去してその要部を示す縦断面図である。
3.詳細な説明
<イ号物件の構成>
(a)(a-1)筒形アルカリ電池であって、上端が開口した有底円筒状の電池缶1の内部に発電要素が充填されている。
(a-2)電池缶1の上端開口部は、絶縁パッキング7と端子板6とを組合わせて封口してなる素電池の外周面に、熱収縮性の外装フィルム材8が被包されている。
(b)端子板6は、中央端子部6aと、断面円弧状の外周立上がり部6cとの間に、上端が中央端子部6aに連なる下すぼまりテーパー状のスカート部6dを含む環状凹部6bが形成されている。
(c)(c-1)端子板6の中央端子部6aの外周には、合成樹脂製の絶縁部材9を備えている。この絶縁部材9は、筒状の本体9aと、筒状本体9aの上端外周に形成した薄肉円盤状の突片9bとからなる。
(c-2)筒状本体9aの内周面には小突起11が環状に設けられている。筒状本体9aは、端子板6のスカート部6dの外周に圧入嵌合され、絶縁部材9の全体が端子板6に抜け止め状に保持されている。その際に、前記小突起11が前記スカート部6dの外周面に密着している。
(c-3)絶縁部材9を嵌合装着した状態において、筒状本体9aの外周面は、電池缶1の缶端部1aに対して隙間部分Gを有して内方に離れている。
(d)(d-1)絶縁部材9の突片9bは、電池缶1のカール部1bと外装フィルム材8の端部との間に挟持され、
(d-2)外装フィルム材8が破れて電池缶面が露出するのを防止するとともに、
(d-3)前記隙間部分Gの外側上面を被覆している。


判定日 2003-03-27 
出願番号 実願昭63-106395 
審決分類 U 1 2・ 1- ZB (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳴井 義夫  
特許庁審判長 松本 悟
特許庁審判官 吉水 純子
酒井 美知子
登録日 1993-04-23 
登録番号 実用新案登録第1962813号(U1962813) 
考案の名称 筒形アルカリ電池  
代理人 一色 健輔  
代理人 原島 典孝  
代理人 黒川 恵  
代理人 折寄 武士  
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