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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 無効としない B65B 審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効としない B65B 審判 全部無効 1項1号公知 無効としない B65B 審判 全部無効 1項2号公然実施 無効としない B65B |
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管理番号 | 1078066 |
審判番号 | 審判1998-35328 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2003-07-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-07-17 |
確定日 | 2002-03-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2102350号の実用新案登録無効審判事件についてされた平成11年 9月30日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成11(行ケ)年第0387号平成13年 2月 7日判決言渡)があったので、さらに併合の審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件登録第2102350号実用新案は、昭和62年6月12日に実用新案登録出願され、平成4年12月2日に出願公告がなされ、平成7年8月17日に実用新案登録の設定登録がなされ、平成8年6月18日に請求人四国化工機株式会社より無効審判が請求され、平成8年審判第8907号(以下、「無効審判1」という。)として審理が行われ、平成9年3月27日付けで請求は成り立たないとの審決がなされ、東京高等裁判所に出訴がなされたが、平成10年7月21日には、同請求人より新たな無効審判が請求され、平成10年審判第35328号(以下、「無効審判2」という。)として審理が行われた。 そして、出訴された無効審判1に対して、平成10年10月28日に、東京高等裁判所により無効審判1の審決取消の判決言渡がなされ、その上告期間中に訂正審判(以下、「訂正審判1」という。)が請求されたが取り下げられ、無効審判2の審理において、平成11年3月9日付けで無効理由が通知され、平成11年4月27日付けで訂正請求がなされ、平成11年11月9月30日付けで無効審判2の請求は成り立たないとの審決がなされた。 その後、無効審判2の審決に対して東京高等裁判所に出訴がなされ、無効審判1に対しては、無効審判2における東京高等裁判所の判断を待つとの理由で審理手続が中止されたが、平成13年2月7日に東京高等裁判所により無効審判2の審決を取り消すとの判決言渡がなされ、その上告期間中に訂正審判(訂正2001-39042、以下、「訂正審判2」という。)が請求され、平成13年6月6日付けで訂正を認めるとの審決がなされ、審理手続が中止されていた無効審判1の手続中止を解除して、無効審判1と無効審判2の両無効審判の併合通知が平成13年8月24日になされ、平成13年10月30日に口頭審理が行われたものである。 なお、平成11年4月27日付け訂正請求は、平成13年12月10日付けで取り下げられた。 2.本件考案 訂正審判2において、登録実用新案登録請求の範囲の訂正を認めるとした審決に対し、請求人は、訂正は認めるべきでないとの主張を行っている(第1回口頭審理調書参照)。その主張は、以下のものである。 主張1(訂正審決は当然無効): 訂正審判2の請求は、無効審判が特許庁に係属しているときに請求されたものであるから違法であり(すなわち、平成5年法律第26号附則第4条第2項により読み替えるものとされる旧実用新案法第39条第1項には、「第37条第1項の審判が特許庁に係属している場合を除き」訂正審判は請求できると規定されており、第37条第1項の審判とは無効審判であるから、無効審判1が手続が中止されているとはいえ特許庁に係属している以上、訂正審判の請求はできないはずというもの。)、かかる違法な請求に基づいてなされた審決には、明白かつ重大な瑕疵があるので、審決は当然無効である。 主張2(登録時の明細書で要旨認定): 訂正審判2の請求は、無効審判が特許庁に係属しているときに請求されたものであるから違法であり、かかる違法な請求に基づく審決が無効であると主張するつもりはないが、無効審判2の審理にあたっては、登録時の明細書で考案の要旨を認定すべきである。 一方、被請求人は、訂正審判2は無効審判2が特許庁に係属していないときに請求されたものであり、無効審判1の審理手続きが中止であるので無効審判1及び無効審判2の何れの無効審理を中断させるものではなく、無効審判の審理が中断されることがないよう導入された法改正の目的を阻害するものではないので、訂正審判2は無効審判が継続中になされたものではないと主張し、さらに、仮に請求人が主張する解釈が適用されると、無効審判が継続して提起された場合は訂正審判を請求する途を閉ざすこととなるので、そうした解釈はすべきではないと主張している。 そこで、上記請求人の主張について検討する。 【主張1について】 本件の場合には、訂正審判2を不適法な請求であると退けても、無効審判1及び無効審判2について成立を認めた審決の後、被請求人は審決取消訴訟を提起し、再度訂正審判を請求することができる。結局、被請求人は訂正審判2と同内容の訂正を行うことができることとなる。 また、特許庁においては、複数の審判請求があるために訂正審判を請求することができない場合には、「複数の無効審判が請求され、併合審理等により同時期に審決ができない場合で、一方の無効審判が審決取消訴訟中であり、他方の無効審判が特許庁に係属しているときは、訂正審判請求は認めない。この場合は、特許庁に係属している他方の無効審判の手続中で、必要な訂正の請求を認めることとする。」(審判便覧「51-09特許無効審判と訂正審判の関連的取扱い」参照)との運用が行われており、明細書及び図面を訂正する機会が、訂正請求により実質的に与えられることになっているのである。 いずれにしても、訂正審判2を不適法な請求であると退けても、被請求人は訂正審判2と同内容の訂正を行うことができるのである。 ところで、訂正審判における特許庁の判断について、その判断に違法性があるときには、特許の無効の審判においてその違法性を主張することができることとなっており、特許法第123条第1項第8号は、訂正審判での特許庁の行った判断について特許の無効審判を請求できる場合は、次の場合であると規定している。 「その特許の願書に添付した明細書又は図面の訂正が第126条第1項ただし書若しくは第2項から第4項まで(・・・・・・)、第120条の4第2項ただし書又は第134条第2項ただし書の規定に違反してなされたとき。」 一方、特許法第126条は、次のように規定されている。 「第126条 特許権者は、特許異議の申立て又は第123条第1項の審判が特許庁に係属している場合を除き、願書に添付した明細書又は図面の訂正をすることについて審判を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。 一 特許請求の範囲の減縮 二 誤記又は誤訳の訂正 三 明りょうでない記載の釈明 2 前項の明細書又は図面の訂正は、・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 すなわち、訂正審判における瑕疵を理由として無効審判の請求をできる場合は、上記下線部で示したように、特許法126条第1項に関しては、「ただし書」の規定に違反する場合のみであって、本文に規定されている「訂正審判の請求時期」については、請求時期に違法性があったとしても、それを理由に無効審判を請求することはできないのである。 更に、既に確定した審決に対して、重大な瑕疵がある場合には、再度審判を請求することができることとなっているが、本件の場合は再審の事由にも該当していない。 以上述べたように、本件においては、たとえ訂正審判2を不適法な請求であると退けたとしても、その後で被請求人は訂正審判2と同内容の訂正を行うことができるものであり、また、訂正審判2の請求が違法であり、これを看過した審決に瑕疵があるとしても、その瑕疵は無効審判の請求をすることができるほどの瑕疵でもなく、再審を請求できるほどの瑕疵でもないのである。そして、仮に訂正内容について違法性があると主張するのであれば、それを理由に無効審判を請求することができるのである。 してみると、訂正審判2の請求が違法であり、これを看過した審決に瑕疵があるとしても、これを明白かつ重大な瑕疵とすることはできないのである。 【主張2について】 主張2においては、請求人は、訂正審判の審決が無効であるとの主張はおこなっていない。 ところで、訂正審判の審決に関して、実用新案法第41条第1項で準用する特許法第128条には「願書に添付した明細書又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書又は図面により特許出願、出願公告、出願公開、特許をすべき旨の査定または審決及び特許権の設定の登録がされたものとみなす。」と規定されている。そして訂正審判の審決が確定した場合、この訂正を採用せずに考案の認定をすることができる場合があるとの明文の規定はない。してみると、確定した訂正審決が存在し、そして、それが無効でない以上、当該主張は、何ら法律上の根拠に基づかない主張であり、失当である。 以上のことから、仮に訂正審判2の請求に違法性があるとしても、訂正審判2の審決が当然無効であるとは認められず、また、登録時の明細書で考案の要旨を認定すべきであるとも認められないので、本件考案は、訂正審判2が容認した訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された、以下の考案と認める。 「プラスチックコートされたロール状の包装材料ウエブから、充填され且つ密封された包装物を製造するための包装機において、下部方向へ進行する予め一対の長手方向縁部3a,3bが間隔をおいて相互に重なるごとく筒状に形成された包装材料ウエブ3の未溶着状態の長手方向縁部3a,3bを溶着するための予熱装置Aであって、前記筒状の包装材料ウエブ3の進行路に臨んで、該包装材料ウエブ3の長手方向に所定距離の間設けられた加熱空気ノズル5と、筒状に形成された該材料ウエブ3の外側の長手方向縁部3aを位置規制して該長手方向縁部3aの内面を前記加熱空気ノズル5の空気吹出面5aに対面せしめるように軸線を該吹出面5aに平行に上下方向に配置された複数個のガイドローラ6a,6b,・・・と、前記筒状に形成された材料ウエブ3の内側の長手方向縁部3bを前記加熱空気ノズル5を挟んで前記ガイドローラ6a,6b,・・・の反対側で支持するための複数個の小径ガイドローラ7a,7b,・・・とを設け、予め筒状に長手方向縁部3a,3bが喰違って離間している材料ウエブ3はやがて内側の長手方向縁部3bが外側の長手方向縁部3aに近づくように下降すべく前記複数個の小径ガイドローラ7a,7b,・・・が、その軸線が前記筒状の包装材料ウエブ3の進行方向に従い、該小径ガイドローラ7a,7b,・・・の先端部が、前記ガイドローラ6a,6b,・・・の側に順次接近するごとく傾斜して配設され、前記加熱空気ノズル5は、少くとも、最下端の小径ガイドローラの上方位置において、前記吹出面5aの反対側に、前記筒状の包装材料ウエブ3の内側の長手方向縁部3bの外側端に臨むごとく、空気吹出孔8を設けたことを特徴とする包装機における包装材料ウエブの長手方向縁部の溶着予熱装置。」 3.請求人の主張する無効理由及び当審が通知した無効理由の概要 無効審判1及び無効審判2の請求時に請求人が主張していた無効の理由は、以下に示すものである。なお、無効審判2において通知された平成11年3月12日付けの無効理由は、無効審判1の無効理由1である。 なお、訂正審判2によって訂正された実用新案登録請求の範囲に記載された考案に対し、請求人らからは、「予備的主張はせず。」との返答があり、更なる無効理由の主張はされていない。 【無効理由1(無効審判1)】 本件登録実用新案は、長崎県経済農業組合連合会が昭和54年7月に大村果汁工場に導入した「テトラブリックAB3」の包装機と、実開昭54-36671号マイクロフィルム、特開昭60-228133号公報等に記載された包装材料ウェブのガイドローラによる案内機構とに基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。 【無効理由2(無効審判1)】 本件登録実用新案は、雪印乳業株式会社が昭和62年2月21日に神戸工場に導入した「AB9型」の包装機の溶着予熱装置で用いられた考案である。 【無効理由3(無効審判2)】 本件登録実用新案は、雪印乳業株式会社が昭和62年2月23日に厚木工場に導入した「AB9型」の包装機の溶着予熱装置で用いられた考案である。 【無効理由4(無効審判2)】 本件登録実用新案は、「AB9型」の包装機の溶着予熱装置のスペアパーツカタログに記載された考案である。 【無効理由5(無効審判2)】 本件登録実用新案は、雪印乳業厚木工場に設置されていた充填機UP-FUJ1101号機の縦シールヒータを、請求人が昭和62年5月18日に修理、改造する際に用いられた考案である。 4.当審の判断 訂正により、実用新案登録請求の範囲第2項乃至4項が削除され、実用新案登録請求の範囲第1項については、小径ガイドローラの構成を「予め筒状に長手方向縁部3a,3bが喰違って離間している材料ウエブ3はやがて内側の長手方向縁部3bが外側の長手方向縁部3aに近づくように下降すべく前記複数個の小径ガイドローラ7a,7b,…が配設されている」との構成のとおり限定し、かつ、小径ガイドローラの軸線の構成を「その軸線が前記筒状の包装材料ウエブ3の進行方向に従い、該小径ガイドローラ7a,7b,…の先端部が、前記ガイドローラ6a,6b,…の側に順次接近するごとく傾斜して配設され、」との構成のとおり限定し、さらに、加熱空気ノズル5の構成を「前記加熱空気ノズル5は、少くとも、最下端の小径ガイドローラの上方位置において、前記吹出面5aの反対側に、前記筒状の包装材料ウエブ3の内側の長手方向縁部3bの外側端に臨むごとく、空気吹出孔8を設けた」との構成のとおり限定し、小径ガイドローラ、小径ガイドローラの軸線及び加熱空気ノズルの構成を実用新案登録請求の範囲の第2項ないし第4項に記載されていた実施態様の構成に限定されることとなった。 この訂正により限定された構成については、請求人らは何らの主張もしていないが、上記無効理由で主張する何れの証拠をみても、訂正により限定された構成は記載されておらず、また、この点が、それらの何れの証拠からも当業者がきわめて容易に考案できたものとも認められない。 5.むすび 以上のとおりであるから、請求人らの主張及び証拠方法によっては、本件登録実用新案を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法169条第2項の規定がさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、無効審判請求人らが負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-09-01 |
結審通知日 | 1999-09-14 |
審決日 | 1999-09-30 |
出願番号 | 実願昭62-90687 |
審決分類 |
U
1
112・
111-
Y
(B65B)
U 1 112・ 112- Y (B65B) U 1 112・ 113- Y (B65B) U 1 112・ 121- Y (B65B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 桜井 義宏、蓮井 雅之 |
特許庁審判長 |
吉国 信雄 |
特許庁審判官 |
鈴木 美知子 小林 武 杉原 進 市野 要助 |
登録日 | 1996-02-09 |
登録番号 | 実用新案登録第2102350号(U2102350) |
考案の名称 | 包装機における包装材料ウエブの長手方向縁部の溶着予熱装置 |
代理人 | 田中 義敏 |
代理人 | 廣田 雅紀 |
復代理人 | 日野 修男 |
代理人 | 清水 正三 |
代理人 | 岸本 瑛之助 |
復代理人 | 日野 修男 |
代理人 | 久世 勝之 |
代理人 | 清水 正三 |
代理人 | 久田原 昭夫 |
代理人 | 土井 育郎 |