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審決分類 審判    A47G
管理番号 1088175
審判番号 無効2003-40009  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-05-08 
確定日 2003-11-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第3083901号実用新案「植木鉢用スタンド」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3083901号の請求項1ないし4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件登録第3083901号実用新案の請求項1ないし4に係る考案(平成13年8月6日出願、平成13年11月21日設定登録。)は、登録明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認められる。
【請求項1】に係る考案
上下に離間して配設された大小1組の環状枠と、この環状枠を上下の両端部で連結する複数の縦桟とを備えてなる植木鉢用スタンドであって、小径の環状枠を上方にした場合に、小径の環状枠に接合される縦桟の端部を当該小径の環状枠の内側に折り曲げ、その折り曲げ部の上面と小径の環状枠の下面とを当接させた状態で接合固定するとともに、大径の環状枠に接合される縦桟の端部を当該大径の環状枠の外側に折り曲げ、その折り曲げ部の下面と大径の環状枠の上面とを当接させた状態で接合固定したことを特徴とする植木鉢用スタンド。(以下、「本件考案1」という。)
【請求項2】に係る考案
環状枠と縦桟を金属性線材で形成し、環状枠と縦桟の接合部分を溶接により接合固定したことを特徴とする請求項1に記載の植木鉢用スタンド。(以下、「本件考案2」という。)
【請求項3】に係る考案
小径の環状枠に接合固定した縦桟の折り曲げ先端部を小径の環状枠の内径より外側に位置させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の植木鉢用スタンド。(以下、「本件考案3」という。)
【請求項4】に係る考案
植木鉢用スタンドの外周面に化粧層を形成してなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の植木鉢用スタンド。(以下、「本件考案4」という。)
なお、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の【請求項2】には「金属線状」と記載されているが、これは、同明細書の段落【0008】の「大小1組の環状枠2・3は、鉄等の金属性線材で円形の環状に形成されている。また、上記3本の縦桟4・4・4は、上記環状枠2・3と略同様の鉄等の金属性線材で直線状に形成されており」なる記載を参酌すれば、「金属性線材」の誤記と認められるため、本件考案2を上記のように認定した。

2.請求人の主張
これに対して、請求人は、本件考案1ないし4の実用新案登録を無効とする、との審決を求め、その理由として、本件考案1ないし4は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第4号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである旨主張している。

3.被請求人の主張
一方、被請求人は、請求人が挙げた甲第1号証ないし甲第4号証には本件考案1ないし4の特徴構成並びに作用効果の記載が無くこれを想到させる記載も無い以上、本件考案1ないし4が上記各証拠からきわめて容易に考案をすることができたものとはいえず、本件実用新案登録無効審判の請求は成り立たない旨主張している。

4.甲各号証
(1)甲第1号証(登録実用新案第3040428号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「この考案は、草花などを植えた植木鉢を嵌めて支持する植木鉢用のラックに関するものである。」(第4頁第4?5行)
・「植木鉢用のラック1は、上部環2および下部環3と、4本など複数の側部柱4とを備えている。前記上部環2および下部環3は、金属ロッドを円い輪に曲げ成形し、・・・上部環2の周囲より下部環3の周囲を大きくしてある。・・・また、複数の側部柱4は、・・・それぞれ細長い金属柱によって構成し、上部環4aおよび下部環4bをS字状にそれぞれ湾曲成形させ、上端4cを内側に、下端4dを外側にそれぞれ配置させ、上端4cを上部環2に、下端4dを下部環3にそれぞれ溶接し・・・てある。」(第5頁第5?16行)
・「この考案の植木鉢用のラックは、上部環、下部環および複数の側部柱の外面、すなわち前記ラックの外面全体に塗料を高密度などに塗装し、塗料を所望の色彩にして外観を向上させることができ、また塗料によって錆の発生を防止できる。」(第6頁第10?13行)
・また、図3ないし図5には、小径の上部環2に接合される側部柱4の上端部を当該小径の上部環2の内方に向けてS字状に折り曲げ、その折り曲げ部の先端面と小径の上部環2の下面とを当接させた状態で接合固定するとともに、大径の下部環3に接合される側部柱4の下端部を当該大径の下部環3の外方に向けてS字状に折り曲げ、その折り曲げ部の先端面と大径の下部環3の上面とを当接させた状態で接合固定した植木鉢用のラックの構造が示されている。
上記の記載事項及び図示内容を総合すると、甲第1号証には次の考案(以下、「甲第1号証考案」という。)が記載されていると認められる。
「金属ロッドを円い輪に曲げ成形した小径の上部環と大径の下部環と、この上部環と下部環を上下の両端部で連結する複数の細長い金属柱によって構成した側部柱とを備えてなる植木鉢用のラックであって、小径の上部環を上方にした場合に、小径の上部環に接合される側部柱の端部を当該小径の上部環の内方に向けてS字状に折り曲げ、その折り曲げ部の先端面と小径の上部環の下面とを当接させた状態で溶接により接合固定するとともに、大径の下部環に接合される側部柱の端部を当該大径の下部環の外方に向けてS字状に折り曲げ、その折り曲げ部の先端面と大径の下部環の上面とを当接させた状態で溶接により接合固定し、前記ラックの外面全体を塗料で高密度に塗装してなる植木鉢用のラック。」

(2)甲第2号証(登録実用新案第3038829号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「この考案は、地面に下方のリング状部材を置き、上方のリング状部材に植物が植えられたプランターを載せ、地面から離して植物を飾るフラワースタンドに関する。」(第3頁第4?6行)
・「従来のフラワースタンドは、・・・支柱8の上端は上方の載置部材10の下面に、また支柱8の下端は土台部材12の上面に各々溶接され、支柱8が載置部材10と土台部材12の外側又は内側に突出しないように設けられている。」(第3頁第9行?16行)
・「載置部材10と土台部材12の間には、載置部材10と土台部材12の、各々水平方向等間隔に4本の棒状の支柱14が設けられている。・・・各支柱14の下端部は、L字状に折り曲げられた折り曲げ部15となっている。そして、土台部材12の内側上方から外側にかけて側周面に線接触するように湾曲して取り付けられている。載置部材10、土台部材12、支柱14はいずれも金属製で、接合部は溶接により強固に固定され、そして表面に合成樹脂製の塗装が施されている。」(第5頁第6?12行)
・また、図3には、土台部材12の上面と支柱14のL字状折り曲げ部15の周側面とが接合された構成が示されている。

5.対比・判断
(1)本件考案1について
本件考案1と甲第1号証考案とを比較すると、後者における「小径の上部環と大径の下部環」がその作用・機能からみて前者における「上下に離間して配設された大小1組の環状枠」に相当し、以下同様に、「側部柱」が「縦桟」に、「内方に向けて」が「内側に」に、「外方に向けて」が「外側に」に、「植木鉢用のラック」が「植木鉢用スタンド」に、それぞれ相当している。
したがって、両者は、
「上下に離間して配設された大小1組の環状枠と、この環状枠を上下の両端部で連結する複数の縦桟とを備えてなる植木鉢用スタンドであって、小径の環状枠を上方にした場合に、小径の環状枠に接合される縦桟の端部を当該小径の環状枠の内側に折り曲げ、その折り曲げ部と小径の環状枠の下面とを当接させた状態で接合固定するとともに、大径の環状枠に接合される縦桟の端部を当該大径の環状枠の外側に折り曲げ、その折り曲げ部と大径の環状枠の上面とを当接させた状態で接合固定したことを特徴とする植木鉢用スタンド。」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点A:
小径の環状枠の下面に対する縦桟の折り曲げ部の接合箇所に関し、本件考案1が折り曲げ部の「上面」としているのに対し、甲第1号証考案は折り曲げ部の「先端面」である点。
・相違点B:
大径の環状枠の上面に対する縦桟の折り曲げ部の接合箇所に関し、本件考案1が折り曲げ部の「下面」としているのに対し、甲第1号証考案は折り曲げ部の「先端面」である点。

上記の相違点について以下検討する。
・相違点Aについて
本件考案1において、縦桟の折り曲げ部の上面と小径の環状枠の下面とを当接させた状態で接合固定することの技術的な意義は、登録明細書の段落【0013】の記載によれば、「環状枠と縦桟との接合部分の例えば溶接不良や腐食により外れた場合でも、環状枠は縦桟の折り曲げ部で支えられていることから、スタンドが傾いて鉢が倒れたりするのを防止できる」という効果を生じさせることにあると認められる。
一方、甲第1号証考案は、縦桟の折り曲げ部の先端面と小径の環状枠の下面とを当接させた状態で接合固定する構成ではあるものの、環状枠は縦桟の折り曲げ部の先端面で下方から支えられているため、仮に接合部分が溶接不良や腐食により外れた場合でも、必然的に上記と同様の効果を奏し得るものといえる。
ところで、登録明細書の段落【0012】に記載された「上記公報(注:登録実用新案第3023797号公報)に掲載されたスタンドのように、縦桟の切り端部分が露出することもなく、見栄えを良くするとともに、当該部分に触れても傷つくことがなく、安全性の高いものにすることができるという利点がある。」との効果と、本件考案1の相違点Aに係る構成との因果関係は、必ずしも明確とはいえないが、本件考案1において、スタンドの上方から上記切り端部分が直接見えないことで、見栄えが改善されているとするならば、甲第1号証考案においても、縦桟の折り曲げ部の先端面が環状枠で覆われることになるため、上方から上記折り曲げ部の先端面が直接見えないことで、見栄えが改善されている点は本件考案1と同様である。また、本件考案1においては、縦桟の切り端部分が環状枠の下方位置で内向きに露出しており、持ち運び等の作業時に上記切り端部分への手の接触を回避することができないため、「当該部分に触れても傷つくことがなく、安全性の高いものにすることができる」とは断定できず、安全性に関し、本件考案1が甲第1号証考案に比べて格別優れているとはいえない。
そして、上記甲第2号証には、環状枠(「土台部材12」が相当。)に対する縦桟(「支柱14」が相当。)の折り曲げ部の接合箇所を、L字状の折り曲げ部の周側面とした構成が開示されているところであり、かかる接合構成を、甲第1号証考案における小径の環状枠の下面に対する縦桟の折り曲げ部の接合構成に採用すること自体に格別の困難性は何等認められない。
そうすると、小径の環状枠の下面に対する縦桟の折り曲げ部の接合箇所として、折り曲げ部の「上面」(周側面の内の上面)とするか「先端面」とするかで異なる上記相違点Aは、単なる設計上の相違というべきものであり、当業者が必要に応じて適宜改変し得る程度のものにすぎない。
・相違点Bについて
甲第2号証には、縦桟の折り曲げ部の下面と大径の環状枠の上面が接合される構成が記載されている。
甲第1号証考案及び甲第2号証に記載のものは、いずれも植木鉢用スタンドという同一の技術分野に属するものであるから、甲第1号証考案に、上記甲第2号証に記載の技術を適用して、上記相違点Bに係る本件考案1の構成とする程度のことは、当業者がきわめて容易に想到し得るところである。
そして、本件考案1の全体構成により奏される効果も、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
以上のとおりであるので、本件考案1は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものというべきである。

なお、被請求人は、平成15年9月29日に実施された口頭審理において、本件考案1では、小径の環状枠の下面に対する縦桟の折り曲げ部の接合箇所を折り曲げ部の「上面」としているため、接合部分が溶接不良や腐食により外れ、小径の環状枠が水平方向にずれた場合でも、縦桟の折り曲げ部はある程度の長さがあるので、落下防止ができる旨主張している。この点を検討するに、縦桟の折り曲げ部の長さについては、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の【請求項1】に特定されていない事項ではあるが、甲第1号証考案においても、縦桟の折り曲げ部の先端面がある程度の径を有するため、小径の環状枠が水平方向にずれた場合でも、落下防止ができる点は本件考案1と同様であるから、被請求人の上記主張は採用できない。

(2)本件考案2について
本件考案2は、本件考案1に「環状枠と縦桟を金属性線材で形成し、環状枠と縦桟の接合部分を溶接により接合固定した」構成を更に限定付加したものであるが、かかる限定付加された構成は、甲第1号証考案において、「金属ロッドを円い輪に曲げ成形した」環状枠、「細長い金属柱によって構成した」縦桟、及び、環状枠と縦桟の接合部分を「溶接により」接合固定する構成として実質的に具備されているものである。
したがって、本件考案2も、上記(1)での検討内容を踏まえれば、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものというべきである。

(3)本件考案3について
本件考案3は、本件考案1又は2に「小径の環状枠に接合固定した縦桟の折り曲げ先端部を小径の環状枠の内径より外側に位置させた」構成を更に限定付加したものであって、かかる限定付加された構成の技術的な意義は、登録明細書の段落【0009】の記載によれば、小径の環状枠2に鑑賞用草花10を植栽した鉢11を設置したときに、鉢11が傷つかないようにすることにあると認められる。
ところで、甲第2号証には、縦桟(支柱8)の先端部(上端)は小径の環状枠(上方の載置部材10)の下面に溶接され、縦桟(支柱8)が小径の環状枠(載置部材10)の内径より外側に位置させた(内側に突出しないように設けられた)構成を有する植木鉢用スタンド(フラワースタンド)が開示されており、このものが、小径の環状枠に鉢を設置したときに、鉢が傷つかないようにする効果を有していることは明らかである。
一般に、植木鉢用スタンドにおける鉢の傷つき防止は、当然に追求すべき課題であるから、甲第1号証考案において、該課題の下に、甲第2号証に記載の構成を適用し、縦桟の折り曲げ先端部を小径の環状枠の内径より外側に位置させるように改変することは当業者がきわめて容易になし得るところである。
また、本件考案3の奏する見栄え及び安全性に関する効果も、上記甲第1号証考案及び上記甲第2号証に記載の事項から当業者が予測し得る範囲内の効果にすぎない。
したがって、本件考案3も、上記(1)及び(2)での検討内容を踏まえれば、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものというべきである。

(4)本件考案4について
本件考案4は、本件考案1ないし3に「植木鉢用スタンドの外周面に化粧層を形成してなる」構成を更に限定付加したものであるが、かかる限定付加された構成は、甲第1号証考案において、「ラックの外面全体を塗料で高密度に塗装してなる」構成として実質的に具備されているものである。
そして、かかる限定付加された構成に対する登録明細書の段落【0010】に記載された「美観が高められるだけでなく、潅水や雨水による発錆が防止され、その耐久性が大幅に向上する」という効果は、甲第1号証考案においても同様に奏されることは明らかである。
したがって、本件考案4も、上記(1)ないし(3)での検討内容を踏まえれば、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものというべきである。

6.むすび
したがって、本件考案1ないし4の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、これを無効にすべきものとする。
また、審判費用については、実用新案法第41条の規定により準用する特許法第169条第2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法第61条の規定を適用する。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2003-10-02 
出願番号 実願2001-5155(U2001-5155) 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (A47G)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 石川 好文
藤原 直欣
登録日 2001-11-21 
登録番号 実用新案登録第3083901号(U3083901) 
考案の名称 植木鉢用スタンド  
代理人 杉本 勝徳  
代理人 牛木 護  
代理人 清水 榮松  
代理人 外山 邦昭  
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