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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) A01K
管理番号 1098175
審判番号 無効2000-35279  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-05-25 
確定日 2001-09-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2570549号実用新案「中通し釣竿」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2570549号の請求項1ないし3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件登録第2570549号実用新案の請求項1ないし3に係る考案(平成5年6月19日出願、平成10年2月13日設定登録)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりの、
「【請求項1】 穂先竿を保持する保持竿に振出継合した前記穂先竿の先端部外周に固定され、前記保持竿先端部内径より小径の外径を有した固定管と、
釣糸案内用の内径を有し、前記保持竿の先端部内径より大径の外径を有するトップガイドと、
該トップガイドと前記固定管とに形成されて、互いに螺合するねじ部と
を具備することを特徴とする中通し釣竿。
【請求項2】 前記トップガイドの外郭形状がその最大外径を有する位置まで前方に向って殆ど縮小することの無い略ラッパの形状に形成されてなる請求項1記載の中通し釣竿。
【請求項3】 穂先竿を保持する保持竿に振出継合した前記穂先竿の先端部外周に固定され、前記保持竿先端部内径より小径の外径を有する固定管と、
前記保持竿の先端部内径よりも大径の外径を有するトップガイドと、
該トップガイドの内周に設けられた雌ねじ部と、
前記固定管の外周に設けられ、該雌ねじ部の螺合する雄ねじ部とを具備し、
前記穂先竿はその先端が前記雄ねじ部の領域内にまで至るように前記固定管内に挿入された
ことを特徴とする中通し釣竿。」
である。

2.請求人の主張
請求人は、下記の証拠方法を提示し、本件請求項1ないし3に係る実用新案登録は、次の理由により実用新案法第37条第1項第1号の規定に該当し、無効とされるべきである旨主張する。
(1)本件請求項1ないし3に係る考案は、周知技術(甲第2号証ないし甲第8号証)を考慮すると甲第1号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1ないし3に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)本件請求項1ないし3に係る考案は、甲第1号証及び甲第9号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1ないし3に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。

甲第1号証:米国特許第4541197号明細書
甲第2号証:特開昭56-127032号公報
甲第3号証:実願昭60-78216号(実開昭61-193767号)のマイクロフイルム
甲第4号証:実願昭63-99602号(実開平2-20469号)のマイクロフイルム
甲第5号証:富士工業株式会社のカタログ、 「富士の釣具」’74/75年カタログ
甲第6号証:特開昭50-157185号公報
甲第7号証:実公昭31-13268号公報
甲第8号証:特開平4-117232号公報
甲第9号証:特開昭58-146224号公報

3.被請求人の反論
甲第1号証?甲8号証のいずれにも、本件請求項1及び請求項2に特定した「穂先竿を保持する保持竿に振出継合した穂先竿の先端部外周に固定され、保持竿先端部内径より小径の外径を有した固定管」と「釣糸案内用の内径を有し、保持竿の先端部内径より大径の外径を有するトップガイド」と「トップガイドと固定管とに形成されて、互いに螺合するねじ部」とを具備する中通し釣竿、及び、請求項3に特定した「穂先竿を保持する保持竿に振出継合した穂先竿の先端部外周に固定され、保持竿先端部内径より小径の外径を有した固定管」と「保持竿の先端部内径より大径の外径を有するトップガイド」と「トップガイドの内周に設けられた雌ねじ部」と「固定管の外周に設けられ、雌ねじ部の螺合する雄ねじ部」とを具備する中通し釣竿が、釣糸の摺動抵抗が小さく、穂先竿を保持竿から抜き取って手入れや修理を容易にする中通し釣竿を提供することの記載がなく、しかも、甲各号証の記載に基づいて本件考案がきわめて容易に想到することができたとする起因乃至契機が存在しない。

4.当審の判断
4-1.甲号各証記載の考案
甲第1号証には、「本発明は、釣り竿の技術に関する。特に、本発明は、中空の入れ子式釣竿を開示している。」(1欄6?8行)
「入れ子式ポールセクション36a?36eは、互いの中で及びコネクタ34内で適合する。各セクションは、次に大きいセクションの全長に沿って滑動し、各入れ子式セクションの小さい端部から落ちないように制限されている。図3に示されているように、最小の入れ子式セクション36cにエンドキャップ38が接着されている。これによりこのセクションが次に大きい入れ子式セクション36b内に引込まれないようになっている。」(2欄39?46行)と記載されており、また、図3には、エンドキャップ38は、最小の入れ子式セクション36cの先端から突出した状態で設けられていて、釣糸42を通す内孔(内径)の先端は円弧状に面取りされて形成されている構成が記載されている。
上記記載及び図面の記載によると、甲第1号証には、
最小の入れ子式セクション36cを保持する次に大きい入れ子式セクション36bに振出継合した前記最小の入れ子式セクション36cの先端部外周に固定され、釣糸案内用の内径を有し、前記次に大きい入れ子式セクション36bの先端部内径より大径の外径を有するエンドキャップ38とを具備する中通し釣竿(以下、「甲第1号証の考案」という)が記載されていると認められる。
本件出願前に頒布されたことが明らかな甲第5号証には、カラーガイド「NT」の説明部分に、「・振り出し竿。
・パイプ状の部分がネジ式になっているのでトップの取りはづしが出来る。振り出し竿の穂先の交換が出来、竿の調子が変えられる。」と記載されており、この記載を考慮すると、図面には、穂先の先端部外周に固定される穂先側のパイプ状の部分に雄ねじ部を形成し、トップガイドを有するトップのパイプ状の部分に、雌ねじ部を形成した構成が記載されている。
上記記載によると、同甲号証には、保持竿先端部内径より小径の外径を有する穂先側のパイプ状の部分に雄ねじ部を形成し、この穂先側のパイプ状の部分を穂先の先端部外周に固定するとともに、トップのパイプ状の部分に前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成することにより、穂先側のパイプ状の部分からトップを取り外して振り出し竿の穂先を交換できるようにすることが記載されているといえる。
甲第7号証には、「図面に示すように中通し釣竿の先端に喇叭状接続管2の一端を外装しその喇叭口3の口縁にリング4の外側を嵌め込んでなる中通釣竿用トップガイドの構造。」(登録請求の範囲)と記載されている。
甲第8号証には、「穂先竿1の先端部に釣糸案内環2における内径が内径3.2mmでかつ釣竿先端から釣糸案内環前縁までの長さ10.0mmのラッパ状の釣糸案内筒3を嵌着固定すると共に前記釣糸案内環2の曲率半径を1.0mmに形成したものは、釣糸の捲取り時の釣糸抵抗を著しく軽減すると同時に釣糸繰出し時の釣糸抵抗も低減することができた。」(2頁左下欄12?19行)と記載されている。
甲第9号証には、伸縮自在の釣竿(いわゆる、中通し振出式釣竿)に関し、
「各構成部品の前端は、先端構成部品(4)を除いて取外し自在の鞘(9)の部分(8)により包囲され、鞘の一部分(10)は上記前端を越えて伸びる。
・・・部分(8)の円筒ボアはねじを具備し、リング(11)の対応するねじと協動し、当該構成部品と、例えば接着により、一体とされる。」(2頁左下欄7?16行)、
「竿を完全に分解するには、鞘(9)及び栓(6)をねじにより分離し、構成部品(2)?(4)を前方から後方へと引き出せばよい。」(2頁右下欄19?3頁左上欄1行)と記載されており、Fig.2には、リング(11)の嵌合方向後端が管(1)の先端まで嵌合されている構成が記載されている。
4-2.対比・判断
4-2-1.本件請求項1に係る考案について
本件請求項1に係る考案と甲第1号証の考案とを対比すると、甲第1号証の考案の「最小の入れ子式セクション36c」及び「次に大きい入れ子式セクション36b」が、本件請求項1に係る考案の「穂先竿」及び「保持竿」に相当しており、また、甲第1号証の考案の「エンドキャップ38」は、穂先竿である「最小の入れ子式セクション36c」の先端から突出した状態で設けられていて、釣糸42を通す内孔(内径)の先端は円弧状に面取りされて形成されているから、本件請求項1に係る考案の「トップガイド」に相当しているといえる。
そうすると、本件請求項1に係る考案と甲第1号証の考案は、
穂先竿を保持する保持竿に振出継合した前記穂先竿の先端部に取付けられ、釣糸案内用の内径を有し、前記保持竿の先端部内径より大径の外径を有するトップガイドを具備する中通し釣竿である点で一致し、
(1)本件請求項1に係る考案では、「穂先竿の先端部外周に固定され、前記保持竿先端部内径より小径の外径を有した固定管」と、「トップガイドと前記固定管とに形成されて、互いに螺合するねじ部」とを具備しているのに対し、甲第1号証の考案では、トップガイド(エンドキャップ38)が穂先竿(入れ子式セクション36c)の先端部外周に接着されている点
で構成が相違する。
上記(1)の相違点について検討する。
甲第5号証に記載された「穂先側のパイプ状の部分」、「穂先」及び「トップ」が、本件請求項1に係る考案の「固定管」、「穂先竿」及び「トップガイド」に対応しているから、同甲号証には、振出し竿において、保持竿先端部内径より小径の外径を有する固定管に雄ねじ部を形成し、この固定管を穂先竿の先端部外周に固定するとともに、トップガイドに前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成することにより、穂先竿を交換できるようにすることが記載されている。
すなわち、甲第5号証には、穂先竿の先端部外周に固定され、保持竿先端部内径より小径の外径を有した固定管と、トップガイドと前記固定管とに形成されて、互いに螺合するねじ部とを具備する構成が記載されており、しかも、甲第5号証記載の釣竿は、外通しではあるものの、甲第1号証の考案の釣竿と同じ振出し竿であるから、甲第1号証の考案において、穂先竿が交換できるように、穂先竿の先端部外周に固定され、保持竿先端部内径より小径の外径を有した固定管と、トップガイドと前記固定管とに形成されて、互いに螺合するねじ部とを具備するように構成し、本件請求項1に係る考案のようにすることは当業者ならきわめて容易に想到できることである。
そして、本件請求項1に係る考案が奏する効果は、甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案から予測できる程度のことであって格別顕著なものではない。
したがって、本件請求項1に係る考案は甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
4-2-2.本件請求項2に係る考案について
本件請求項2に係る考案は、本件請求項1に係る考案に「前記トップガイドの外郭形状がその最大外径を有する位置まで前方に向って殆ど縮小することの無い略ラッパの形状に形成されてなる」構成要件を付加するものであるから、本件請求項2に係る考案と甲第1号証の考案とを対比すると、
両者は、上記「4-2-1.本件請求項1に係る考案について」における上記(1)の相違点に加え、
(2)本件請求項1に係る考案では、「前記トップガイドの外郭形状がその最大外径を有する位置まで前方に向って殆ど縮小することの無い略ラッパの形状に形成されてなる」のに対し、甲第1号証の考案では、トップガイド(エンドキャップ38)が前記構成でない点
で構成が相違する。
上記相違点について検討する。
(1)の相違点については、上記「4-2-1.本件請求項1に係る考案について」に記載したとおり当業者ならきわめて容易に想到できることである。
また、(2)の相違点については、外郭形状がその最大外径を有する位置まで前方に向って殆ど縮小することの無い略ラッパの形状に形成されたトップガイドは、甲第7ないし8号証に示されるように周知であるから、甲第1号証の考案において、トップガイドを、この周知な形状にすることは当業者ならきわめて容易にできることである。
そして、本件請求項2に係る考案が奏する効果は、甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案並びに周知技術から予測できる程度のことであって格別顕著なものではない。
したがって、本件請求項2に係る考案は甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
4-2-3.本件請求項3に係る考案について
本件請求項3に係る考案と甲第1号証の考案とを対比すると、甲第1号証の考案の「最小の入れ子式セクション36c」、「次に大きい入れ子式セクション36b」及び「エンドキャップ38」が、本件請求項3に係る考案の「穂先竿」、「保持竿」及び「トップガイド」に相当しているから、
両者は、
穂先竿を保持する保持竿に振出継合した前記穂先竿の先端部に取付けられ、前記保持竿の先端部内径よりも大径の外径を有するトップガイドを具備する中通し釣竿である点で一致し、
本件請求項3に係る考案では、「穂先竿の先端部外周に固定され、前記保持竿先端部内径より小径の外径を有する固定管と、」「トップガイドの内周に設けられた雌ねじ部と、前記固定管の外周に設けられ、該雌ねじ部の螺合する雄ねじ部とを具備し、前記穂先竿はその先端が前記雄ねじ部の領域内にまで至るように前記固定管内に挿入され」ているのに対し、甲第1号証の考案では、トップガイド(エンドキャップ38)が穂先竿(入れ子式セクション36c)の先端部外周に接着されている点
で相違する。
上記相違点について検討する。
甲第5号証には、振出し竿において、保持竿先端部内径より小径の外径を有する固定管に雄ねじ部を形成し、この固定管を穂先竿の先端部外周に固定するとともに、トップガイドに前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成することにより、穂先竿を交換できるようにすることが記載されており、しかも、甲第1号証の考案の釣竿は、甲第5号証と同じ振出し竿であるから、甲第1号証の考案において、穂先竿を交換できるように甲第5号証記載の考案を適用し、穂先竿の先端部外周に固定され、前記保持竿先端部内径より小径の外径を有する固定管と、トップガイドの内周に設けられた雌ねじ部と、前記固定管の外周に設けられ、該雌ねじ部の螺合する雄ねじ部とを具備するように構成することは当業者ならきわめて容易に想到できることである。そして、甲第1号証の考案に甲第5号証記載の考案を適用する際、穂先竿の先端部外周に固定される固定管を、中通し竿に適応するように、先端が開放されたパイプとし、固定管の穂先竿への嵌合方向後端が、先端部の先端まで嵌合すること(穂先竿はその先端が前記雄ねじ部の領域内にまで至ることになる)は、当業者なら適宜行う設計変更に過ぎない(これは、甲第9号証からも理解できる)。
したがって、前記相違点は当業者がきわめて容易に想到できることであり、本件請求項1に係る考案が奏する効果は、甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案から予測できる程度のことであって格別顕著なものではない。
よって、本件請求項1に係る考案は甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案に基いて当業者ならきわめて容易に考案をすることができたものといえる。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1ないし3に係る考案は、甲第1号証及び甲第5号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、実用新案法第37条第1項第1号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-07-02 
結審通知日 2001-07-05 
審決日 2001-07-25 
出願番号 実願平5-38208 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 二宮 千久
村山 隆
登録日 1998-02-13 
登録番号 実用新案登録第2570549号(U2570549) 
考案の名称 中通し釣竿  
代理人 坪井 淳  
代理人 小林 茂雄  
代理人 風間 鉄也  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 中村 誠  
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