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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B65D
管理番号 1099780
判定請求番号 判定2004-60031  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2004-08-27 
種別 判定 
判定請求日 2004-04-14 
確定日 2004-07-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第2076686号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「食品用容器」は、登録第2076686号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 1.判定の趣旨
本件判定請求は、イ号図面及びその説明書に記載する「食品用容器」(以下「イ号物件」という。)が、実用新案登録第2076686号の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2.本件考案
2-1 本件考案の構成要件
本件考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める(符号を付して分説して示す。)。
「(A)耐熱性樹脂で形成した容器本体と蓋体とからなり、蓋体の上面適宜位置に通気孔を設けると共に、前記通気孔の開閉を行う回動部材付設してなる食品用容器に於いて、
(B)通気孔の閉塞回動範囲内で蓋体と回動部材に、日付目盛及び指示目印を設けてなる
(C)ことを特徴とする食品用容器。」

2-2 本件考案が解決しようとする課題及び本件考案の効果
本件考案が解決しようとする課題及び本件考案の効果は、明細書及び図面の記載から見て、段落番号【0005】、【0006】及び【0013】に記載されたとおりのものと認める。
【本件考案が解決しようとする課題】
「前記した電子レンジでの加熱調理が可能な食品用容器は、加熱使用時以外は食品の収納容器として使用され、食品を収納した状態で冷蔵庫等に保管される。従ってこの電子レンジ用の容器に在っても食品の期日管理を行う日付指示部を付設しておくと便利である。然し単に電子レンジ対応の食品用容器に従前の日付指示部を付設すると、容器の蓋体上面が雑然となり、デザイン上好ましくなく、また容器の構成部材が増加し、製造コストを増加させてしまう。そこで本考案は通気部と日付指示部を兼ね備え而も部材を増加しない食品用容器を提案したものである。」(段落番号【0005】及び【0006】)
【考案の効果】
「本考案は以上の通り耐熱性樹脂で形成した容器本体と蓋体とからなり、蓋体の上面適宜位置に通気孔を設けると共に、前記通気孔の開閉を行う回動部材を付設してレンジ加熱に対応せしめた食品用容器に於いて、通気孔の閉塞回動範囲内で蓋体と回動部材に、日付目盛及び指示目印を設けて、前記回動部材が日付指示部の動作部を兼ねさせたもので、単に電子レンジ対応の食品用容器に従前の日付指示部を付設する場合に生ずる容器の蓋体上面の雑然性を解消し、而も部材を増加せしめない食品用容器を提供したものである。」(段落番号【0013】)

3.イ号
判定請求書に添付された「イ号物件説明書」には、次のとおり記載されている。
「〈構造の説明〉
イ号物件は、容器本体01と、容器体01に装着して密閉状態とする蓋体02とを備えると共に、蓋体02に回動操作自在として、通気及び通気遮断可能な摘み体03を設けた容器で、食品を収納し、且つ通気機能を備えることによって食品収納のまま電子レンジでの加熱を可能とした食品用容器である。
通気構造部分の詳細は以下の通りである。
蓋体02の上面には、円形の凹部04が形成され、前記凹部04の中心に支軸05が突設され、凹部04内の支軸05の外周側に通気孔06が穿設され、通気孔06と反対側の凹部04内に、前記通気孔06部分を扇状(円周角90度)に切欠した形状で、円周に添って1?31までの奇数の数字と数字間のドットを表示したシール(日付表示)07が貼付されている。
摘み体03は、支軸05に装着して凹部04内で回動自在としており、装着状態で回動操作した際に、通気孔06と一致する位置で、且つ互いに支軸05を中心に180度となる位置に、第一孔08と第二孔10を設けている。第一孔08は、日付表示数値が充分に確認できる大きさで、且つ通気孔06より充分大きい台形状で、外周側の孔縁に小突起09が突設してある。第二孔10は、通気孔06と一致する大きさである。
摘み体03の回動操作によって生じる状態は、
(1)(図5イ)
第二孔10を通気孔06の位置に一致させると容器の内外が通気状態となる。
このとき第一孔08は突起09が数字「17」を指示した位置となる。
(2)(図5ロ)
第一孔08及び第二孔10が通気孔06から完全に外れた範囲(通気遮断状態)では、第一孔08が、「1?14を示すドット」「21?31」の数字やドットを指示できる。第二孔10からも数字を視認できるが、見難い。
(3)(図5ハ)
第一孔08を通気孔06と一致させると、容器の内外が通気状態となる。」

上記イ号物品説明書の記載およびイ号図面の記載からみて、イ号物件の「食品用容器」は、次のとおりのものと認める(本件考案に即して、符号を付し分説して示す。)。
(a)電子レンジでの加熱を可能に形成した容器本体01と蓋体02とからなり、蓋体02の上面に形成された凹部04に通気孔06を穿設すると共に、前記通気孔06の通気及び通気遮断を行う回動自在な摘み体03を設けてなる食品用容器に於いて、
(b)蓋体02の上面には、通気孔06と反対側の凹部04内に、前記通気孔06部分を扇状に切欠した形状で、円周に添って1?31までの奇数の数字と数字間のドットを表示した日付表示シール07が貼付され、
摘み体03は、装着状態で回動操作した際に、通気孔06と一致する位置で、且つ互いに支軸05を中心に180度となる位置に、第一孔08と第二孔10を設けており、
摘み体03の回動操作によって、
(bー1)前記第二孔10を通気孔06の位置に一致させた容器の内外が通気状態で、前記第一孔08の突起09が、前記日付表示シール07の数字「17」を指示した位置となり、
(bー2)前記第一孔08及び第二孔10が通気孔06から完全に外れた通気遮断状態で、前記第一孔08の突起09が、前記日付表示シール07の「1?14」、及び「21?31」の数字やドットを指示した位置となり、
(bー3)前記第一孔08を通気孔06の位置に一致させた容器の内外が通気状態で、前記第二孔10が、前記日付表示シールの数字「17」を指示した位置となる、
(c)食品容器。

4.対比
構成要件(A)について
本件考案の構成要件(A)は、「耐熱性樹脂で形成した容器本体と蓋体とからなり、蓋体の上面適宜位置に通気孔を設けると共に、前記通気孔の開閉を行う回動部材付設してなる食品用容器」である。
一方、イ号物件の構成(a)は、「電子レンジでの加熱を可能に形成した容器本体01と蓋体02とからなり、蓋体02の上面に形成された凹部04に通気孔06を穿設するとと共に、前記通気孔06の通気及び通気遮断を行う回動自在な摘み体03を設けてなる食品用容器」である。
イ号図面より、容器本体01及び蓋体02が、樹脂で形成されていることは、被請求人も争いがなく明らかであり、また、電子レンジでの加熱を可能にしていることから、耐熱性のある樹脂で形成されているものと認められるので、イ号物件の構成(a)の「電子レンジでの加熱を可能に形成した容器本体01と蓋体02」は、本件考案(A)の「耐熱性樹脂で形成した容器本体と蓋体」に相当する。
同様に、イ号物件の構成(a)の「蓋体02の上面に形成された凹部04に」、「穿設する」、「前記通気孔06の通気及び通気遮断を行う」及び「回動自在な摘み体03を設けてなる」は、それぞれ本件考案の構成要件(A)の、「蓋体の上面適宜位置に」、「設ける」、「前記通気孔の開閉を行う」及び「回動部材付設してなる」に相当する。
したがって、イ号物件は、本件考案の構成要件(A)を充足する。

構成要件(B)について
まず、本件考案の構成要件(B)は具体的にどのように解釈すべきかについて検討する。
本件実用新案明細書には、以下のように記載されている。
(1)「【作用】回動部材を回動して、食品を収納した日付と対応する日付目盛を指示目印で指示しておくと、後日単に蓋体の当該指示を視認するのみで食品の収納日を知ることができ、しかも回動部材による日付指示状態の場合は、通気孔が閉塞されており、食品の収納に何ら不都合は無く、また電子レンジでの加熱調理に使用する際は、回動部材を回動して通気孔を開披し、特に通気孔が複数のときは適宜な通気面積となるよう調整して、レンジ加熱に供する。」(実公平6ー44863号公報段落番号【0008】)
(2)「…回動摘3は…回動の際に前記通気孔23、24、25と対応する位置に連通孔31を形成し、またその表面に日付目盛5を設けてなり、前記日付目盛5を形成するに際して日付目盛5と指示目印4とが一致する範囲では、連通孔23、24、25と連通孔31とは連通しない範囲に形成する。」(実公平6ー44863号公報段落番号【0009】)
(3)「…回動摘3による日付指示状態の場合は、通気孔23、24、25の何れもが閉塞されており、食品の収納に何ら不都合は無い。…」(実公平6ー44863号公報段落番号【0010】)
上記(1)?(3)、及び前記「2-2 本件考案が解決しようとする課題及び本件考案の効果」の【本件考案が解決しようとする課題】、【本件考案の効果】を参酌すれば、本件考案の「通気孔の閉塞回動範囲内で蓋体と回動部材に、日付目盛及び指示目印を設けてなる」とは、具体的には、回動部材による日付指示状態では、常に通気孔が閉塞されるような位置関係となるように、蓋体と回動部材に日付目盛と指示目印を設けることを意味するものと解釈される。

そこで、イ号物件の構成(b)について検討するに、イ号物件の構成(b)の「日付表示シール07」は、1?31までの奇数の数字と数字間にドットを表示したものであって、その数字及びドットは一部たりとも欠如したものではないので、本件考案の構成要件(B)の「日付目盛」に相当する。同様に、イ号物件の構成(b)の「第一孔08の突起09」は、日付表示シール07の数字又はドットを指示するものなので、本件考案の構成要件(B)の「指示目印」に相当する。
一方、イ号物件の構成(b)の(bー2)においては、摘み体03の回動操作により、第一孔08の突起09が、日付表示シール07の「1?14」、及び「21?31」の数字やドットを指示した位置で、通気孔06が閉塞されており、この状態で蓋体02と摘み体03に日付表示シール07及び第一孔08の突起9を設けているものといえるものの、(bー1)においては、摘み体03の回動操作により、第一孔08の突起09が日付表示シール07の数字「17」を指示した位置で、通気孔06は第二孔10により開放され閉塞されておらず、この状態でも蓋体02と摘み体03に日付表示シール07及び第一孔08の突起09を設けているものである。
さらに、(bー3)においても、第二孔10は見難いとはいえ日付を目視可能にするものであるから、指示目印といえなくもない。したがって、これにより日付表示シール07の数字「17」を指示する場合にも、第二孔10と支軸05を中心に180度の位置関係にある第一孔08により通気孔06は開放されているのである。
このように、イ号物件においては、摘み体03による日付指示状態は、通気孔が閉塞及び開放のいずれの状態をも有するものであるので、本件考案の構成要件(B)を充足していない。
なお、判定請求人は判定請求書において「イ号物件は…単に無駄な第二孔を付加した構成を採用したものと認められ、しかも第二孔の付加構成によって、本件考案の作用効果を奏しなくしたものではない。」(第5頁第12?14行)と主張している。
しかしながら、イ号物件には、通気孔06を閉塞して日付表示を行う第一孔08の他に、現に第二孔10が存在するのであるから、これにより、イ号物件が本件考案の構成要件(B)を充足しないことは上述したとおりであり、本件考案の作用効果を奏しないことは明らかであるので、上記判定請求人の主張は採用しない。

構成要件(C)について
本件考案の構成要件(C)は、「食品用容器」である。
イ号物件の(c)も「食品用容器」であるので、イ号物件は、本件考案の構成要件(C)を充足する。

以上により、イ号物件は、本件考案の構成要件(B)を充足しないので、被請求人の「イ号物件は自由技術に属するものであり、本件考案の技術的範囲に属しないものである。」との主張を検討するまでもなく、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属するものと解することはできない。

5.むすび
よって、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属しない。
別掲
判定日 2004-06-24 
出願番号 実願平3-80017 
審決分類 U 1 2・ 1- ZB (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 会田 博行  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 山崎 豊
溝渕 良一
登録日 1995-09-04 
登録番号 実用新案登録第2076686号(U2076686) 
考案の名称 食品用容器  
代理人 近藤 彰  
代理人 向江 正幸  
代理人 小山 方宜  
代理人 福島 三雄  
代理人 面谷 和範  
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