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審決分類 審判    F24C
管理番号 1101298
審判番号 無効2003-40013  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-08-22 
確定日 2004-08-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3094499号実用新案「扇風機型暖房装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3094499号の請求項1及び2に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯

本件実用新案登録第3094499号に係る考案(以下、「本件登録考案」という。)は、本審判外の内河敬明により平成13年9月14日に出願されて平成15年3月26日に設定登録されたが、その権利が同年7月24日に艾美特電器(深▲せん▼)有限公司に移転されたところ、株式会社アイアンにより同年8月22日に本件登録考案についての無効審判が請求され、同年12月11日付けの無効理由通知が送付され、平成16年2月5日付けの意見書が提出されたものである。

2 本件登録考案

本件登録考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりの次のものである。
【請求項1】ベース部と、このベース部の上部に設けられる胴体部と、この胴体部の上方に位置するヘッド部と、このヘッド部の前方に配置され、このヘッド部により支持される発熱部とを備えた扇風機型暖房装置であって、
前記発熱部は、
ヒーターと、このヒーターにより発生される熱を前方に向けて反射する反射機構と、
前記発熱部の最前面に設けられ、前記ヒーターと前記反射機構とを保護する保護カバーとを備えており、
前記保護カバーの外表面に植毛を施してあることを特徴とする扇風機型暖房装置。
【請求項2】前記植毛は静電植毛により形成されることを特徴とする請求項1に記載の扇風機型暖房装置。
(上記請求項1及び2に係る各考案を、以下、「本件考案1」及び「本件考案2」という。)

3 平成15年12月11日付けの無効理由通知の要旨

本件考案1及び本件考案2は、周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、これらの実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。

4 周知例

・実願平5-29063号(実開平7-2807号)のCD-ROM(以下「周知例11」という。)
・登録実用新案第3078539号公報(平成13年7月10日発行、以下「周知例12」という。)
・登録実用新案第3079170号公報(平成13年8月10日発行、以下「周知例13」という。)
・実願昭50-163730号(実開昭52-76150号)のマイクロフィルム(以下「周知例21」という。)
・実公昭52-18575号公報(以下「周知例22」という。)
・実願平3-104190号(実開平5-47751号)のCD-ROM(以下「周知例23」という。)
・特開平7-153551号公報(以下「周知例24」という。)

5 本件考案1の容易想到性についての検討

(1)本件考案1の基本構成について

・周知例11は、本件の出願前に頒布された刊行物であって、そこには、ベース部と、このベース部の上部に設けられた脚6(本件考案1の「胴体部」に相当する。)と、この脚の上方に位置するヒーター本体1(本件考案1の「ヘッド部」に相当する。)と、このヘッド部の前方に配置され、このヘッド部により支持される発熱部を備えて、前記発熱部は、ハロゲン電球4(本件考案1の「ヒーター」に相当する。)と、このヒーターにより発生される熱を前方に向けて反射する反射板3(本件考案1の「反射機構」に相当する。)と、前記発熱部の最前面に設けられ、前記ヒーターと前記反射機構とを保護する前部ガード5(本件考案1の「保護カバー」に相当する。)とを備えた扇風機型の遠赤外線ヒーター(本件考案1の「暖房装置」に相当する。)が開示されている。

・周知例12は、本件の出願前に頒布された刊行物であって、そこには、ベース10(本件考案1の「ベース部」に相当する。)と、このベース部の上部に設けられるボディー30(本件考案1の「胴体部」に相当する。)と、この胴体部の上方に位置するカバー60により囲まれた部分(本件考案1の「ヘッド部」に相当する。)と、このヘッド部の前方に配置され、このヘッド部により支持される発熱部とを備えて、前記発熱部は、ハロゲンランプ110(本件考案1の「ヒーター」に相当する。)と、このヒーターにより発生される熱を前方に向けて反射する反射板90(本件考案1の「反射機構」に相当する。)と、前記発熱部の最前面に設けられ、前記ヒーターと前記反射機構とを保護する安全網120(本件考案1の「保護カバー」に相当する。)とを備えたハロゲンランプが装着された扇風機型の暖房装置が開示されている。

・周知例13は、本件の出願前に頒布された刊行物であって、そこには、ベース1(本件考案1の「ベース部」に相当する。)と、このベース部の上部に設けられるポスト2(本件考案1の「胴体部」に相当する。)と、この胴体部の上方に位置するヘッド部と、このヘッド部の前方に配置され、このヘッド部により支持される発熱部とを備えて、前記発熱部は、ハロゲンヒーター8(本件考案1の「ヒーター」に相当する。)と、このヒーターにより発生される熱を前方に向けて反射するパラボラ反射板4(本件考案1の「反射機構」に相当する。)と、前記発熱部の最前面に設けられ、前記ヒーターと前記反射機構とを保護する保護網5(本件考案1の「保護カバー」に相当する。)とを備えた扇風機型のハロゲンヒーター装置(本件考案1の「暖房装置」に相当する。)が開示されている。

上記の事実によれば、本件考案1の「ベース部と、このベース部の上部に設けられる胴体部と、この胴体部の上方に位置するヘッド部と、このヘッド部の前方に配置され、このヘッド部により支持される発熱部とを備え」、かつ、「前記発熱部は、ヒーターと、このヒーターにより発生される熱を前方に向けて反射する反射機構と、前記発熱部の最前面に設けられ、前記ヒーターと前記反射機構とを保護する保護カバーとを備えた扇風機型暖房装置」という構成は、本件考案1の出願前に当業者には周知であったものと認められる。(かかる構成を備えた扇風機型暖房装置を、以下、「周知の扇風機型暖房装置」という。)

(2)本件考案1の「保護カバーの外表面に植毛を施してある」との構成について

・周知例21は、本件の出願前に頒布された刊行物であって、そこには、燃焼器を内蔵した暖房器において、熱を放射する部分に人が手を触れた場合にヤケドの危険があったという課題を解決するために、熱放出口7を覆う保護ガード8(本件考案1の「保護カバー」に相当する。)に植毛を施した技術が開示されている。

・周知例22は、本件の出願前に頒布された刊行物であって、そこには、ガス暖房機において、人が誤って高温の前面パネル2等に触れた場合、火傷の危険があったという課題を解決するために、多数の放射孔1が貫設されたパネル2(本件考案1の「保護カバー」に相当する。)の外面及び放射孔の内面に、柔軟でかつ比較的熱伝導性の悪い材料から成る多数のパイル(毛羽)を植毛した技術が開示されている。

・周知例23は、本件の出願前に頒布された刊行物であって、そこには、暖房器具であるファンヒータにおいて、温風に晒された保護ネット22が高温加熱されることを防止するために、保護ネット表面に静電植毛をすることが開示されている。(段落【0012】の末尾参照。)

上記の事実によれば、本件考案1の「保護カバーの外表面に植毛を施してある」との構成は、本件考案1の出願前に暖房機の技術分野において当業者には周知の技術であったものと認められる。

(3)まとめ

したがって、本件考案1は、暖房機における周知の技術を、技術分野が共通する周知の扇風機型暖房装置に適用することにより、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

6 本件考案2の容易想到性についての検討

周知例21及び22には、そこに開示された植毛が静電植毛により形成されることについての明示の記載はないが、周知例23には、保護ネット表面に静電植毛をすることが記載され、火傷の防止を図ったことも示唆されている。(段落【0012】の記載末尾参照。)
また、周知例24は、本件出願前に頒布された刊行物であって、そこには、赤外線放射ヒーター1の赤外線放射体3としてのステンレス製ラス板に静電植毛法により植毛加工したこと(段落【0017】の記載参照。)、また、赤外線放射ヒータの表面に静電植毛法により植毛加工して赤外線放射体としたこと(段落【0019】及び【0020】の記載参照。)により、人が誤って赤外線放射ヒータの表面に触れても火傷しにくくした(段落【0023】の記載参照。)技術が開示されている。

上記の事実によれば、植毛を静電植毛により形成することは、本件出願前に暖房機の技術分野において当業者には周知の技術であったものと認められる。
したがって、本件考案2は、暖房機における周知の技術を周知の扇風機型暖房装置に適用することにより当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

7 被請求人の主張についての検討
被請求人は、平成16年2月5日付けの意見書において、要するに、従来の扇風機型暖房装置では熱源が低出力であるため保護カバーに触れてもやけどをする危険性がなかったこと、また、扇風機型暖房装置の熱反射面は凹面鏡形状で熱を集中させる効果があるのでその熱集中点(焦点距離)から離れた保護カバー面ではそれほどの温度上昇とならないことから、従来の扇風機型暖房装置の保護カバーには植毛を施す必要性がなく、そのため、扇風機型暖房装置の保護カバーに植毛を施すことは、当業者といえども極めて容易に考案をすることができたものではないと主張する。(なお、被請求人は「扇風型暖房装置」と記載する箇所もあるが、「扇風機型暖房装置」を意味するものと解される。) しかし、周知の扇風機型暖房装置の例示として引用した周知例11、周知例12、周知例13には、発熱素子としてハロゲン電球(ランプ)やハロゲンヒーターが記載されており、かかるハロゲン発熱素子が多量の熱を放出することは技術常識であるし、発熱素子の近くに設けられた保護カバーは高温に晒されることになるから、従来の扇風型暖房装置の保護カバーには触れてもやけどをする危険性がなかったという被請求人の主張は根拠のない主張という外はないし、周知例11、周知例12、周知例13の扇風機型暖房装置の保護カバーには、その使用の態様によって、やけどの危険性があることは、当業者には自明であったものと認められる。そして、周知例21、周知例22、周知例23には、暖房装置の保護カバーの外表面に植毛を施して、人が触れてもやけどをすることを防止した技術が開示され、これらの周知例すべては暖房装置として共通の技術分野に属するものと認められる以上、周知例21、周知例22、周知例23が例示する保護カバーの植毛を周知の扇風機型暖房装置の保護カバーに適用することは、当業者であればきわめて容易であったとするのが相当である。被請求人は更に、本件実用新案登録の権利を対価を支払って譲り受けたこと、製造販売の実績があること等を主張するが、これらの主張は、本件登録考案の容易想到性を検討する上では直接関係のない主張にすぎない。したがって、被請求人の主張はいずれも採用の限りではない。

8 むすび

以上のとおり、本件の請求項1及び2に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定で更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-03-09 
結審通知日 2004-03-12 
審決日 2004-03-23 
出願番号 実願2002-7730(U2002-7730) 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (F24C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 豊島 唯  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 井上 哲男
長浜 義憲
登録日 2003-03-26 
登録番号 実用新案登録第3094499号(U3094499) 
考案の名称 扇風機型暖房装置  
代理人 庄司 建治  
代理人 紋田 誠  
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