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審決分類 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない B65D
管理番号 1108029
審判番号 訂正2004-39029  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-02-09 
確定日 2004-11-09 
事件の表示 実用新案登録第1839235号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯及び請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、登録実用新案第1839235号(実願昭59-161589号(前特許出願日昭和54年4月4日援用、 昭和63年9月8日実用新案出願公告(実公昭63-33829号) 実用新案法第13条で準用する特許法第64条の規定により、平成1年7月31日付け手続補正書により補正がなされている。)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。

したがって、本件請求は、訂正事項として、願書に添付された明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された、
「平坦な底板と、底板の周囲から上方へ拡開傾斜して一体に延長された周壁と、周壁の上部外側面全周に形成された接着剤塗布面とを有し、未包装状態で多数個を積み重ねたとき、各接着剤塗布面が、上下方向に連続して露呈して略垂直な面として柱状を呈する如く形成され、その状態で接着剤を一括して塗布されたトレーと、
上記トレー内に置かれた被包装物と、
上記トレーの上面開口部をオーバーラップして被覆し、かつ、トレーの接着剤塗布面に接着剤を介して接着された周縁を有するストレッチフィルムとからなり、
上記ストレッチフィルムは、その周縁を、トレーの接着剤塗布面に接着させた位置に接近した下側で抵抗線により全周に亘って切断してあることを特徴とするストレッチフィルムによるトレー包装体。」

「平坦な底板と、底板の周囲から上方へ拡開傾斜して一体に延長された周壁と、周壁の上部外側面全周に形成された接着剤塗布面とを有し、未包装状態で多数個を積み重ねたとき、各接着剤塗布面が、上下方向に連続して露呈して略垂直な面として柱状を呈する如く形成され、その状態で接着剤を一括して塗布されたトレーと、
上記トレー内に置かれた被包装物と、
上記トレーの上面開口部をオーバーラップして被覆し、かつ、トレーの接着剤塗布面に接着剤を介して接着された周縁を有する軟質塩化ビニール製ストレッチフィルムとからなり、
上記軟質塩化ビニール製ストレッチフィルムは、その周縁を、トレーの接着剤塗布面に接着した位置に接近した下側で抵抗線により全周に亘って切断してあることを特徴とする軟質塩化ビニール製ストレッチフィルムによるトレー包装体。」
と訂正することを訂正事項として含むものである。
したがって、この訂正事項は、実用新案登録請求の範囲に記載された「ストレッチフィルム」なる構成の記載に「軟質塩化ビニール製」なる限定を付加するものである。

これに対して、平成16年5月17日付で訂正拒絶理由が通知され、平成16年6月19日付で請求人より意見書が提出され、平成16年6月22日付で意見書(追加)が提出され、さらに、平成16年7月5日付で意見書(再追加)が提出されている。

2. 請求人の主張概要
請求人は、
甲第1号証として、実公昭63-33829号公報及び同公報についての実用新案法第13条で準用する特許法第64条の規定による補正の掲載公報
を提出して、本件の願書に添付された明細書の記載を特定し、
甲第3号証として、平成13年(行ケ)第412号審決取消事件判決(東京高等裁判所 平成15年4月22日言渡)、及び、
同判決に引用される文献の記載内容を特定するために、
甲第4号証として、実願昭51-13482号(実開昭52-104756号)のマイクロフィルム、並びに、
甲第5号証として、特公昭50-17915号公報
を提出して、平成13年(行ケ)第412号審決取消事件において、本件考案の「ストレッチフイルム」が、過冷ポリ塩化ビニリデンフイルムの採用によりきわめて容易に想到できると判断された事実を述べ、「ストレッチフイルム」とは、「軟質塩化ビニルフイルム」であるのに対して、本件が単に「ストレッチフイルム」と記載するのみであるため、「ストレッチフイルム」の意味が不明瞭となっているので、それを明瞭とするものである旨述べ、さらに、
甲第2号証として、「商品大辞典(昭和51年6月15日 東洋経済新報社発行)第1319?1320頁」
を提出して、「ストレッチフィルム」が「軟質塩化ビニール製ストレッチフィルム」を意味することは、その記載から一義的に定まる旨主張している。
さらに、請求人は後日、
甲第7号証として、「高分子刊行会編集部編「接着剤カタログ集(No.28)(1990年度版)1989年12月20日株式会社高分子刊行会発行」
を提出して、本件の願書に添付された明細書には、接着剤として「EVA樹脂係」の接着剤を用いる旨が記載されることから、被接着物である「ストレッチフイルム」は、「軟質塩化ビニルフイルム」に一義的に定まる旨主張し、さらに、
甲第8号証として、「月刊パックピア」2003年2月1日株式会社日報アイ・ピー発行抜粋
を提出して、ポリオレフィン係のストレッチフイルムを単に、「ストレッチフイルム」と呼ぶことはない旨主張している。
なお、この他に請求人は、平成16年3月17日付け答弁書(原告を本件請求人とする平成16年(ワ)第4号損害賠償請求事件(大阪地方裁判所))を提出している。

3.当審の判断
上記部分の訂正事項は、実用新案登録請求の範囲に記載された「ストレッチフィルム」なる構成の記載に「軟質塩化ビニール製」なる限定を付加するものである。
しかしながら、本件の願書に添付された明細書には、「ストレッチフィルム」の記載はあるものの、「軟質塩化ビニール製ストレッチフィルム」なる事項は、図面の記載を併せみても、その直接の記載は認められない。
また、請求人は、甲第2号証を論拠として、「ストレッチフィルム」が「軟質塩化ビニール製ストレッチフィルム」を意味することは、その記載から一義的に定まる旨主張しているので、この点について検討する。
本件登録実用新案の出願時において、「ストレッチフィルム」なる用語は、「塩化ビニル樹脂」、「低密度ポリエチレン樹脂」、「エチレン-酢酸ビニル共重合体」、「ポリ塩化ビニリデン」等の引き伸ばして包装するフィルムの総称として用いられていた事実(参考文献 特開昭52-114646号公報、特開昭52-27451号公報、特開昭51-150594号公報)があり、甲第2号証の「ストレッチフイルム」なる用語の一用例に加えて、「ストレッチフィルム」なる用語は、そのような総称として記載する事例もある以上、本件の願書に添付された明細書に記載される「ストレッチフィルム」なる記載をもって、直ちに、「軟質塩化ビニール製ストレッチフィルム」が記載されていたとすることはできない。また、甲第8号証の記載が、ポリオレフィン係のストレッチフイルムを単に、「ストレッチフイルム」と記載していないとしても、「ストレッチフイルム」なる用語に、上述の総称としての用例があることを何等否定するものではない。
したがって、甲第3号証、甲第8号証を論拠とする部分の請求人の主張は採用しない。
次に、本件の願書に添付された明細書に記載される「EVA樹脂係」の接着剤を用いることを論拠とする、「ストレッチフイルム」が軟質塩化ビニル製のストレッチフイルムに一義的に定まる旨の主張について検討する。
たしかに、EVA(エチレン酢酸ビニル重合体)樹脂係の接着剤の用途として、甲第7号証には、半硬質?硬質塩ビ材、塩ビシート、発泡スチロール建材が記載されている。これは、EVA樹脂係の接着剤を半硬質?硬質塩ビ材、塩ビシートの接着に用いることを示すものであるが、ただちに他の用途に用いないことまでをも示すものではない。そして、上記用途が代表的なものであるとしても、本件に係る出願の出願時点において、EVA接着剤は、エマルジョン状またはホットメルト接着剤として広範囲な材質の接着に用いる接着剤として知られていたと言うべきであり、「日本接着剤協会編「接着剤ハンドブック」第5版 昭和53年4月10日日刊工業新聞社発行」の第628頁第19行?第630頁第7行には、「(2)接着剤(無処理)
・・その他、・・エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)^(47)48))(図5・3,図5・4)・・ホットメルト接着剤の中には、特にPEに強く接着するものがある。ホットメルト接着剤はもちろん加熱溶融して使用するわけであるが、溶剤に溶けるタイプのものは溶剤に溶かしてもよい。」と記載され、同第328頁第5?10行には、「5・2・8エチレン共重合体接着剤
ポリエチレンは接着しにくいプラスチックの1つであるが、低分子量のポリエチレンやエチレンと酢酸ビニルとの共重合体はホットメルト接着剤の主成分として広範囲の被接着体によく接着する。・・エチレン含量50?80%のものがホットメルト接着剤に、10?30%のものがエマルジョン状態でプラスチックやアルミ箔、紙の接着剤に使われている。」と記載され、さらに、同第316頁第29行?第317頁第6行「酢酸ビニルを主体とした共重合物で接着剤に使われているものは、・・また、エチレンとの共重合物が固体状でホットメルト接着剤に、エマルジョン状でプラスチック、紙、金属箔の接着に使われている。」と記載されることからも、本件の願書に添付された明細書に記載される「EVA樹脂係」の接着剤は、特定のもの以外の接着を行うことができないものとは認められず、このような汎用される接着剤を論拠に、被接着物である「ストレッチフイルム」を軟質塩化ビニル製のストレッチフイルムに一義的に定まるとする請求人の主張は、採用できない。

したがって、本件の願書に添付された明細書または図面に「軟質塩化ビニール製ストレッチフィルム」が記載されるとすることはできず、また、それら記載から「ストレッチフイルム」が「軟質塩化ビニール製ストレッチフィルム」のみに一義的に定まるとは認められない。

なお、請求人が主張する各ストレッチフイルムが実用化されていたか否かを論拠とする主張は、本件の願書に添付された明細書に記載される「ストレッチフイルム」を軟質塩化ビニル製のストレッチフイルムに一義的に定まるかを、特許及び実用新案の明細書に記載される用語の用法より判断することとは、別異の事項であり、採用できない。

4.むすび
以上のとおり、本件訂正は、願書に添付された明細書または図面に記載された事項の範囲内でなされたものとは認められず、平成5年法律第26号附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、同条第2項の規定によって読み替えられる実用新案法第39条第3項の規定に適合しないので、本件訂正は認められない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-09-07 
結審通知日 2004-09-08 
審決日 2004-09-27 
出願番号 実願昭59-161589 
審決分類 U 1 41・ 841- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 雅夫北川 清伸  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 西川 恵雄
寺本 光生
登録日 1990-11-14 
登録番号 実用新案登録第1839235号(U1839235) 
考案の名称 ストレツチフイルムによるトレ-包装体  
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