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審決分類 |
審判 全部申し立て A41B |
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管理番号 | 1108031 |
異議申立番号 | 異議2003-72461 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2005-01-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-09-30 |
確定日 | 2004-10-18 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2607820号「使い捨てパンツ型着用物品」の請求項1ないし4に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2607820号の請求項1?3に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 実用新案登録第2607820号 の請求項1?4に係る考案についての出願は、平成2年10月25日に実用新案登録出願した実願平2-111729号の一部を新たな実用新案登録出願とする実用新案登録出願であって、平成14年6月21日にその考案についての実用新案権の設定登録がなされ、その後、異議申立人高橋美穂より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年8月16日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 1)訂正事項a 請求項1の「前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で配列した多数の接合部によって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有する」を、「前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で交互に配列した多数の接合部と非接合部とによって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有し、前記第1及び第2弾性伸縮部材が、前記接合域では前記非接合部に位置するとともに、前記接合域を外側へ越えて延びている」と訂正する。 2)訂正事項b 請求項4を削除する。 3)訂正事項c 明細書の段落【0006】の「前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で配列した多数の接合部によって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有する」を、「前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で交互に配列した多数の接合部と非接合部とによって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有し、前記第1及び第2弾性伸縮部材が、前記接合域では前記非接合部に位置するとともに、前記接合域を外側へ越えて延びている」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項aは、請求項1に記載されている事項の一部を明細書に記載されていた下位概念のものと置換するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正事項bは、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正事項cは、上記訂正事項aによって付随的に生じる記載の不備を解消するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.登録異議の申立てについて (1)申立ての理由の概要 異議申立人高橋美穂は、本件考案の実用新案登録に対して、証拠として甲第1号証(特開昭57-77304号公報)、甲第2号証(特表平1-503473号公報)、甲第3号証(米国特許第4586199号明細書)を提出し、請求項1?4に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべき旨主張している。 (2)本件考案 実用新案登録第2607820号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、平成16年8月16日付けの訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「内面シートと、外面シートと、それら間に介在する吸収体とからなる積層パネルを含み、前記内面シートが内側に位置するように前記積層パネルが折り重ねられ、前記積層パネルの前胴回り域と後胴回り域の横方向対向側部がそれらの外側縁を残してそれぞれ外向き合掌状に接合され、第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部とを有する使い捨てパンツ型着用物品において、前記第2弾性伸縮部材がそれぞれ複数本の前部材と後部材とからなり、前記前後部材が前記前後胴回り域間の前記積層パネルの股下域を横切るとともに、前記前部材が互いに並列して前記積層パネルの股下域の両側に形成された脚回り湾曲凹欠部のほぼ前半部に沿い湾曲して固定され、かつ、前記後部材が互いに並列して前記湾曲凹欠部のほぼ後半部に沿い湾曲して固定され、前記第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と前記第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部との間の前記前後胴回り域が弾性伸縮化され、前記胴および脚開口部の伸長応力がこれら間の前記前後胴回り域の伸長応力よりも強くされ、前記前後胴回り域の横方向対向側部の接合が前記横方向対向側部の縦方向に延在する所定の幅寸法を有する接合域に沿ってなされ、前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で交互に配列した多数の接合部と非接合部とによって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有し、前記第1及び第2弾性伸縮部材が、前記接合域では前記非接合部に位置するとともに、前記接合域を外側へ越えて延びていることを特徴とする前記物品。」 (3)引用刊行物に記載された考案 当審が通知した取消しの理由において引用した刊行物は以下のとおりであって、異議申立人高橋美穂が異議申立書第7頁第9行?第23頁第14行において、摘記したとおりのことが記載されているものと認める。 刊行物1:特開昭57-77304号公報(異議申立人の提出した甲第1号証) 刊行物2:特表平1-503473号公報(異議申立人の提出した甲第2号証) 刊行物3:米国特許第4586199号明細書(異議申立人の提出した甲第3号証) (4)対比・判断 本件考案と刊行物1に記載された考案(以下、「引用考案」という。)とを対比すると、両者は、いずれも「使い捨てパンツ型着用物品」である点で同じである。 そして、引用考案の「内面布(表面布)11」、「外被シーツ2」、「当て布3」、「前胴回り域に相当する図番2a」、「後胴回り域に相当する図番2b」、「ゴムひも7」、「ウエスト部」、「ゴムひも18、19」、「足挿入用の開口部12」は、それぞれ本件考案の「内面シート2」、「外面シート3」、「吸収体4」、「前胴回り域10」、「後胴回り域11」、「第1弾性伸縮部材5」、「胴開口部7」、「第2弾性伸縮部材6」、「脚開口部8」に相当する。 そうすると、本件考案と引用考案とは、 「内面シートと、外面シートと、それら間に介在する吸収体とからなる積層パネルを含み、前記内面シートが内側に位置するように前記積層パネルが折り重ねられ、前記積層パネルの前胴回り域と後胴回り域の横方向対向側部がそれらの外側縁を残してそれぞれ外向き合掌状に接合され、第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部とを有する使い捨てパンツ型着用物品において、前記第2弾性伸縮部材が前部材と後部材とからなり、前記前後部材が前記前後胴回り域間の前記積層パネルの股下域を横切るとともに、前記前部材が前記積層パネルの股下域の両側に形成された脚回り湾曲凹欠部のほぼ前半部に沿い湾曲して固定され、かつ、前記後部材が前記湾曲凹欠部のほぼ後半部に沿い湾曲して固定され、、前記前後胴回り域の横方向対向側部の接合が前記横方向対向側部の縦方向に延在する所定の幅寸法を有する接合域に沿ってなされ、ていることを特徴とする前記物品。」 である点で一致し、次の(ア)?(エ)の点で相違する。 (ア)本件考案の第2弾性伸縮部材の前部材と後部材は、それぞれ複数本の互いに並列したものであるのに対し、引用考案のものは、それぞれ複数本の互いに並列したものではない点。 (イ)本件考案の胴および脚開口部の伸長応力は、第1弾性伸縮部材と第2弾性伸縮部材により、前後胴回り域の伸長応力よりも強くされているのに対し、引用考案においては、伸長応力についての開示がない点。 (ウ)本件考案の接合域は、接合域の縦方向に所定間隔で交互に配列した多数の接合部と非接合部によって構成され、前記接合部は前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有するのに対し、引用考案のものには、この開示がない点。 (エ)本件考案の第1及び第2弾性伸縮部材は、接合域では非接合部に位置するとともに、前記接合域を外側へ越えて延びているのに対し、引用考案のものには、この開示がない点。 [相違点(ア)について] 一般に、使い捨てパンツ型着用物品において、脚開口部を弾性伸縮化するために、複数本の並列した弾性部材を用いることは、本件出願前広く知られた技術的事項である(例えば、特開昭62-243806号公報参照)。してみれば、この相違点は、当業者が必要に応じて適宜なし得た程度の設計的事項にすぎない。 [相違点(イ)について] 一般に、使い捨てパンツ型着用物品において、前後胴回り域あるいは胴および脚開口部の弾性伸縮部材は、該着用物品を身体にフィットさせるために、必要な伸長応力を有することが求められており、その値は該着用物品によりおのずと定まるものであるといえる。してみれば、前後胴回り域あるいは胴および脚開口部の伸長応力を、本件考案のように設定することは、当業者が必要に応じてなし得た程度の設計的事項にすぎない。 「相違点(ウ)及び(エ)について] これらの点については、刊行物2及び刊行物3を参酌しても、記載も示唆もない。 してみると、本件考案は刊行物1に記載された考案でないばかりか、刊行物1?3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものでもない。 また、本件の請求項2、3は、請求項1の従属項であって、請求項1に取消理由がなく、請求項2、3においても依然として上記の相違点が存在し、他に取消理由がない以上、請求項2、3に係る実用新案登録を取り消すことはできない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、登録異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1?3に係る実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?3に係る実用新案登録を取り消す理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 使い捨てパンツ型着用物品 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 内面シートと、外面シートと、それら間に介在する吸収体とからなる積層パネルを含み、前記内面シートが内側に位置するように前記積層パネルが折り重ねられ、前記積層パネルの前胴回り域と後胴回り域の横方向対向側部がそれらの外側縁を残してそれぞれ外向き合掌状に接合され、第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部とを有する使い捨てパンツ型着用物品において、 前記第2弾性伸縮部材がそれぞれ複数本の前部材と後部材とからなり、前記前後部材が前記前後胴回り域間の前記積層パネルの股下域を横切るとともに、前記前部材が互いに並列して前記積層パネルの股下域の両側に形成された脚回り湾曲凹欠部のほぼ前半部に沿い湾曲して固定され、かつ、前記後部材が互いに並列して前記湾曲凹欠部のほぼ後半部に沿い湾曲して固定され、 前記第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と前記第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部との間の前記前後胴回り域が弾性伸縮化され、前記胴および脚開口部の伸長応力がこれら間の前記前後胴回り域の伸長応力よりも強くされ、 前記前後胴回り域の横方向対向側部の接合が前記横方向対向側部の縦方向に延在する所定の幅寸法を有する接合域に沿ってなされ、前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で交互に配列した多数の接合部と非接合部とによって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有し、前記第1及び第2弾性伸縮部材が、前記接合域では前記非接合部に位置するとともに、前記接合域を外側へ越えて延びていることを特徴とする前記物品。 【請求項2】 前記接合域の幅寸法が2?20mm、前記接合部の高さ寸法が0.5?15mmである請求項1に記載の物品。 【請求項3】 前記胴開口部から前記脚開口部にわたる前記接合部の占有面積の合計が40?80%である請求項1又は2に記載の物品。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、使い捨てパンツ型着用物品に関し、さらに詳しくは、使い捨てパンツ型着用物品における横方向対向側部を間欠的に接合した使い捨てパンツ型着用物品に関する。 【0002】 【従来の技術】 一般に、使い捨て着用物品としてのトレーニングパンツやパンツ型使い捨ておむつは、透液性内面シートと不透液性外面シートからなる積層パネル、特におむつの場合には、これらの間に吸収体を介在させてなる積層パネルを基本的な構成とし、着用中の身体に対するフィット性と体液の漏洩防止機能を得るため、該積層パネルにおける胴回りおよび脚回りの各々に弾性伸縮部材が取り付けられている。また、一般に、こうした物品は、前記積層パネルを前記内面シートが内側に位置するように二つ折りに重ね、前後胴回り域の胴回りになる部位の対向側部を接合することで、胴開口部と一対の脚開口部とを形成してある。 【0003】 【考案が解決すべき課題】 使い捨てのパンツ型着用物品では、前胴回り域と後胴回り域との前記接合は、胴開口部から脚開口部へ連続した1本又は複数本の接着線によってなされている。しかるに、こうした物品では、これに着用者から排泄がなされ、これを脱がすとき、これを着用者の足先へ引き下ろしたのでは、排泄物が大便である場合、その引き下ろしの過程で、大便が排便時には付着していなかった身体部位にまでも付着してしまうことが少なくない。こうしたことを避けるには、既に知られているように、前記接合した前胴回り域と後胴回り域とが分離するように引き裂いて脱がすのが好ましい。 【0004】 従来の物品では、前記接合が連続接着線でなしてあることは前述のとおりであり、そのため前記引き裂き操作が容易ではない。また、そうした連続接着線では、物品の対向側部が密封状態になり、通気性が得られない。 【0005】 本考案は、主として、着用者の身体への物品のフィット性がよく、かつ、物品の対向側部の引き裂き操作が容易でありながら着用中に不用意に引き裂かれることがない、その対向側部の接合構成を課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 前記課題を解決するための本考案に係る物品は、内面シートと、外面シートと、それら間に介在する吸収体とからなる積層パネルを含み、前記内面シートが内側に位置するように前記積層パネルが折り重ねられ、前記積層パネルの前胴回り域と後胴回り域の横方向対向側部がそれらの外側縁を残してそれぞれ外向き合掌状に接合され、第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部とを有する使い捨てパンツ型着用物品において、 前記第2弾性伸縮部材がそれぞれ複数本の前部材と後部材とからなり、前記前後部材が前記前後胴回り域間の前記積層パネルの股下域を横切るとともに、前記前部材が互いに並列して前記積層パネルの股下域の両側に形成された脚回り湾曲凹欠部のほぼ前半部に沿い湾曲して固定され、かつ、前記後部材が互いに並列して前記湾曲凹欠部のほぼ後半部に沿い湾曲して固定され、 前記第1弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された胴開口部と前記第2弾性伸縮部材によって弾性伸縮化された脚開口部との間の前記前後胴回り域が弾性伸縮化され、前記胴および脚開口部の伸長応力がこれら間の前記前後胴回り域の伸長応力よりも強くされ、前記前後胴回り域の横方向対向側部の接合が前記横方向対向側部の縦方向に延在する所定の幅寸法を有する接合域に沿ってなされ、前記接合域が前記接合域の縦方向に所定間隔で交互に配列した多数の接合部と非接合部とによって構成され、前記接合部が前記接合域の縦方向と交差する方向に長く、かつ、前記接合域の幅寸法よりも小さい高さ寸法を有し、前記第1及び第2弾性伸縮部材が、前記接合域では前記非接合部に位置するとともに、前記接合域を外側へ越えて延びていることを特徴とする。 【0007】 【実施の形態】 図面を参照して、本考案の実施の形態をその一例としての使い捨ておむつについて説明すると、以下のとおりである。 【0008】 図1において、おむつ1は、透液性内面シート2と、不透液性外面シート3と、吸収体4と、胴回り弾性伸縮部材5と、脚回り弾性伸縮部材6を含んでいる。胴開口部7と脚開口部8の各々の周縁には、弾性伸縮部材5,6によって弾性伸縮化されギャザーが形成される。おむつ1の横方向対向側部9においては、前胴回り域10と後胴回り域11の各々の側部10A,11Aが接合域14で一体に接合してある。 【0009】 図2において、おむつ1は、内面シート2と、外面シート3と、これらの間に介在させた吸収体4とによって形成した積層パネル1’から構成してある。内面シート2は、熱捲縮した熱可塑性繊維からなり、高圧水流の作用下に前記繊維が交絡した不織布であって弾性伸縮性を有している。吸収体4は、好ましくは、高吸水性ポリマーを5?15重量%混入した粉砕パルプの賦型品からなる。外面シート3は、2層構造を有し、第3の弾性伸縮部材としてのポリエチレン系熱可塑性エラストマーからなる弾性伸縮性の不透液性シート16と、熱捲縮した熱可塑性繊維からなり、高圧水流の作用下に前記繊維が交絡した伸縮性の不織布17とをホットメルト接着剤によって間欠的に接合してある。不透液性シート16は、吸収体4を介して内面シート2と対向し、不織布17は、おむつ1の外表面となる。不透液性シート16は、もとより外面シート3に不透液性を付与するものである。不織布17は、おむつ1の外表面に布様の肌ざわりを有する。また、不透液性シート16と不織布17とを互いに間欠的に接合することで、外面シート3は伸縮性を損うことなく強度が向上する。内外面シート2,3は、おむつ1の全体、特にその胴回り域を着用者にフィットさせるように弾性伸縮化している。外面シート3の不透液性シート16上には、複数本の糸ゴムの弾性部材5と、複数本の糸ゴムの前後部材6A,6Bからなる弾性部材6とを、伸長下に、ホットメルト接着剤で接着してある。したがって、前述のように胴回り域が弾性伸縮化されているが、それによる伸長応力は、胴および脚開口部において強く、それら間の胴回り域において弱くなっている。前後部材6A,6Bは股下域15を横切るとともに、前部材6Aが互いに並列して股下域15の両側に形成された湾曲凹欠部1Aのほぼ前半部に沿い湾曲し、かつ、後部材6Bが互いに並列して湾曲凹欠部1Aのほぼ後半部に沿い湾曲し、股下域15において互いに交差する交差点間では殆ど伸長されていない。弾性伸縮部材5,6は、おむつ1の連続生産ラインにおいて、流れ方向に沿って連続的に供給され、おむつ1の幅方向を横断して走り、その両切断端縁は横方向対向側部9(図3参照)において、外面シート3の側縁に臨んでいる。 【0010】 内面シート2と外面シート3とは、外形が同じであって、吸収体4の外周から外側へ延出し、その延出部分において互いに接合してある。積層体1’は、縦方向に二分して、内面シート2が内側となるように折り、前胴回り域10および後胴回り域11の各々の横方向対向側部10Aと11Aとを重ね合わせ、それら外側縁を残して位置する接合域14に沿って一体に接合することで、胴開口部7と、一対の脚開口部8とを形成してある。こうして構成したおむつ1においては、前胴回り域10側の糸ゴム5と6Aは、後胴回り域11の糸ゴム5と6Bとに各々がほぼ重なり合って、胴開口部7および脚開口部8の各々において実質的にその回り方向へ連続している。 【0011】 図3において、接合域14は、側部9の縦方向に胴開口部7から脚開口部8にわたって延在し、超音波溶着によって前後胴回り域10,11の素材が融着した接合部14Aと、非接合部14Bとの交互の繰り返しによって構成してある。接合部14Aの各々は、接合域14の縦方向と交差する方向へ長く、おむつ1の横方向における幅寸法を約5mmとし、各接合部14Aの高さ寸法を約1mmとし、非接合部14Bの高さ寸法(接合域14の縦方向に互いに隣接対向する各々二つの接合部14A間の寸法)を約1.5mmとし、こうした接合部14Aと非接合部14Bとを交互に配列させることによって間欠パターンを構成し、接合域14の大部分を形成してあり、図によって明らかなように、脚回り弾性部材6の近辺においては、接合部14Aを傾斜させてある。さらに、弾性伸縮部材5,6は、接合域14において前記超音波を作用させない非接合部14Bに位置させてあるとともに、接合域14を外側へ超えて延びている。このように、弾性伸縮部材5,6が接合域14を外側へ超えて延びることにより、おむつ1が着用時に広げられたような場合、それら部材がそれらの伸長応力(収縮力)により接合域14を内側へ抜脱してしまうおそれが少ない。また、接合域14の上端部および/または下端部には、非接合部14Bよりも比較的大きい非接合部14E,14E’を設けておき、ここを摘持すれば、特に容易に前胴回り域と後胴回り域とを接合域14に沿って引き裂くことができるようにしておくこともできる。 【0012】 接合部14Aは、前述の寸法を最適例とするが、おむつ1の横方向における長さ寸法(接合域14の幅寸法)を2?20mmとし、高さ寸法を0.5?15mmとし、かつ、胴開口部7から脚開口部8にわたる接合域14において占有面積の合計を40?80%とすることができる。接合部14Aの占有面積が40%以下の場合には接合域14の強度が不足することがあり、80%以上の場合には非接合部14Bを介して所要の通気性が得られないことがある。 【0013】 パンツ型おむつ1を着用者から脱がせる場合には、側部9の外縁において、前胴回り域10と後胴回り域11とを各々摘持してそれらが対向する前後方向に引っ張ると、接合域14に沿って容易に引き裂くことができる。しかも、このときの引き裂きの抵抗感は接合域14の少なくとも幅寸法と同じ長さ寸法を有する接合部14Aが接合域14の縦方向と交差し、それらの間に非接合部14Bが位置するという断続パターンによって、あたかもジッパーを操作するような感触になり、仮に、接合域14の上端または下端において引き裂きが生じたとしても、その引き裂き力が連続的に伝達されることが極めて少ない。 【0014】 図4において、前胴回り域10と後胴回り域11の各々の摘持を容易にするため、各々の側部10A,11Aの上端部に該側部から外方に延出する摘持部20A,20Bを設けてある。摘持部20A,20Bは、内面シート2および/または外面シート3と一体をなすように設けることができるが、これを別部材として設けることもできる。 【0015】 図5において、内面シート2を前記実施例と同様に熱捲縮した熱可塑性繊維からなり、高圧水流の作用下に前記繊維が交絡した不織布である弾性伸縮性シートにより構成し、外面シート3を図示のポリエチレン系熱可塑性エラストマーからなる弾性伸縮性の不透液性シート16による単一層で構成してある。このように構成することで、前記実施例における場合のそれよりも製造コストを下げることができる。 【0016】 【考案の効果】 本考案に係る物品によれば、次の効果を奏する。 【0017】 着用させた物品を脱がせるとき、前後胴回り域の横方向対向側部の少なくとも一方を互いに離れる方向に引っ張ることで、それらを接合域に沿って容易に引き裂くことができ、その脱がせ操作もまた容易であるとともに、接合域を構成する多数の接合部が、接合域の縦方向と交差する方向へ延びるから、すなわち、少なくとも接合域の幅寸法と同じ寸法で該域の縦方向と交差する長さを有するから、接合域には、所要の接合強度ないし引き裂き抵抗が付与され、着用中に不用意に連続的に引き裂かれて着用した物品が身体からずれ落ちることがない。 【0018】 胴および脚開口部ばかりでなく、それら間の胴回り域も弾性伸縮化され、しかも胴および脚開口部の伸長応力がそれら間の胴回り域のそれよりも強くされているから、おむつが着用者の胴回りに十分にフィットし、着用者が比較的激しく運動しても、着くずれしたり、妄りに物品がずれ落ちたりするようなことがない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案に係るおむつの斜視図。 【図2】 図1のおむつの展開斜視図。 【図3】 図1のおむつの部分拡大図。 【図4】 本考案の他の実施例を示す部分拡大斜視図。 【図5】 外面シートについての他の実施例を示す外面シートの斜視図。 【符号の説明】 1 おむつ 2 内面シート 3 外面シート 4 吸収体 5,6 弾性伸縮部材 6A 前部材 6B 後部材 9 横方向対向側部 10 前胴回り域 11 後胴回り域 14 接合域 14A 接合部 14B 非接合部 16 弾性伸縮部材 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-09-27 |
出願番号 | 実願平10-10915 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(A41B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 門前 浩一 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
中西 一友 西村 綾子 |
登録日 | 2002-06-21 |
登録番号 | 実用新案登録第2607820号(U2607820) |
権利者 |
ユニ・チャーム株式会社 愛媛県四国中央市金生町下分182番地 |
考案の名称 | 使い捨てパンツ型着用物品 |
代理人 | 小林 義孝 |
代理人 | 白浜 吉治 |
代理人 | 小林 義孝 |
代理人 | 白浜 吉治 |