• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    B62K
管理番号 1117975
審判番号 無効2004-40002  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2005-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-04-19 
確定日 2005-05-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第3071713号実用新案「二輪車の取り外し可能ハンドル」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
(1)本件実用新案登録第3071713号(請求項の数[2])は、平成12年3月14日に出願され、その実用新案登録は平成12年6月28日にその設定登録がなされた。
(2)これに対して、請求人は、平成16年4月19日に本件実用新案登録無効審判を請求し、本件実用新案登録第3071713号の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、旨の審決を求めている。
(3)被請求人は、平成16年9月2日付で答弁書を提出し、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。
(4)これにつき、当審が被請求人の上記答弁書を請求人に送付したところ、請求人は平成16年11月12日付で弁駁書及び手続補正書を提出した。
(5)当審は平成16年12月10日付け補正許否の決定にて、上記手続補正書の全部及び上記弁駁書の第3頁第31行から第4頁第16行に記載された事項による請求の理由の補正については許可をせず、弁駁書に記載された事項のうち、上記以外の事項による請求の理由の補正については許可をした。

2.本件考案
本件実用新案登録の請求項1,2に係る考案(以下、それぞれ、本件考案1,2という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】自転車またはハンドル付スケートボードの取り外し式ハンドル部分である、ハンドル支え棒及びハンドルを係合するT字型連接管から構成される二輪車の取り外し可能ハンドルにおいて、
縦管には、横管まで延びた導入溝が形成され、上記ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有し、位置調節が可能な快速取り外し装置が設けられ、
上記二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体は、弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外した後、ハンドルの接合管を係止するための、左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有することを特徴とする二輪車の取り外し可能ハンドル。
【請求項2】前記二輪車の取り外し可能ハンドルは、前記定位体前端に鈎部が設けられていることを特徴とする請求項1記載二輪車の取り外し可能ハンドル。」

3.請求人の主張
請求人の、登録無効の理由の要点は、本件実用新案登録は、「実用新案登録を受けようとする考案」が、「考案の詳細な説明」に記載されておらず、実用新案法第5条第6項第1号の要件を満たしていないため、その登録は同法第37条第1項第4号により無効とすべきとのことであって、その具体的な理由として次の旨主張する。
<無効理由>
「考案の詳細な説明」 及び図面では「定位体をT宇型連接管の横管やハンドル支え棒に取り付ける」点は、何等記載されておらず、また、示唆もされていないから、本件実用新案登録請求の範囲に記載の「二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体」は、「考案の詳細な説明」に記載されていないものである。

4.被請求人の主張
これに対して、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求め、次の旨主張する。
審判請求人の主張は、本件明細書の記載の実体をかえりみずに、その形式のみを議論したものであるに過ぎない。(答弁書第4頁第11?13行参照)

5.当審の判断
実用新案法第5条第6項第1号には、「実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであること」と規定されている。
そこで、本件考案1,2を特定する事項である「二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体」が、「考案の詳細な説明」に記載された事項であるか否かについて検討する。
(1)まず、本件実用新案登録請求の範囲の請求項1には、「自転車またはハンドル付スケートボードの取り外し式ハンドル部分である、ハンドル支え棒及びハンドルを係合するT字型連接管から構成される二輪車の取り外し可能ハンドル」及び「上記二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体」との記載がある。
(2)前記記載によれば、本件「定位体」は、文言上、「二輪車の取り外し式ハンドル部分」を構成する要素である「ハンドル支え棒」或いは「ハンドルを係合するT字型連接管」のいずれかに嵌合すれば足りるものと解される。
(3)他方、前記考案を特定する事項である「二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体」に関して、考案の詳細な説明には、少なくとも、以下の記載が認められる。
イ)「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本考案の二輪車の取り外し可能ハンドルは、縦管にはめ込み、ネジで固定される定位体を有し、この左右のハンドルホルダーに左、右ハンドルを取り外した接合管を係止することによって、縦管に直接係止し、ハンドルの体積を減らすと同時に取り外したハンドルを簡単に収納でき、ハンドルの着脱効果を上げることを特徴とする。」(段落【0006】参照)
ロ)「図1及び図2が示すように、取り外し式ハンドル2は、ハンドル支え棒3及びハンドル4を結合するT字型連接管5から構成されている。」(段落【0010】参照)
ハ)「また、前端に鈎部71を有する定位体7が設置され、定位体7は、縦管51に設置可能なリング体72部分を有し、このリング体72両端には、連接した半円弧形のハンドルホルダー部73、73がそれぞれ設けられている。また、リング体72には、導入管511(注:“導入溝511”の誤記)に対応するネジ孔74が設けられている。ネジ孔74は、ネジAにより導入管511(注:“導入溝511”の誤記)と締結される。これにより、定位体7は、横管52に近い位置に固定される(図2参照)。」(段落【0011】参照)
ニ)「【考案の効果】 以上説明したように、本考案の二輪車の取り外し可能ハンドルは、両側のハンドルホルダーに左、右ハンドルを取り外した接合管を係止することによって、縦管両側に直接係止させることを特徴とする。これにより、ハンドルの体積を減らすと同時に取り外したハンドルを簡単に収納でき、ハンドルの着脱効果を上げるのに効果的である。」(段落【0015】参照)
(4)前記イ)ないしニ)の記載によれば、前記「二輪車の取り外し式ハンドル部分」と「二輪車の取り外し可能ハンドル」とは同義であると認められ、かつ、「定位体7」は、「二輪車の取り外し式ハンドル部分」を構成する要素である「T字型連接管5の縦管51」に嵌合される構成が記載されているといえ、当該構成によって、前記ニ)に記載されている作用効果を奏するものと認められる。
(5)また、以上の記載によれば、「定位体」が「二輪車の取り外し可能ハンドル」の一構成要素である「T字型連接管5の縦管51」に嵌合されていることによる作用効果も相応に認められるのであって、少なくとも、当該態様の限りにおいては、本件考案1,2を特定する事項である「二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体」は、「考案の詳細な説明」に記載された事項といえる。
(6)以上のとおりであるから、上記請求人の主張には理由がない。
(7)また、他に本件考案1,2を特定する事項について、無効理由となる程の記載上の不備は認められない。
(8)したがって、本件実用新案登録請求の範囲の記載は、実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであり、実用新案法第5条第6項第1号の規定に違反したものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、審判請求人の主張する理由によっては、本件実用新案登録の請求項1,2に係る考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項において更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
審理終結日 2004-12-10 
結審通知日 2004-12-14 
審決日 2005-01-12 
出願番号 実願2000-1482(U2000-1482) 
審決分類 U 1 114・ 534- Y (B62K)
最終処分 不成立    
特許庁審判長 大野 覚美
特許庁審判官 増岡 亘
ぬで島 慎二
登録日 2000-06-28 
登録番号 実用新案登録第3071713号(U3071713) 
考案の名称 二輪車の取り外し可能ハンドル  
代理人 藤沢 則昭  
代理人 原田 洋平  
代理人 笹原 敏司  
代理人 森本 義弘  
代理人 藤沢 正則  
代理人 板垣 孝夫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ