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審決分類 審判    B65D
管理番号 1137801
審判番号 無効2005-40005  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-08 
確定日 2006-06-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第3094212号実用新案「一体成型によるウェットティッシュパックの蓋」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3094212号の請求項1乃至3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録は、平成14年11月21日に出願され、平成15年3月12日に設定登録がなされ、その後、平成17年7月8日に、ユニ・チャーム株式会社より、その請求項1?3に係る考案についての実用新案登録に対して、実用新案登録無効審判の請求がなされたものであり、被請求人に対して、期間を指定して、答弁の機会を与えたが、被請求人からは何らの答弁がなされていない。
2.請求人が求めた審判
請求人は、
甲第1号証:実願昭60-91564号(実開昭62一569号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平10一24972号公報
を提出して、
理由1
本件請求項1?3に係る考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により登録を受けることができないものであり、それら考案に対する実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
理由2
本件実用新案登録請求の範囲【請求項1】及び【請求項2】に記載される考案は、考案の詳細な説明に記載したものでないから、請求項1、2の記載は、実用新案法第5条第6項第1号に規定規定する要件を満たしていないので、それら考案に対する実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第4号の規定により無効とされるべきものである。
理由3
本件実用新案登録請求の範囲【請求項3】に記載される考案は、当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載されていないから、同項の記載は、実用新案法第5条第4項に規定される要件を満たしておらず、請求項3に係る考案に対する実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第4号の規定により無効とされるべきものである。
3.当審の判断
本件請求項1に記載される「一体成型」なる用語が1のものにより成形されたこと、即ち実施例にも明示される1のシート状の蓋から蓋本体、右枠,左枠を形作ることを意味することは明らかであり、「一体成型」なる記載をもって、本件請求項の記載が不備であるとすることはできない。
また、「接着剤」なる記載により、特段の説明を待つまでもなくその構成を把握可能である以上、考案の詳細な説明に「接着剤」なる記載がないことのみをもって、本件実用新案登録を直ちに取り消すべき不備とすることはできないと共に、考案の詳細な説明に「1つの枠」及び「凸片」それぞれについての説明がなされている以上、その相互の関係までは記載されていないことのみをもって、本件実用新案登録を直ちに取り消すべき不備とすることはできない。
したがって、請求人が主張する理由2、3は、採用できない。
以下、理由1について検討する。
3-1 本件各考案
本件請求項1?3に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1、2、3に記載された下記の事項によりそれぞれ特定されるものである。
【請求項1】主に蓋本体と、該蓋本体後側の両側から延長する右枠と左枠とより構成される一体成型によるウェットティッシュパックの蓋において、該蓋内側にはウェットティッシュパックの穴の周囲と密着するべく粘着剤が塗布されている粘着部を有し、更に該粘着部内側にはウェットティッシュパックの穴を塞ぐ覆いを設けて空気の進入を防止し、更に該蓋本体前側には外側に延長した凸片を設けて蓋をした際の緊密度を高め、更に平らで且つ貼合されやすく完全に密閉するよう、また該ウェットティッシュパックと該蓋本体両側の受ける引っ張る力の集中を回避して強化するべく、後側両端に凸片が設けられている該蓋本体と、該蓋本体後側より延長して該蓋本体の周囲を囲むような形状を呈して囲まれた個所に凹部を形成している右枠,左枠と、より構成されることを特徴とする一体成型によるウェットティッシュパックの蓋。
【請求項2】該蓋本体内側には接着剤が塗布されていることにより、密閉性が更に高められていることを特徴とする請求項1記載の一体成型によるウェットティッシュパックの蓋。
【請求項3】該蓋本体に設けられた該左枠及び右枠が延長して連結されて一つの枠となっていることによって表面が平らになっており、且つ密閉性が高められていることを特徴とする請求項1記載の一体成型によるウェットティッシュパックの蓋。

3-2 甲各号証の記載
3-2-1 甲第1号証の記載
明細書第12頁第16行??第13頁第1行に、
「 矩形状をなす複数の粘着シート板を重ねた粘着シート体(38)は、基端部が包装体(36)に固着され、かつその中央に基端部を残してU字形の切断案内線をもって切起されるようになっており、引き剥がし可能な複数の粘着シート(39)を備えた再接着可能な蓋板(40)が形成される。」と、
同第13頁第14行?第15行に、
「…本考案は、洗浄液を含浸させた払拭紙の包装だけでなく、…」と、
同第5頁第4行?第8行に、
「(1)は、上方より1枚ずつ取り出し可能なように、例えばZ字状に折り重ねた、平面形がほぼ正方形をなす多数の軟質紙、不織布、あるいは板状綿等(以下単に払拭紙という)(1a)の束体で.各払拭紙(1a)には、洗浄液が含浸されている。」
と記載され、これら記載と図14の記載とを併せみれば、矩形よりU字形の切断案内線をもって切起すことにより、切り起こされた部分は凹部となり、U字形の左右両側に枠が残ることは、明らかであり、その場合の図示される幅寸法は、蓋本体が大きいこと、さらに、枠のないものも甲第1号証には記載されることを勘案すると、甲第1号証には、
構成1-(A)
主に蓋板(40)と、該蓋板(40)後側の両側より延長して該蓋板(40)の周囲を囲むような形状を呈して囲まれた個所に凹部を形成している左右に形成された枠とを一の粘着シート体(38)により形成した洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体
が記載されるものと認める。
また、上記記載加えて、甲第1号証の明細書第12頁第14行?第15行に、
「…、その内蓋(37)の切断案内線(37a)は楕円形をなしている。」と、
同第13頁第2行?第7行に、
「 蓋板(40)の下面中央部には、包装体(36)から引き剥がされた内蓋(37)が、最下段の粘着シート(39)に接着され、これが取出口(41)の閉塞片を兼用しており、この内蓋(37)を、残すために各粘着シート(39)は、楕円状のミシン線(42)をもって中央部が切断され、環状をなして引き剥がされる。」
と記載され、洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体の内蓋(37)が、取出口(41)の閉塞をなす旨の記載が、空気の進入を防ぐことは、その直接の記載の有無に関わらず明らかな事項であるから、これら記載に、図14の記載を併せみれば、甲第1号証の記載から、
構成1-(B)
蓋板(40)には洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体の取出口(41)の周囲と密着するべく粘着シート体(38)の裏面には、粘着シート(39)が設けられており、さらに、粘着シート体の粘着シート体(38)の内側には、洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体の取出口(41)を塞ぐように覆う内蓋(37)を設けて空気の進入を防止しすること、
が把握可能であると認める。
さらに、甲第1号証の明細書第6頁第9行?第13行は、
「つまみ片(7c)の中央部(7d)の裏面には、前記粘着シート体(8)の上面に、剥離可能かつ再接着可能に接着する非硬化性の粘着性接着剤(9)が塗着されて、接着面(7g)が形成されている。」と記載され、第12頁第13行?第14行には、「…包装体(36)は、第1実施例と同じであるが、…」
と記載され、図6、図14の記載とを併せみれば、甲第1号証の記載から、
構成1-(C) 蓋板(40)には外側に延長したつまみ片を設けて蓋をした際接着する粘着す接着面(7g)
を把握することができる。
以上、構成1-(A)?(C)を総合すると、甲第1号証には、以下の考案が記載されるものと認める。
主に蓋板(40)と、該蓋板(40)後側の両側より延長して左右に枠を1枚の粘着シート体(38)から形成した洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体の粘着シート体体(38)において、
粘着シート体(38)の内側には洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体の取出口(41)の周囲と密着するべく粘着シート体(38)の裏面に、粘着シート(39)が設けられており、さらに、粘着シート体の粘着シート(38)の内側には、洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体の取出口(41)を塞ぐように覆う内蓋(37)を設けて空気の進入を防止し、
更に該蓋板(40)には外側に延長したつまみ片を設けて蓋をした際接着する粘着す接着面(7g)を設け、該蓋板(40)後側の両側より延長して該蓋板(40)の周囲を囲むような形状を呈して囲まれた個所に凹部を形成している左右に形成された枠とを一の粘着シート体(38)により形成した洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体とを一の粘着シート体(38)により形成した洗浄液を含浸させた払拭紙の包装体(以下、「甲1考案」という。)

3-2-2 甲第2号証(特開平10一24972号公報)の記載
甲第2号証には、段落番号【0001】に、「【発明の属する技術分野】本発明は包装体の蓋用ラベルに関し、例えば水性若しくは油性の化粧料又は薬剤その他を紙、織布又は不織布等に含浸せしめて水分不透過性の袋に詰めてなるウェットティッシュペーパーの包装体の取出口を繰返して開閉・密封可能に封止する蓋用ラベルにおける使用後に再密封する際の操作性及び密着性を高めて使用時の液密性を維持する等の使い勝手を改善するものである。」と、本件各考案及び甲1考案と同一の技術分野に属するウェットティッシュペーパーの包装体の取出口を繰返して開閉・密封可能に封止する蓋用ラベルに係る技術分野のものであることを記載上で、甲第2号証の段落番号【0017】に、「・・この蓋用ラベル1の内方部に剥離方向に開放した所定間隔の連結点2aを有する開ループ状のラベルスリット2を形成することにより、取出口19を被覆して繰返して開閉・密封可能なラベル剥離部3と、ラベル剥離部3を剥離した際に包装体11に残存するラベル枠部4とを形成している。なお、開ループ状のラベルスリット2の連結点2aは任意の個数でよく、少ない方がフィルム素材の方向性によって破れたりすることがなく、適当である。また、連結点2aを形成することなくラベルスリット2を打ち抜き形成してもよい。或はハーフスリット等として形成することもできる。」と記載されているから、甲第2号証には、
記載事項2-(A) ウェットティッシュペーパーの包装体において、枠を閉ループ状とすること
が記載され、さらに、段落番号【0018】に、「・・そして、ラベルスリット2の密着方向の端部はラベル剥離部3の端部に剥離用始端7を形成するように密着方向に突出している。一方ラベルスリット2の剥離方向の開放端部には剥離停止部としての湾曲部5を形成してある。図1,図2に示す例では湾曲部5は先端部が密着方向に向いた円弧状に形成され、図6に示す例では湾曲部5は波状に形成されている。これはラベル剥離部3を剥離したときに剥離を停止することが容易なように剥離する力を吸収して弱めるように作用するものである。また、円弧状或は波状としてあるため、剥離する力をうまく吸収して破れたりすることがない。なお、剥離する力を吸収して剥離停止部として機能するものであれば他の構成であってもよい。」と記載されることから、甲第2号証には、
記載事項2-(B) ウェットティッシュペーパーの包装体において、ラベル剥離部3を剥離したときに剥離する力を吸収して弱め、剥離する力をうまく吸収して破れたりすることがないように、湾曲部5を設けること
が記載されているものと認める。
また、段落番号【0020】には、「蓋用ラベル1の裏面には非硬化性の感圧接着剤6が全面的に塗布されている・・」と記載され、甲第2号証には、
記載事項2-(C) ウェットティッシュペーパーの包装体において、蓋用ラベル1の裏面に接着剤を塗布すること
が記載されている
3-3 対比判断
3-3-1 本件請求項1に係る考案について
本件請求項1に係る考案と、甲1考案とを対比すると、
甲1考案の「粘着シート体(38)」、「蓋板(40)」、蓋板(40)後側の両側より延長して左右に形成された「枠」及び「つまみ片」は、その配置関係からみて、本件請求項1に係る考案の「ウェットティッシュパックの蓋」、「蓋本体」、「右枠と左枠」及び、外側に延長した「凸片」に相当し、甲1考案において、これらが一の粘着シート体(38)により形成されることは、本件請求項1に係る考案が「一体成型」であるとすることに相当している。
さらに、甲1考案の「内蓋(37)」、「取出口(41)」及び「粘着シート(39)」は、その機能からみて、本件請求項1に係る考案の「覆い」「ウェットティッシュパックの穴」及び「粘着部」に相当ししているので、両考案は、
主に蓋本体と、該蓋本体後側の両側から延長する右枠と左枠とより構成される一体成型によるウェットティッシュパックの蓋において、該蓋内側にはウェットティッシュパックの穴の周囲と密着するべく粘着剤が塗布されている粘着部を有し、更に該粘着部内側にはウェットティッシュパックの穴を塞ぐ覆いを設けて空気の進入を防止し、更に該蓋本体前側には外側に延長した凸片を設けて蓋をした際の緊密度を高め、蓋本体後側より延長して該蓋本体の周囲を囲むような形状を呈して囲まれた個所に凹部を形成している右枠,左枠と、より構成される一体成型によるウェットティッシュパックの蓋。
の考案である点で一致し、両考案は、以下の点で相違するものと認める。
相違点
本件請求項1に係る考案は、蓋本体に、平らで且つ貼合されやすく完全に密閉するよう、また該ウェットティッシュパックと該蓋本体両側の受ける引っ張る力の集中を回避して強化するべく、後側両端に凸片が設けられているのに対して、甲1考案の蓋板には、後側両端に凸片が設けられてはいない点
以下、相違点について検討する。
甲第2号証には、3-2-2に述べたとおり、 ラベル剥離部3を剥離したときに剥離する力を吸収して弱め、剥離する力をうまく吸収して破れたりすることがないように、湾曲部5を設けることが記載されており、その設ける対象部位に相違はあるものの、凸形状である湾曲部を形成することにより、力の集中を避けることが知られているのであるから、それを甲1考案の蓋板(40)の後側両端に適用することは、当業者が必要に応じて極めて容易になしえたものと認める。
そして、本件請求項1に係る考案の奏する作用効果は、甲第1,2号証の考案から予測される以上の格別のものとは認められない。
よって、本件請求項1に係る考案は、甲第1,2号証に記載された考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
3-3-2 本件請求項2,3に係る考案について
蓋本体内側には接着剤が塗布することは、3-2-2に述べたとおり、甲第2号証に記載されている。
また、蓋本体に設けられた該左枠及び右枠が延長して連結されて一つの枠とすることも、同様に、甲第2号証に記載される事項である。
よって、本件請求項2,3に係る考案は、甲第1,2号証に記載された考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。

4.むすび
以上説示のとおり、本件請求項1?3に係る考案についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定により無効にすべきものである。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-01-10 
結審通知日 2006-01-12 
審決日 2006-01-25 
出願番号 実願2002-7418(U2002-7418) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (B65D)
最終処分 成立  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 溝渕 良一
宮崎 敏長
登録日 2003-03-12 
登録番号 実用新案登録第3094212号(U3094212) 
考案の名称 一体成型によるウェットティッシュパックの蓋  
代理人 正林 真之  
代理人 太田 明男  
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