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審決分類 審判 全部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 無効としない E02D
管理番号 1139403
審判番号 無効2003-35453  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-30 
確定日 2005-02-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2099411号実用新案「地表埋設用蓋付枠」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 手続の経緯

実用新案登録第2099411号は、平成1年11月22日に出願(実願平1-135861号)され、平成7年4月12日に出願公告(実公平7-15882号)され、平成8年1月26日に登録されたものであって、平成12年12月11日に無効審判の請求があり、特許庁において無効2000-35666号事件として審理され、平成13年9月26日付けで「訂正を認める。実用新案登録第2099411号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする」旨の審決がなされ、この審決に対する訴えが東京高等裁判所になされ(平成13年(行ケ)第497号)、一方、平成14年4月17日付けで訂正審判の請求(訂正2002-39095号)がなされ、平成14年6月13日付けで訂正を認める旨の審決がなされ、その結果、平成14年8月9日に、平成13年9月26日付けでした上記審決を取り消す旨の判決が言い渡され、無効2000-35666号事件について、平成15年2月4日に請求を棄却する旨の審決がなされ、この審決に対する訴えが東京高等裁判所になされ(平成15年(行ケ)第89号)、平成16年1月28日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
本件無効審判は、上記訂正審判による訂正後の実用新案登録に対して平成15年10月30日に請求され、平成16年1月16日に答弁書が提出された。

2 請求人の主張の概要

(1)訂正後の実用新案登録請求の範囲の記載は旧実用新案法第5条第4項第2号に規定する要件を満たしておらず、平成14年4月17日請求の訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)による訂正は同法第39条第3項の規定に違反してなされたものであって、同法第37条第1項第2号の2の規定に基づき無効とされるべきものである。
(2)本件登録を無効とすべき理由
本件訂正審判による訂正後の考案(以下、「本件訂正考案」という)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載のとおり、
「蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、
蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、
蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、
且つ前記切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり
蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成され、
しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、
且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなる
ことを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」
である。
そして、本件訂正考案に係る蓋付枠は、訂正明細書の「考案の効果」の欄の記載によると、「蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、蓋受枠と蓋本体との隙間から地表水と共に砂塵等が侵入しても、該砂塵等を溝から凹部の底部を経て地表水と共に蓋受枠内へ排除し滞留を防止する。」(甲第1号証の訂正明細書第5頁第8?11行)という効果を奏し、該効果が訂正の審決においても特有の効果として認められている(甲第2号証 第7頁第35行?第8頁第2行目)。
しかしながら、同「考案の効果」の欄には、上記効果を奏するための構成要件として、「蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、」と記載され、上記特有の効果は、「溝」及び「凹部の底部に蓋受枠の内周方向へ下る傾斜」があってはじめて奏される効果である旨明示されている。
すなわち、本件訂正考案の特有の効果を奏するためには、実用新案登録請求の範囲における構成要件だけでは足りず、蓋受枠の受部に「溝」が周設されること、及び凹部の底部(隙間の底部)に傾斜が付されていることも上記効果を達成する上で欠くべからざる構成要件と言わなければならない。
それにも拘わらず、訂正後の実用新案登録請求の範囲の欄では上記「溝」及び「傾斜」が必須構成要件として特定されていないから、訂正後の実用新案登録請求の範囲の記載は旧実用新案法第5条第4項第2号の規定に違反する。
(3)証拠
甲第1号証:実公平7-15882号公報及び訂正審判2002-39095号に添付した訂正明細書
甲第2号証:訂正審判2002-39095号審決書

3 被請求人の主張の概要

(1)請求人主張の無効理由については、先の無効審判事件である無効2000-35666号において、請求人が主張した事項であって、そこにおいて既に審理済みの事項である。
(2)本件訂正考案の本質は、環状脚部の底面と凹部11の底部11aとの間のみに隙間を設けて、地表水と共に砂塵等を蓋受枠6内へ排除することにあり、この構成が本質部分である以上、「溝」及び「傾斜」は本件訂正考案に必須な構成要件ではない。
請求人主張の無効理由は失当である。

4 請求人主張の無効理由についての検討

(1)請求人は、本件訂正審判における訂正明細書の「考案の効果」の欄には、「蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、蓋受枠と蓋本体との隙間から地表水と共に砂塵等が侵入しても、該砂塵等を溝から凹部の底部を経て地表水と共に蓋受枠内へ排除し滞留を防止する。」と記載されており、当該効果を奏するための構成として、「蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、」と記載されていることを根拠に、上記効果を奏するためには、実用新案登録請求の範囲における構成要件だけでは足りず、蓋受枠の受部に「溝」が周設されること、及び凹部の底部(隙間の底部)に傾斜が付されていることも欠くべからざる構成要件といわなければならず、そうすると旧実用新案法(昭和62年改正の実用新案法をいうものと解される。)第5条第4項第2号の要件を満たさない旨主張するので検討する。
(2)昭和62年改正の実用新案法(以下、旧実用新案法という。)第5条第4項には次のように規定されている。
「第二項第四号の実用新案登録請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであること。
二 実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項のみを記載した項(以下「請求項」という。)に区分してあること。
三 (省略)」
(3)本件訂正審判における訂正明細書の「考案の効果」の欄には、請求人が指摘した記載を含め次のように記載されている。
「(考案の効果)
(ア)叙上のように本考案は、蓋本体の切り欠き部から設けた突起体が、蓋受枠に設けられた凹部に係合されてなる地表埋設用蓋付枠であるために、該蓋本体の浮き上がりによって前記係合が解除されることがなく、いかなる条件においても蓋本体の廻り止めや、離脱防止が確実に行える地表埋設用蓋付枠であるという格別なる効果を有するに至った。
(イ)又、蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、蓋受枠と蓋本体との隙間から地表水と共に砂塵等が侵入しても、該砂塵等を溝から凹部の底部を経て地表水と共に蓋受枠内へ排除し滞留を防止する。
(ウ)しかも、蓋本体を開放する際には、突起体の先端をもって凹部の底部に溜まった土砂等が蓋受枠内に掻き落とされるため、凹部内に堆積物を生じることがなく、蓋本体の開閉が常にスムーズに行えるという優れた効果をも有する。
(エ)更に、蓋本体の下端外周縁に逃げ空所を形成することにより、蓋本体と蓋受枠間に土砂等の侵入が生じた際にも、該土砂を逃げ空所内に収納して、蓋本体の浮き上がりを生じさせないという有益な効果もある。
(オ)尚、製作面においても、逃げ空所を形成し、且つ突起体は切り欠き部から突設されてなるため、該突起体を蓋本体の上下幅全域に渡って突設してなる従来の地表埋設用蓋付枠に比し、仕上げ面積が略半分に減少して遥かに作業性が良好となるのである。」(符号は当合議体において付した。)
(甲第1号証添付の明細書第5頁2行?21行参照(公告公報3頁左欄27行?右欄17行の考案の効果参照))。
(4)上記考案の効果として記載された事項のうち、(ア)、(ウ)、(エ)、(オ)は、本件訂正考案のように構成したことによって奏する作用効果ということができる。
一方、実用新案登録請求の範囲(の請求項1)には「蓋受枠の受部に溝が周設され」た構成や、「凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなる」構成は記載されていないのであるから、上記明細書記載の効果(イ)は、本件訂正考案の効果ということはできず、実施例における効果であるといえるから、本件訂正考案の効果の記載としては不適切ということができる。
請求人の主張はその限度において首肯できるが、本件明細書において、実用新案登録請求の範囲に記載した考案は、考案の詳細な説明に記載されており、記載された考案の作用効果も上記効果(ア)、(ウ)、(エ)、(オ)として記載されている。
そうすると、上記効果(イ)に記載された事項のみを根拠に、蓋受枠の受部に「溝」が周設されることや、凹部の底部(隙間の底部)に傾斜が付されていることを、必須の構成要件としなければならないとすることはできず、実用新案登録請求の範囲には、実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項のみが記載されているということができる。
したがって、本件実用新案登録の訂正明細書は、旧実用新案法第5条第4項第2号の要件を満たすということができる。
(5)また、他に、訂正後の考案が、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする理由を発見しない。

5 むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、上記訂正審判による明細書又は図面の訂正が、旧実用新案法第39条第3項に違反してされたものとすることはできない。
審判費用の負担については、実用新案法第41条の規定により準用し、特許法第169条第2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-02-17 
結審通知日 2004-02-20 
審決日 2004-03-18 
出願番号 実願平1-135861 
審決分類 U 1 112・ 532- Y (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西田 秀彦  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 長島 和子
木原 裕
登録日 1996-01-26 
登録番号 実用新案登録第2099411号(U2099411) 
考案の名称 地表埋設用蓋付枠  
代理人 薬丸 誠一  
代理人 藤本 昇  
代理人 植木 久一  
代理人 岩田 徳哉  
代理人 小谷 悦司  
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