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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B42F
管理番号 1141416
判定請求番号 判定2006-60007  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2006-09-29 
種別 判定 
判定請求日 2006-02-20 
確定日 2006-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2601438号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ファイルボックス」は、登録第2601438号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 第1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示す『ファイルボックス』は、実用新案登録第2601438号に係る考案(以下、『本件考案』という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

第2 手続の経緯
本件考案の主だった経緯を箇条書きにすると以下のとおりである。
・平成15年12月 9日 訂正審判請求(審判2003-39261号)
・平成16年 2月 5日 訂正審決確定
・平成18年 2月20日 請求人より判定請求書(イ号図面及びイ号説明書添付)の提出
・平成18年 4月 7日 被請求人より判定請求答弁書(イ号図面(訂正)、イ号物件説明書(訂正)及び乙第1?4号証写)の提出
・平成18年 6月 6日 口頭審理(請求人及び被請求人より口頭審理陳述要領書の提出)

第3 本件考案の認定
本件考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものであって、その構成を符号を付して分説すると、以下のとおりである。
『(A)間隔をおいて相対向する一対の側面板と、該側面板の後縁部に連設された背面板と、前記側面板の底縁部に連設された底面板とからなり、前記側面板に開口部が設けられ、金型により射出成形されるファイルボックスにおいて、
(B)前記開口部は、該開口部の開口縁が前記側面板の縁部に連続し、かつ側面板の面に沿った方向に金型を抜く場合、該金型を抜く方向と平行な平行線を仮想したとき、全ての前記平行線が、遮られることなく前記開口縁全周において線接触あるいは点接触するように成形されているとともに、
(C)前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、
(D)これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されていることを特徴とするファイルボックス。』

第4 イ号物件の認定
イ号物件の認定につき、請求人は、平成18年2月20日付け判定請求書と共に、イ号図面及びイ号説明書を提出し、被請求人は、請求人が提出した「イ号図面」及び「イ号物件説明書」は、本件考案と対比する上で重要な構成事項と符号の記載が抜けており、不適正であるとして、平成18年4月7日付け答弁書と共に、「イ号図面(訂正)」及び「イ号物件説明書(訂正)」を提出した。
そこで、当合議体は、被請求人の提出した「イ号図面(訂正)」を採用すると共に、平成18年6月6日の口頭審理において、イ号物件説明書(合議体案)を提示し、両当事者はこれを了解した。
したがって、イ号物件の構成を分説すると、次のとおりのものと認められる。
「(a)イ号物件に係るファイルボックスは、
(b)合成樹脂により金型射出成形されたものであり、斜視図に示すごとく、間隔をおいて相対向する扇形状の左右側面板102,102と、該左右側面板102,102の後縁部102d,102dに連接された背面板103と、側面板102,102の底縁部102e,102eに連設された底面板104とが一体成形されている。
(c)側面板102,102は、それぞれ3個の第1開口部102b,102b,102bと、2個の第2開口部102c,102cが設けられている。第1開口部102b,102b,102bは、それぞれ開口縁105,105,105が側面板102,102の後縁部102d,102dと連続するように切り欠かれている。また、第2開口部102c,102cは、開口縁106,106が側面板102,102の底縁部102e,102eと連続するように切り欠かれている。
(d)側面板102,102には、第1開口部102b,102b,102bと第2開口部102c,102cを除いた部分により、背面板103の先端部分と底面板104の先端部分を結合する腕部102h,102hが形成されるとともに、背面板103と底面板104の結合部110より腕部102h,102hへ連接する支持部102g,102gが形成されている。
(e)腕部102hと背面板103の側縁とを連結するそれぞれ2個の上部連結部102m,102m,102m,102mと、腕部102hと底面板104の側縁とを連結する各1個の下部連結部102n,102nが形成されている。
(f)第1開口部102b,102b,102bと、第2開口部102c,102cは、右側面図に示すように、射出成形し形抜きを行うとき、矢印の金型を抜く方向Aと平行な平行線107を仮想したとき、全ての平行線107が遮られることなく、前記開口縁105,106全周において線接触あるいは点接触するように形成されている。
(g)背面板103には、背面図に示すように、径の異なる3個の円形開口108a,108b,108cが形成され、左右側面板102,102の第1開口部102b,102b,102bと連続した切欠部103c,103c,103cが形成されている。
(h)底面板104にも、底面図に示すように、径の異なる3個の円形開口109a,109b,109cが形成され、左右側面板102,102の第2開口部102c,102cと連続した切欠部104c,104c,104cが形成されている。」

第5 当事者の主張
1.請求人の主張
(1)本件考案の構成要件の充足性について
本件考案の構成要件と、イ号物件の構成は全て一致している。

(2)請求項1に係る「除いた部分」の解釈について
請求人の「除いた部分」の解釈についての主張の要点は以下の通りである。
解釈1:本件考案の第1及び第2の開口部は、1つの開口部に限定されるものではなく、それぞれ複数の開口部を有していても良い。したがって「除いた部分」によって、「腕部」と「支持部」以外のものが形成されていることを否定するものではない。即ち、少なくとも「腕部」と「支持部」が形成されていれば良く、他の付加的構成(上部連結部102m及び下部連結部102n)が形成されていても良い。
解釈2:仮に、本件考案の「除いた部分」によって「腕部」と「支持部」以外のものは形成されていない、と解釈したとしても、「腕部」の形状は、「背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する」という構成要件を充足していれば良く、イ号物件の上部連結部102m及び下部連結部102nは、「腕部」の一部又は変形例である。
解釈3:また、本件考案の各開口部が単数であると捉えたとしても、イ号物件の支持部102gの両側に隣接する2つの開口部102b,102cのみに着目すれば、単一の第1開口部102bと単一の第2開口部102cを除いた部分により、単一の「腕部102h」(上部連結部102m及び下部連結部102nは腕部の一部又は変形例)と単一の「支持部102g」が形成されている。

(3)本件考案に係る訂正審判(審判2003-39261号:審決確定)の請求の趣旨(段落【0050】?【0053】及び【図10】を削除した理由)について
当初明細書の段落【0050】?【0053】及び【図10】(以下、【図10】の実施例という。)に、請求項1の補正で追加した「腕部」「支持部」の構成要件の説明及び符号が記載されておらず、【図10】の実施例を残した場合、「明瞭でない記載の釈明」であるか否かをめぐって訂正審判が長期化するのを避けたかったこと、訂正当時の係争事件が長期化する事態を避けたかったこと、訂正した請求項1であっても【図10】の実施例が含まれると判断したこと、などの理由によるものであり、【図10】の実施例に該当するものを意識的に除外したものではない。

(4)結論
以上のような理由により、イ号物件は本件考案の技術的範囲に属する。

2.被請求人の主張
(1)請求項1の文言解釈におけるイ号物件の相違
本件考案の構成要件(D)の意味は、「第1及び第2の開口部を除いた部分」により、特定の「腕部」と特定の「支持部」とが形成されている、というものであるから、「除いた部分」によって「腕部」と「支持部」以外のものは形成されていないことを意味している。
逆にいえば、側面板の「腕部」と「支持部」を除く残りの部分は、「第1及び第2の開口部」であることを表現しているものであり、「開口部を除いた部分」に上記特定の「腕部」および「支持部」以外のものが存在する余地はないものと解すべきである。たとえば、「赤色の部分を除いた部分により、青色の部分と黄色の部分とが形成されている」という表現において、上記「除いた部分」には青色と黄色以外の、黒色等の部分が存在する余地はないものと解すべきである。
そこで、イ号物件をみると、これは、側面板102に、複数個ずつの第1の開口部102bと、第2の開口部102cが形成されている。
この開口部構成自体は、開口部の個数を限定しない本件考案の構成要件(C)を文言上は形式的に充足するものといわざるを得ない。
ところが、イ号物件においては、上記第1開口部102bが3個、第2開口部102cが2個形成されていることにより、「(e)腕部102hと背面板103の側縁とを連結するそれぞれ2個の上部連結部102m,102m,102m,102mと、腕部102hと底面板104の側縁とを連結する各1個の下部連結部102n,102nが形成されている。」ものとなっているから、本件考案では、第1及び第2の開口部を除いた部分により,上記(D)が形成されたものであるのに対し、イ号物件では、上記(e)が形成されたものであり、相互に構成を異にする。
つまり、本件考案は、側面板が、第1及び第2の開口部と、残りの部分によって、特定の部位を連結した腕部と、特定の部位を連結した支持部とで構成されたものであり、従って結果的に、図1に示されるように1つの第1開口部と、1つの第2開口部と、それらを除く部分によって形成された1つの腕部と1つの支持部とを有するものであるのに対し、イ号物件は、第1及び第2の開口ともに複数個有し、その結果、腕部、支持部のほかに、更に、2個の上部連結部と、1個の下部連結部とを有するものであって相互に構成を異にするものである。
従って、イ号物件は、本件考案の前記(D)の構成要件を充足しない。

(2)結論
以上の次第で、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属さないものである。

第6 対比及び判断
1.本件考案の構成要件(A)?(C)に係る属否について
本件考案とイ号物件とを対比する。
イ号物件の構成(a)、構成(b)及び構成(c)は、構成(c)の左右側面板にそれぞれ設けられた第1開口部が3個及び第2開口部が2個である点を除き、本件考案の構成要件(A)及び構成要件(C)を充足する。
また、イ号物件の構成(f)は、構成(c)にともなう左右側面板にそれぞれ設けられた第1開口部が3個及び第2開口部が2個である点を除き本件考案の構成要件(B)を充足する。
イ号物件の構成(g)の背面板に3個の円形開口が形成されている点及び構成(h)の底面板に3個の円形開口が形成されている点(以下、「イ号物件の3個の円形開口の構成」という。)に関し、それぞれの3個の円形開口は、側面板を成形する金型を独立させる必要がないという本件考案の作用効果とは無関係な付加的な構成であり、本件考案とイ号物件との対比に影響を与えるものではないから、本件考案とイ号物件を対比する要件にあたらない。
一方、請求人は、上記「1.請求人の主張(2)本件考案の構成要件の充足性について」において、「本件考案の構成要件と、イ号物件の構成は全て一致している。」旨、主張しているが、請求人は判定請求書において、イ号物件の認定において、構成(c)の一部である「側面板102,102は、それぞれ3個の第1開口部102b,102b,102bと、2個の第2開口部102c,102cが設けられている。」及び構成(e)「腕部102hと背面板103の側縁とを連結するそれぞれ2個の上部連結部102m,102m,102m,102mと、腕部102hと底面板104の側縁とを連結する各1個の下部連結部102n,102nが形成されている。」を認定していない。
よって、イ号物件の構成(c)の左右側面板にそれぞれ設けられた第1開口部が3個及び第2開口部が2個である点、それにともなう構成(f)の第1開口部が3個及び第2開口部が2個である点、構成(d)及び構成(e)と本件考案の構成要件(D)の充足関係についての争いは残る。
したがって、イ号物件の構成(a)、構成(b)、構成(c)の左右側面板にそれぞれ設けられた第1開口部が3個及び第2開口部が2個である点を除いた構成及び構成(c)にともなう第1開口部が3個及び第2開口部が2個である点を除いた構成(f)は、本件考案の各構成要件(A)?(C)を充足しており、しかも請求人及び被請求人間に争いはない。

2.本件考案の構成要件(D)及びイ号物件の「3個の第1開口部と2個の第2開口部」に係る属否について
本件考案の構成要件(D)の充足性について以下、検討する。
(1)文言解釈
本件考案は、側面板の構成を第1,第2開口部で特定すると共に、第1,第2開口部を除いた部分の構成をさらに特定している。
そうすると、第1,第2開口部と第1,第2開口部を除いた部分で側面板の構成が特定され尽くしているものと解釈せざるを得ない。
つまり、構成要件(D)は、「これら第1及び第2の開口部を除いた部分には、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部のみが形成されている」と解される。
そこでイ号物件についてみるに、イ号物件の第1開口部は3個、第2開口部は2個設けられているから、側面板の第1及び第2の開口部を除いた部分には、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部以外に、2個の上部連結部102m,102m,102m,102mと、各1個の下部連結部102n,102nが形成されている。
したがって、イ号物件は、本件考案の実用新案登録請求の範囲の構成要件(D)を充足しないものであって、文言上、イ号物件が本件考案の技術範囲に属さないことは明らかである。

(2)訂正審判の趣旨について
請求人は、本件考案には【図10】の実施例が文言上含まれ、【図10】の実施例に該当するものを意識的に除外したものではない、旨主張する。
そこで、訂正審判において削除した【図10】の実施例を見ると、【図10】の実施例は、腕部と支持部以外に、腕部と背面板の側縁とを連結する部分及び腕部と底面板の側縁とを連結する部分を有している。一方、本件考案の構成要件(D)は前記「(1)文言解釈」で述べたように、「これら第1及び第2の開口部を除いた部分には、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部のみが形成されている」と解されるものであるから、【図10】の実施例は文言上本件考案に含まれるものではない。
したがって、【図10】の実施例の削除は「本件考案の請求の範囲の記載と整合を取るため」という訂正審判請求の主張と合致するものであり、訂正審判の趣旨に関する請求人の主張は採用できるものではない。

(3)「除いた部分」の解釈について
請求人の請求項1に係る「除いた部分」の解釈についての主張について、補足的に検討する。
(ア)解釈1について
請求人の主張によると、複数の開口部に「腕部」と「支持部」以外のもの(イ号物件における上部連結部102m及び下部連結部102n)が必要となる。しかし、前記「(1)文言解釈」で述べたように、本件考案は「これら第1及び第2の開口部を除いた部分には、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部のみが形成されている」と解されるものであり、請求人の主張は採用できない。
(イ)解釈2について
請求人の主張するように、上部連結部102m及び下部連結部102nを腕部の一部又は変形例と仮定する。そこで、上部連結部102mについてみるに、各側面板には背面板の先端部分から最上位の第1開口部と隔てた上部連結部102mと背面板と底面板の結合部に近い上部連結部102mの2個の上部連結部102mが存在する。一方、腕部については、本件考案の実用新案登録請求の範囲には「背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部」と規定されている。しかしながら、上部連結部102mは背面板の先端部分と結合されるものではないから、背面板と底面板の結合部に近い上部連結部102mは腕部の一部又は変形例と見なし得ない。つまり、上記仮定と矛盾する。したがって、請求人の主張2は採用できない。
(ウ)解釈3について
上部連結部102mが腕部の一部又は変形例と見なせないことは前記「(イ)解釈2について」で述べたとおりである。
よって、これを前提とする請求人の主張3は採用できない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
判定日 2006-07-31 
出願番号 実願平5-44633 
審決分類 U 1 2・ 1- ZB (B42F)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 藤本 義仁
長島 和子
登録日 1999-09-17 
登録番号 実用新案登録第2601438号(U2601438) 
考案の名称 ファイルボックス  
代理人 杉本 勝徳  
代理人 内山 邦彦  
代理人 西野 茂美  
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