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審決分類 審判    E05F
管理番号 1190615
審判番号 無効2008-400006  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-06-25 
確定日 2008-12-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第3100184号実用新案「扉用ドア隙間手はさみ防止装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3100184号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件実用新案登録第3100184号に係る考案は、平成15年9月1日に出願され、平成15年12月17日にその考案について実用新案の設定登録がされたものであり、その請求項1に係る考案は、本件の登録明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものである。
「【請求項1】
所定の厚みを有するドア本体7の一側端面が、上記ドア本体7が取り付けられているドア枠部材4に対してヒンジ8を介して開閉自在に枢支され、上記ドア本体7の他側端を回動させて開閉するようにしたヒンジ式ドア1の枢支部分を覆う装置において、
周面にカバー部材11を巻き回して収納するための円筒パイプ13を回転自在に保持する巻き取り装置本体12と、上記円筒パイプ13の内部に配設され、上記ドア本体7が開かれるときに、上記ドア本体7に引かれて上記カバー部材11が上記巻き取り装置本体12から繰り出されることにより上記円筒パイプ13が一側方向に回転するときに捩じれて弾性復元力を蓄え、上記ドア本体7が閉じられて上記カバー部材11の緊張が緩んだときに、上記蓄えた弾性復元力で上記円筒パイプ13を他側方向に回転させて、上記円筒パイプ13の周面に上記カバー部材11を巻き取るための鋼板バネ14とを有し、
上記巻き取り装置本体12を上記ドア枠部材4上に取り付けるとともに、上記カバー部材11の端部11bを上記ドア本体7の一側端部近傍に取り付け、上記カバー部材11により上記ドア枠部材4と上記ドア本体7の一側端面とで形成されるコーナー部分の空間Sを覆うようにしたことを特徴とする扉用ドア隙間手はさみ防止装置。」(以下、「本件考案」という。)

2.審判請求人の主張
請求人は、無効審判請求書において、次の理由により、本件考案に係る実用新案登録を無効とすべきである旨を主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(無効理由)
本件考案は、甲第1号証に記載された考案並びに甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
(証拠方法)
甲第1号証:特開平10-72974号公報
甲第2号証:実願昭61-110176号(実開昭63-17270号) のマイクロフィルム
甲第3号証:実願昭61-110175号(実開昭63-17269号) のマイクロフィルム

3.被請求人の主張
被請求人は、無効審判請求書の無効理由に対する答弁のための指定期間内に何らの応答もしなかった。

4.各甲号証の記載内容
(1)本件考案の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、「回転式扉の指詰防止機構」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回動式扉の回動時における回動式扉と建物側縦枠との間の隙間に対する指の侵入、延いては指詰を防止するようにした回動式扉の指詰防止機構に関するものである。」
(1b)「【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1?図5において、11は建物側縦枠12に対して蝶番13により枢結された回動式の扉で、この扉11は縦枠12に対して閉じているときは扉11と縦枠12との間に隙間が形成されないが、縦枠12に対して開いているときは扉11と縦枠12との間に隙間が形成されるようになる。そこで、本実施の形態では扉11の上下両端部を除く上下方向中間部に指詰防止機構14を設けてある。
【0007】この指詰防止機構14は上下方向に向き上端および下端が前記縦枠12にビス15にて固定される円筒状の本体16と、この本体16の内部に設けた上下方向に向く回転パイプ17に一端側が取り付けられ、他端側が本体16の周方向の一箇所に上下方向に向いて形成されたスリット18から引き出されるとともに扉11の一方の面に係止部材19により固定された布帛あるいは合成樹脂フィルムなどからなるシート20と、このシート20を前記本体16に収納する方向に付勢すべく前記本体16の内部に設けられ前記回転パイプ17に付勢力を与えるためのコイルばねなどの付勢手段21とから構成され、扉11の開動に伴い前記シート20が前記スリット18から引き出されるときはシート20は付勢手段21の力に抗して引き出され、扉11を閉じることによりシート20は付勢手段21の付勢力により回転する回転パイプ17に巻かれて前記本体16に収納されることになる。さらに詳しくは、前記回転パイプ17の上下両端にはリング金具22,22が嵌入して固定され、このリング金具22,22を前記本体16内部における上下両端に設けた軸受け台座23,23に外嵌させることにより回転パイプ17を回転自在としている。また、前記本体16内部における回転パイプ17の内部には上下両端が前記軸受け台座23,23に嵌入し、しかも上端が上側の軸受け台座23の角孔に空回りしないように角軸をもって嵌入する軸体24が設けられ、前記コイルばねなどの付勢手段21の一端をこの軸体24に係止させるとともに、付勢手段21の他端を前記回転パイプ17に係止させている。」
(1c)「【0008】なお、図面に示す実施の形態では指詰防止機構14は扉11の上下両端部を除く上下方向中間部に設けられていて、扉11の上下両端部において縦枠12との間に隙間が形成されているが、扉11の上下方向ほぼ全長に亘る範囲で指詰防止機構14を設けることも可能である。また、図面に示す実施の形態では指詰防止機構14は扉11の一方の面からの扉11と縦枠12との間の隙間に対する指の侵入を防止すべく扉11の一方の面側に設けられているが、扉11の一方の面側にも同様の指詰防止機構を設けることも可能である。さらに、図面に示す実施の形態では指詰防止機構14の本体16が縦枠12側に固定されるとともにシート20の他端側が扉11側に固定されているが、本体16を扉11側に固定するとともに、シート20を縦枠12側に固定することも可能である。」
(1d)「【0009】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、扉が開かれることにより扉と縦枠との間に形成される隙間から指を入れようとしても本体から引き出されたシートにより指の侵入を防止することができ、その結果指詰を防止することができるものである。」
(1e)甲第1号証の【図1】、【図2】並びに【図3】および上記記載事項(1b)によると、【図1】、【図2】並びに【図3】には、扉11が所定の厚みを有すること、扉11の一側端面が縦枠12に対して蝶番13により枢結されるとともに、扉11の他側端を回動させて開閉すること、シート20の一端側が円筒状の本体16の内部に取り付けられるとともに、シート20の他端側が扉11の縦枠12側近傍に取り付けられることが記載されている。
(1f)甲第1号証の【図5】および上記記載事項(1b)によると、【図5】には、回転パイプ17の内部にコイルばねなどの付勢手段21が配設されることが記載されている。

これら記載事項及び図面に示された内容を総合すると、甲第1号証には、次の考案(以下、「甲第1号証記載の考案」という。)が記載されているものと認められる。

(甲第1号証記載の考案)
「所定の厚みを有する扉11の一側端面が、縦枠12に対して蝶番13により枢結され、扉11の他側端を回動させて開閉するようにした扉と縦枠との間に形成される隙間に対する指の侵入を防止する回動式の扉の指詰防止機構において、
円筒状の本体16内部にシート20が巻かれて収納される回転パイプ17を回転自在に設け、回転パイプ17の内部にはコイルばねなどの付勢手段21が配設され、扉11の開動に伴いシート20が円筒状の本体16に形成されたスリット18から引き出されるときはシート20は付勢手段21の力に抗して引き出され、扉11を閉じることによりシート20は付勢手段21の付勢力により回転する回転パイプ17に巻かれて円筒状本体16に収納され、
扉11の上下方向ほぼ全長に亘る範囲で指詰防止機構14を設け、
円筒状の本体16を縦枠12に固定するとともに、シート20の他端部を扉11の縦枠12側近傍に固定し、シート20により扉11と縦枠12との間に形成される隙間に対する指の侵入を防止する回転式扉の指詰防止機構。」

(2)本件考案の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(2a)「…すなわち扉への取付金具1を一端に溶接固定した筒状部材2内にステンレス等の不錆金属板等よりなる複数板の板ばね部材3、3を両端にスペーサ4を介し第1図、第7図(b)に示すように所定の間隔dを保ち平行的に対設して配設したツイストばね組5を挿通し、前記筒状体の他端にねじ6をもって取付けられた固定金具7の割溝8内に前記ツイストばね組5の一端をスペーサ4を介して挿入してねじ9で固定し、他端を一端に割溝11と鍔12を形成し他端の径少部分に傘歯車13を形成した回転軸子10の前記割構内に挿入して固定され、前記回転軸子10は、一端に鍔15を形成した回転軸子10を受けるスリーブ14を取付金具1に明けた穴により筒状体2内に挿入固定することで回動可能に保持された下部ヒンジ主体部19と、一端に前記した傘歯車13の挿入は可能であるが歯の噛合で回転を阻止する歯付座穴18を設けた受金具17を取付けたL字状の取付金具16とで構成されている。」(明細書の4頁6行?5頁5行)
(2b)「…第6図(b),(c)に示すようにツイストばね組5の弾力に抗して扉24を開らけば第7図(a),(b)に示すようにツイストばね組5は約90°捻じられて開扉し、この開扉状態ではツイストばね組5はその両端で90°捻じられて捻じりモーメントが作用し、ねじり応力が発生しており、扉24から手を離して上記ねじり応力に抗する外力を排除すれば扉24は前記ツイストばね組5のねじりモーメントによる応力で再び閉扉する。」(同明細書の6頁10行?19行)

(3)本件考案の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
(3a)「…すなわち扉への取付金具1を一端に溶接固定した筒状部材2内にステンレス等の不錆金属板等よりなる板ばね部材で構成したツイストばね3を挿通し、前記筒状体の他端にねじ6をもって取付けられた固定金具7の割溝8内に前記ツイストばね3の一端を挿入してねじ9で固定し、他端を一端に割溝11と鍔12を形成し他端の径少部分に傘歯車13を形成した回転軸子10の前記割構内に挿入して固定され、前記回転軸子10は、一端に鍔15を形成した回転軸子10を受けるスリーブ14を取付金具1に明けた穴により筒状体2内に挿入固定することで回動可能に保持された下部ヒンジ主体部19と、一端に前記した傘歯車13の挿入は可能であるが歯の噛合で回転を阻止する歯付座穴18を設けた受金具17を取付けたL字状の取付金具16とで構成されている。」(明細書の4頁6行?5頁2行)
(3b)「…第6図(b),(c)に示すようにツイストばね3の弾力に抗して扉24を開らけば第7図(a),(b)に示すようにツイストばね3は約90°捻じられて開扉し、この開扉状態ではツイストばね3はその両端で90°捻じられて捻じりモーメントが作用し、ねじり応力が発生しており、扉24から手を離して上記ねじり応力に抗する外力を排除すれば扉24は前記ツイストばね3のねじりモーメントによる応力で再び閉扉する。」(同明細書の6頁7行?16行)

5.対比
本件考案と甲第1号証記載の考案とを対比すると、その作用ないし構造から見て、甲第1号証記載の考案の「扉11」、「縦枠12」、「蝶番13により枢結」、「回動式の扉」、「円筒状の本体16」、「シート20」、「巻かれて」、「回転パイプ17」、「(筒状体の本体16内部にシート20が巻かれて収納される回転パイプ17を回転自在に)設け」、「(円筒状の本体16を縦枠12に)固定する」、「(シート20の)他端部」、「扉11の縦枠12側」、「扉11と縦枠12との間に形成される隙間」が、本件考案の「ドア本体7」、「ドア枠部材4」、「ヒンジ8を介して開閉自在に枢支」、「ヒンジ式ドア1」、「巻き取り装置本体12」、「カバー部材11」、「巻き回して」、「円筒パイプ13」、「(周面にカバー部材11を巻き回して収納するための円筒パイプ13を回転自在に)保持する」、「(巻き取り装置本体12をドア枠部材4上に)取り付ける」、「端部11b」、「ドア本体7の一側端部」、「ドア枠部材4とドア本体7の一側端面とで形成されるコーナー部分の空間S」に、それぞれ相当する。

そして、甲第1号証の上記記載事項(1b)および【図3】によると、甲第1号証記載の考案は、「指詰防止機構14」の「円筒状の本体16」から引き出された「シート20」により、「扉11と縦枠12との間に形成される隙間」を覆うことにより、「指の侵入を防止する」ものであるから、甲第1号証記載の考案の「シート20により扉11と縦枠12との間に形成される隙間に対する指の侵入を防止する回転式扉の指詰防止機構」は、本件考案の「カバー部材11によりドア枠部材4とドア本体7の一側端面とで形成されるコーナー部分の空間Sを覆うようにした」「扉用ドア隙間手はさみ防止装置」に相当するといえる。

ここで、本件考案の「(ヒンジ式ドア1の)枢支部分」とはどのような構成であるのか、実用新案登録請求の範囲の記載からは明確に理解できず、さらに、考案の詳細な説明を参照しても明らかであるとはいえない。しかしながら、本件の実用新案登録請求の範囲、考案の詳細な説明および図面の記載全体から、上記「枢支部分」とは、ドア本体7をドア枠部材4に取り付けるヒンジ8により形成される「ヒンジ部分」、あるいは、ドア枠部材4とドア本体7の一側端面とで形成されるコーナー部分の「空間S付近」のいずれかであると解される。
一方、甲第1号証の上記記載事項(1c)によれば、甲第1号証記載の考案の「回転式扉の指詰防止機構」は、「扉11の上下方向ほぼ全長に亘る範囲で(指詰防止機構14を)設ける」ものであるのだから、甲第1号証記載の考案の「扉11の一側端面が、縦枠12に対して蝶番13により枢結され」る部分、すなわち、上記「ヒンジ部分」を覆うものであり、かつ、甲第1号証記載の考案の「扉と縦枠との間に形成される隙間」、すなわち、上記「空間S付近」を覆うものであるといえる。
そうすると、本件考案の「枢止部分」が、上記「ヒンジ部分」あるいは上記「空間S付近」のいずれの構成であったとしても、甲第1号証記載の考案の「回転式扉の指詰防止機構」は、本件考案における「枢止部分を覆う装置」に相当するといえる。

また、甲第1号証記載の考案の「シート20」が、上記記載事項(1b)によると、「扉11の開動に伴い(シート20が)円筒状の本体16に形成されたスリット18から引き出されるときは(シート20は)付勢手段21の力に抗して引き出され、扉11を閉じることにより(シート20は)付勢手段21の付勢力により回転する回転パイプ17に巻かれて円筒状の本体16に収納され」るものであるので、その「シート20」に付勢力を付与する甲第1号証記載の考案の「コイルばねなどの付勢手段21」と、本件考案の「円筒パイプ13が一側方向に回転するときに捩じれて弾性復元力を蓄え、ドア本体7が閉じられてカバー部材11の緊張が緩んだときに、蓄えた弾性復元力で円筒パイプ13を他側方向に回転させて、円筒パイプ13の周面にカバー部材11を巻き取るための鋼板バネ14」とは、共に「円筒パイプが一側方向に回転するときに弾性復元力を蓄え、ドア本体が閉じられてカバー部材の緊張が緩んだときに、蓄えた弾性復元力で円筒パイプを他側方向に回転させて、円筒パイプの周面にカバー部材を巻き取るための付勢手段」である点で共通する。

そうすると、両者は、
「所定の厚みを有するドア本体の一側端面が、上記ドア本体が取り付けられているドア枠部材に対してヒンジを介して開閉自在に枢支され、上記ドア本体の他側端を回動させて開閉するようにしたヒンジ式ドアの枢支部分を覆う装置において、
周面にカバー部材を巻き回して収納するための円筒パイプを回転自在に保持する巻き取り装置本体と、上記円筒パイプの内部に配設され、上記ドア本体が開かれるときに、上記ドア本体に引かれて上記カバー部材が上記巻き取り装置本体から繰り出されることにより上記円筒パイプが一側方向に回転するときに弾性復元力を蓄え、上記ドア本体が閉じられて上記カバー部材の緊張が緩んだときに、上記蓄えた弾性復元力で上記円筒パイプを他側方向に回転させて、上記円筒パイプの周面に上記カバー部材を巻き取るための付勢手段とを有し、
上記巻き取り装置本体を上記ドア枠部材上に取り付けるとともに、上記カバー部材の端部を上記ドア本体の一側端部近傍に取り付け、上記カバー部材により上記ドア枠部材と上記ドア本体の一側端面とで形成されるコーナー部分の空間を覆うようにした扉用ドア隙間手はさみ防止装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
円筒パイプが一側方向に回転するときに弾性復元力を蓄え、ドア本体が閉じられてカバー部材の緊張が緩んだときに、蓄えた弾性復元力で円筒パイプを他側方向に回転させて、円筒パイプの周面にカバー部材を巻き取るための付勢手段に関して、本件考案が、円筒パイプが一側方向に回転するときに捩じれて弾性復元力を蓄える鋼板バネを用いるのに対し、甲第1号証記載の考案は、付勢手段は限定されていないものの、特に「鋼板バネ」を用いることは示されていない点。

6.当審の判断
上記相違点につき、以下に検討する。
機械分野において、一側方向に回転するときに弾性復元力を蓄え、緊張が緩んだときに、蓄えた弾性復元力で他側方向に回転させるための付勢手段として、回転により捩じれる板バネを用いることは、例えば、甲第2号証、甲第3号証または実願昭55-179398号(実開昭57-101271号)のマイクロフィルム等にも記載されているように、従来より周知の技術であるといえ、板バネの材料として鋼を用いることは例示するまでもなく慣用的に行われていることである。
してみると、相違点に係る本件考案の構成は、甲第1号証記載の考案における円筒パイプの周面にカバー部材を巻き取るための付勢手段として、上記周知の技術を適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得たものといえる。

そして、本件考案の奏する効果も、甲第1号証記載の考案および従来より周知の技術から当業者が予測し得るものであって、格別なものということができない。

したがって、本件考案は、甲第1号証記載の考案および従来より周知の技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるといえる。

7.むすび
以上のとおり、他の無効理由について検討するまでもなく、本件考案は、甲第1号証記載の考案および従来より周知の技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項においてさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-10-03 
結審通知日 2008-10-10 
審決日 2008-10-21 
出願番号 実願2003-270912(U2003-270912) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (E05F)
最終処分 成立    
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 石川 好文
家田 政明
登録日 2003-12-17 
登録番号 実用新案登録第3100184号(U3100184) 
考案の名称 扉用ドア隙間手はさみ防止装置  
代理人 秋元 輝雄  

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