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審決分類 |
審判 全部申し立て B01D |
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管理番号 | 1002406 |
異議申立番号 | 異議1999-70924 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-03-11 |
確定日 | 1999-10-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2582041号「スカム除去装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2582041号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.本件考案 実用新案登録第2582041号(平成5年10月18日出願、平成10年7月17日設定登録)の請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるとおりのものである。 2.実用新案登録異議申立ての理由の概要 実用新案登録異議申立人村岡 宏は、証拠方法として甲第1号証乃至甲第4号証を提出し、本件の請求項1に係る考案は、上記甲第1号証乃至甲第4号証に記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案の実用新案登録は、旧実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものであると主張している。 3.証拠の記載内容 実用新案登録異議申立人が提出した甲第1号証乃至甲第4号証には、それぞれ次の事項が記載されている。 甲第1号証:実願平4-8949号(実開平5-63693号)のCD-ROM ▲1▼「上記駆動軸2には、その水面上の個所に沈澱池1の半径方向に延長したスカムアーム6が設けられ、駆動軸2により図2の矢印方向に回動されるようになっている。そして、スカムアーム6の回動方向の後方側には、ゴム板等の柔軟な材料からなるスカム掻寄板7が垂設されており、」(第4頁【0009】) ▲2▼「10は浮上したスカムの回収パイプで、沈澱池1の半径方向に長く形成され、その上部には回収パイプ10のほぼ全長にわたるスカム取入開口11が設けられており、その基端部はセンターウェル9内に突入し、」(第5頁【0010】) 甲第2号証:実願平3-71275号(実開平5-18696号)のCD-ROM 「この考案は、上記課題を解決するための手段を提供するものであって、円形槽1の外縁部内周に同心円状に処理水越流板2およびスカム流山阻止用のバッフルプレート3を配設し、中心部にスカムスキマ5駆動用の回転軸4と一体的に回転するフィードウェル6を備えた円形槽沈殿池において、前記バッフルプレート3の内周とフィードウェル6の外周とを結ぶ半径上に、断面円弧状で上部に開口部9aを有するパイプスキマ9を傾動自在に配設し、前記フィードウェル6の外周に前後及び上下に位置をずらして2個のキッカー13、14を突設すると共に、前記パイプスキマ9の内端部外周に位相をずらして2個の係合レバー15、16を突設し、フィードウェル6の回転方向前方のキツカー13が一方のレバー15を押すことによってパイプスキマ9が傾動し、同じく回転方向後方のキッカーI4が他方のレバー16を押すことによってパイプスキマ9が原位置に復帰するよう構成したことを特徴とする円形槽沈殿池のスカム除去装置を考案要旨とするものである。」(第6頁第6行乃至第18行) 甲第3号証:実願平1-65178号(実開平3-7996号)のマイクロフィルム ▲1▼「この支持バー35の下部には前後2本の調節部材36が取り付けられ、これらを介して倣い部材37が取り付けられている。」(第8頁第3行乃至第6行) ▲2▼「第10図から第12図は、他の実施例を示している。・・・水面50は上下に変動するのが通常であるが、この装置はこの変動に追従して常に一定の量をもって確実にスカムを導入させ得るように工夫したものである。」(第12頁第5行乃至第10行) ▲3▼「ここで、水面50の水位が変動すると、フロート57が追従するので、水位が低くなればバー56が同フロート57上に乗り掛かるようになるまで低くなり、・・・これにより、常に水面に対するトラフ52の流入口の臨む高さは一定になるのである。」(第14頁第10行乃至第17行) 甲第4号証:実願昭63-169806号(実開平2-91693号)のマイクロフィルム 「この揺動装置81は、・・・第1図に示したように、スカムパイプ65に下方に向けて配置されたストライカ85と、回転軸51に配置されストライカ85と係合する係合部材87と、・・・ストッパ89とから構成されている。」(第10頁第4行乃至第12行) 4.対比・判断 本件考案と上記甲第2号証に記載の考案(以下、「引用例考案」という)とを対比すると、両者は、共に「スカム除去装置」に係るものであるが、次の(イ)及び(ロ)の点で相違している。 (イ)本件考案は、「スカムスキマがフィードウェルの外側に外側スカム掻寄板を、フィードウェルの内側に内側スカム掻寄板を備え、パイプスキマがフィードウェルを貫通して延び、パイプスキマの開口がフィードウェルの外側及び内側に位置する」ものであるのに対し、引用例考案は、この構成を有していない点 (ロ)本件考案は、「キッカーと回転軸との相対位置を調整する調整部材」を有するのに対し、引用例考案は、この構成を有していない点 そこで、これら相違点について検討すると、上記甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証には、上記(ロ)の点について、何ら記載又は示唆するところがない。 実用新案登録異議申立人は、甲第3号証の上記▲1▼の記載や第5図及び第6図に示されている「調節部材」が本件考案の「調整部材」に相当する旨主張している。 しかしながら、上記甲第3号証に記載の「スカム除去装置」は、上記▲2▼及び▲3▼の記載から明らかな如く、水面変動の追従手段としてフロート57やバー56等を別途具備するものであり、また上記▲1▼や第5図、第6図からみて、この「調節部材」は倣い部材を水平に保持調節するための部材というべきであって、本件考案の「調節部材」に相当するというには無理がある。 してみると、本件考案の少なくとも上記(ロ)の点については、上記甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証には何ら記載又は示唆するところがないから、これら証拠に基づいて当業者が極めて容易に想到することができたものとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件考案は、上記甲第1号証乃至甲第4号証に記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとすることができない。 また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-09-30 |
出願番号 | 実願平5-56221 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(B01D)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 海老原 えい子 |
特許庁審判長 |
沼澤 幸雄 |
特許庁審判官 |
山田 充 野田 直人 |
登録日 | 1998-07-17 |
登録番号 | 実用登録第2582041号(U2582041) |
権利者 |
住友重機械工業株式会社 東京都品川区北品川五丁目9番11号 |
考案の名称 | スカム除去装置 |
代理人 | 羽片 和夫 |