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審決分類 審判 一部申し立て   G06F
審判 一部申し立て   G06F
管理番号 1002408
異議申立番号 異議1998-74870  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-02 
確定日 1999-08-04 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2567448号「コンピュータシステム」の請求項13に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2567448号の請求項13に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録出願
平成3年2月28日(1991.2.28)
実用新案権の設定の登録
平成9年12月26日(1997.12.26)
実用新案登録異議の申立て
(申立人藤掛栄蔵) 平成10年10月2日(1998.10.2)
取消理由通知
平成10年11月30日(1998.11.30)
訂正の請求及び意見書提出
平成11年2月5日(1999.2.5)
訂正拒絶理由通知
平成11年2月17日(1999.2.17)
手続補正及び意見書提出
平成11年4月28日(1999.4.28)
2.訂正の請求について
(1)訂正請求書の補正
平成11年4月28日付け手続補正は、訂正請求書の訂正事項aを、
「a:…【請求項13】…上記コンピュータ本体の底面において、上記一対のガイド孔が左右に配置されるように設けられ、未使用時は、上記コンピュータ本体の底面に支持されたコネクタカバーにより覆われる第1のコネクタと、…設けられ、上記第1のコネクタが露出されて、上記コンピュータ本体が…」と補正(補正事項▲1▼)し、
同じく訂正事項cを、
「c:…請求項13に係る本考案は、…コンピュータ本体の底面において、一対のガイド孔の間に設けられ、未使用時は、上記コンピュータ本体の底面に支持されたコネクタカバーにより覆われる第1のコネクタと、…設けられ、上記第1のコネクタが露出されて、上記コンピュータ本体が…」と補正(補正事項▲2▼)し、
同じく請求の原因aを、
「▲1▼上記訂正事項aは、明細書の段落番号【0009】乃至【0011】の記載に基づくものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものである。」と補正(補正事項▲3▼)するものである。
上記補正事項▲1▼は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記補正事項▲2▼は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、上記補正事項▲3▼は、請求の理由を補正するものであるから、当該訂正請求書の補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第3項において更に準用する同法第131条第2項の規定に適合する。
(2)訂正の内容
実用新案権者が求めている訂正は、次のとおりである。
ア.実用新案登録請求の範囲の訂正
明細書の【実用新案登録請求の範囲】の【請求項13】の記載を、
「【請求項13】一対のガイド孔が設けられた底面と、キーボードを有する上面と、上記キーボードの後方において上記キーボードを覆う位置と上記キーボードを露出する位置との間で回動可能な表示部と、を有するコンピュータ本体と、上記コンピュータ本体が搭載されるとともに、上記コンピュー夕本体が搭載されたとき上記一対のガイド孔にガイドされる一対のガイドピンが設けられる搭載面を有し、上記コンピュ一夕本体に電気的に接続されて上記コンピュータ本体の機能を拡張する拡張装置と、
上記コンピュータ本体の底面において、上記一対のガイド孔が左右に配置されるように設けられ、未使用時は、上記コンピュータ本体の底面に支持されたコネクタカバーにより覆われる第1のコネクタと、
上記拡張装置の搭載面において、上記一対のガイドピンが左右に配置されるように設けられ、上記第1のコネクタが露出されて、上記コンピュータ本体が上記拡張装置の搭載面に搭載されるとき、上記一対のガイド孔と上記一対のガイドピンとのガイドにより上記第1のコネクタに電気的に接続される第2のコネクタと、を具備することを特徴とするコンピュータシステム。」と訂正する。
イ.考案の詳細な説明の訂正
段落【0003】の「ディスクトップ」及び「ディスクトップタイプ」を「デスクトップ」及び「デスクトップタイプ」と訂正し、【0008】の欄を実用新案登録請求の範囲の記載と整合を図る記載に訂正する。
(3)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張
・変更の存否
上記訂正アは、明細書の段落番号【0009】乃至【0011】の記載に基づくものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、実用新案登録明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
また、上記訂正イの段落【0003】の訂正は、誤記の訂正を目的とするものであり、段落【0008】の訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に伴って、実用新案登録明細書又は図面に記載した事項の範囲内において明細書の明りょうでない記載の釈明をしたものであり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(4)独立特許要件の判断
当審が訂正拒絶理由通知において引用した刊行物1である実願昭59-56926号(実開昭60-170831号)のマイクロフィルムの第1頁第13?16行には、
「本考案は携帯用情報機器の本体機器と、拡張側機器とのケーブルの接続構造、特に本体と拡張ユニットが上下方向に重ねられて構成される構造を有する携帯用情報機器の本体機器に関する。」と記載され、
第2頁第2?13行には、
「従来、この種の接続構造は、第4図に示す如く、上下にダイレクトにコネクタ12にて接続するか、又は、第5図に示す如く、上下を単にコネクタ付ケーブルで接続するのが通例であった。?例えば、第4図に示すダイレクト接続方法においては、上側の本体1と下側の拡張ユニット側2が上下接続のコネクタ12でダイレクトに接続しているため、外観的には極めて優れたものとなるが、反面、他の機器との接続の場合は、本体コネクタ12が下面を向いているため、使いずらい欠点を生じる。」と記載され、
第3頁第9行?第4頁第1行には、
「以下図面に示す一実施例により本考案を詳細に説明する。?図において1は携帯用コンピュータ本体、2は必要に応じて取付て使用する拡張ユニットであり、本体1は基本的に基本的に上ケース1a、下ケース1b、本体ケース側コネクタ蓋3および基板により、又拡張ユニット2においても下ケース2a、上ケース2b、拡張ユニットコネクタ蓋4により構成される」と記載されている。
また、同刊行物の第1図および第5図の記載から、コンピュータ本体がその上面にキーボードを有したものであることが、明らかである。
これらの記載を総合的に判断すると、上記刊行物1には、
「底面と、キーボードを有する上面と、を有する携帯用コンピュータ本体1と、上記携帯用コンピュータ本体1が搭載されるとともに、上記携帯用コンピュータ本体1が搭載される搭載面を有し、上記携帯用コンピュータ本体1に電気的に接続されて上記携帯用コンピュータ本体1の機能を拡張する拡張ユニット2と、
上記携帯用コンピュータ本体1の底面に設けられる本体コネクタ12と、
上記拡張ユニット2の搭載面において、上記携帯用コンピュータ本体1が上記拡張ユニット2の搭載面に搭載されるとき、上記本体コネクタ12に電気的に接続されるコネクタと、を具備することを特徴とする携帯用コンピュータシステム。」(以下引用考案という。)が記載されている。
訂正明細書の請求項13に係る考案と上記引用考案とを対比すると、
引用考案の「携帯用コンピュータ本体1」は、「コンピュータ本体」に包含されるものであり、同じく「拡張ユニット2」は、コンピュ一タ本体の機能を拡張するものであり、同じく「本体コネクタ12」は、コンピュータ本体の底面に設けられるものであり、「拡張ユニット2の搭載面において本体コネクタ12と接続されるコネクタ」は、拡張装置の搭載面に設けられるものであるから、
両者は、
「底面と、キーボードを有する上面と、を有するコンピュータ本体と、
上記コンピュータ本体が搭載される搭載面を有し、上記コンピュータ本体に電気的に接続されて上記コンピュータ本体の機能を拡張する拡張装置と、
上記コンピュータ本体1の底面に設けられる第1のコネクタと、
上記拡張装置の搭載面に設けられ、上記コンピュータ本体が上記拡張装置の搭載面に搭載されるとき、上記第1のコネクタに電気的に接続される第2のコネクタと、
を具備することを特徴とするコンピュータシステム。」
である点で一致し、
次のa)?c)の点で差異がある。
a)訂正明細書の請求項13に係る考案のコンピュータ本体が、キーボードの後方において上記キーボードを覆う位置と上記キーボードを露出する位置との間で回動可能な表示部を有するものであるのに対して、引用考案では、表示部の構成が特定されていない点
b)訂正明細書の請求項13に係る考案が、コンピュータ本体の底面のコネクタの左右に一対のガイド孔が設けられ、拡張装置のコンピュータ本体搭載面に上記ガイド孔にガイドされる一対のガイドピンが設けられているのに対して、引用考案では、ガイド孔及びガイドピンについてその有無を含めて特定されていない点
c)訂正明細書の請求項13に係る考案が、拡張装置の未使用時に、第1のコネクタを覆うコネクタカバーをコンピュータ本体の底面に設けているのに対して、引用考案では、コネクタカバーについてその有無を含めて特定されていない点上記a)?c)の差異について検討する。
a)の差異について
キーボードを覆う回動可能な表示部を有するコンピュータは、特開平1-159715号公報に示されるように周知であるから、コンピュータ本体として、キーボードの後方において上記キーボ一ドを覆う位置と上記キーボードを露出する位置との間で回動可能な表示部を有するものを採用することは、当業者が極めて容易になし得たことである。
b)の差異について
2つの回路ユニット間をコネクタを用いて接続する際に位置決め用のガイドピンとガイド孔を各ユニットに設けることは、例えば、実願昭61-115935号(実開昭63-23783号)のマイクロフィルム、実願昭63-99618号(実開平2-21491号)のマイクロフィルムに示されるように周知であるから、コンピュータ本体の底面のコネクタの左右に一対のガイド孔が設け、拡張装置のコンピュータ本体搭載面に上記ガイド孔にガイドされる一対のガイドピンが設けることは、当業者が極めて容易になし得たことである。
c)の差異について
コネクタにコネクタカバーを設けることは、周知技術である(取消理由通知で引用した刊行物1にも、コネクタカバーが記載されている。また、特開平3-208109号公報に記載されオプション機器取り付け用コネクタもコネクタカバーを有している。)から、拡張装置の未使用時に、第1のコネクタを覆うコネクタカバーをコンピュータ本体の底面に設けることは、当業者が極めて容易になし得たことである。
したがって、訂正明細書の請求項13に係る考案は、上記引用考案及び上記文献に示されるような周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、平成5年改正前実用新案法第3条2項の規定により独立して実用新案登録を受けることができないものである。
(5)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第3項においてさらに準用する同法第126条第4項の規定に適合しない。
3.実用新案登録異議の申立てについて
(1)本件考案
本件実用新案登録第2567448号の請求項13に係る考案(以下本件考案)は、設定登録時の実用新案登録請求の範囲の請求項13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「底面と、キーボードを有する上面と、上記キーボードの後方において上記キーボードを覆う位置と上記キーボードを露出する位置との間で回動可能な表示部と、を有するコンピュータ本体と、
上記コンピュータ本体が搭載される搭載面を有し、上記コンピュータ本体に電気的に接続されて上記コンピュータ本体の機能を拡張する拡張装置と、
上記コンピュータ本体の底面に設けられる第1のコネクタと、
上記拡張装置の搭載面に設けられ、上記コンピュータ本体が上記拡張装置の搭載面に搭載されるとき、上記第1のコネクタに電気的に接続される第2のコネクタと、
を具備することを特徴とするコンピュータシステム。」
(2)実用新案法第3条第2項違反について
当審が平成10年11月30日付けの取消理由通知において引用した刊行物1である実願昭59-56926号(実開昭60-170831号)のマイクロフィルム(訂正拒絶理由通知において引用した刊行物1)には、上記2.(4)で記載した次のとおりの考案(以下引用考案という。)が記載されている。
「底面と、キーボードを有する上面と、を有する携帯用コンピュータ本体1と、上記携帯用コンピュータ本体1が搭載されるとともに、上記携帯用コンピュータ本体1が搭載される搭載面を有し、上記携帯用コンピュータ本体1に電気的に接続されて上記携帯用コンピュータ本体1の機能を拡張する拡張ユニット2と、
上記携帯用コンピュータ本体1の底面に設けられる本体コネクタ12と、
上記拡張ユニット2の搭載面において、上記携帯用コンピュータ本体1が上記拡張ユニット2の搭載面に搭載されるとき、上記本体コネクタ12に電気的に接続されるコネクタと、を具備することを特徴とする携帯用コンピュータシステム。」
本件考案と上記引用考案とを対比すると、引用考案の「携帯用コンピュータ本体1」は、「コンピュータ本体」に包含されるものであり、同じく「拡張ユニット2」は、コンピュータ本体の機能を拡張するものであり、同じく「本体コネクタ12」は、コンピュータ本体の底面に設けられるものであり、「拡張ユニット2の搭載面において本体コネクタ12と接続されるコネクタ」は、拡張装置の搭載面に設けられるものであるから、
両者は、
「底面と、キーボードを有する上面と、を有するコンピュータ本体と、
上記コンピュータ本体が搭載される搭載面を有し、上記コンピュータ本体に電気的に接続されて上記コンピュータ本体の機能を拡張する拡張装置と、
上記コンピュータ本体1の底面に設けられる第1のコネクタと、
上記拡張装置の搭載面に設けられ、上記コンピュータ本体が上記拡張装置の搭載面に搭載されるとき、上記第1のコネクタに電気的に接続される第2のコネクタと、
を具備することを特徴とするコンピュータシステム。」
である点で一致し、本件考案のコンピュータ本体が、キーボードの後方において上記キーボードを覆う位置と上記キーボードを露出する位置との間で回動可能な表示部を有するものであるのに対して、引用考案では、表示部の構成が特定されていない点で差異がある。
しかし、キーボードを覆う回動可能な表示部を有するコンピュータは、例えば特開平1-159715号公報に示されるように周知であるから、コンピュータ本体としてキーボードを覆う回動可能な表示部を有するものを採用することは、当業者が極めて容易になし得たことである。
したがって、本件考案は、上記引用考案及び上記文献に示されるような周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、平成5年改正前実用新案法第3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件の請求項13に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項13に係る実用新案登録は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-06-09 
出願番号 実願平3-10297 
審決分類 U 1 652・ 121- ZB (G06F)
U 1 652・ 856- ZB (G06F)
最終処分 一部取消    
前審関与審査官 田中 貞嗣今井 義男  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 鈴野 幹夫
高松 猛
登録日 1997-12-26 
登録番号 実用登録第2567448号(U2567448) 
権利者 株式会社東芝
神奈川県川崎市幸区堀川町72番地
考案の名称 コンピュータシステム  
代理人 外川 英明  

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