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審決分類 審判 全部申し立て   G06F
審判 全部申し立て   G06F
審判 全部申し立て   G06F
管理番号 1004024
異議申立番号 異議1998-73586  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-07-21 
確定日 1999-08-04 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2559687号「電子機器」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2559687号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録出願
平成3年3月15日(1991.3.15)
拒絶理由通知
平成9年1月28日(1997.1.28)
手続補正及び意見書提出
平成9年3月31日(1997.3.31)
実用新案権の設定の登録
平成9年9月19日(1997.9.19)
実用新案登録異議の申立て
(申立人末岡 定) 平成10年7月21日(1998.7.21)
取消理由通知
平成10年10月27日(1998.10.27)
訂正の請求及び意見書提出
平成11年1月19日(1999.1.19)
訂正拒絶理由通知
平成11年2月9日(1999.2.9)
意見書提出
平成11年4月27日(1999.4.27)
2.訂正の請求について
(1)訂正の内容
実用新案権者が求めている訂正は、次のとおりである。
ア.実用新案登録請求の範囲の訂正
明細書の実用新案登録請求の範囲の記載を、
「【請求項1】装置本体上面に入力部と表示部とを有する電子機器であって、前記電子機器の底面に光通信を行う外部拡張装置を着脱可能に設置可能な構造とし、前記外部拡張装置は、操作者側に位置する底面に指の形状に合わせた円弧状の傾斜部を形成し、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部を位置するよう取り付けることを特徴とする電子機器。」と訂正する。
イ.考案の詳細な説明の訂正
a.段落【0004】中の「前記外部拡張装置の取り付けにより、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部を形成した」を、「前記外部拡張装置は、操作者側に位置する底面に指の形状に合わせた円弧状の傾斜部を形成し、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部を位置するよう取り付ける」と訂正する。
b.段落【0007】中の「以上説明したように、」及び「外部拡張装置の操作者側に位置する底面に、円弧状の傾斜部を形成する」を、「以上説明したように、本考案では、」及び「外部拡張装置の操作者側に位置する底面に指の形状に合わせた円弧状の傾斜部を形成する」と訂正する。
(2)訂正の適否の判断
上記訂正の内容に含まれる「指の形状に合わせた円弧状の傾斜部を形成」する点は、願書に添付した明細書又は図面(登録明細書又は図面)に記載されておらず、かつこれらから、直接的かつ一義的に導き出せる事項でもない。すなわち、登録明細書には、指の形状に関する記載はまったく見られず、また、図面にも、傾斜部と指との関係を示す部分は記載されていないから、上記点を付加する訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第3項においてさらに準用する同法第126条第2項の規定に適合しない。
なお、実用新案権者は平成11年4月27日付け意見書において、『登録明細書から「指の形状に合わせた円弧状の傾斜部を形成する」の記載が削除されているのは、「指の形状に合わせた円弧状の傾斜部を形成する」が【考案の効果】として記載されており、補正後の【実用新案登録請求の範囲】と整合性をとる為に削除したものであり、実施例から削除することを意図したものではない』から、本件訂正は、特許法第126条第2項の規定に違反するものではない旨主張しているので、検討する。
「指の形状」に関しては、出願当初の明細書の【考案の効果】の欄にのみ記載され、平成9年3月31日付け手続補正によって削除されたものであるから、実施例から削除したものと判断するのが相当であり、しかも、明細書又は図面の訂正は、願書に添付した明細書又は図面(登録明細書又は図面)に記載した事項の範囲内においてしなければならないものであるから、上記実用新案権者の主張は採用できない。
3.実用新案登録異議の申立てについて
(1)本件考案
本件実用新案登録第2559687号の請求項1及び2に係る考案(以下単に「請求項1に係る考案」及び「請求項2に係る考案」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものと認める。
【請求項1】装置本体上面に入力部と表示部とを有する電子機器であって、前記電子機器の底面に、光通信を行う外部拡張装置を着脱可能に設置可能な構造とし、前記外部拡張装置は、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部が位置するように取り付けられることを特徴とする電子機器。
【請求項2】前記外部拡張装置の操作者側に位置する底面に、円弧状の傾斜部を形成することを特徴とする請求項1の電子機器。
なお、本件登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1には、「【請求項1】装置本体上面に入力部と表示部とを有する電子機器であって、前記電子機器の底面に、光通信を行う外部拡張装置を着脱可能に設置可能な構造とし、前記外部拡張装置の取り付けにより、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部が形成したことを特徴とする電子機器。」と記載されているが、「前記外部拡張装置の取り付けにより、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部を形成した」点は、登録明細書の考案の詳細な説明には記載されていないため、上記記載は、外部拡張装置を本体に取り付けたときの光通信窓部の位置を特定したものと認め、請求項1に係る考案を上記事項により特定されるものと認定した。
(2)実用新案法第3条第2項違反について
当審が平成10年10月27日付けの取消理由通知において引用した特開昭60-246467号公報の第1頁右下欄第3-6行には、
「本発明は携帯型情報処理装置に関し、特に操作入力部に印刷出力部と光通信部とを選択して装着可能とした、ハンディタイプの携帯型情報処理装置に関するものである。」と、記載され、
同第2頁右上欄第7-12行には、
「操作入力部に光通信を行う光通信部と、プリンタ部とを任意に差し換え装着可能とすることにより、ハンディタイプの1台の小型情報処理装置において必要に応じて光通信処理と、プリントアウト処理を選択実行可能な携帯型情報処理装置を提供することを目的とする。」と記載され、
同第2頁左下欄第1行-同頁右下欄第8行には、
「第1図(A)は本発明に係る光通信部を装着した一実施例の平面図、第1図(B)は本実施例の上面図である。
図中、1は、情報処理装置本体部、2は光通信部、3は光通信部の発光/受光面、4は電源スイッチ、5は表示部である。?
また、6はキーボードであり、テンキーボードを中心にアルファベット及び22のファンクションが入力可能となっている。?この本体部1と光通信部2は不図示のコネクタ及びネジ8a、8bにより互いに接続固定されている。
本実施例の光通信部2の発光/受光面の外観を第1図(C)に示す。
図の20は受光面であり本実施例では受光面20のレンズにより光を収束させPINフォトダイオードで受光している。21は発光素子を示し、本実施例では発光素子21は8個のLEDで構成されており、光の出力量及び光ビーム角を広くして通信の信頼性向上を図っている。」と記載されている。
また、第1図(A)(B)(C)を参考にすると、表示部5及びキーボード6は、情報処理装置本体部1の上面に設けられ、光通信部2は、本体部1の操作者に対して前方側部に取り付けられ、光通信部2の発光/受光面3は、情報処理装置本体部1と接続されたときの操作者の前方側面に窓状に形成されている。
以上の記載を総合的に判断すると、上記公報には、
〈ハンディタイプの携帯型情報処理装置であって、上面に表示部5とキーボード6とを有する情報処理装置本体部1と、本体部1の操作者の前方側部に光通信部2が差し換え装着可能となっており、光通信部2は、本体部1と接続されたときの操作者の前方側面に窓状の発光/受光面3を備えているハンディタイプの携帯型情報処理装置。〉(以下単に「引用考案」という。)
が記載されている。
請求項1に係る考案と引用考案とを対比すると、引用考案の「ハンディタイプの携帯型情報処理装置」は、電子機器に包含されるものであり、同じく「光通信部」は、情報処理装置本体の外部に取り付けられて機能拡張を行うものであるから、
両者は、
〈装置本体上面に入力部と表示部とを有する電子機器であって、光通信を行う外部拡張装置を着脱可能に設置可能な構造とし、前記外部拡張装置は、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部が位置するように取り付けられることを特徴とする電子機器。〉
である点で一致し、
請求項1に係る考案では、外部拡張装置が装置本体の底面に設置されるのに対して、引用考案では、本体部の前方側部に設置される点で差異がある。
しかし、外部拡張装置の取付け位置は、本体及び拡張装置の操作性、拡張装置の着脱容易性等を考慮して適宜選択できる設計的事項であり(携帯型電子機器の底面に取り付けるもの、及び前面、側面、底面に取り付けるものは、それぞれ取消理由通知で引用した実願昭62-22132号のマイクロフィルム(実開昭63-130817号)又は実願昭59-56926号のマイクロフィルム(実開昭60-170831号)、及び実願平1-599号のマイクロフィルム(実開平2-92518号)に示されているので必要なら参照のこと。)、しかも上記引用考案において外部拡張装置を本体底面に取り付けることを妨げる格別の理由もないから、光通信を行う外部拡張装置を本体の底面に設けることは、当業者が極めて容易になし得たことである。
したがって、請求項1に係る考案は、特開昭60-246467号公報に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、平成5年改正前実用新案法第3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
(3)実用新案法第5条第4項違反について
当審が平成10年10月27日付けの取消理由通知で通知した理由は、
「本件実用新案登録明細書には、円弧状傾斜部の構成が具体的に記載されておらず、かつどのように使用されるのか記載されていないため、明細書の段落【0007】の【考案の効果】に記載される「装置底面のケースのホールド感が向上して、片手の指示が可能になり、携帯性が向上する。」という目的を達成できる理由及びそのための構成が不明であり、従って、請求項2に係る考案を当業者が容易に実施できるように、考案の目的、構成及び効果が記載されているものとは認められず、平成5年改正前実用新案法第5条第4項に規定する要件を満たしていない。」、というものである。
上記理由について詳細に検討する。
「円弧状の傾斜部」に関連する記載として、登録明細書の段落【0006】には、
「図6は操作者が光通信ユニット2を本体1に取り付けた状態で手に持った状態を示している。」と記載され、
段落【0007】には、
「外部拡張装置の操作者側に位置する底面に、円弧状の傾斜部を形成することで、装置底面のケースのホールド感が向上して、片手の指示が可能になり、携帯性が向上する。」と記載され、
【図面の簡単な説明】の【符号の説明】の欄には、「18 円弧状傾斜部」と記載されている。
また、図6及び図7には、底面に傾斜部18を有する光通信ユニット2を取り付けたハンディターミナルが記載されている。
しかし、上記登録明細書又は図面の記載からは、傾斜部の具体的な構成、特に支持する片手との関係においてどのようなものかが把握できない。
したがって、実用新案登録明細書には、「円弧状の傾斜部」を考案の構成に欠くことができない事項として有する請求項2に係る考案を当業者が容易に実施できるように、考案の目的、構成及び効果が記載されているものとは認められず、該明細書は、平成5年改正前実用新案法第5条第4項に規定する要件を満たしていない
(4)実用新案法第3条第1項違反について
本件実用新案登録に係る考案についての実用新案登録出願(以下本件出願という。)の明細書についてした平成9年3月31日付け手続補正は、出願当初の明細書の【考案の効果】欄の「また、図6のように、光通信ユニットの底面に指の形状に合わせた円弧状傾斜部18を持たせることにより、装置底面のケースのホールド感が向上して、片手の支持が可能となり、携帯性が向上する効果がある。」を「また、外部拡張装置の操作者側に位置する底面に、円弧状傾斜部を形成することで、装置底面のケースのホールド感が向上して、片手の支持が可能となり、携帯性が向上する効果がある。」と補正することを含むものである。そして、この補正により、請求項2に記載された「円弧状傾斜部」には、「指の形状に合わせた円弧状傾斜部(この傾斜部の構成自体具体的にどのようなものか不明であるが)」以外の円弧状傾斜部を含むことになる。しかし、出願当初の明細書及び図面には、「指の形状に合わせた円弧状傾斜部」以外の傾斜部については何ら記載されておらず、しかも、そのような傾斜部を設けることは、出願当初の明細書及び図面の記載から自明な事項とも認められない。
したがって、この補正は、明細書の要旨を変更するものであるから、平成5年改正前実用新案法第9条第1項において準用する平成5年改正前特許法第40条の規定により、本件出願の出願日は、手続補正書を提出した平成9年3月31日とみなされる。
一方、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願平3-15336号のマイクロフィルム(実開昭4-111610号)には、〈装置本体上面に入力部と表示部を有する電子機器であって、前記電子機器の底面に、光通信を行う外部拡張装置を着脱可能に設置可能な構造とし、前記外部拡張装置は、前記外部拡張装置の操作者に対して前方に位置する側面に光通信窓部が位置するように取り付けられるとともに、前記外部拡張装置の操作者側に位置する底面に、円弧状の傾斜部を形成する操作者に対して前方に光通信窓部を有るものである小型電子機器〉が記載されている。
したがって、請求項1及び2に係る考案は、上記刊行物に記載された考案であって、平成5年改正前実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1及び2に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであり、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-06-09 
出願番号 実願平3-15336 
審決分類 U 1 651・ 113- ZB (G06F)
U 1 651・ 841- ZB (G06F)
U 1 651・ 121- ZB (G06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 今井 義男田中 貞嗣  
特許庁審判長 丸山 光信
特許庁審判官 鈴野 幹夫
高松 猛
登録日 1997-09-19 
登録番号 実用登録第2559687号(U2559687) 
権利者 キヤノン株式会社
東京都大田区下丸子3丁目30番2号
考案の名称 電子機器  
代理人 草野 浩一  
代理人 丸島 儀一  
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