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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1004028
異議申立番号 異議1997-75935  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-12-18 
確定日 1999-08-11 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2538546号「ティシューペーパー入りカートン取出口構造」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2538546号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2538546号は、平成5年3月29日に出願され、平成9年4月4日に設定登録されたものである。
これに対して、平成9年12月18日に登録異議申立人株式会社クレシアより登録異議の申し立てがなされ、この異議申し立ての理由に沿って当審より平成10年3月2日付け取消理由が通知され、その後実用新案権者より平成10年5月19日付け実用新案登録異議意見書が提出された。この意見書の内容及び上記異議申し立ての内容から証拠を明瞭にすべく、平成11年2月24日に口頭審理及び証拠調べが行われた。
2.本件登録の請求項1及び2に係る実用新案
実用新案登録明細書の、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものである。
「[請求項1]上面中央部にティシューペーパー取出口の形状を定める切り取り線を有する箱本体の内部に、積層されたティシューペーパーを収容しているティシューペーパー入りカートンにおいて、
前記箱本体上面の内側にスリットを有するフィルムを備えることなく、前記ティシューペーパー取出口の形状が、箱本体上面長手方向に細長く、少なくとも前記長手方向端部は2辺で囲まれて60?170度の角度をもち、
ティシューペーパーをポップアップした後、次のティシューペーパーを、前記取出口の長手方向両端部によって直接的に保持するようにしたことを特徴とするティシューペーパー入りカートン取出口構造。
[請求項2]前記長手方向端部に形成された2辺は、交点から終点までの取出口長手方向に沿う長さが1.0?2.0cmであり、2辺の終点を結ぶ幅方向長さが1.5?3.0cmである請求項1記載のティシューペーパー入りカートンの取出口構造。」
3.登録異議の申し立て
これに対し登録異議申立人は、甲第1号証乃至甲第12号証を提出し、また証人羽場裕文、田辺幹夫、金子光得の三名の証人尋問を求めて、本件実用新案登録の請求項1及び請求項2に係る考案は、実用新案法第3条第1項第1乃至第3号の規定により、その登録は取り消すべきであると主張している。
4.甲第1号証乃至甲第12号証
1)甲第1号証・・・商品名「クリネックスティシューVIP」のカタログ
2)甲第1号証の1・・・十條キンバリー株式会社 社内報「しのは」第138号 平成2年11・12月合併号写し
3)甲第2号証・・・甲第1号証のカタログの製作、納入証明書
4)甲第3号証の1・・・クリネックステイシューVIPの購入、販売証明書
5)甲第3号証の2・・・クリネックステイシューVIPの購入、販売証明書
6)甲第3号証の3・・・クリネックステイシューVIPの購入、販売証明書
7)甲第3号証の4・・・クリネックスティシューVIPの購入、販売証明書
8)甲第3号証の5・・・物品受領書(伝票)写し
9)甲第4号証・・・商品名「クリネックスティシューVIP」のカートンの実物見本の展開状況を示すカラーコピー
10)甲第5号証・・・商品名「業務用REG(ホワイト)」のカートンの設計図
11)甲第6号証・・・東京硝子機器株式会社発行の「’88/1989科学機器総合カタログ」P.694写し(発行日 昭和63年(1988年)10月)
12)甲第7号証・・・十條キンバリー株式会社発行(1987年11月発行)の業務用製品カタログ
13)甲第7号証の1・・・防衛庁共済組合市ヶ谷会館所属所長(澤田和彦氏)と米山加工資材株式会社との間で締結された単価契約書写し
14)甲第8号証・・・商品名「クリネックスティシュー[ホワイト]」のカートンの実物見本の展開状態を示すカラーコピー
15)甲第9号証・・・甲第7号証のカタログの製作、納入証明書
16)甲第10号証・・・十條キンバリー株式会社によるカタログ「業務用製品ご案内」(1987年6月発行)
17)甲第10号証の1・・・甲第10号証のカタログの製作、納入証明書
18)甲第10号証の2・・・甲第10号証に示される商品名「クリネックスティシュー」のカートンの展開状態を示すカラーコピー
19)甲第11号証の1乃至甲第11号証の4・・・甲第10号証に示される商品名「クリネックスティシュー」の購入、販売証明書
20)甲第12号証・・・人証(尋問事項)
(1)証人・・・羽場裕文
(2)証人・・・田辺幹夫
(3)証人・・・金子光得
5.取消理由の概要
異議申立人の提出した証拠及び取消理由に沿って、当審より実用新案権者に取消理由が通知された。その概要は
1)本件請求項1に係る考案についての実用新案登録は、甲第1号証及び甲第3号証の5の証拠からみて、実用新案法第3条第1項第2号の規定に該当する考案に対してなされたものであって、取り消されるべきものである。
2)本件請求項2に係る考案についての実用新案登録は、甲第1号証、甲第3号証の5及び甲第4号証の証拠からみて、実用新案法第3条第2項の規定に該当する考案に対してなされたものであって、取り消されるべきものである。
と言うにある。
6.実用新案権者の反論
上記取消理由に対し、実用新案権者は、実用新案登録異議意見書において乙第1号証を提出して、
1)甲第1号証に示されたティシューペーパー入りカートンにおいて、箱本体上面の内側にスリットを有するフィルムを備えていないとの認定は誤りである。
2)甲第4号証は、ティシューペーパー取出口の形状を示すとしても、箱本体上面の内側にスリットを有するフイルムを有するか否かの証拠ではない。
と反論している。
7.口頭審理及び証拠調べの結果
登録異議申立人の登録異議申立書及び実用新案権者の実用新案登録異議意見書に基づいて双方の主張及び証拠を整理するための口頭審理及び証拠調べが行われた。その結果は次のようなものである。
1)クリネックスティシューVIPの製造・販売について
甲第1号証に示された商品クリネックスティシューVIPは、平成2年11月頃に発売開始されたことが認められる(証人調書(田辺幹夫)第2乃至3頁第8項、第7頁第32項、及び同第35項の証言による。)。
2)スリットを有するフィルムの有無について
業務用として販売されるクリネックスティシューVIPのカートンの取り出し口の裏には、フィルムは貼られていなかったことが認められる(証人調書(田辺幹夫)第4頁第14項、第5頁第20項、及び第14頁第80項の証言、及び証人調書(金子光得)第4頁第19項、第5頁第23項、及び第13頁第78項の証言による。)。
この事実により、実用新案権者の実用新案登録異議意見書における前記6.の1)及び2)の主張は理由のないものである。
3)クリネックスティシューVIPの形状について
甲第1号証に示された商品クリネックスティシューVIPは、平成2年11月頃の発売以来、カートンの取り出し口の形状及びデザイン(模様、色彩)の変遷はない(口頭審理調書、陳述の要領における異議申立人、1の2)の▲3▼の陳述、及び証人調書(金子光得)第13頁第77項及び第21頁第130項の証言による。)。
また、甲第4号証の業務用である平成2年11月頃に販売開始された、クリネックスティシューVIPの箱本体の上面中央部における、ティシューペーパー取出口の形状を定める切り取り線の形状は、1984年の取り出し口の改良以降業務用として販売されたレギュラーサイズのデザイン花柄(甲第10号証の2)、レギュラーサイズのデザイン、グレーストライプ(甲第8号証)のものとほぼ同じであるとの証言に基づき(口頭審理調書、陳述の要領における異議申立人、1の2)の▲3▼の陳述、及び証人調書(田辺幹夫)第10頁第51項、第11頁第60項の証言、及び証人調書(金子光得)第13頁第77項、第21頁第130乃至133項の証言による。)、当合議体においてクリネックスティシューVIP(甲第4号証)、レギュラーサイズのデザイン花柄(甲第10号証の2)及びレギュラーサイズのデザイン、グレーストライプ(甲第8号証)の各カートンのカラーコピーにおける、箱本体上面中央部に位置しているティシューペーパー取出口の形状を定める切り取り線の形状について実測したところ、計測上の誤差を除けば、それらのティシューペーパー切り取り線の形状はほぼ同じであった。また、その切り取り線の形状と実測値は、「ティシューペーパー取出口の形状が、箱本体上面長手方向に細長く、少なくとも前記長手方向端部は2辺で囲まれて90度前後の角度をもち、箱本体長手方向端部に形成された2辺は、交点から終点までの取出口長手方向に沿う長さが0.7cmであり、2辺の終点を結ぶ幅方向長さが1.5cm」であった。
4)ティシューペーパーのポップアップ時態様
甲第1号証に示された商品クリネックスティシューVIPの使用態様及び証人金子光得の証言(証人調書(金子光得)第17頁第103項乃至第18頁第110項、第19頁第116乃至117項)によれば、積層されたティシューペーパーをポップアップした後、次のティシューペーパーを、取出口の長手方向両端部によって直接的に保持する事実が認められる。
以上の1)?4)の事実を総合すると、「上面中央部にティシューペーパー取出口の形状を定める切り取り線を有する箱本体の内部に、積層されたティシューぺーパーを収容しているティシューペーパー入りカートンにおいて、
前記箱本体上面の内側にスリットを有するフイルムを備えることなく、前記ティシューペーパー取出口の形状が、箱本体上面長手方向に細長く、少なくとも前記長手方向端部は2辺で囲まれて90度前後の角度をもち、
箱本体長手方向端部に形成された2辺は、交点から終点までの取出口長手方向に沿う長さが0.7cmであり、2辺の終点を結ぶ幅方向長さが1.5cmであり、
ティシューペーパーをポップアップした後、次のティシューペーパーを、前記取出口の長手方向両端部によって直接的に保持するようにしたティシューペーパー入りカートン取出口構造。」のものが、本件登録に係る出願の出願前である平成2年11月頃より公然と実施されていた(以下、「公然実施された考案」という。)とする他ない。
8.本件請求項1に係る考案について
1)対比・判断
本件請求項1の考案と、上記公然実施された考案を対比すると、格別に相違する点が認められない。
したがって、本件請求項1に係る考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第2号の規定に該当するものに対してなされたものであって、取り消すべきものである。
9.請求項2に係る考案について
1)対比・判断
本件請求項2に係る考案と公然実施された考案を比較すると、請求項2に係る考案の、交点から終点までの取出口長手方向に沿う長さが1.0?2.0cm、であるのに対し、公然実施された考案は、交点から終点までの取出口長手方向に沿う長さが0.7cmである点で相違しており、本件請求項2に係る考案が、公然実施された考案と同一であると言うことはできないが、この寸法の差異は当業者であれば適宜行う設計変更程度のものであるから、請求項2に係る考案は、該公然実施された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
したがって、本件請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に該当するものに対してなされたものであり、その実用新案登録は取り消すべきものである。
10.まとめ
以上のように、本件請求項1に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第2号の規定により、また請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定によりそれぞれ拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認められ、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-06-18 
出願番号 実願平5-14904 
審決分類 U 1 651・ 121- Z (B65D)
U 1 651・ 112- Z (B65D)
最終処分 取消    
前審関与審査官 加藤 昌人  
特許庁審判長 米田 昭
特許庁審判官 三原 彰英
祖山 忠彦
登録日 1997-04-04 
登録番号 実用登録第2538546号(U2538546) 
権利者 大王製紙株式会社
愛媛県伊予三島市紙屋町2番60号
考案の名称 ティシューペーパー入りカートン取出口構造  
代理人 箕浦 清  
代理人 永井 義久  

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