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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1004064
異議申立番号 異議1998-72189  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-27 
確定日 1999-06-28 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2552023号「わさび包装体」の請求項1ないし5に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2552023号の請求項1ないし5に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2552023号に係る考案は、平成5年8月26日に出願され、平成9年7月4日に設定登録され、その後、申立人相模庚司より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年10月5日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(訂正明細書の請求項1に係る考案)
本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。「刺身、そば等の料理に盛り付けるわさびにおいて、わさびを樹脂フィルムで円錐又は多角錐形状に形成した外装体に充填すると共に、該外装体底部に下蓋を離脱可能に設けて、1人分のわさびを三角形状の小塊として盛り付け状態のまま包装する様にしたことを特徴とするわさびの包装体。」
(引用刊行物記載の考案)
訂正明細書の請求項1に係る考案に対し、当審が通知した訂正拒絶理由において引用した刊行物1〔実願昭62-34067号(実開昭63-142159号)のマイクロフィルム〕には、食品用の型兼用蓋について次のように記載されている。
(a)実用新案登録請求の範囲
「開口を有し、該開口側を下にして伏せて蓋として用いる箱状の蓋本体からなり、該蓋本体の内壁面は、当該本体内に押し込めた食品の型取りのための型取り面を構成し、これと共に型取られた前記食品を前記蓋本体を伏せた状態で当該内壁面と分離させるための抜き勾配を有することを特徴とする食品用の型兼用蓋。」
(b)作用の項
「このような構成の食品用の型兼用蓋によれば、蓋本体内に食品を押し込めてから、蓋本体の開口側を下にして蓋本体を伏せて蓋として用いることによって食品を蓋本体と蓋本体を載置した例えば皿とで取り囲むことが出来、その結果食品の変質を抑制することが出来る。」
(c)第4頁第1行?6行
「10は箱状の蓋本体を示し、この蓋本体10は開口12を有し、蓋本体10を開口12の側を下にして伏せて蓋として用いる。容器本体10の形成材料としては、従来より食品用容器の形成材料として用いられている材料例えば軟質プラスチックを用いる。」
(d)第4頁第7行?18行
「蓋本体10の内壁面14は、蓋本体10の内に押し込めた食品例えばワサビの型取りのための型取面16を構成する。
これと共に蓋本体10の内壁面14は、型取られた食品を蓋本体10を伏せた状態で内壁面14と分離させるための抜き勾配を有する。
・・・
・・・蓋本体10の外表面を円錐面状に形成した・・・」
(e)第5頁第4行?第6頁第9行
「またこの実施例では、蓋本体10の内壁面14の一部を型取面16として構成したが、蓋本体10の全部を型取面16として構成してもよい。型取面16は押し込めた食品の型取り形状に応じて任意好適に構成することが出来る。
・・・
まず、第2図(A)に示すように、ワサビ18を開口12を上向けた状態で容器本体10の中へ例えばヘラを用いて所要量だけ押し込め、よって型取面16に押し付けて型取る。尚、図中ワサビ18を点線および点で示した。
然る後 第2図(B)に示すように、開口12を下に向けて蓋本体10をワサビ18と共に例えば料理の盛り付け皿の上に置く、押し込めた食品がワサビである場合には、ワサビ18と内壁面とが容易に分離するので、ワサビ18は蓋本体10を皿に置いた衝撃で或いは蓋本体10をその外側から指先で叩いた衝撃で容易に内壁面14と分離し、皿上に落ちる。
内壁面14との分離が容易に行えない食品の場合には、例えば蓋本体10を、指で変形させることが出来かつ指を離すと形状が元に戻るように膜厚を任意好適に設定して軟質プラスチックから、形成すると良い。」
(f)第7頁第16行?第19行
「この考案の食品用の型兼用蓋によれば、食品の変質特にワサビの水分の蒸発や香りや気の抜けを防止出来、かつ食品の型取りも行える。」
刊行物2(特開平3-266947号公報)には、盛り付け食品用包装体について次のように記載されている。
(a)特許請求の範囲(1)
「透明又は半透明容器に対して盛り付け順序と逆の順序で食品を充填し、次にこの食品を充填した容器の口に蓋材をシールして密封する盛り付け食品の包装方法。」
(b)第2頁左上欄第10行?17行
「・・・容器の材料はプラスチック、アルミ、硬質の紙材等自由であり、これらの材質の中から充填する食品によって適当なものが選択される。
形状は、これも自由であるが、盛り付け時に容器を逆さにして自然に落下(あける)ことが必要なため、ドーム状、逆円錐状、逆四角錐状等のように、内面にテーパ付のものが最適である。」
(c)第2頁右上欄第17行?同左下欄第18行
「7は容器1の口6にヒートシールされた蓋材にして、摘み8を摘んで容易に剥離することができる。
・・・
第3図は、皿状に形成した蓋材7の実施例にして、剥離した蓋材を皿として用いることができるものである。」
(対比・判断)
訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1に記載された考案とを対比する。
まず、刊行物1に記載された考案についてみるに、刊行物1には、蓋本体はプラスチック製でもよいことが記載されており、蓋本体10の内壁面14は、型取られた食品を蓋本体10を伏せた状態で内壁面14と分離させるための抜き勾配を有し、蓋本体10の外表面は円錐面状に形成されていると記載されていることからみて、刊行物1記載の容器本体(蓋本体)はプラスチック製でワサビの盛り付け状態からみて逆円錐面を有しているものと認められる。また、刊行物1記載の考案における「型兼用蓋」も、請求項1記載の考案における「外装体」もわさびを充填するものであり、何れも容器本体とみることができる。それ故に、訂正明細書の請求項1に係る考案は、刊行物1に記載された考案と比較して、次の点において相違し、その他の点において一致しているものと認められる。
(1)わさびが、訂正明細書の請求項1に係る考案においては、樹脂フィルムで円錐又は多角錐形状に形成した容器本体(外装体)と離脱可能な下蓋により包装されているのに対して、刊行物1記載の考案においては、逆円錐面を有する容器本体(型兼用蓋)に充填されている点。
(2)訂正明細書の請求項1に係る考案においては一人分のわさびを三角形状の小塊として盛り付け状態のまま包装するようにした点。
そこで、これらの点について検討する。
〔相違点(1)について〕
刊行物1には、蓋本体内に食品を押し込めてから、蓋本体の開口側を下にして蓋本体を伏せて蓋として用いることによって食品を蓋本体と蓋本体を載置した例えば皿とで取り囲むことが出来、その結果食品の変質を抑制することが出来ること、および食品の変質特にワサビの水分の蒸発や香りや気の抜けを防止できることが記載されていることからみて、刊行物1には容器本体(蓋本体)の下部開口部を何らかの手段により閉塞することによってワサビの空気との接触を少なくしてその香りや気の抜けを防止し得ることが示唆されているものと認められる。
また、刊行物2記載の蓋材7は、食品の盛り付け状態からみて下蓋とみることができるから、刊行物2には、内面テーパ付きの逆円錐状、逆四角錐状等の容器本体と下蓋とにより、食品を盛り付け状態のまま包装する包装体が開示されていたものと認められる。
そして、刊行物1記載の考案における容器本体(蓋本体)も、刊行物2記載の考案における容器本体も、共に食品を盛り付け状態のまま充填するものであるという点においては共通のものである。
したがって、刊行物1記載の考案について、わさびを、逆円錐面を有する容器本体(蓋本体)に充填することに代えて、逆円錐状または逆四角錐状の容器本体と下蓋により包装することは、わさびを密封包装体とすることによる利便性に配慮し、刊行物2記載の考案に倣って、当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。
〔相違点(2)について〕
刊行物1に記載の考案におけるワサビの盛り付け状態についてみると、容器本体(蓋本体)は逆円錐面を有していることからみて、ワサビは三角形状の小塊として盛り付けられており、また、料理の盛り付け皿の上に置かれるものであることからみて、盛り付け皿の料理に見合った量のワサビが盛り付けられているものと認められる。
ところで、ワサビ、辛子、ジャム等の調味料類を一人1回分というような単位量に小分けして小袋や小容器に包装することは本件の出願前に周知の事項である(必要なら、特開平2-19278号公報等を参照されたい。)。
してみると、刊行物1記載の考案につき、わさびを密封包装するに当たり、わさびの量を料理一皿分に見合う小塊として包装するか、1人分の小塊として包装するかは、当業者が適宜になし得る設計的事項と認められる。
そして、訂正明細書の請求項1に係る考案が、刊行物1及び刊行物2に記載された考案の効果の総和以上の格別顕著な効果を奏することができたものとも認められない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、刊行物1及び刊行物2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
(むすび)
以上のとおりであるから、当該訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用される、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.実用新案登録異議申立てについての判断
〔請求項1?5に係る考案〕
請求項1?5に係る発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1?5に記載された次の事項によって特定されるとおりのものである。
「【請求項1】刺身、そば等の料理に盛り付けるわさびにおいて、わさびを樹脂フィルムで円錐又は多角錐形状に形成した外装体に充填したことを特徴とするわさびの包装体。
【請求項2】わさびを充填した外装体底部に下蓋を離脱可能に設けたことを特徴とする請求項1記載のわさび包装体。
【請求項3】下蓋を外装体下部に周設一体化した鍔部と同一形状と成すと共に下蓋裏面に折罫部を設けたことを特徴とする請求項2のわさび包装体。
【請求項4】下蓋の折爪突片裏面に折罫部を設けたことを特徴とする請求項3のわさび包装体。」
【請求項5】下蓋に外装体下縁部より突出する舌片を設けたことを特徴とする請求項2のわさび包装体。」
〔取消理由通知の概要〕
請求項1に係る考案は、刊行物1に記載された考案であり、請求項2?5に係る考案は、刊行物1、刊行物2、刊行物3および刊行物4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1?5に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号ないしは第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号に該当する。
〔刊行物記載の考案〕
当審が通知した取消理由に引用された刊行物1?4は、同じく当審が通知した訂正拒絶理由に引用した刊行物1?4と同一の刊行物であり、刊行物1及び2には、上記訂正の適否についての判断において示したとおりの考案が記載されている。
刊行物3〔実願昭60-6877号(実開昭61-123085号)のマイクロフィルム〕には、寒天状食品の容器について次のように記載されている。
(a)第4頁第5行?第15行
「この考案に係る寒天状食品の容器によれば、環状壁の任意の位置を外側(場合により内側でも可)へ押し倒してスコアの一部を破断した後、順次環状壁を押し倒してスコアを全周に亘って破断することにより、容器が開口部側と底部側の2つに分割される。そこで底部に通気口を設けると共に容器を上下逆にして底部側を分離すれば、開口部側の蓋板が恰も皿のようになって、該蓋板の上に内容食品が盛り付けられることとなる。前記において、通気孔を設けなくとも取り出し得る場合もある。」
刊行物4(特開昭63-236634号公報)には、易開封性ヒートシール蓋ついて次のように記載されている。
(a)第3頁左上欄第4行?6行
「開封に際しては、ヒートシール蓋1の一端部に設けられた剥離開始部7から蓋基材2を上方に引張る。・・・」
(b)第5頁左上欄第1行?5行
「・・・第5図に示すとおり、容器フランジ部13及び蓋内面材4を通して蓋基材2の表面に迄達するノッチ15を設け、このノッチの部分を折曲げることにより開封開始部が形成されるようにしてもよい。」
〔対比・判断〕
(請求項1及び2に係る考案について)
まず、請求項1に係る考案を特定する事項をすべて含む請求項2に係る考案について検討する。請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案の外装体底部に下蓋を離脱可能に設ける点を特定するものであるけれども、この点は、上記訂正拒絶理由通知において示した理由と同様の理由により、上記刊行物1および2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
また、請求項1に係る考案は、上記請求項2に係る考案から限定を除去した考案に相当するから、上記請求項2に係る考案についての判断で示したのと同様の理由により、上記刊行物1及び2に記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に推考しうる程度のものと認められる。
よって、請求項1及び2係る考案は刊行物1及び2記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、請求項1及び2に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
(請求項3に係る考案について)
蓋を容器本体に周設一体化した鍔部と同一形状と成すことは、例えば刊行物4の第5図にみられるように本件の出願前周知の事項であり、また、鍔部のある容器本体に蓋を接着した容器の鍔部裏面にスコアを設けることは、例えば刊行物3にみられるように、本件出願の出願前公知の事項である。
また、スコアを鍔部側に設けるか蓋側に設けるかは、蓋を取るときのスコア部分の折曲げ方向とか、材料の厚さ等を考慮して決めうる設計的事項と認められる。
そして、刊行物3に記載のスコアは折罫部と実質的に同一のものと認められる。
したがって、刊行物1に記載のものについて下蓋を設けるに当たり、容器本体下部に周設一体化した鍔部を設け、下蓋をこの鍔部と同一形状と成すと共に下蓋裏面に折罫部を設けることは、開封可能な蓋を設けるに当たり常用されている手段を採用したというに相当し、当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。
よって、請求項3に係る考案は刊行物1?4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、請求項3に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
(請求項4に係る考案について)
容器本体に周設一体化した鍔部とこの鍔部と同一形状の蓋部から成る容器において、鍔部に設けた折爪突片裏面にノッチを設けることは、例えば刊行物4の第5図にみられるように、本件出願の出願前周知の事項である。
ノッチを鍔部の折爪突片側に設けるか蓋の折爪突片側に設けるかは、蓋を取るときのノッチ部分の折曲げ方向とか、材料の厚さ等を考慮して決めうる設計的事項と認められる。
そして、刊行物4に記載のノッチは折罫部と実質的に同一のものと認められる。
したがって、刊行物1に記載のものについて鍔部と同一形状の下蓋を設けるに当たり、下蓋の折爪突片裏面に折罫部を設けることは、開封容易な蓋体を設けるに当たり常用されている手段を採用したというに相当し、当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。
よって、請求項4に係る考案は刊行物1、2及び4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、請求項4に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
(請求項5に係る考案について)
蓋に、容器本体に周設一体化した鍔部より突出する舌片を設けることは、例えば刊行物4の第2図にみられるように、本件の出願前周知の事項である。
したがって、刊行物1に記載のものについて下蓋を設けるに当たり、下蓋に容器本体に周設一体化した鍔部より突出する舌片を設けることは、蓋の開封のし易さに配慮して、当業者が適宜に採用し得る程度のことと認められる。
よって、請求項5に係る考案は刊行物1、2及び4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、本件請求項5に係る実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、請求項1ないし5に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。
よって、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定に基づく、平成7年政令第205号第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 1999-05-07 
出願番号 実願平5-51361 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (B65D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 種子 浩明  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 藤原 稲治郎
祖山 忠彦
登録日 1997-07-04 
登録番号 実用登録第2552023号(U2552023) 
権利者 株式会社丸促
名古屋市千種区春岡一丁目14番11号
考案の名称 わさび包装体  
代理人 西山 聞一  
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