• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て   G03F
審判 一部申し立て   G03F
管理番号 1004072
異議申立番号 異議1999-70110  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-01-08 
確定日 1999-09-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2576415号「画像記録装置」の請求項1に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2576415号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2576415号の請求項1に係る考案は、平成4年10月2日に実用新案登録出願され、平成10年4月24日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、コニカ株式会社より実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月2日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正事項
訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む、素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、
g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
訂正事項b
明細書段落【0006】に、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本考案に係る画像記録装置は、
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、上記搬送ローラを逆回転させる終端処理手段と、を備える。」とあるのを、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本考案に係る画像記録装置は、
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む、素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、
g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする画像記録装置である。」と訂正する。
訂正事項c
明細書の段落【0008】に、
「【作用】
請求項1に記載した画像記録装置では、通常の状態では、前回、素材切断手段により前端が切断された連続状の記録素材は、正方向に回転する搬送ローラにより素材供給部から引き出され、画像記録部の方に搬送される。そして、素材長検出手段により、搬送される記録素材の長さが所定の値になったと検出された時点で素材切断手段が素材を切断する。しかし、連続状の記録素材の最後の部分になり、素材長検出手段により検出された記録素材の長さが所定の長さに満たないときは、終端処理手段は搬送ローラを逆方向に回転させる。これにより、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがない。」とあるのを、
「【作用】
請求項1に記載した画像記録装置では、通常の状態では、前回、素材切断手段により前端が切断された連続状の記録素材は、正方向に回転する搬送ローラにより素材供給部から引き出され、画像記録部の方に搬送される。そして、素材長検出手段により、搬送される記録素材の長さが所定の値になったと検出された時点で素材切断手段が素材を切断する。しかし、連続状の記録素材の最後の部分になり、素材長検出手段の終端検出センサにより検出された記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたときは、終端処理手段によって、まず搬送ローラの正方向の回転が停止される。次に搬送ローラの逆方向の回転が開始される。ここで、搬送ローラと終端検出センサとの間隔は、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているので、終端部の記録素材が搬送ローラから外れてしまうことはない。これにより、終端部の記録素材は搬送ローラの上流側に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがない。」と訂正する。
訂正事項d
明細書段落【0043】に
「【考案の効果】
本考案に係る画像記録装置では、素材供給部から供給される連続状の記録素材が最後の部分になり、その長さが所定の長さに満たないときは、連続素材を搬送する搬送ローラを逆方向に回転させる。これにより、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがないため、排出ルートにおいてジャムを起こすことがなく、また、正常な露光済みフィルムの中に異常な未露光フィルムが混入するということが防止される。」とあるのを、
「【考案の効果】
本考案に係る画像記録装置では、素材供給部から供給される連続状の記録素材が最後の部分になり、その長さが所定の長さに満たないときは、まず、記録素材を搬送する搬送ローラの正方向の回転を停止させる。搬送ローラには慣性があるのでその回転は即時には停止しない。したがって、記録素材の終端部の搬送は終端検出センサよりも下流において停止する。ここで、搬送ローラと終端検出センサとの間隔は、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているので、オーバーランによって記録素材の終端部が搬送ローラから外れてしまうことはない。したがって、記録素材の終端部は、この後に行われる搬送ローラの逆方向の回転によって逆方向に送られる。これにより、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがないため、排出ルートにおいてジャムを起こすことがなく、また、正常な露光済みフィルムの中に異常な未露光フィルムが混入するということが防止される。しかも、搬送ローラの逆方向の回転が終了したとき、記録素材の終端部は搬送ローラの上流側に存在するので、操作者は、この終端部分を容易に回収するできる。」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
▲1▼ 訂正事項aは、明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載中において、(e)として記載された「素材長検出手段」を「素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む」ものに限定し、
「f)素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、上記搬送ローラを逆回転させる終端処理手段」を、
「f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、」と訂正することで、終端処理手段が行う動作を限定するとともに、
「g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されている」を挿入訂正することで、素材長検出手段の一要素である終端検出センサと、搬送ローラとの位置関係を限定したものである。
そして、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書の段落【0011】、【0027】及び【0028】の記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項aは、平成6年法律第116号附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第2項但し書き第1号に規定する実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
▲2▼ 訂正事項b乃至dは、訂正された実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載に整合するように、明細書の記載を訂正するものであるから、平成6年法律第116号附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、上記訂正事項b乃至dは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
ウ.独立要件の判断
a.本件訂正考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1(前記「2.ア.訂正事項a」の項参照)に記載されたとおりのものである。
b.取消理由の概要
当審において通知した取消理由の概要は、本件請求項1に係る登録実用新案は、刊行物1(特開昭63-66071号公報)、刊行物2(実願昭56-22707号(実開昭57-136942号)マイクロフィルム)、及び刊行物3(特開昭56-147153公報)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものと認められ、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである、というものである。
c.刊行物の記載事項
上記刊行物には以下の事項が開示されている。刊行物1:特開昭63-66071号公報
技術分野に関して、「本発明は写真感光材料の如きロールペーパー、特にカラーペーパーをマガジンから引き出して一定のサイズに裁断した後に露光部等の処理部に供給する給紙装置において利用される、終端ペーパーの排出方法に関する。」(第1頁右下欄第5?9行)、
課題として、「一定のサイズに裁断した後に機器内に搬送して処理する方式のものにおいては、最終端が不規則な長さであると、排出が問題となる。」(第1頁右下欄第15?18行)、
解決手段として、「本発明の上記目的は、ロールペーパーを一定の長さに裁断して処理系に搬送するものにおいて、終端ペーパーの長さを検出して搬送系の及び若しくは処理系の最小ロール間隔と比較し、終端ペーパーの方が長い場合には終端ペーパーを順方向に送り出し、終端ペーパーの方が短い場合には、逆方向(マガジン方向)に呼び戻して終端ペーパーの排除を行うことを特徴とするロールペーパー供給装置における終端ペーパー排除方法、よって達成される。」(第2頁右上欄第4?13行)、
また、実施例について、第2頁右上欄第17行?左下欄第20行に、「第1図において、10はマガジンであって写真感光材料の如きロールペーパー20が用意されている。
ロールペーパー20は、給紙指示情報の入力に従って作動する搬送系により、マガジン10から引き出され、例えば搬送ローラ30の回転量の検出から算出された特定の長さに達するとペーパー取り出し系の作動はOFFとなり、裁断刃40により裁断される。裁断が完了すると後続の搬送系ローラ31,32,33の作動により露光部等の処理部に搬送される。
50は、ペーパーの終端検出センサーであり、ペーパー10の不存在、即ち、ペーパー10の終端の通過を検知するもので、終端検知情報によりペーパー取り出し系の作動はOFFとなる。この時、既に送り出しているペーパー10の長さL_(1)、に終端までの長さL_(2)を加えた長さL_(A)と、搬送ロール31,32,33間の長さL_(3),L_(4)の内の最小ロール間隔L_(B)との長さの比較が行われる。裁断刃40から終端センサー50までの長さL_(2)及び最小ロール間隔L_(B)は既知であるから、従って、搬送開始から終端検知に至るまでの搬送ロールの回転量に従ってL_(1)の長さを検出するだけでL_(A)とL_(B)との長さの比較が可能となる。」、及び第3頁左上欄第14行?右上欄第6行に、「次に、L_(A)くL_(B)若しくはL_(1)くL_(B)、即ちL_(A)-L_(B)=X若しくは、L_(1)-L_(B)=Xの式におけるXの値がマイナスである場合には、上記とは逆方向に搬送系を作動させてマガジン10側にペーパーを排出させる。
手動操作により終端ペーパーをマガジン方向に引き出すものも本発明の方法に包含される。
搬送系を逆作動させるには、搬送ロールを逆回転させる必要があるが、搬送路中に端ペーパーの外に正規のペーパーが存在する搬送方式の場合にあっては、ペーパーL_(A)ないしL_(1)が関係する搬送ロールのみを逆回転させなければならない。」と、
さらに、効果として、第3頁右上欄第8?16行に、「本発明によれば、終端ペーパーの長さを検出して、これを最小ロール間隔と比較して、長い場合と短い場合とでペーパー排除の位置・方向を異ならしめたので、ペーパー排除をスピーディに効率よく行うことができ、作業能率の向上が期待でき、しかも、通常のペーパーの長さに比較して極端に短い長さのペーパーを搬送系若しくは処理系に送り出すことがないので、二重トラブルの発生も防止し得る。」が、それぞれ図面と共に記載されている。
これらの記載から刊行物1には
「a)シート状の記録素材(ロールペーパー20)を連続の状態で保持する素材供給部(マガジン10)と、
c)素材供給部と画像記録部(露光部等の処理部)どの間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラ(30)と、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段(切断刃40)と、
e)素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段(搬送ローラ30及び終端センサー50)と、
f)終端検出センサ(終端センサー50)が記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値(L_(B))以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、
を備えることを特徴とするロールペーパー供給装置。」
が記載されているものと認められる。
刊行物2:実願昭56-22707号(実開昭57-136942号)のマイクロフィルム
円筒状のドラムを備えた画像記録部を有する画像記録装置が記載されている。
刊行物3:特開昭56-147153号公報
同上
d.対比・判断
本件訂正明細書の請求項1に係る登録実用新案(以下、「本件訂正考案」という。)と各刊行物の記載事項とを対比すると、前記構成g)についてはいずれにも記載も示唆もされていない。
そして、前記構成g)に関して検討すると、刊行物1に記載のものは、「搬送系を逆作動させるには、搬送ロールを逆回転させる必要があるが、搬送路中に端ペーパーの外に正規のペーパーが存在する搬送方式の場合にあっては、ペーパーL_(A)ないしL_(1)が関係する搬送ロールのみを逆回転させなければならない。」(第3頁右上欄第2?6行)との記載から、終端検出センサでロールペーパーの終端が検出されて、ペーパー取り出し系の作動がOFFとなったとき、終端ペーパーの位置を特定する構成とはされておらず、終端ペーパーの存在する搬送ローラを逆回転させるものである。このことから、終端ペーパーが搬送ローラ30と31の間隔よりも短い場合には、終端検出センサが終端を検出してからペーペー取り出し系がOFFとなるまでの間に、搬送ローラ30と31の間に脱落することも当然に想定される。
一方、本件訂正考案においては、このような事態を避けるために、搬送ローラと終端検出センサとの間隔を、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定し、終端ぺ一パーが搬送ローラから逸脱することを防止するようにしたものである。
そして、本件訂正考案では、前記構成g)を有することによって他の構成と相俟って、明細書記載の効果を奏するものである。
よって、本件訂正考案は、刊行物1乃至3に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものとは認められない。
したがって、本件訂正考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできない。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項乃至第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議の申立についての判断
ア.本件考案
本件請求項1に係る登録実用新案は、訂正明細書の請求項1に記載されたとおりのもの(上記「2.ウ.a.本件訂正考案」の項参照)である。
イ.申立の理由の概要
申立人コニカ株式会社は、本件登録実用新案に対して、▲1▼証拠として甲第1号証(特願昭63-66071号公報)を提出し、本件請求項1に係る登録実用新案は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反したものである。また、▲2▼本件請求項1に係る考案は、考案の詳細な説明に当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから同法第5条第4項の規定に違反したものである。との理由で本件請求項1に係る実用新案登録は取り消されるべき旨主張している。
ウ.当審の判断
〈実用新案法第3条第1項第3号違反について〉
甲第1号証は、取消理由で引用された刊行物1であり、前記「2.ウ.c.刊行物の記載事項」の項に記載された事項が記載されている。
そして、本件登録実用新案と甲第1号証との対比・判断については前記「2.ウ.d.対比・判断」の項で述べたとおりである。
したがって、本件登録実用新案が、申立人コニ力株式会社の提出した甲第1号証に記載された考案と同一であるとも、それから容易になし得たものともすることはできない。
〈実用新案法第5条違反について〉
a.申立人は、申立書において、考案の詳細な説明において、請求項1に記載される「終端処理手段」は、その具体的構成が記載されておらず、いわゆる当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
従って、本件請求項1に係る登録実用新案は、実用新案法第5条第4項の規定する要件を満たしていない、
旨主張して、以下のとおり述べている。
『本件請求項1には、「素材長検出手段により記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき、上記搬送ローラを逆回転させる終端処理手段と」という構成f)が記載されているが、本件の「考案の詳細な説明」の「実施例」には、上記構成f)が記載されていない。
本件の「考案の詳細な説明」には、2つの実施例が記載されているので、それぞれについて以下に説明する。
まづ、第1の実施例に関しては、本件実用新案登録公報第6頁第11欄第20?24行(段落【0032】)に、「第1及び第2フィルムセンサが連続フィルムの長さを検出する検出手段として、ステップS22の処理を行う制御部40が終端処理手段として作用している。」と記載されている。
しかしながら、その具体的内容が記載されている第5頁第9欄第33行?第10欄第17行(段落【0027】、【0028】)、第1図、及び第4図のフローチャートには、第1図の第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しなくなったときに、さらに第2フィルムセンサ21でフィルムを検出していないときに、搬送ローラを逆回転させるように制御を行っていることが記載されている。
すなわち、実施例1において搬送ローラを逆回転させる終端処理が行われるのは、「記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき」ではなく、「第1及び第2フィルムセンサが両方ともフィルムを検出しなくなったとき」である。なお、フィルムが充分に残存している場合には、第1及び第2フィルムセンサが両方ともフィルムを検出しなくなる場合はない。
したがって、本件の第1の実施例には、「素材長検出手段により記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき、上記搬送ローラを逆回転させる終端処理手段と」という構成は存在しない。
次に、第2の実施例において、構成f)に関しては、第6頁第11欄第24行?第7頁第13欄第6行(段落【0032】乃至【0038】)、第10図、及び第13図のフローチャートに記載されている。
しかしながら、上記部分には、第10図の第1搬送ローラ66の回転量を検出するロータリーエンコーダ663が所定数カウントしていない場合であって、第10図の第1フィルムセンサ70がフィルムを検出しなくなった時に、搬送ローラを逆回転させるように制御を行っていることが記載されている。
すなわち、実施例2において搬送ローラを逆転させる終端処理が行われるのは、前記ロータリーエンコーダ663により「記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき」ではなく、「第Iフィルムセンサがフィルムを検出しなくなったとき」である。
したがって、本件の第2の実施例には、「素材長検出手段により記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき、上記搬送ローラを逆回転させる終端処理手段と」という構成は存在しない。
以上のように、本件の「考案の詳細な説明」の「実施例」には、請求項1に係わる構成f)が記載されていない。また係る構成は周知のものではないものと考えられる。したがって、考案の詳細な説明の欄は、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有するものが容易にその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないと考えられる。』
b.この点に関する検討内容は、以下のとおりである。
第1実施例に関しては、第1フィルムセンサと第2フィルムセンサとの間隔は既知であって、所定長さを有することは明らかである。してみれば、上記第1実施例において、「第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しなくなったときに、さらに第2フィルムセンサ21でフイルムを検出していないとき」というのは、第1フィルムセンサと第2フィルムセンサとが共にフィルムを検知していないときであるから、フィルムの長さが第1フィルムセンサと第2フィルムセンサとの間隔、すなわち、所定長さ、よりも短いときであることは明らかである。
したがって、「第1及び第2フィルムセンサが両方ともフィルムを検出しなくなったとき」が、「記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき」の1つの態様であることは明らかである。
次に、第2の実施例に関しては、「ロータリーエンコーダが所定数カウントしていない場合であって、第1フィルムセンサがフィルムを検出しなくなったとき」というのは、前のフィルムをカットした後、次のフィルムを送り出す場合を考えると、エンコーダが所定数カウントした場合とは、前記所定数のカウントに対応する長さだけフイルムが前記カット位置から送り出された状態であり、また、第1センサとカットユニットとの間隔は既知であるから、前記エンコーダが所定数カウントした時点での、第1センサからフィルム先端までの長さも当然既知のもの(所定長さに相当)と考えられる。
それ故、「第1フィルムセンサがフィルムを検出しなくなったとき」のフィルムの長さは、その時のエンコーダのカウント数に対応するフィルムの送り出された長さと、第1フィルムセンサとカットユニットとの間の長さとの和(所定値)以下になっていることは明らかである。
したがって、「ロータリーエンコーダが所定数カウントしていない場合であって、第1フィルムセンサがフィルムを検出しなくなったとき」も、「記録材料の長さが所定値以下であることが検出されたとき」の1つの態様であることは明らかである。
c.以上のとおりであるから、本件考案の詳細な説明には、請求項1に記載された「素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき」に対応する構成が記載されていない、とする申立人の主張は採用することができない。
また、他に本件請求項1に係る登録実用新案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
画像記録装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む、素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、
g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】 a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)正逆両方向に回転可能な円筒状のドラムを備えた画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)記録素材をドラムに固定する固定手段と、
f)素材切断手段により前端が切断され、搬送ローラにより搬送されてきた記録素材を固定手段によりドラに固定し、ドラムを正方向に回転させることにより記録素材をドラムに巻き付ける巻付手段と、
g)記録素材の長さを検出する素材長さ検出手段と、
h)巻付手段による巻き付けが開始された後、記録素材の長さが所定値以下であることが検出された場合、ドラムを逆方向に回転させるとともに、固定手段による記録素材の固定を解除する終端処理手段と
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、フィルム又は感光紙等のシート状の記録素材に画像記録を行なう画像記録装置に関し、特に、連続フィルム又は連続感光紙を所定の長さ毎に切断して画像記録部に供給する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製版用出力装置等の画像記録装置では、記録媒体である感光フィルムや感光紙の取り扱いを容易にするため、長尺の連続フィルム(又は感光紙)を用いることが多い。この場合、記録媒体取扱部ではロール状に巻かれている連続フィルムをローラ等で引き出し、所定のサイズになったところでカッタにより切断してカットフィルムとし、画像記録部へ給送する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
連続フィルムから所定の長さづつカットフィルムを切り出してゆくと、最後には所定の長さよりも短いフィルム(これを終端フィルムと呼ぶ)が残ってしまう。このような終端フィルムは画像記録を行なうことなく画像記録装置から排出する必要があるが、従来は、通常の露光済みフィルムを排出するための機構を用いて終端フィルムを排出するようにしていた。
【0004】
しかし、露光済みフィルムを排出するための機構は、通常は、所定の長さに切断された正常なカットフィルムを対象として設計されているため、所定長さに満たない終端フィルムをそのような機構に入れてしまうと、ジャムを起こしてしまう可能性がある。また、うまく排出されたとしても、既に露光が終了した正常なフィルムの群に未露光の終端フィルムが混入することになり、後の露光済みフィルムの自動現像処理等の際にトラブルを起こす可能性がある。
【0005】
本考案はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、所定の長さに満たない終端フィルムを正常な露光済みフィルムとは区別して画像記録装置から排出するようにし、ジャムの発生を防止する画像記録装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本考案に係る画像記録装置は、
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む、素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、
g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする画像記録装置である。
【0007】
また、
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)正逆両方向に回転可能な円筒状のドラムを備えた画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)記録素材をドラムに固定する固定手段と、
f)素材切断手段により前端が切断され、搬送ローラにより搬送されてきた記録素材を固定手段によりドラムに固定し、ドラムを正方向に回転させることにより記録素材をドラムに巻き付ける巻付手段と、
g)記録素材の長さを検出する素材長さ検出手段と、
h)巻付手段による巻き付けが開始された後、記録素材の長さが所定値以下であることが検出された場合、ドラムを逆方向に回転させるとともに、固定手段による記録素材の固定を解除する終端処理手段と
を備えたものとしてもよい。
【0008】
【作用】
請求項1に記載した画像記録装置では、通常の状態では、前回、素材切断手段により前端が切断された連続状の記録素材は、正方向に回転する搬送ローラにより素材供給部から引き出され、画像記録部の方に搬送される。そして、素材長検出手段により、搬送される記録素材の長さが所定の値になったと検出された時点で素材切断手段が素材を切断する。しかし、連続状の記録素材の最後の部分になり、素材長検出手段の終端検出センサにより検出された記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたときは、終端処理手段によって、まず搬送ローラの正方向の回転が停止される。次に搬送ローラの逆方向の回転が開始される。ここで、搬送ローラと終端検出センサとの間隔は、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているので、終端部の記録素材が搬送ローラから外れてしまうことはない。これにより、終端部の記録素材は搬送ローラの上流側に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがない。
【0009】
請求項2に記載した画像記録装置では、通常の状態では、前回、素材切断手段により前端が切断された連続状の記録素材は、搬送ローラにより素材供給部から引き出され、画像記録部の方に搬送される。固定手段により記録素材をドラムに固定した後、巻付手段はドラムを正方向に回転させることにより記録素材をドラムに巻き付けてゆく。そして、素材長検出手段により、搬送される記録素材の長さが所定の値になったと検出された時点で、素材切断手段が素材を切断する。しかし、連続状の記録素材の最後の部分になり、素材長検出手段により検出された記録素材の長さが所定の長さに満たないときは、終端処理手段はドラムを逆回転させるとともに、固定手段による記録素材のドラムへの固定を解除する。これにより、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがない。
【0010】
【実施例】
本考案の請求項1及び請求項2の双方の実施例である製版出力装置(第1実施例)を図1?図8により説明する。図1に示すように、本実施例の製版出力装置は、未露光のフィルム11(記録素材)を連続の状態で収納しておくフィルムマガジン12(素材供給部)と、フィルムマガジン12から連続フィルム11を引き出し、後述の記録ドラム30に搬送するとともに、連続フイルムを所定の長さ毎にカットする搬送部13と、フィルムに露光を行なうための記録ドラム30(画像記録部)と、露光済みのフィルムを記録ドラム30から取り外し、製版出力装置から排出するための排出部14と、本製版出力装置の各部を制御する制御部40(図2)とから構成される。
【0011】
フィルムマガジン12は製版出力装置の所定の位置に装着されるようになっている。フィルムマガジン12内では連続フィルム11はロール状に巻かれており、連続フィルム11の一端はフィルムマガジン12の出口に設けられた1対の出口ローラ15を通って搬送部13に渡される。搬送部13には、1対の搬送ローラ16と、第1及び第2のフィルムガイド17、18と、両フィルムガイド17、18の間に設けられたカツタユニット19(素材切断手段)と、フィルムマガジン12の出口ローラ15と搬送ローラ16との間、及び、第2フィルムガイド18の出口付近(すなわち、記録ドラム30の真上付近)に設けられた第1及び第2フィルムセンサ20、21が備えられている。第2フィルムガイド18の下側のガイド板は2分割されて途中に開放部を有しており、(フィルムの流れる方向に関して)下流側のガイド板は下方に屈曲してスロープ23及び終端フィルム皿24に接続している。
【0012】
図2に示すように、搬送ローラ16はクラッチ161を介して正逆両方向に回転可能な搬送モータ162により駆動され、搬送モータ162及びクラッチ161はともに制御部40により制御される。搬送ローラ16の回転軸にはその回転角を検出する第1ロータリエンコーダ163が設けられており、その出力は制御部40に送られる。カッタユニット19も制御部40により制御される。また、第1及び第2フィルムセンサ20、21が生成する検出信号は制御部40に送られる。
【0013】
図1に戻り、記録ドラム30には、記録ドラム30を低速で正逆両方向に回転させるドラムモータ301と、連続フィルム11(又はカットフィルム)の先端を記録ドラム30に固定するための押さえ板31(固定手段)と、カットフィルムの後端を記録ドラム30から取り外しやすくするための凹部32とが設けられている。押さえ板31は記録ドラム30の母線方向にほぼその全長にわたって設けられた細長い板であり、そのほぼ中央を通り記録ドラム30の回転軸に平行な軸を中心に回動可能となっている。この押さえ板31の回動軸は記録ドラム30に対して固定されており押さえ板31は記録ドラム30の回転と共に移動する。押さえ板31は図示せぬバネにより図1において反時計回りに付勢されており、通常の状態では記録ドラム30に押し付けられた状態となっているが、図1において右側の端部(以下、これを後端と呼ぶ)を押さえ、左側の端部(以下、これを前端と呼ぶ)を記録ドラム30から離した状態でロックすることもできるようになっている。凹部32は記録ドラム30の母線方向に連続して設けられているのではなく、数カ所に分かれて断続的に設けられている。
【0014】
記録ドラム30の外周面には多数の小さい穴が設けられており、内部から真空吸引することにより、外周面に巻き付けられたカットフィルムを確実に固定するようになっている。図2に示すように、ドラムモータ301及び真空吸引のための真空ポンプ302は制御部40により制御される。また、記録ドラム30の回転軸にはその回転角を検出する第2ロータリエンコーダ303が設けられており、その信号は制御部40に送られる。
【0015】
記録ドラム30の上部には、記録ドラム30の回転軸と平行な回転軸を有するスクイズローラ33が設けられている。スクイズローラ33の回転軸は記録ドラム30からは独立しており、記録ドラム30が回転してもスクイズローラ33の位置は変化しない。しかし、スクイズローラ33は図示せぬ昇降機構により昇降可能となっており、記録ドラム30に対して接近及び離反することができる。スクイズローラ33を昇降させるためのモータ331は制御部40により制御される。なお、スクイズローラ33はその回転軸の回りにフリーに回転することができる。
【0016】
排出部14には爪35及び第1、第2排出口ーラ対36、37が備えられている。爪35は記録ドラム30のほぼ真上の、記録ドラム30の凹部32に対応した箇所に設けられている。爪35は図1で時計方向に回動することにより、記録ドラム30の凹部32の中に入り込み、その先端で記録ドラム30の表面に固定されているカットフィルムの後端を持ち上げるという働きをする。図2に示すように、爪35の回転はモータ351により駆動される。第1、第2排出口ーラ対36、37は1個の排出モータ361により駆動され、爪35により記録ドラム30の表面から剥離された露光済みのカットフィルムを本製版出力装置のフィルム排出口へ導く。爪回転モータ351及び排出モータ361はいずれも制御部40により制御される。
【0017】
制御部40はCPU、ROM、RAM等を備えたマイコンにより構成されており、ROMには後述の終端フィルム処理を含むフィルム搬送プログラムが格納されている。なお、フィルム搬送プログラムはROMに格納しておくのではなく、外部記憶装置から読み込むようにしてもよい。制御部40はこのフィルム搬送プログラムに従い、上記各センサ、エンコーダ等からの信号を基に各モータ、クラッチ等を制御して、記録ドラム30への未露光フィルムの巻き付け、及び、記録ドラム30において露光された後のフィルムの取り外しを行なう。制御部40には上記各センサ、モータ等の他に操作パネル38が接続されており、操作者はこの操作パネル38のキーボードより各種コマンドを入力し、制御部40は処理状態、処理結果等を操作パネル38のディスプレイに表示する。
【0018】
次に、本実施例の製版出力装置の制御部40が実行するフィルム搬送プログラムを図3?図5のフローチャートにより説明する。
【0019】
(1)未露光フィルムの巻付処理
図3のフローチャートにより説明する。まず、フィルムマガジン12の出口ローラ15と搬送ローラ16との間にある第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しているか否かを判定する(ステップS1)。第1フィルムセンサ20がフィルムを検出していなければステップS3に進み、フィルムマガジン12に連続フィルムを装填するようにとのメッセージを操作パネル38のディスプレイに表示する。第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しているときは、まず記録ドラム30を巻付原点位置に置く(ステップS2)。記録ドラム30の巻付原点位置とは、図1に示すように、記録ドラム30に固定されている押さえ板31の前端がスクイズローラ33の真下となるとなる位置である。後述するように、前のカットフィルムが記録ドラム30から取り外された後は、押さえ板31の前端は記録ドラム30から離れた状態でロックされている。
【0020】
次に、搬送ローラ16のクラッチ161を接続し、搬送モータ162を正方向に回転させる(ステップS4)。これにより連続フィルム11はフィルムマガジン12から引き出され、記録ドラム30の方へ搬送される。こうして連続フィルム11を搬送している間、制御部40は第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しなくなったか否かを判定する(ステップS5)。ここで第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しなくなった場合には、後述の第1終端処理(ステップS7)に移行する。
【0021】
ステップS5において第1フィルムセンサ20がフィルムを検出しているときは、次に、記録ドラム30のほぼ真上に設けられた第2フィルムセンサ21がフィルムを検出したか否かを判定する(ステップS6)。未だ連続フィルム11の先端が記録ドラム30の真上の位置まで到達していない場合はステップS5及びS6の判定を繰り返す。連続フィルム11の先端が第2フィルムセンサ21により検出されたとき、制御部40は搬送モータ162を停止し(ステップS8)、連続フィルム11を一旦その位置で止める。そして、昇降モータ331によりスクイズローラ33を降下させ、押さえ板31の前端を押さえる。これにより押さえ板31のロックが解除され、バネの作用により連続フィルム11の先端は押さえ板31の前端と記録ドラム30との間に挟まれて固定される。また、真空ポンプ302を駆動することにより、記録ドラム30の外周面の真空吸引を開始する。そして、クラッチ161を遮断して(ステップS9)搬送ローラ16をフリーとした後、ドラムモータ301により記録ドラム30を少し時計方向に回転させ、スクイズローラ33を記録ドラム30に押し付ける(ステップS10)。
【0022】
その後、図6に示すように、連続フィルム11を記録ドラム30に巻き付けてゆきながら、記録ドラム30を更に時計方向に所定量だけ回転させる(ステップS11)。この間、連続フィルム11はフィルムマガジン12から引き出されてゆくが、ドラムモータ301が所定量だけ回転した時点で第1フィルムセンサ20が連続フィルム11を検出しなくなったか否かを判定する(ステップS12)。ここで第1フィルムセンサ20が連続フィルム11を検出しなくなった場合には、ステップS14に進んで後述の第2終端処理を行なう。
【0023】
ステップS12において第1フィルムセンサ20によりフィルムが検出されている場合は、カッタユニット19を駆動して連続フィルム11を切断する(ステップS13)。そして、更に記録ドラム30を所定量だけ正方向に回転させ、切断されたフィルム(カットフィルム25)を終端まで完全に記録ドラム30に巻き付ける(ステップS15)。その後、スクイズローラ33を上昇させて記録ドラム30から離す(ステップS16)。これによりカットフィルム25に対する画像記録の準備が整う。
【0024】
(2)露光済みフィルムの排出処理
記録ドラム30の表面に固定されたカットフィルム25に対して露光が行なわれた後は、次のようにして露光済みのカットフィルム25を記録ドラム30から取り外す。まず、ドラムモータ301を駆動することにより、記録ドラム30を固定解除位置に置く。記録ドラム30の固定解除位置とは、図7に示す通り、押さえ板31の後端がスクイズローラ33の真下となる位置である。ここでスクイズローラ33を降下させ、押さえ板31の後端をスクイズローラ33で押さえることにより押さえ板31の前端を持ち上げ、カットフィルム25の先端の固定を解除する。上述の通り、押さえ板31は前端を持ち上げた状態でロック可能となっているため、スクイズローラ33は押さえ板31をロックさせた後、直ちに上昇させる。ただし、ここでは未だ真空ポンプ302を駆動しているため、カットフィルム25は記録ドラム30から離れることはない。
【0025】
次に、記録ドラム30を排出原点位置まで回転させる。記録ドラム30の排出原点位置とは、図8に示すように、凹部32がほぼ真上に来た状態であり、各凹部32に対応して設けられている爪35が丁度凹部32に入り込む位置である。この位置で、爪35を図8に示す位置まで回転させて凹部32の中に入れる。そして、スクイズローラ33を降下させて記録ドラム30に押し付けることによりカットフィルム25を押さえておき、真空ポンプ302の駆動を停止して、カットフィルム25の真空引きによる記録ドラム30への固定を解除する。そして僅かに記録ドラム30を逆方向に回転させてカットフィルム25の後端が爪35に掛かる状態とし、爪35を記録ドラム30の外周面よりも僅かに高い位置まで持ち上げる。この状態でドラムモータ301を逆方向(図8において反時計方向)に回転させてゆくと、カットフィルム25は爪35により記録ドラム30から剥離されてゆく。
【0026】
記録ドラム30から剥離されたカットフィルム25は、図9に示すように、第1排出ローラ対36及び第2排出ローラ対37により本製版出力装置の露光済みフィルム排出口の方へ送られてゆく。製版出力装置の露光済みフィルム排出口には、露光済みフィルム回収箱が設けられている場合と、自動現像装置が直接接続されている場合とがあるが、本実施例はいずれの場合にも適用することができる。
【0027】
(3)第1終端処理
図3のステップS5において第2フィルムセンサ21が連続フィルム11の先端を検出する前に第1フィルムセンサ20が連続フィルム11を検出しなくなった場合、本第1終端処理に入る(ステップS7)。この場合、記録ドラム30の真上にある第2フィルムセンサ21が連続フィルム11を検出せず(ステップS6)、しかも、第1フィルムセンサ20も連続フィルム11を検出しなくなった(ステップS5)という状態であるため、連続フィルム11の最後の部分である終端フィルムの先端は第1フィルムセンサ20と第2フィルムセンサ21との間にあり、後端は丁度第1フィルムセンサ20を通過したところにある。この場合、図4のフローチャートに示すように、制御部40はまず搬送モータ162を停止させる(ステップS21)。ただし、連続フィルム11の搬送速度は比較的速く、終端フィルムを即座に停止させることができないため、終端フィルムはある程度オーバーランし、その後端は第1フィルムセンサ20よりも少し先へ進む。しかし、第1フィルムセンサ20と搬送ローラ16との間の距離は、そのようなオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているため、終端フィルムの後端が搬送ローラ16から外れてしまうことはない。
【0028】
次に、搬送モータ162を所定時間だけ逆回転させる(ステップS22)。これにより、終端フィルムはフィルムマガジン12の方へ戻される。その後、制御部40はクラッチ161を遮断し(ステップS23)、操作パネル38のディスプレイに「終端フィルムを取り出し、新しい連続フィルムを装填して下さい」との表示を行なう(ステップS24)。この表示に従って操作者がフィルムマガジン12を取り外すと、終端フィルムの後端が搬送ローラ16から手前側(図1では左側)に出ているか、或いは下に落ちているため、操作者は容易に終端フィルムを製版出力装置から取り出すことができる。
【0029】
(4)第2終端処理
図3のステップS12において第1フィルムセンサ20が連続フイルム11を検出しなくなった場合、本第2終端処理に入る。この場合は、連続フィルム11の先端が既に押さえ板31により記録ドラム30に固定され(ステップS9)、記録ドラム30に巻き付けられ始めたが、その連続フィルム11の長さがカットフィルム25の所定の長さに満たず、カッタユニット19で切断される前に連続フィルム11(すなわち、終端フィルム)の後端が第1フィルムセンサ20の所を通過してしまったという状態である。この場合、終端フィルムの先端が押さえ板31により固定されているため、上記第1終端処理のように単に搬送ローラ16を逆回転させるのみでは終端フィルムを取り出すことができない。そこで、本第2終端処理では、まずドラムモータ301を停止させる(ステップS31)。上記の場合と異なり、今の場合は記録ドラム30が連続フィルム(終端フイルム)11を引き出している状態であるが、質量の大きい記録ドラム30を急激に停止させることは難しく、終端フィルムのオーバーラン量は上記第1終端処理の場合よりも大きい。このため、終端フィルムの後端は搬送ローラ16を超え、第2フィルムガイド18の開放箇所よりも先の方へ(記録ドラム30側へ)来ている。
【0030】
次に、ドラムモータ301を逆方向に回転させて、記録ドラム30を固定解除位置で停止させる(ステップS32)。上述の通り固定解除位置(図7)ではスクイズローラ33が押さえ板31の後端の真上となるため、この位置でスクイズローラ33を降下させ、押さえ板31の後端を押さえることにより、押さえ板31の前端を持ち上げて終端フィルムの固定を解除する(ステップS33)。そして、上記ステップS24の場合と同様、操作パネル38のディスプレイに「終端フィルムを取り出し、新しい連続フィルムを装填して下さい」との表示を行なう(ステップS34)。ステップS32で記録ドラム30を逆回転させたことにより、終端フィルムの後端はスロープ23から終端フィルム皿24の方に進むが、上記第1終端処理の場合と同様に、操作者は容易に終端フィルムを本製版出力装置から取り出すことができる。
【0031】
本実施例の画像出力装置では、全体をコンパクトにするためにカッタユニット19から記録ドラム30までの距離が短くなっており、連続フィルム11を記録ドラム30に巻き付ける前に連続フィルム11を所定の長さで切るということができない。そこで、本実施例の製版出力装置では連続フィルム11を以上のように処理することにより、記録ドラム30に巻き付けられた後に所定の長さに満たないと判明した終端フィルムを自動的に記録ドラム30から取り外し、フィルムの供給元の方へ排出する。このため、短い終端フィルムが排出部14の方に送り出されてジャムを生ずるということがなく、また、露光済みのカットフィルムに未露光のフィルムが混入するということも防止される。
【0032】
なお、上記第1実施例においては、請求項1の実施例としては、第1及び第2フィルムセンサが連続フィルムの長さを検出する素材長検出手段として作用しており、ステップS22の処理を行なう制御部40が終端処理手段として作用している。また、請求項2の実施例としては、ステップS9?S11の処理を行なう制御部40が巻付手段として、ステップS32の処理を行なう制御部40が終端処理手段として作用している。
【0033】
本考案の請求項1の実施例である製版出力装置(第2実施例)を図10?図13により説明する。本実施例の製版出力装置では図10に示すように、記録ドラム80に押さえ板が設けられておらず、真空吸引のみでカットフィルムを記録ドラム80の外周に固定するようになっている。また、連続フィルム61を搬送するローラは、上記第1実施例の場合と同様のフィルムマガジン62とカッタユニット69との間に設けられた第1搬送ローラ66の他に、カッタユニット69と記録ドラム80との間に第2搬送ローラ75が設けられている。図11に示すように、第1搬送ローラ66と第2搬送ローラ75は1個の搬送モータ662により駆動され、第1及び第2搬送ローラ66、75にはそれぞれ第1及び第2クラッチ661、751が設けられている。第1搬送ローラ66には、その回転量を検出するロータリエンコーダ663が設けられている。
【0034】
図10に戻り、本実施例では、フィルムマガジン62と第1搬送ローラ66との間、及び、第2搬送ローラ75と記録ドラム80との間にそれぞれ、第1フィルムセンサ70及び第2フィルムセンサ71が設けられている。フィルムマガジン62の出口ローラ65と第1搬送ローラ66との間、第1搬送ローラ66とカッタユニット69のカッタとの間、カッタユニット69と第2搬送ローラ75との間、及び、第2搬送ローラ75と記録ドラム80との間には、それぞれ第1フィルムガイド76、第2フィルムガイド77、第3フィルムガイド78及び第4フィルムガイド79が設けられている。このうち、カッタユニット69と第2搬送ローラ75との間にある第3フィルムガイド78の下側のガイド板は2分割されて途中に開放部が設けられており、下流側(記録ドラム80側)のガイド板はスロープ73を介してフィルムマガジン62の下方に設けられた終端フィルム回収箱74の方に接続されている。
【0035】
本実施例の制御部90とセンサ、モータ等との接続関係は図11に示す通りとなっている。本実施例の場合、制御部90は終端フィルムの処理を図12のフローチャートに示すように行なう。最初に、搬送モータ662を正方向に回転させると共に、第1及び第2クラッチ661、751を接続状態にする(ステップS41)。これにより、第1及び第2搬送ローラ66、75が回転し、連続フィルム61がフィルムマガジン62から引き出される。次に、第1フィルムセンサ70がフィルムを検出しているか否かを判定する(ステップS42)。ここで第1フィルムセンサ70がフィルムを検出しなくなった場合には、後述の終端処理に移行する(ステップS44)。
【0036】
ステップS42で第1フィルムセンサ70がフィルムを検出しているときはステップS43に進み、第1搬送ローラ66の回転量を検出するロータリエンコーダ663からのパルス信号をカウントする。次のステップS45では、このカウント数が所定数に達したか否か(すなわち、連続フィルム61が所定量だけ搬送されたか否か)を判定する。ロータリエンコーダ663のカウント数が所定数に満たない場合はステップS42に戻り、両搬送ローラ66、75により連続フィルム61を搬送しつつ、第1フィルムセンサ70により連続フィルム61が無くならないか否かを判定する(ステップS42)。
【0037】
ロータリエンコーダ663のカウント数が所定数に達したとき、ステップS46に進んで通常の巻付処理を行なう。ここでは、記録ドラム80の真空吸引、連続フィルム61の巻き付け、スクイズローラ(図示せず)による押さえ、カッタユニット69による切断等が行なわれるが、詳細は省略する。本実施例の終端処理は、いずれの巻付方法を用いる場合にも採用することができる。
【0038】
ステップS42において第1フィルムセンサ70がフィルムを検出しなくなったとき、図13のフローチャートにより示される終端処理が開始される。この場合、連続フィルム61の長さがエンコーダパルスの所定数に対応する所定の長さに満たないということであるため、制御部90は最初に搬送モータ662を停止し、第1クラッチ661及び第2クラッチ751を遮断する(ステップS51)。これにより、所定の長さに満たない連続フィルム61すなわち終端フィルムは、多少オーバーランした後、停止する。ただし、第1フィルムセンサ70はこのオーバーラン量以上に第1搬送口ーラ66から離れて取り付けられているため、終端フィルムの終端が第1搬送ローラ66を超えることはない。
【0039】
次に制御部90は、カッタユニット69と記録ドラム80との間にある第2フィルムセンサ71がフィルムを検出しているか否かを判定する(ステップS52)。終端フィルムの先端が第2フィルムセンサ71の位置を超えている場合には、ステップS52において第2フィルムセンサ71はフィルムを検出することになる。この場合にはステップS53へ進み、搬送モータ662の正方向への回転を開始するとともに、第1クラッチ661及び第2クラッチ751を接続させる。これにより、終端フィルムは記録ドラム80の方へ搬送される。そして、このような搬送状態を、予め制御部90内に設けられた第1タイマーにセットされた所定時間だけ継続する(ステップS55)。この第1タイマーにセットする時間は、終端フィルムの後端が第3フィルムガイド78の下側の開放部分に入るような値にしておく。これにより、終端フィルムの後端は終端フィルム回収箱74へのスロープ73に垂れ下がった状態となる。その後、搬送モータ662を停止し、第1クラッチ661を遮断する(ステップS57)。第2クラッチ751は接続されたままである。そして、搬送モータ662を逆回転させ(ステップS58)、予め制御部90内に設けられた第3タイマーにセットされた所定時間だけ第2搬送ローラ75により終端フィルムを搬送する(ステップS59)。この第3タイマーにセットする所定時間は、終端フィルムの先端(記録ドラム側の端部)が第2搬送ローラ75を超え、終端フィルムがスロープ73から終端フイルム回収箱74の方へ落ちるような値に設定しておく。第3タイマーにセットした所定時間が経過した後、制御部90は搬送モータ662を停止し、第2クラッチ751も遮断する(ステップS60)。これにより、操作者はフィルムマガジン62を取り替える際に、同時に終端フィルム回収箱74から終端フィルムを回収することができる。
【0040】
ステップS51で搬送モータ662を停止し、終端フィルムが多少のオーバーランの後に停止したときに終端フィルムの先端が未だ第2フィルムセンサ71の所まで達していない場合には、ステップS52において第2フィルムセンサ71はフィルムを検出しない。この場合、ステップS54に進み、ステップS53の場合と同様、制御部90は搬送モータ662を正方向に回転させ、第1クラッチ661及び第2クラッチ751を接続させる。これにより、終端フイルムは記録ドラム80の方へ搬送される。この搬送は予め制御部90内に設けられた第2タイマーにセットした時間だけ行ない(ステップS56)、その後、ステップS57に進んで、搬送モータ662を停止し、第1クラッチ661を遮断する(ステップS57)。ここで、第2タイマーの設定時間は上記第1タイマーの設定時間よりも長い値としておく。これは、いまの場合、終端フィルムの長さがステップS52からS53へ進む場合(この場合、終端フィルムの先端は第2フィルムセンサ71の所を超えている)よりも短いためである。この第2タイマー設定時間の間の第1搬送ローラ66による搬送により、終端フィルムは第2搬送ローラ75に噛み込まれるか、又は、それよりも更に短い場合には、第3フィルムガイド78の下側の開放箇所からスロープ73を伝って終端フィルム回収箱74に落ちる。
【0041】
いずれの場合にせよ、その後は上記の場合と同じく、第3タイマーにセットされた時間だけ搬送モータ662を逆回転させる(ステップS58、S59)。これにより、終端フィルムが第2搬送ローラ75に噛み込まれている場合には、終端フィルムは第2搬送ローラ75によりスロープ73から終端フィルム回収箱74へ搬送される。
【0042】
以上説明した通り、本実施例の製版出力装置においても、終端フィルムは通常の露光済みフィルムの排出ルートに入ることがなく、ジャムの心配がない。また、終端フィルムは露光済みフィルムとは別に回収することができるため、露光済みフィルムの取り扱いが容易となる。
なお、上記第2実施例においても、第1及び第2フィルムセンサ70、71が素材長検出手段として作用し、ステップS58の処理を行なう制御部90が終端処理手段として作用している。
【0043】
【考案の効果】
本考案に係る画像記録装置では、素材供給部から供給される連続状の記録素材が最後の部分になり、その長さが所定の長さに満たないときは、まず、記録素材を搬送する搬送ローラの正方向の回転を停止させる。搬送ローラには慣性があるのでその回転は即時には停止しない。したがって、記録素材の終端部の搬送は終端検出センサよりも下流において停止する。ここで、搬送ローラと終端検出センサとの間隔は、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているので、オーバーランによって記録素材の終端部が搬送ローラから外れてしまうことはない。したがって、記録素材の終端部は、この後に行われる搬送ローラの逆方向の回転によって逆方向に送られる。これにより、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがないため、排出ルートにおいてジャムを起こすことがなく、また、正常な露光済みフィルムの中に異常な未露光フィルムが混入するということが防止される。しかも、搬送ローラの逆方向の回転が終了したとき、記録素材の終端部は搬送ローラの上流側に存在するので、操作者は、この終端部分を容易に回収するできる。
【0044】
また、画像記録部がドラムを使用するものであり、記録素材をドラムに固定するための手段が設けられている場合には、ドラムが記録素材を搬送する作用を行なう。本考案では、この場合、記録素材が所定の長さに満たないと検出されたときは、ドラムを逆方向に回転させるとともに、記録素材の固定も解除する。これにより、上記の場合と同じく、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがないため、排出ルートにおいてジャムを起こすことがなく、また、正常な露光済みフィルムの中に異常な未露光フィルムが混入するということが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の第1実施例である製版出力装置の構成図。
【図2】 第1実施例の製版出力装置の制御系統の構成を示すブロック図。
【図3】 第1実施例で行なわれるフィルム巻付処理のフローチャート。
【図4】 第1実施例で行なわれるフィルム巻付処理の第1終端処理のフローチャート。
【図5】 第1実施例で行なわれるフィルム巻付処理の第2終端処理のフローチャート。
【図6】 第1実施例において記録ドラムに連続フィルムを巻き付けている状態の断面図。
【図7】 第1実施例において記録ドラムが固定解除位置にある状態の断面図。
【図8】 第1実施例において露光済みのカットフィルムが記録ドラムから取り外される状態の断面図。
【図9】 第1実施例において露光済みのカットフイルムが排出部により排出される状態の断面図。
【図10】 本考案の第2実施例である製版出力装置の構成図。
【図11】 第2実施例の製版出力装置の制御系統の構成を示すブロック図。
【図12】 第2実施例で行なわれるフィルム巻付処理のフローチャート。
【図13】 第2実施例で行なわれるフイルム巻付処理の終端処理のフローチャート。
【符号の説明】
11、61…連続フィルム 12、62…フィルムマガジン
13…搬送部 14…排出部
16、66…搬送ローラ 19、69…カッタユニット
20、21、70、71…フィルムセンサ
24…終端フィルム皿 74…終端フィルム回収箱
25…カットフィルム 30、80…記録ドラム
31…押さえ板 32…凹部
33…スクイズローラ 35…爪
40、90…制御部
訂正の要旨 訂正の要旨
実用新案登録第2576415号考案の実用新案登録明細書を本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正する。すなわち、
(1) 実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む、素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、
g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
(2)明細書の段落【0006】に係る記載を
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本考案に係る画像記録装置は、
a)シート状の記録素材を連続の状態で保持する素材供給部と、
b)記録素材に画像を記録する画像記録部と、
c)素材供給部と画像記録部との間に設けられた正逆両方向に回転可能な搬送ローラと、
d)素材供給部と画像記録部との間に設けられた素材切断手段と、
e)素材供給部と搬送ローラとの間に設けられた終端検出センサを少なくとも含む、素材切断手段により前端が切断され、正方向に回転する上記搬送ローラにより画像記録部に搬送される記録素材の長さを検出する素材長検出手段と、
f)終端検出センサが記録素材の終端を検出することで素材長検出手段により記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたとき、まず搬送ローラの正方向の回転を停止させ、次に前記搬送ローラの逆方向の回転を開始させる制御を行う終端処理手段と、を備えており、
g)搬送ローラと終端検出センサとは、それらの間隔が、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする画像記録装置である。」と訂正する。
(3) 明細書の段落【0008】に係る記載を
「【作用】
請求項1に記載した画像記録装置では、通常の状態では、前回、素材切断手段により前端が切断された連続状の記録素材は、正方向に回転する搬送ローラにより素材供給部から引き出され、画像記録部の方に搬送される。そして、素材長検出手段により、搬送される記録素材の長さが所定の値になったと検出された時点で素材切断手段が素材を切断する。しかし、連続状の記録素材の最後の部分になり、素材長検出手段の終端検出センサにより検出された記録素材の長さが所定値以下であることが検出されたときは、終端処理手段によって、まず搬送ローラの正方向の回転が停止される。次に搬送ローラの逆方向の回転が開始される。ここで、搬送ローラと終端検出センサとの間隔は、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているので、終端部の記録素材が搬送ローラから外れてしまうことはない。これにより、終端部の記録素材は搬送ローラの上流側に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがない。」と訂正する。
(4)明細書の段落【0043】に係る記載を
「【考案の効果】
本考案に係る画像記録装置では、素材供給部から供給される連続状の記録素材が最後の部分になり、その長さが所定の長さに満たないときは、まず、記録素材を搬送する搬送ローラの正方向の回転を停止させる。搬送ローラには慣性があるのでその回転は即時には停止しない。したがって、記録素材の終端部の搬送は終端検出センサよりも下流において停止する。ここで、搬送ローラと終端検出センサとの間隔は、終端処理手段によって搬送ローラの正方向の回転が停止するまでの記録素材のオーバーラン長さよりも長くなるように設定されているので、オーバーランによって記録素材の終端部が搬送ローラから外れてしまうことはない。したがって、記録素材の終端部は、この後に行われる搬送ローラの逆方向の回転によって逆方向に送られる。これにより、終端部の連続素材は素材供給部の方に戻され、画像記録部において正常に記録された記録素材の排出ルートに入ることがないため、排出ルートにおいてジャムを起こすことがなく、また、正常な露光済みフィルムの中に異常な未露光フィルムが混入するということが防止される。しかも、搬送ローラの逆方向の回転が終了したとき、記録素材の終端部は搬送ローラの上流側に存在するので、操作者は、この終端部分を容易に回収するできる。」と訂正する。
訂正事項(1)は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項(2)乃至(4)は、訂正事項(1)の訂正に伴って、考案の詳細な説明の記載が不明瞭になることの釈明を目的とするものである。
異議決定日 1999-09-08 
出願番号 実願平4-74862 
審決分類 U 1 652・ 531- YA (G03F)
U 1 652・ 113- YA (G03F)
最終処分 維持    
前審関与審査官 町田 光信  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 水垣 親房
小橋 立昌
登録日 1998-04-24 
登録番号 実用登録第2576415号(U2576415) 
権利者 大日本スクリーン製造株式会社
京都府京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1番地の1
考案の名称 画像記録装置  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ