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審決分類 審判 全部申し立て   B32B
管理番号 1004104
異議申立番号 異議1999-71246  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-30 
確定日 1999-07-14 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2582216号「内装表皮材料」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2582216号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.本件考案
本件登録第2582216号実用新案は、平成4年7月10日出願の実願平4-58937号の実用新案登録出願に係り、平成10年7月24日にその実用新案権の設定登録がなされたものであって、その請求項1?3に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維からなる表皮基材の裏面に表皮材がポリエステル系繊維からなる場合はポリエステル系発泡体シートが、また表皮材がポリアミド系繊維からなる場合はポリアミド系発泡体シートが接着により複合化されていることを特徴とする内装表皮材。
【請求項2】該発泡体シートが無架橋発泡体シートであることを特徴とする請求項1記載の内装表皮材料。
【請求項3】該繊維材料がポリエステル系繊維からなり、該発泡体シートが熱可塑性ポリエステル樹脂より構成されている請求項1記載の内装表皮材料。」
II.申立ての理由の概要
これに対し、実用新案登録異議申立人・積水化成品工業株式会社は、甲第1号証(特開昭51-112018号公報)、甲第2号証(実公昭49-25729号公報)、甲第3号証(特開昭58-71154号公報)、甲第4号証(ノンウーヴンズ・レヴュー創刊準備号、株式会社テックタイムス(1990年5月発行)、86?89頁)、甲第5号証(「自動車材料ハンドブック プラスチック編」株式会社大成社(昭和57年11月17日発行)、207?213頁)を提出し、
本件請求項1?3の考案は、甲第1?5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、該考案に係る本件実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである、と主張している。
III.申立人の主張の適否の判断
IIIの1.甲各号証の記載内容
甲第1号証
ア.「熱可塑性合成樹脂発泡体層と表装層とを有することを特徴とする積層内装材。」(特許請求の範囲第1項)、
イ. 「本発明の積層内装材を構成する熱可塑性合成樹脂発泡体層として、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリルニトリル-スチレン共重合体、……ポリアミド樹脂、高圧ポリエチレン及び上記各樹脂の混合体の発泡体を使用することが出来る。」(2頁左下欄16行?右下欄6行)、
ウ.「表装層としては、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン系合成紙……等のシート若しくはレザー、繊維性織物、編物、植毛、不織布が使用でき、……(3頁左上欄3?7行)、
エ.「本発明の積層内装材は、第1図に示すように熱可塑性合成樹脂発泡体層1と表装層2とを有するもの……である。」(3頁左下欄8?16行)、
オ.「第1図に示す積層内装材の場合には、従来の内装材に比べて、(イ)発泡板を使用するため、従来のものの重量の1/2以下にすることができる、(ロ)構造が単純化され、成形品については成形が容易で成形能率が著しく向上する、(ハ)軽量のため取付け作業に要する時間が軽減される、(ニ)薄い板でも剛性が得られ室内空間が大きく居住性が向上する、(ホ)断熱性が期待できる、(へ)材料、成形工費、取付工事費共に低下し、安価な内装材が得られる、(ト)……デザインの自由度が大きい、(チ)表装材の選択によっては内装材の構成素材のまま使用できる、(リ)難燃性付与が容易である、(ヌ)熱賦形性素材の発泡倍率、厚さ……の選択によって内装材の必要物性に容易に合せることができる等の効果を有するものである。」(3頁左下欄20行?右下欄15行)、
カ.前記発泡体層1と表装層2の具体的組み合わせとして、[自消性発泡ポリスチレンボード/エンボス軟質塩化ビニルシート]、[発泡ハイインパクトポリスチレンボード/エンボス軟質塩化ビニルシート]、[変性ポリフェニレン・オキサイド自消性フォームボード/フロッキング加工ナイロン](実施例1?3要約)。
甲第2号証
キ.「アルキレンフタレートとポリアルキレンエーテルグリコールとのモル比が2:1?20:1のポリアルキレンフタレートとポリアルキレンエーテルグリコールとのブロック共重合体から得られる……発泡体シートを布地類の外層材にて積層一体化した衣料その他の保温用シート材。」(実用新案登録請求の範囲)、
ク.「本考案は、……耐候性、耐変色性、耐屈曲性、耐熱性、低温特性、耐老化性等にすぐれ且つ柔軟で強度の大なるばかりでなく、風合、感触、ドレープ性にすぐれた、接着性の良好な、特に、衣料用として好適な保温用シートをうるを目的とするものである。」(1頁1欄24?32行)、
ケ.「外面に積層される外層材は、天然または人造繊維等の織物、編物、不織布等の布地類等が使用される。」(1頁2欄18?20行)。
甲第3号証
コ.「変性ポリスチレン樹脂の発泡体の両面に、変性ポリスチレン樹脂を含浸したポリエステル不織布を熱融着してなる自動車用天井内装材。」(特許請求の範囲第1項)、
サ.「従来から自動車の天井用内装材としては、……変性ポリスチレン樹脂発泡体の上下両面に変性ポリスチレンを貼着しこれを加熱加圧して成形したものが知られているが、……深絞りは可能であるが、……耐熱性の改善が特に必要とされていた。」(1頁右下欄5?13行)、
シ.「このようにして得られた自動車用天井内装材は、発泡体の表面にポリエステル不織布が一体に貼着した複合材となるので衝撃に強く、また、……耐熱性が……改善された。」(2頁右下欄13?17行)。
甲第4号証
ス.「車輌内装材 意匠性と成形加工性から各部位にニードルパンチの使用量伸びる」(86頁上部表題)、
セ.「5、6年前から、ポリエステル原着繊維……を使用したニードルパンチフェルト不織布は、成型性、意匠性、耐光性、品質特性、生産性等の点から内装材の各部分に数多く使用され、かつ数量の伸びが大きい。」(86頁左欄下から4行?中欄3行)、
ソ.「耐光性は特に重要で、条件の厳しい部品では、繊維として原着繊維(ポリエステル、ポリアミド……)を使用しないと、品質特性は満足できない。」(87頁左欄下から10?5行)、
タ.「自動車用内装材で、最近特に不織布の使用量が増加している部品は、トランク材、……フロアー材の各表皮である。」(88頁右欄3?7行)、
チ. 「成型工法とは、あらかじめ成型された基材(レジンフェルト、ダンボール、プラスチックシート、ガラスフェノール)にホットメルト接着……をラミネー卜した表皮材を載せ、最適条件……で表皮材と基材とを金型で圧着成型する工程である。」(88頁右欄13?20行)。
甲第5号証
ツ.「リサイクル問題からみた自動車」(207頁上段表題)、
テ.「……井手平三郎氏は、廃家電製品のリサイクル性に関連して、つぎの事項を提案している。これは自動車にも応用できよう。
(中略)
(ハ)複合部品‥‥表示用ラベル・プレート等の基材との同質化……。
商品としては、省エネルギー性、耐久性、安全性、無公害性、使いやすさ、外観などの特性とコストとリサイクル性とのバランスをとって、可能な限り、リサイクル因子をとり入れた設計をしてほしい。」(211頁右欄30行?212頁左欄18行)。
IIIの2.対比・判断
請求項1に係る考案について
本件請求項1に係る考案(前者)と甲第1?5号証記載の考案(後者)とを対比すると、いずれの甲号証にも、前者の必須の構成である、前記「ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維からなる表皮基材の裏面に表皮材がポリエステル系繊維からなる場合はポリエステル系発泡体シートが、また表皮材がポリアミド系繊維からなる場合はポリアミド系発泡体シートが接着により複合化されている内装表皮材」について、記載も示唆もされていない。
すなわち、前者は、
「クッション材としてポリウレタンを利用する従前の内装表皮材料にあっては、不用化した該材料のそれぞれの成分への還元処理が不可能であり、その結果、資源の再利用が図れない」という従来技術の問題点(本件実用新案登録公報2欄の段落【0002項】参照)を踏まえ、
「従来より使用されている表皮材料と同様なクッション性、通気性、透湿性等その他の優れた性能を備えた上、用済み後の処分の容易な内装表皮材料を提供すること」を目的とし(同段落【0003】参照)、
上記必須の構成の採用により、「本考案による内装表皮材料は、表皮基材と発泡体シートが同一組成から構成されているため、該表皮材料の廃棄にあたっても同一材料なるが故に同一工程、同一方法にて還元処理ができるという実用上優れた機能を果たすものである。」(同段落【0005】参照)旨の明細書記載の顕著な効果を奏するものと認められるところ、
そもそも甲第1?5号証中、製品の再利用(=リサイクル)について言及するのは甲第5号証のみにすぎず、しかも、その「複合部品‥‥表示用ラベル・プレート等の基材との同質化……。」云々程度の漠たる記載(前記テ参照)が、ただちに前者に係る、前記「内装用表皮材料におけるポリエステル系同士、又はポリアミド系同士の表皮基材と発泡体シートとの組み合わせ」までを示唆するものということはできない。
そして、前記のとおり、甲第1?4号証記載の考案は、その目的・効果が前者のそれ(=用済み後の処分の容易な内装表皮材料の提供)とはまったく相違し(前記オ、ク、シ、セ、ソ参照)、もとよりそれらの構成(前記ア?エ、カ、キ、ケ参照)上も、何ら前者の上記「内装用表皮材料におけるポリエステル系同士、又はポリアミド系同士の表皮基材と発泡体シートとの組み合わせ」を教示するものではない。
なお、特に甲第3号証記載の「変性ポリスチレン樹脂発泡体の上下両面に変性ポリスチレンを貼着しこれを加熱加圧して成形してなる、従来の自動車用天井内装材」(前記サ参照)は、全体が同一材料からなる点で前者(=本件請求項1に係る考案)と共通するものの、具体的材料組成の点で前者とはかけ離れているのみならず、それ自体、技術的に問題のある従来技術として挙げられているにすぎず、
また、甲第4号証中でポリエステル系やポリアミド系繊維不織布からなる表皮と一体化すべき基材(=レジンフェルト、ダンボール、プラスチックシート、ガラスフェノール)(前記チ参照)も、前者におけるそれ(=表皮基材に対応するポリエステル系、またはポリアミド系発泡体シート)とは無関係であって、
いずれも、前者の進歩性否定の材料とはなり得ない。
そうすると、甲第1?5号証記載の考案をどのように組み合わせたとしても、前者の前記必須の構成を導き出すことはできない。
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る考案1は、甲第1?5号証記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものということはできない。
請求項2?3に係る考案について
請求項2?3に係る考案(前者)は、請求項1に係る考案(後者)をさらに技術的に限定するものであるところ、前記のとおり、前提となる後者の進歩性が甲第1?5号証によっては否定されない以上、それと同一の理由により、前者についても、甲第1?5号証によってはその進歩性を否定することはできない。
IV.むすび
したがって、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1?3の考案に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?3の考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-06-25 
出願番号 実願平4-58937 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平井 裕彰野村 康秀  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
石井 克彦
登録日 1998-07-24 
登録番号 実用登録第2582216号(U2582216) 
権利者 セーレン株式会社
福井県福井市毛矢1丁目10番1号
考案の名称 内装表皮材料  
代理人 野河 信太郎  
代理人 斉藤 武彦  
代理人 畑 泰之  
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