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審決分類 審判 全部申し立て   A61C
審判 全部申し立て   A61C
審判 全部申し立て   A61C
管理番号 1004124
異議申立番号 異議1999-71162  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-23 
確定日 1999-08-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2581599号「根管長測定用電極」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2581599号の実用新案登録を維持する。
理由 〔1〕手続の経緯
本件実用新案登録第2581599号(以下「本件」という。)は、平成4年5月20日に実用新案登録出願されたものであって、平成10年7月10日に設定登録がされ、同年9月21日に実用新案登録公報に掲載されたものであり、これに対して、異議申立人株式会社モリタ製作所より平成11年3月23口付けで実用新案登録異議の申立てがされ、その後、当審の取消理由通知に対して、平成11年7月12日提出の訂正請求書により訂正請求がなされたものである。
〔2〕訂正事項と訂正の適否についての判断
本件訂正請求は、明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載中の、「前記根管長測定電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記測定電極と接触する導電性の部材を具備し、前記保護管内の一部が切除されて前記金属部片が露出されている」という記載を、「前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備し、前記保護管内の一部が切除されて前記金属部片が露出されている」と訂正するとともに、考案の詳細な説明の記載中、▲1▼「測定電極」(本件実用新案登録掲載公報第3欄第28行)を「根管長測定用電極」、▲2▼「測定針」(同欄第38行)を「根管長測定針」と、▲3▼「該保護管の一部が切除されて前記電極の一部が露出され、或いは、前記保護管内に前記測定電極と接触する導電性の金属部材を具備し、該金属部片が前記保護管の切除部から露出されている」(同第4欄第8?11行)を「前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備し、該保護管の一部が切除されて前記金属部片が該保護管の切除部から露出されている」と、▲4▼「根管長測定電極20を使用することなく、根管長測定針を根管内に挿入」(同欄第33?34行)を「根管長測定用電極21を使用することなく、換言すれば、根管長測定用電極21を根管長測定針に接触させることなく、根管長測定針を根管内に挿入」と、それぞれ訂正するとともに、▲5▼「なお、以上には、金属部片26を介することによって、根管長測定針と根管長測定電極との電気的な接触を確実にするようにした例について説明したが、金属部片26を用いることなく、絶縁保護管22の切除部22′にて、直接、根管長測定針と根管長測定電極とを接触するようにしてもよいことは容易に理解できよう。」(同欄第39?45行)というを削除し、さらに、「符号の説明」欄における「20…根管長測定電極」を「20…ホルダー」と、「26…導電性部材」を「26…導電性の金属部片」と、それぞれに訂正するものである。
そこで、これら訂正事項について検討すると、実用新案登録請求の範囲の訂正は、実用新案登録請求の範囲中の用語の使用を統一することによって考案の構成を明瞭にしたものであるから、この訂正は、実用新案法附則で準用する特許法第5章第120条の4第2項ただし書第3号の「明りょうでない記載の釈明」に該当し、また、「考案の詳細な説明」及び「符号の説明」の各訂正は、実用新案登録請求の範囲の記載の訂正に伴ってそれぞれの記載を訂正された実用新案登録請求の範囲の記載と整合するように訂正し、併せて誤記を訂正するものであると認められるから、いずれも同条第2項ただし書第2号及び3号に該当するものであり、また、本件訂正事項は、全体として願書に最初に添付した明細書及び図面の範囲においてされたものであるので、実用新案法附則第9条第2項(平成6年法第116号)で準用する特許法第5章第120条の4第3項でさらに準用する同法第126条第2項及び第3項の規定にも適合する。
さらに、本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案であるとすることもできない(後述のとおり実用新案登録異議の申立ては理由がなく、その他本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される考案が実用新案登録を受けることができない考案であるとする理由を発見しない。)ので、本訂正事項は、同じく準用する特許法第126条第4項の規定にも適合するものである。
したがって、本件訂正はこれを認めることとする。
〔3〕実用新案登録異議申立てについての判断
本件の請求項1に係る考案は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のものにある。
[リーマ又はファイル等の導電性の針部材から成る根管長測定針に接触されて前記根管長測定針の先端が根尖に達したことを電気的に検出する根管長測定用電極において、前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備し、前記保護管内の一部が切除されて前記金属部片が露出されていることを特徴とする根管長測定用電極。」
これに対して、異議申立人の申立ての理由は、本件考案は、甲第1号証記載のと同一あるいはこの考案から当業者が容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第1項第3号又は同条第2項の考案に該当し、また、本件実用新案登録の先願に係る甲第2号証に記載された考案であるから同法第3条の2第1項の考案に該当し、さらに、本件は明細書の記載が不備であるから実用新案法第5条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていないので、本件実用新案登録は取り消されるべきものである、というにあるものと認められる。(なお、異議申立人の法条の適用の明白な誤りについては訂正した。)
証拠方法:
甲第1号証:「The Dental Monthly Report 148」
株式会社モリタ商品本部発行(1992年2月21日発行)
甲第2号証:実願平3-88890号(実開平5-29512号)の願書に最初に添附した明細書・図面
甲第1号証には、「フルオート根管長測定器」について記載されているが、本件考案の「保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備(する)」点に関しては、甲第1号証には記載も示唆もない。
そして、本件考案は、この点の構成と他の構成が相俟って、考案の詳細な説明の「効果」の項に記載された効果を奏するものと認められるので、本件考案が甲第1号証に記載された考案であるとすることができないばかりでなく、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることもできない。
また、甲第2号証にも「歯科用根管器具ホルダー」について記載されているが、本件考案の「保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備(する)」点に関しては、記載も示唆もない。したがって、本件考案が甲第2号証に記載された考案と同一であるとすることはできない。
さらに、異議申立人が指摘した明細書の記載不備は、訂正によって解消したものと認められる。
〔4〕まとめ
以上のとおりであるから、異議申立人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
根管長測定用電極
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 リーマ又はファイル等の導電性の針部材から成る根管長測定針に接触されて前記根管長測定針の先端が根尖に達したことを電気的に検出する根管長測定用電極において、前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と焙触する導電性の金属部片を具備し、前記保護管の一部が切除されて前記金属部片が露出されていることを特徴とする根管長測定用電極。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、歯科治療において根管長を電気的に測定するための根管長測定用電極に関し、より詳細には、根管長を測定するために根管長測定針に接触されて、該根管長測定針の先端が根尖位置に達したことを電気的に検出するための根管長測定用電極の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯内療法における根管治療の困難さは、根尖周囲組織を傷つけずに根尖まで確実に根管の拡大、清掃を行い、これを緊密に充填する点にある。
治療中に根尖孔位置を越えてリーマ、ファイル、ブローチ、根管充填材料等で根尖充填材料等根尖歯周組織を刺激することは好ましくなく、このため、根尖歯周組識の刺激を恐れて、器具の挿入が不十分となったり、根尖部根管に清掃消毒されない空隙を残すことは予後を不良にする原因となる。したがって、根管治療を正しく行うためには、予め根管の正確な長さを知っておく必要がある。
これまで臨床において根管長を知る方法として、測定針(通常、リーマまたはファイル)を根管に挿入し、術者の手指の感覚による方法が知られている。
【0003】
しかし、この方法によると、上顎切歯、犬歯、下顎小臼歯等のように単純で太い根管で、しかも根尖が完成して、根尖狭窄部が明らかに触知できる症例ではほぼ触知できるが、根管が細く、根尖未完成歯や彎曲した根管では熟練者でも確認が難しいという問題点がある。そのために根管長を電気的に測定するものとして、特開昭60-174144号公報に記載されているように、根管内に、リーマを測定針として挿入し、口腔粘膜に当接した片電極との間に、例えばIKHz2と5KHz2の2つの周波数の交流電圧を加え、根管長を検出するものも提案されている。
【0004】
図2は、手用のリーマ又はファイルを用いて根管長を電気的に測定する一例を説明するための図で、図中、20はリーマ又はファイルホルダー、30はリーマ又はファイル、40は歯、41は根管、42は歯肉で、周知のように、リーマ又はファイル30は、導電性の針部材31 刃部32、ラバーストップー33、把持部34等から成り、該手用のリーマ又はファイルを用いて根管長を測定する場合、ラバーストッパー33と把持部34の間をホルダー20の測定用電極21で保持し、リーマ又はファイルを一方の電極とする電気的根管長測定の際の一方の電極の信号取り付け部としている。この電気的な根管長の測定により根管長が検出できたらラバーストッパー33を移動させて、根管長をリーマに移して読んでいた。
【0005】
図3は、図2に示したホルダー20の詳細を説明するための断面図で、21は根管長測定用電極で、この測定電極21は、図示のように絶縁性の保護管22内に挿通され、その端部は、機械的には、押圧部材23に固定され、電気的にはリード線24に接続され、該リード線24を通して図示しない根管長(根尖位置)測定器に導かれている。一方、保護管22の端部22aは大径に形成され、この大径部22a内にスプリング25が挿入されている。従って、押圧部材23を矢印A方向に押すと、スプリング25が圧縮され、測定電極21が矢印A′方向に移動し、従って、保護管22の先端部22bと測定電極21の先端との間に根管長測定針31を挿入することができ、押圧部材23の押圧力を解除すると、測定電極21は、スプリング25の復元力によって矢印B′方向に移動し、従って、図3に示したように、保護管22の先端部22bと測定電極21との間に測定針31を狭持することができる。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
上述のごとき根管長測定装置において、根管長が短い場合、測定針(リーマ又はファイル)の刃部が測定電極に当り、その状態でリーマ又はファイルを回転しながら挿入していくことになるので、測定電極の先端が刃部で切削されるため、摩耗が早く、しかも、電気的に接触不良をおこし、更には、切断してしまう等の問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案は、上記課題を解決するために、リーマ又はファイル等の導電性の針部材から成る根管長測定針に接触されて前記根管長測定針の先端が根尖に達したことを電気的に検出する根管長測定用電極において、前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備し、該保護管の一部が切除されて前記金属部片が該保護管の切除部から露出されていることを特徴としたものである。
【0008】
【作用】
根管長の短い患者の根管の長さを測定する場合、根管長測定電極を用いることなく、換言すれば、根管長測定針の刃部に接触させることなく、該根管長測定針を根管内に挿入していき、根管長測定針が根尖位置に近づいた時に、時々、根管長測定電極を根管長測定針に接触させて、根尖位置に達したか否かをチェックする。
【0009】
【実施例】
図1は、本考案による根管長測定電極の一実施例を説明するための図で、(a)図は断面図、(b)図は(a)図のA部平面図で、図中、図3に示した従来技術と同様の作用をする部分には、図3の場合と同一の参照番号が付してある。
而して、本考案においては、絶縁性の保護管22の内側に導電性の金属部片26が設けられており、かつ、絶縁性の保護管22の一部22′が切除されて前記金属部片26の一部が露出している。前記金属部片26は、好ましくは、金属管で構成されている。根管長測定に当り、根管長の短い患者(歯)の場合(必ずしも、根管長が短い場合に限定されることはなく、術者の判断に応じて根管長の長い場合でもよい)、根管長測定用電極21を使用することなく、換言すれば、根管長測定用電極21を根管長測定針31に接触させることなく、根管長測定針を根管内に挿入していき、時々、前記金属部片26の露出部26′を根管長測定針31に押し当てると、根管長測定針31と根管長測定電極21とは、該金属部片26を介して電気的に接続されるので、以降は、前述の従来技術と同様にして、根尖位置を検出し、根管長を測定することができる。
【0010】
【効果】
以上の説明から明らかなように、本考案によると、根管長測定電極の先端部の摩耗、切断等をなくし、根管長測定用電極の寿命を長くすることができる。また、根管長測定電極の先端の摩耗をなくすことにより、根管長測定針との電気的な接触不良をなくし、根管長の測定を正確に行うことができる。更には、根管長測定針に根管長測定電極を常時接触させておく必要がなく、場合により、時々接触させて測定することもできるので、使い勝手がよい等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案による根管長測定用電極の一実施例を説明するための図である。
【図2】 根管長を電気的に測定する場合の一例を説明するための図である。
【図3】 従来の根管長測定用電極の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
20…ホルダー、21…根管長測定用電極、22…保護管、22′…切除部、2
3…押圧部材、24…リード線、25…スプリング、26…導電性の金属部片。
訂正の要旨 本件訂正請求は、明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載中の、「前記根管長測定電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記測定電極と接触する導電性の部材を具備し、前記保護管内の一部が切除されて前記金属部片が露出されている」という記載を、「前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備し、前記保護管内の一部が切除されて前記金属部片が露出されている」と訂正するとともに、考案の詳細な説明の記載中、▲1▼「測定電極」(本件実用新案登録掲載公報第3欄第28行)を「根管長測定用電極」、▲2▼「測定針」(同欄第38行)を「根管長測定針」と、▲3▼「該保護管の一部が切除されて前記電極の一部が露出され、或いは、前記保護管内に前記測定電極と接触する導電性の金属部材を具備し、該金属部片が前記保護管の切除部から露出されている」(同第4欄第8?11行)を「前記根管長測定用電極が絶縁性の保護管内に挿通されるとともに、該保護管内に前記根管長測定用電極と接触する導電性の金属部片を具備し、該保護管の一部が切除されて前記金属部片が該保護管の切除部から露出されている」と、▲4▼「根管長測定電極20を使用することなく、根管長測定針を根管内に挿入」 (同欄第33?34行)を「根管長測定用電極21を使用することなく、換言すれば、根管長測定用電極21を根管長測定針に接触させることなく、根管長測定針を根管内に挿入」と、それぞれ訂正するとともに、▲5▼「なお、以上には、金属部片26を介することによって、根管長測定針と根管長測定電極との電気的な接触を確実にするようにした例について説明したが、金属部片26を用いることなく、絶縁保護管22の切除部22′にて、直接、根管長測定針と根管長測定電極とを接触するようにしてもよいことは容易に理解できよう。」(同欄第39?45行)というを削除し、さらに、「符号の説明」欄における「20…根管長測定電極」を「20…ホルダー]と、「26…導電性部材」を「26…導電性の金属部片」と、それぞれに訂正するものである。
異議決定日 1999-07-23 
出願番号 実願平4-40708 
審決分類 U 1 651・ 113- YA (A61C)
U 1 651・ 532- YA (A61C)
U 1 651・ 16- YA (A61C)
最終処分 維持    
前審関与審査官 鈴木 寛治  
特許庁審判長 青山 紘-
特許庁審判官 長崎 洋一
大里 一幸
登録日 1998-07-10 
登録番号 実用登録第2581599号(U2581599) 
権利者 株式会社長田中央研究所
東京都品川区西五反田5丁目20番16号
考案の名称 根管長測定用電極  
代理人 篠田 實  
代理人 高野 明近  
代理人 高野 明近  

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