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審決分類 |
審判 全部申し立て B60N |
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管理番号 | 1004125 |
異議申立番号 | 異議1999-71974 |
総通号数 | 4 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-05-20 |
確定日 | 1999-08-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2585762号「容器ホルダ装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2585762号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件実用新案登録第2585762号(以下「本件考案」という。)は、平成4年12月22日の出願であって、平成10年9月18日に実用新案権の設定登録がなされ、その後、大島信久により、請求項1に対して、実用新案登録異議の申立てがされた。 そして、本件考案は、明細書及び図面の記載からみてその実用新案登録請求の範囲に記載された以下のものと認める。 「請求項1 載置される容器の底を支持する底支持部と前記容器の側周部の少なくとも一方部と当接する保持部とをもつトレイと、 該トレイ上に載置された容器を間に挟んで前記トレイの前記保持部と対向する位置に配設され上下方向に回動自在にその上端が枢着されたサポートと、 該サポートと前記トレイとの間に介装され前記サポートを前記保持部に近づける方向に付勢するばね部材とからなり、 前記サポートは、その上端部に形成されたばね収納部をもち、 前記ばね部材は、コイル部と該コイル部の両端から所定角度ずれた方向に延出する一対の端末部とをもつねじりコイルばねからなり、前記コイル部及び一方の前記端末部が前記ばね収納部に収納され、他方の前記端末部が前記トレイの周壁面に当接して配置されていることを特徴とする容器ホルダ装置。」 2.これに対して、実用新案登録異議申立人は、「本件請求項1に係る登録実用新案は、甲第1号証及び甲第2号証、又は甲第1号証及び甲第3号証に記載された考案に基づいてその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、実用新案法附則(平成6年法律第116号)第9条第2項において準用する特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。」というにある。 証拠方法: 甲第1号証:実願昭60-142248号(実開昭62-49443号)のマイクロフィルム 甲第2号証:実願昭62-148017号(実開昭64-51540号)のマイクロフィルム 甲第3号証:米国特許第4738423号明細書 3.そこで甲号各証について検討する。 まず、甲第1号証には、自動車の飲物容器保持装置に関し、以下の事項が記載されている。 ▲1▼「前記実施例構造によれは、缶9を把持して缶9の底部9aを蓋体13の表面13aに衝接しながら、該缶9をスプリング12に抗して下動させると、この缶9の下動に連れて蓋体13がヒンジ部11を回動中心として下方に開動しつつ、缶9の底部9aから胴部9bが受容口部10に挿入されて、該底部9aがエアーボックス部5Aの底面5aに着床し、胴部9bの上部が受容口部10に位置され、缶9の頂部9cがインストルメントパネル1のアッパ面1aよりも上方に突出された状態で縦置き支持されるのであるが、このとき、蓋体13における表面13aの自由端がスプリング12の弾発力によって缶9の胴部9b下側周面の一部に押付けられ、この蓋体13の押付力によって、前記脚部9bにおける受容口部10に位置した上側周面の一部が受容口部10の口壁面の一部に受止められ、缶9がエアーボックス部5Aの底面5a、蓋体13及び受容口部10夫々とに接触した3点支持状態で、受容口部10に対する上下動を抑えられて安定した状態に保持される。」(第5頁第7行?第6頁第5行) ▲2▼「第3、4図は本考案の異なる例を示すものであって、エアーボックス部5Aの受容口部10まわりに、インストルメントパネルlの背面1bとエアーダクト5Aの底面5aとにわたって、筒状の周壁体16を連設して、前記受容口部10をエアーボックス部5A内に隔成し、周壁体16を介して缶9を冷やしたり温めたりするとともに缶9の出し入れに際しても、空気調和装置運転時の受容口部10からの風もれを阻止すると共に缶9を真直に保持されるようにしたものである。」(第7頁第4?13行) 次に、甲第2号証には、自動車用カップホルダーに関し、以下の事項が記載されている。 ▲1▼「カップ等が挿入される差込み孔が形成されたホルダー本体と、前記差込み孔の一部若しくは全部を閉塞するように付勢されるとともに、該差込み孔の一部若しくは全部を閉塞する部分には、カップ等の側面と適合する保持部が形成されたカップ保持材とからなることを特徴とする自動車用カップホルダー」(実用新案登録請求の範囲) ▲2▼「カップ保持材7はホルダー本体2の裏面に配置され、さらに、カップ保持材7より延設された枢支片8の間には、トーションスプリング11が配置されている。このように配置されたカップ保持材7、スプリング11はピン10を貫通させることにより、ホルダー本体2に一体的かつ回動可能に取付けられる。この場合トーションスプリング11の一端はホルダー本体2に、もう一端はカップ保持材7に当接しているためカップ保持材7は、復帰可能となる。」(第5頁第2?11行) そして、甲第3号証には、飲料容器ホルダに関し、以下の事項が記載されている。 ▲1▼「前記中央開口領域の概ね外側に位置する排除位置と、前記中央開口領域内に延出する延出位置との間を動き得るように、前記フレームに枢支された容器係合部材(36)と、前記中央開口領域に配置された容器の内の選択されたものを位置決めするべく、前記可動部材(容器係合部材の誤り)が該選択された容器に係合するように、前記可動部材を前記延出位置に向けて付勢するばね(38)とを有することを特徴とするホルダ。」(甲第3号証の翻訳文第1頁第19?25行) 4.そこで、本件考案と上記甲各号証に記載されたものとを比較する。前者の「サポートは、その上端部に形成されたばね収納部をもち、ばね部材は、コイル部と該コイル部の両端から所定角度ずれた方向に延出する一対の端末部とをもつねじりコイルばねからなり、前記コイル部及び一方の前記端末部が前記ばね収納部に収納され、他方の前記端末部がトレイの周壁面に当接して配置されている」構成は、後者のいずれにも記載されていない。 そして、本件考案は上記構成を採用することにより、「ばね部材は、所定形状のねじりコイルばねが用いられ、サポートに形成されたばね収納部にねじりコイルばねの所定部分が収納配置されるように構成されているため、ばね部材をばね収納部に収納するのみで容易に取付配置することができる。また、ばね収納部をもつサポートは、予めばね部材を収納配置したばね収納部を利用してトレイに取付けることができるので、サポートの組付作業を容易に行うことができる。」という格別の効果を奏するものである。 そして、上記構成を具備しない甲号各証を組み合わせても、本件請求項1に係る考案に到達するものとは認められない。 なお、異議申立人は、上記甲第2号証記載のピン10は、『カップ保持部材7の上端部に取付けられているものであり、請求項1に係る考案の「ばね収納部」を構成している。」と主張するが、ピン10とカップ保持材7とは別部材であり、しかも、ピン10はばねを収納するものではないから、異議申立人の上記主張は採用できない。 また、異議申立人は上記甲第3号証記載の「ピン」は、『容器係合部材36の上端部に取付けられているものであり、容器係合部材36に設けられた「溝」と共に請求項1に係る考案の「ばね収納部」を構成している』と主張するが、ピンと容器係合部材「36」とは別部材であり、ピンはばね38を収納するものではないから、異議申立人の上記主張は採用できない。 したがって、本件考案は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者がきわめて容易に発明することができたとすることはできない。 5.したがって、実用新案登録異議申立人の主張する申立ての理由及び提出した証拠方法によっては、本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、本件考案について、他に取消理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-08-02 |
出願番号 | 実願平4-87995 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(B60N)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山岸 利治 |
特許庁審判長 |
岡田 幸夫 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 藤原 稲治郎 |
登録日 | 1998-09-18 |
登録番号 | 実用登録第2585762号(U2585762) |
権利者 |
豊田合成株式会社 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 |
考案の名称 | 容器ホルダ装置 |
代理人 | 中村 盛夫 |