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審決分類 審判 全部申し立て   H01J
審判 全部申し立て   H01J
管理番号 1005284
異議申立番号 異議1999-70297  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-01-25 
確定日 1999-06-02 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2577292号「希ガス放電灯」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2577292号の実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
本件実用新案登録第2577292号(平成2年4月28日出願、平成10年5月8日設定登録。)の請求項1に係る考案(以下、本件考案という)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2.申立ての理由の概要
申立人東芝ライテック株式会社は、本件考案はその出願日以前に公開された甲第1号証(特開昭61-185857号公報)、甲第2号証(特開昭61-237364号公報)及び甲第3号証(特開平1-231264号公報)に記載されたものからきわめて容易に考案をすることができたものであり、或いは、本件考案は、原審の拒絶理由に引用された引用例(特願平2-79052号(特開平2-288061号公報参照))に記載された発明と同一であるから、旧実用新案法第3条第2項または同法第3条の2の規定に該当し、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。
3.甲第1号証乃至甲第3号証記載の考案並びに原審の拒絶理由に引用された引用例に記載された発明
甲第1号証には、下記の事項が図面とともに記載されている。
「直管状のランプバルブに配設した一対の金属導体に高周波電磁界を印加し、上記バルブ内に封入した金属蒸気を励起させ発光させて成る無電極放電灯において、上記両金属導体をバルブ軸方向に沿って、かつバルブを挟むように対向して配置したことを特徴とする無電極放電灯。」(特許請求の範囲の欄)
「図において20は直管状のランプバルブで、該バルブ20の内壁面には、スリット状の開口部21を残し、酸化チタン等の反射膜22および螢光体23が塗布されており、また、バルブ1の内部には水銀等の金属蒸気およびアルゴン等の不活性ガスが封入されている。24,25は金属導体で、上記バルブ20の軸方向に沿って、かつバルブ20を挟むように対向して配置されている。26は高周波発振回路、27は電源である。なお、上記金属導体24,25は第5図に示すように、バルブ20の外壁面に当接するように配設することが望ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属導体24,25が互いに接しない構成であれば、その形、配設位置は問わない。」(第2頁左下欄14行乃至右下欄8行)
甲第2号証には、下記の事項が図面とともに記載されている。
「電界印加によって励起されて放電するガスを内側に封入する密閉放電管と、該放電管の外側であって互いに離間している電圧印加用の電極対と、該電極対に高周波発生用の電圧を印加する手段と、を有することを特徴とする照明装置。」(特許請求の範囲第1項)
「第2図は上記長尺型の放電管1の長手方向にわたって線状の導電部材21を互いに離間して設け、これらを放電管21を挟むように対向させて配置した実施例である。」(第3頁左上欄3行乃至6行)
「第2図の放電管を用いる場合は、電極間の放電管部分が被照明体側に指向されるように使用されることはいうまでもない。」(第3頁左下欄9行乃至11行)
甲第3号証には、下記の事項が図面とともに記載されている。
「ガラスバルブの内側に蛍光体層を有し、外面に一対の導電体を配設し、該各導電体に高周波電圧を印加することにより、前記バルブ内の放電気体を放電させるよう構成した蛍光ランプにおいて、前記バルブ内面に、互に対向する2つの蛍光体の存在しない部分を配設するとともに、該各部分の前記ガラスバルブ外面にそれぞれ前記各導電体を配設したことを特徴とする蛍光ランプ。」(特許請求の範囲の欄)
「第3図および第4図に、特開昭60-12660号公報に開示された蛍光ランプの縦断面平面図および拡大横断面図をそれぞれ示す。」(第1頁右下欄6行乃至8行)
「第1図において、ガラス管(またはバルブ)1の内部には、希ガスや水銀蒸気などの放電気体2が封入されている。」(第2頁左下欄4行乃至6行)
また、原審の拒絶理由に引用された本願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平2-79052号(特開平2-288061号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「原審の拒絶理由に引用された先願明細書」という。)には、下記の事項が図面とともに記載されている。
「放電室(10)と、放電向けの給電をするための交流電源(9)とが設けられている高出力放射器であって、前記放電室には放電条件下でビームを送出する充填ガスが充填されており、放電室の壁体は、誘電性のビーム透過性管(1;12;17)により形成されており、該管の放電室とは反対側の表面には第1および第2の電極(3,4;13,14;18)が設けられている高出力放射器において、
前記電極は管長手方向に延在し、空間的に相互に管周囲方向で間隔を空けた金属テープ(13,14)、金属ワイヤ(18)または金属層(3,4)として構成されており、各管の一方の電極には交流電源(9)の一方の極が、他方の電極には他方の極が接続されていることを特徴とする高出力放射器。」(特許請求の範囲第1項)
「実施例
第1図で、管1は導電性材料、例えばガラスまたは水晶からなり、絶縁材料、例えばシリコンゴム製の鋳込塊2にほぼ半分まで埋め込まれている。各管1には、管長手方向に延在し、周囲方向で相互に距離を置いたそれぞれ2つのテープ状金属化部3ないし4が電極として設けられている。この電極は例えば蒸着されたアルミニュームからなり、同時に反射器として作用する。金属化部3,4は完全に鋳込塊2の中にある。電気的接続は管外側の横にて、例えば鋳込まれた接触素子5(第2図)により行う。この接続端子は、管1から管長手方向で突出しており、各電極3,4の接触素子5はそれぞれ対向する管端部に存在する。
・・・中略・・・
充填ガスは例えば水銀、希ガス、希ガス-金属蒸気混合物、希ガス-ハロゲン混合物、場合によっては付加的に別の希ガス、有利にはAr、He、Neを緩衝ガスとして使用する。」(第3頁右上欄12行乃至右下欄12行)
4.対比・判断
本件考案と甲第1号証に記載された考案とを対比すると、甲第1号証には、本件考案の従来技術に相当する無電極放電灯が記載されているにすぎないものであって、本件考案では、一対の帯状電極を、それの一方の間隔が他方の間隔より広くなるようにバルブ中心軸に対して一方向に偏寄するように配設しているのに対して、甲第1号証に記載された考案では、一対の金属導体(帯状電極)を本件考案のように偏寄して配設していない点で相違している。
上記相違点について検討すると、甲第2号証には、放電管1(ガラスパルブ)の長手方向にわたって線状の導電部材21(帯状電極)を互いに離間して設け、これらを放電管21を挟むように対向させて配置したことが記載されているにすぎないものであって、線状の導電部材21が、蛍光体膜、光投射窓とどのように関連して配置構成されるかについては記載されておらず、示唆する記載も認めることができない。また、甲第3号証にも、蛍光ランプ(ガラスバルブ)内に放電気体として希ガスを封入することは記載されているが、一対の導電体(帯状電極)、蛍光体(蛍光体膜)及び光投射窓の配置構成は本件考案とは全く相違した構成のものが開示されているにすぎないものであるから、甲第1号証乃至甲第3号証に記載されたものから、本件考案の上記相違点に係る技術事項を当業者がきわめて容易に想到することができるものとは認めることができない。
そして、本件考案は、上記相違点に係る技術事項により実用新案登録明細書に記載された格別な効果を奏するものと認める。
次に、本件考案と原審の拒絶理由に引用された先願明細書に記載された発明とを対比すると、上記先願明細書に記載された発明は、本件考案の「内壁にほぼ全長に亘る光投射窓を残して蛍光体膜を被着し、かつ直管状のガラスバルブの外壁に一対の帯状電極を、帯状電極間の一方の間隔が光投射窓にほぼ一致するように対向して配設してなり」という技術事項を具備しないものであるから、本件考案と上記先願明細書に記載された発明が同一であるとは認めることができない。
5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-05-25 
出願番号 実願平2-45874 
審決分類 U 1 651・ 161- Y (H01J)
U 1 651・ 121- Y (H01J)
最終処分 維持    
前審関与審査官 森 正幸小川 浩史  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 柏木 悠三
島田 信一
登録日 1998-05-08 
登録番号 実用登録第2577294号(U2577294) 
権利者 日本電気ホームエレクトロニクス株式会社
大阪府大阪市中央区城見1丁目4番24号
考案の名称 希ガス放電灯  
代理人 和泉 順一  

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