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審決分類 審判 全部申し立て   G10G
管理番号 1005305
異議申立番号 異議1999-71328  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-08 
確定日 1999-10-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2582780号「楽器ケース」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2582780号の請求項2に係る実用新案登録を維持する。
理由 I【手続きの経緯】
本件実用新案登録第2582780号の請求項1及び2に係る考案は、平成5年9月28日に実用新案登録出願され、平成10年7月31日に設定登録され、その後、渡部廣美より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月8日に訂正請求がなされたものである。
II【訂正の適否についての判断】
ア.訂正の内容
実用新案権者が求めている訂正の内容は以下ののとおりである。
実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2の記載形式を訂正するとともに請求項番号を繰り上げ、請求項1として次のとおりに訂正する。
「【請求項1】合成樹脂でケースと鍵盤シャーシを一体的に形成して成り、
当該ケースと鍵盤シャーシのそれぞれに、少なくとも1個所の補強用の肉厚部を形成するとともに、該肉厚部内に空洞部を形成した楽器ケースであって、
前記鍵盤シャーシは複数の鍵を配列して取り付ける鍵取付部を有し、該鍵取付部は鍵の配列方向に沿って、複数列の空洞部を形成した肉厚部を設けたことを特徴とする楽器ケース。」
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当する。
そして、上記訂正は新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ.独立実用新案登録要件の判断
当審の取消理由で通知した実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に対する記載不備は、訂正によりその請求項1が削除され、訂正明細書の請求項1のとおりになったので解消しており、訂正明細書の請求項1に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項によって準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III【実用新案登録異議の申立てについての判断】
ア.本件考案
平成11年9月8日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。
イ.申立ての理由の概要
異議申立人渡部廣美は、証拠として甲第1号証:ペテロテック第14巻第11号、社団法人石油学会発行(1991年11月1日発行)、甲第2号証:特開平3-197998号公報、甲第3号証:実願平2-14537号(実開平3-105894号)のマイクロフィルム、甲第4号証:特開平5-241574号公報および甲第5号証:特開平2-158800号公報を提出し、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、実用新案登録を取り消すべきである旨主張している。
ウ.甲各号証記載の考案
申立人渡部廣美が提出した甲第1号証:ペテロテック第14巻第11号、社団法人石油学会発行(1991年11月1日発行)には、「プラスチックの中空射出成形技術(AGI法)」という項目について、図面と共に、次のとおりの記載がある。
▲1▼「樹脂の射出成形においては,樹脂は高温で金型内に充てんされた後,冷却して成形品が取出されが。この冷却過程で体積収縮が起こり,成形品全体のほぼ相似的な収縮の他に,しばしば,局部的な表面の凹み(ヒケ)や,成形品内部の真空泡(巣)を発生する。」(第55頁右欄第23行?28行)
▲2▼「中空射出成形技術の原理は,金型中の成型品の内部に加圧気体を導き,この圧力を保圧に代えて,この間に冷却を行うというものである(図1,2)。発泡成形との見掛け上の相違は,気体が細かく分散せず,一続きの塊として中空部を形成するところにあり,これにより発泡成形の大きな欠点は回避できる。」(第56頁左欄第22行?第28行)
▲3▼「特に相対的に厚肉の部分は冷却が遅いため,選択的に気体が入る。この部分はちょうどヒケや巣ができ易い部分であり,これらの欠陥の解消には中空射出は最適の技術であるといえる。また,樹脂による高圧の保圧を必要とせず,またゲートシールが無く,冷却中製品全体に均一にガス保圧がかかるため,成形品の内部ひずみも少なく,均一で反りなどの不良も発生しにくい。
これら中空射出成形の特徴から,従来は射出成形ではタブーであった偏肉設計をあまり恐れなくても行え,製品設計上の自由度が著しく増大した。例えば,従来は平面に立てるリブの厚みやボスの太さにはある制限があったが,中空射出成形ではその制限が大幅に緩和される(図3)。」(第56頁右欄第2行?第16行)
▲4▼「図3 OAシャーシー試験型の断面(ボス,リブ付き成形品であるが,リブの根元に中空部が形成されているのが分かる)」(第56頁右欄の図3の説明文)
▲5▼「中空射出成形の応用製品について特に制限を受ける要因は基本的には無い。
・・・(中略)・・・
中空射出成形で特に効果が期待できる製品をあえて記すと,
(1)大型,長尺の成形品
効果;ゲート点数の削減,成形機のランクダウン
製品;バンパー,インパネ,TVキャビネット等
・・・(中略)・・・
(3)取付けボスやリブを多数持つ成形品
効果;ヒケ防止,薄肉化
製品;事務機シャーシー,ハウジング類,ドアミラー
(4)肉厚部を持つ成形品
効果;ヒケ防止,成形サイクル短縮
製品;グリップ,把手類,スポイラー等」(第58頁左欄第23行?同頁右欄第9行)
同じく提出した甲第2号証:特開平3-197998号公報には、「鍵盤装置」(発明に名称)に関し、図面と共に、次のとおりの記載がある。
▲1▼「この鍵盤装置では、合成樹脂製の鍵盤シャーシ1の前端部に下部ケース2が薄肉の可撓部3を介して一体成形され、鍵盤シャーシ1の後端部にコンソールパネル4が薄肉の可撓部5を介して一体成形され、」(公報第2頁左下欄第7行?第11行)
▲2▼ 「コンソールパネル4の内面後部の複数の箇所には切欠部15を有する補強リブ16が設けられている。」(公報第2頁右下欄第6行?第8行)
同じく提出した甲第3号証:実願平2-14537号(実開平3-105894号)のマイクロフィルムには、「鍵盤装置」(考案の名称)に関し、図面と共に、次のとおりの記載がある。
▲1▼「鍵盤装置の鍵支持部材5は、前述したように、鍵盤装置の前端から後端に至るように形成されており、この鍵支持部材5には、種々の位置に補強用のリブ9,9・・・が張設されている。」(明細書第6頁第19行?第7頁第2行)
同じく提出した甲第4号証:特開平5-241574号公報には、「電子楽器」(発明の名称)に関し、図面と共に、次のとおりの記載がある。
▲1▼「【0008】前記上ケース1および下ケース2は、プラスチック材料で形成されており、」(公報第3頁左欄第21行?第22行)
▲2▼「【0010】また、前記下ケース2の内側面には、下ケース2の全体の機械的な強度を高めるための多数の補強リブ13が格子状に一体形成されている。」(公報第3頁左欄第37行?第39行)
▲3▼「多数の補強リブ13および多数の補強リブ15の形状は、この実施例のものに限定されず、」(公報第4頁左欄第10行?第12行)
同じく提出した甲第5号証:特開平2-158800号公報には、「電子楽器のスピーカボックス」(発明の名称)に関し、図面と共に、次のとおりの記載がある。
▲1▼「上ケース1は、各種楽音制御の設定を行なうパネル面である中央本体部2とその両側のスピーカ装着部3と前方に突出するフレーム4とからなる。中央本体部2の前方下方には補強用リブ5が一体形成され、中央本体部2を鍵盤が置載される前方部分から仕切るための隔壁の一部を構成する。」(公報第2頁左上欄第19行?同頁右上欄第5行)
エ.対比・判断
そこで、本件考案と甲各号証に記載の考案とを比較・検討する。
1)本件考案は、訂正明細書の記載によれば、楽器ケースにおいて、合成樹脂製の鍵盤シャーシ部に補強用の肉厚部を単に形成すると、射出成形時における樹脂の収縮によって肉厚部の表面にヒケが発生し、このヒケによって楽器ケースに反りが発生するという問題があり、このような反りのある楽器ケースでは、隣接する鍵の間隔および鍵の高さが不揃いになり、押鍵時におけるイニシャルタッチスイッチの押鍵タイミングが不規則になるため押鍵速度が検出できなくなり、品質を保証することができないという問題点に鑑み(実用新案登録明細書の【考案が解決しようとする課題】の項の記載参照)、訂正明細書の請求項1に記載の構成、特に、「前記鍵盤シャーシは複数の鍵を配列して取り付ける鍵取付部を有し、該鍵取付部は鍵の配列方向に沿って、複数列の空洞部を形成した肉厚部を設けた」点の構成要件を採用したものといえる。
2)これに対して、甲第1号証には、樹脂の射出成形において、冷却過程で体積収縮が起こり、局部的な表面の凹み(ヒケ)が発生すること(甲第1号証の上記▲1▼の記載参照)、相対的に厚肉の部分は冷却が遅いため、選択的に気体が入り、この部分はちょうどヒケや巣ができ易い部分であること(甲第1号証の上記▲3▼の記載参照)、金型中の成形品の内部に加圧気体を導き、一続きの塊として中空部を形成することにより、発泡成形の大きな欠点が回避できること(甲第1号証の上記▲2▼の記載参照)、リブの根元に中空部を形成すること(甲第1号証の上記▲4▼の記載参照)、さらに用途分野は、TVキャビネットやハウジング類等におよぶこと(甲第1号証の上記▲5▼の記載参照)が記載されており、それらの記載によれば、甲第1号証には、本件考案のような「合成樹脂」の「ケース」に「少なくとも1個所の補強用の肉厚部を形成するとともに、該肉厚部内に空洞部を形成した」技術が開示されているといえる。
しかしながら、甲第1号証には、本件考案のような複数の鍵を配列して取り付ける鍵取付部を有する楽器ケースを対象に、上記技術を適用することは示されておらず、すなわち甲第1号証には、本件考案の上記問題点の認識が記載されていないばかりでなく、上記1)で摘示した点の構成要件が記載も、示唆もない。
3)また、甲第2号証には、鍵盤装置における後端部のコンソールパネルの内面後部の複数の箇所に補強リブを16を設けること(甲第2号証の上記▲1▼の記載参照)、甲第3号証には、鍵盤装置における鍵支持部材の種々の位置に補強用のリブを張設すること(甲第3号証の上記▲1▼の記載参照)は、それぞれ記載されているが、それらの補強リブは、いずれも鍵の配列方向に沿って設けられておらず、さらに甲第4号証には、電子楽器における下ケースの内側面に多数の補強リブを格子状に一体形成すること(甲第4号証の上記▲1▼,▲2▼,▲3▼の記載参照)、甲第5号証には、電子楽器の上ケースの中央本体部の前面下方に補強用リブが一体形成されること(甲第5号証の上記▲1▼の記載参照)が、それぞれ記載されているが、それらの補強リブは、いずれも鍵盤取付部に設けられておらず、甲第2?5号証に記載のものは、いずれも補強リブを鍵取付部の鍵の配列方向に沿って設けることを予定しているものとはいえず、甲第2?5号証にも、本件考案の上記問題点の認識が記載されていないばかりでなく、上記1)で摘示した点の構成が示されているとはいえない。
したがって、上記甲各号証の記載内容、もしくはそれらの組合わせから、本件考案がきわめて容易に想到されるとはいえない。
なお、異議申立人の提出した参考資料1の特開昭54-21715号公報および参考資料2の実願平1-102232号(実開平3-42198号)のマイクロフィルムの開示も、本件考案の上記問題点の認識や上記1)で摘示した点の構成要件を示唆するに足りるものではない。
オ.以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては本件考案(訂正前の請求項2に係る考案)の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
楽器ケース
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂でケースと鍵盤シャーシを一体的に形成して成り、
当該ケースと鍵盤シャーシのそれぞれに、少なくとも1個所の補強用の肉厚部を形成するとともに、該肉厚部内に空洞部を形成した楽器ケースであって、
前記鍵盤シャーシは複数の鍵を配列して取り付ける鍵取付部を有し、該鍵取付部は鍵の配列方向に沿って、複数列の空洞部を形成した肉厚部を設けたことを特徴とする楽器ケース。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は楽器ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子鍵盤楽器では、合成樹脂製の楽器ケース内に金属製の鍵盤シャーシを組み付け、この鍵盤シャーシに多数の鍵を並列に配置させることにより、楽器全体の剛性を確保し、楽器ケースの反りを防ぐようになっている。しかし、鍵盤シャーシを用いた構造では、部品点数が多くなり、組立て作業が煩雑になるばかりか、楽器全体の重量が重くなるという不都合がある。
そこで、最近では、金属製の鍵盤シャーシを用いずに、楽器ケースに合成樹脂製の鍵盤シャーシ部を一体に形成し、この鍵盤シャーシ部に補強用の肉厚部を形成することにより、楽器全体の剛性を確保することが検討されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このような楽器ケースでは、合成樹脂製の鍵盤シャーシ部に補強用の肉厚部を単に形成すると、射出成形時における樹脂の収縮によって肉厚部の表面にヒケが発生し、このヒケによって楽器ケースに反りが発生するという問題がある。このような反りのある楽器ケースでは、隣接する鍵の間隔および鍵の高さが不揃いになり、押鍵時におけるイニシャルタッチスイッチの押鍵タイミングが不規則になるため押鍵速度が検出できなくなり、品質を保証することができない。特に、鍵を例えば61個以上配列するような大きな楽器ケースでは、上記のような問題が顕著に現われる。
この考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、射出成形時に肉厚部の表面にヒケが発生するのを防ぎ、反りがなく、剛性の高い楽器ケースを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この考案は、上記目的を達成するために、合成樹脂製の楽器ケースの所定個所に空洞部を有する補強用の肉厚部を形成したものである。
【0005】
【作用】
この考案によれば、射出成形時に樹脂の収縮により肉厚部の表面にヒケが発生するのを空洞部によって防ぐことができ、これにより反りの発生を防ぐことができるとともに、剛性の高いものを得ることができる。
【0006】
【実施例】
以下、図1?図4を参照して、この考案の一実施例を説明する。
図1は電子鍵盤楽器の外観平面図である。この電子鍵盤楽器は、合成樹脂製の楽器ケース1を備えている。楽器ケース1は、本体ケース2とカバーケース3とからなり、本体ケース2の前部に多数の鍵(白鍵および黒鍵)4が並列に配置され、本体ケース2の後部にカバーケース3が各鍵4の後端部を覆って取り付けられた構造となっている。この場合、カバーケース3の両側にはスピーカ放音部5が設けられ、その中央には表示部6が設けられ、これらの間には電源、自動演奏、音色設定などの各種のスイッチ7が設けられている。
【0007】
図2は本体ケース2の平面図、図3は図2のA-A断面図である。これらの図に示すように、本体ケース2は、鍵4が並列に配置される鍵盤シャーシ部10と、図示しないスピーカや電源などの電子部品を収納する部品収納部11とからなり、これらがポリスチレン(PS)などの熱可塑性樹脂により一体に成形された構造になっている。この場合、部品収納部11は、細長い凹部状に形成され、その外周に鍔部12が設けられているとともに、鍵盤シャーシ部10に近接する個所に複数の筒状部13が設けられ、この筒状部13の上端部および鍔部12にカバーケース3を取り付けるためのビス(図示せず)が挿入するビス挿入孔14が設けられた構造となっている。
【0008】
一方、鍵盤シャーシ部10は、図3における左側の前側配列部20よりも本体ケース2の中間の後側配列部21が高く、その間に中間配列部22が設けられた構造になっている。
後側配列部21は、前側から後側に向かうに従って階段状に漸次高くなるように形成されている。この後側配列部21の後端部には中間脚部23が設けられ、後端部の最上部には鍵4が取り付けられる鍵取付部24が設けられ、前端部の最下部にはイニシャルタッチデータを得るための2つのゴムスイッチ(図示せず)が挿入する2つの貫通孔25が設けられている。この場合、鍵4は、図3に2点鎖線で示すように、その後端部に屈曲部4aを介して連結部4bが設けられ、この連結部4bによって隣接する各鍵4が連結され、この連結部4bが鍵取付部24に設けられた位置決め部18で位置決めされて鍵取付部24にビス19によって取り付けられ、これにより屈曲部4aを中心に上下方向に回動するようになっている。
中間配列部22は、断面V字状の溝部26が後側配列部21に連続して設けられ、この溝部26に連続する断面逆L字状の立下り部27が設けられた構造となっている。この立下り部27には、鍵4に設けられたL字状のストッパ4cの先端部が上下方向に移動自在に挿入して鍵4の初期位置(上限位置)および下限位置を規制するバカ孔28が設けられている。また、立下り部27上には、鍵4の左右の横振れを阻止するとともに鍵4の上下動をガイドする鍵ガイド29が立設されている。
前側配列部20は、前側脚部30が立下り部27の前端部に交差して設けられ、この前側脚部30の上部から前端部に向けてゆるやかに傾斜する傾斜部31が設けられた構造となっている。
【0009】
また、本体ケース2の所定個所、つまり図2および図3に示すように、部品収納部11の後側底部、鍵盤シャーシ部10の鍵取付部24の前後部、断面V字状の溝部26の底部、立下り部27の前端部と前側脚部30との交差部、および傾斜部31の前端部には、それぞれ鍵4の配列方向に沿って補強用の肉厚部32が形成されている。そして、これら肉厚部32中には、図3に示すように、それぞれ鍵4の配列方向に沿って空洞部33が形成されている。また、鍵盤シャーシ部10の後側配列部21には、図2および図3に示すように、鍵取付部24の後部の肉厚部32から後側配列部21の前端部に亘って補強用のリブ34が鍵4の配列方向に適宜間隔で多数設けられている。これらのリブ34中にも、肉厚部32と同様に、空洞部(図示せず)が形成されている。
【0010】
ところで、本体ケース2の所定個所に設けられた肉厚部32および空洞部33は、それぞれほぼ同じ大きさに形成されている。ここでは、図4を参照して、立下り部27の前端部と前側脚部30との交差部の肉厚部32について説明する。この肉厚部32は、立下り部27の前端部の表面に形成される部分の長さMと前側脚部30の表面に形成される部分の長さNとが本体ケース2の肉厚tのほぼ3?5.5倍の大きさに形成されている。この場合、肉厚部32は、外面が傾斜面32に形成されているが、必ずしも傾斜面32aに形成する必要はなく、断面が矩形状であっても良い。また、この肉厚部32中に形成された空洞部33の内径Rは、その周囲における肉厚部32の肉厚が例えば本体ケース2の肉厚tとほぼ同じ大きさに形成されているが、これよりも小さい径であってもよい。なお、空洞部33は、射出成形時に樹脂が注入されて固化するまでの間に空気などのガスを外部から圧入することにより形成されるようになっている。
【0011】
このような楽器ケース1では、本体ケース2の所定個所に鍵4の配列方向に沿って肉厚部32を複数列(この実施例では6列)設けているが、各肉厚部32中に空洞部33がその長手方向に沿って形成されるから、本体ケース2を射出成形するときに樹脂の収縮により肉厚部32の表面にヒケが発生するのを空洞部33によって防ぐことができ、これにより本体ケース2に反りが発生するのを防ぐことができるとともに、剛性の高いものを得ることができる。この結果、隣接する鍵の間隔および鍵の高さを均一にすることができ、品質の良い鍵盤楽器を得ることができる。特に、この楽器ケース1では、押鍵操作時に外力が加わる本体ケース2の鍵盤シャーシ部10に肉厚部32が鍵4の配列方向に複数列(この実施例では5列)設けられ、後側配列部21にリブ34が鍵4の配列方向に適宜間隔で多数設けられているので、鍵4を例えば61個以上配列するような大型のものでも、補強金具などを用いず、十分に剛性を確保することができる。このため、押鍵時の押鍵力によって楽器ケース1が撓んだりすることがなく、良好に演奏をすることができる。
【0012】
なお、上記実施例では、鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、これに限らず、ギターなどの楽器ケースにも適用することができる。
【0013】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案によれば、合成樹脂製の楽器ケースの所定個所に空洞部を有する補強用の肉厚部を形成したから、射出成形時に樹脂の収縮により肉厚部の表面にヒケが発生するのを空洞部によって防ぐことができ、これにより反りの発生を防ぐことができるとともに、剛性の高い楽器ケースを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この考案の鍵盤楽器の外観平面図。
【図2】
図1の本体ケースを示す平面図。
【図3】
図2のA-A断面図。
【図4】
図3の要部を拡大した斜視図。
【符号の説明】
1 楽器ケース
2 本体ケース
10 鍵盤シャーシ部
32 肉厚部
33 空洞部
訂正の要旨 訂正の要旨
実用新案登録請求の範囲の1乃至2に係る記載
「請求項1 合成樹脂でケースと鍵盤シャーシを一体的に形成して成り、当該ケースと鍵盤シャーシのそれぞれに、少なくとも1個所の補強用の肉厚部を形成するとともに、該肉厚部内に空洞部を形成したことを特徴とする楽器ケース。」を削除し、
「請求項2 前記鍵盤シャーシは複数の鍵を配列して取り付ける鍵取付部を有し、該鍵取付部は鍵の配列方向に沿って、複数列の空洞部を形成した肉厚部を設けたことを特徴とする請求項1記載の楽器ケース。」とあるを
「請求項1 合成樹脂でケースと鍵盤シャーシを一体的に形成して成り、当該ケースと鍵盤シャーシのそれぞれに、少なくとも1個所の補強用の肉厚部を形成するとともに、該肉厚部内に空洞部を形成した楽器ケースであって、前記鍵盤シャーシは複数の鍵を配列して取り付ける鍵取付部を有し、該鍵取付部は鍵の配列方向に沿って、複数列の空洞部を形成した肉厚部を設けたことを特徴とする楽器ケース。」と訂正する。
異議決定日 1999-09-30 
出願番号 実願平5-56822 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (G10G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅澤 洋二  
特許庁審判長 村井 誠次
特許庁審判官 橋本 恵一
鈴木 明
登録日 1998-07-31 
登録番号 実用登録第2582780号(U2582780) 
権利者 カシオ計算機株式会社
東京都渋谷区本町1丁目6番2号
考案の名称 楽器ケース  
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