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審決分類 |
審判 全部申し立て A01C |
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管理番号 | 1006256 |
異議申立番号 | 異議1998-73107 |
総通号数 | 6 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-06-12 |
確定日 | 1999-10-25 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2558023号「不耕起移植機」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2558023号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
(1)手続きの経緯 本件実用新案登録第2558023号考案は、平成3年3月26日に出願され、平成9年9月5日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、井関農機株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月20日に訂正請求がなされ、更に、訂正拒絶理由通知がなされたものである。 (2)訂正の適否についての判断 ア.訂正の内容 ▲1▼.平成9年5月19日提出の「手続補正書」第1頁下から2行目(実用新案登録公報第1欄第11行目)の「配置した」とあるのを 『配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧する』と訂正する。 ▲2▼.平成9年5月19日提出の「手続補正書」第4頁下から5行目(実用新案登録公報第4欄第15行目)の「図2に」とあるのを 『図1に』と訂正する。 ▲3▼-1.平成9年5月19日提出の「手続補正書」第2頁下から1行目(実用新案登録公報第3欄第14行目)の「配置した」とあるのを『配置して、前記作溝体で形成した溝の側部を均平に鎮圧する』と訂正する。 ▲3▼-2.同上第3頁下から2行目(実用新案登録公報第3欄第24行目)の「前記溝」とあるのを『前記作溝体で溝を形成した際に浮き上がった溝』と訂正する。 ▲3▼-3.同上第4頁下から5行目(実用新案登録公報第4欄第17行目)の「側面視」の前に『図2に示すように』と訂正する。 ▲3▼-4.同上第5頁下から10行目(実用新案登録公報第4欄第33行目)の「作溝刃21aで形成した溝」とあるのを 『作溝刃21aで溝21bを形成した際に浮き上がった溝』と訂正する。 ▲3▼-5.同上第7頁下から14行目(実用新案登録公報第5欄第18行目)の「凸部を」とあるのを 『前記作溝体21で溝21bを形成した際に浮き上がった凸部を』と訂正する。 ▲3▼-6.同上第8頁下から9行目(実用新案登録公報第6欄第12行目)の「配置した」とあるのを 『配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧する』と訂正する。 イ 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び拡張・変更の存否 上記訂正▲1▼は実用新案登録請求の範囲の減縮に、上記訂正▲2▼は誤記の訂正に、上記訂正▲3▼は明瞭でない記載の釈明に、それぞれ該当し、又、上記訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 ウ.独立実用新案登録要件の判断 (訂正明細書の請求項1に係る考案) 訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「走行車1の後方に、複数の植付体14・・を横方向に間隔をおいて配設し、それらの植付体14・・と対向する部位に苗載台15を設けて移植装置9を構成し、該移植装置9を昇降自在に装着した移植機において、前記植付体14の前方に横方向の作溝軸20を駆動回転自在に支架し、該作溝軸20の前記植付体14と対応する部位毎に、外周に一定幅の作溝刃21aを有する作溝体21を装着すると共に、該作溝体21の両側に作溝体21の外径より小径に構成したローラ22,22を遊転自在に配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧することを特徴とする不耕起移植機。」 (引用刊行物) 訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件請求項1に係る考案」という。)に対して、当審が通知した取消理由及び訂正拒絶理由で引用した刊行物1(実願平1-42876号(実開平2-137811号)のマイクロフィルム)には、「走行車(本機1)の後方に、複数の植付体(植付杆4・・)を横方向に間隔をおいて配設し、それらの植付体と対向する部位に苗載台(苗載台2)を設けて移植装置(植付部A)を構成し、該移植装置を昇降自在に装着した移植機において、前記植付体の前方に横方向の作溝軸(シャフト15)を駆動回転自在に支架し、該作溝軸の前記植付体と対応する部位毎に、外周に一定幅の作溝刃を有する作溝体(耕起爪12a)を装着する不耕起移植機。」 が記載され、明細書第8頁第5?8行に『耕起爪12aで飛散した泥土は耕起土寄板23,23により耕起穴に埋戻されると共に、後続のフロートFにより均平化された後、植付杆4によりこの耕起部分に順次苗が植付られる。』なる記載がある。 同刊行物2(実願昭58-194832号(実開昭60-100911号)のマイクロフィルム)には、 「耕耘砕土面aを鎮圧輪11で鎮圧した後に播種する播種機1において、上記鎮圧輪を横軸12を介して回動自在に横架し、この鎮圧輪に複数の鎮圧溝付け輪25を間隔調節可能に取付けた播種機における鎮圧輪装置。」 が記載されている。 同刊行物3(実願昭55-8316号(実開昭56-111609号)のマイクロフィルム)には、 「移植機2におけるオープナー3前面位置にV字型またはU字型の溝を切る円盤5を回転自在に設け、上記円盤の両側には当該円盤と同軸で上記溝の深さを規制する円筒体6が取り付けられている移植機における開溝装置1。」 が記載されている。 同刊行物4(実願昭58-78853号(実開昭59-182112号)のマイクロフィルム)には、 「支軸5中心に転動自在である鎮圧ローラ1周面に作溝リング2を設けてなる播種溝形成装置」 が記載されている。 本件請求項1に係る考案に対して、当審が通知した訂正拒絶理由で引用した刊行物5(実願昭53-181601号(実開昭55-97306号)のマイクロフィルム)には、 「耕耘軸2に耕耘爪4を取付けるようにしたロータリ耕耘軸において、耕耘軸の外周を覆う円筒体5を、耕耘軸の軸心とほぼ同心に、かつ空転可能に支持するよう構成されているロータリ耕耘軸における巻付き防止装置。」 が記載されている。 同刊行物6(実願昭49-34108号(実開昭50-122502号)のマイクロフィルム)には、 「溝切り用爪車1を支持する回転軸3に対して巻付き防止筒4を遊嵌したことを特徴とする播種装置の溝切り用爪車軸に対する藁などの巻付き防止装置。」 が記載されている。 (対比・判断) 本件請求項1に係る考案と上記刊行物1?6に記載の考案とを対比すると、刊行物1?6に記載の考案は、本件請求項1に係る考案を特定する事項である「(駆動回転する)作溝体21の両側に作溝体21の外径より小径に構成したローラ22,22を遊転自在に配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧する」事項を備えておらず、当該事項により本件請求項1に係る考案は、「駆動回転する作溝体21が形成した一定幅の溝21bの両側の凹凸をローラ22,22で鎮圧均平することとなり、その際、ローラ22は遊転自在であるので泥土,藁屑56等の付着・持ち回りもなく、それにより圃場の凹凸が多くて固い不耕機圃場でありながら、良好に均平し、転び苗や浮苗が生ずることなく整然とした植付けをすることができる。また、圃場上に藁屑56等が散布してあっても、前記作溝体21が跳ね飛ばし、ローラ22で鎮圧して均平にするので作溝体21に藁屑等が巻き付くことがなく、乗用田植機と同様に安定した植付作業を行うことができると共に、植付爪13の摩耗や折損等もない。」という顕著な効果を奏するものであり、本件請求項1に係る考案が上記刊行物1?6に記載された考案であるとも、刊行物1?6記載のものからきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。 したがって、本件請求項1に係る考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできない。 エ むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第120条の4第2項及び第3項でさらに準用する特許法第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 (3)実用新案登録異議の申立てについての判断 ア 申立ての理由の概要 申立人井関農機株式会社は、請求項1に係る考案は、甲第1号証(実開平2-137811号公報)、甲第2号証(実開昭55-97306号公報)をもとにきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案登録を取り消すべきと主張すると共に、参考資料1(実開昭60-10091号公報),参考資料2(実開昭56-111609号公報),参考資料3(実開昭59-182112号公報),参考資料4(実願平1-42876号(実開平2-137811号)のマイクロフィルム),参考資料5(実開昭50-122502号公報)を提出している。イ 判断 本件請求項1に係る考案は、上記2.(2)ウで示したように、甲第1,2万証及び参考資料1?5で示した刊行物に記載された考案と同一であるとも、それらからきわめて容易に考案をすることができたものともすることはできない。 また、他に本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 不耕起移植機 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 走行車1の後方に、複数の植付体14・・を横方向に間隔をおいて配設し、それらの植付体14・・と対向する部位に苗載台15を設けて移植装置9を構成し、該移植装置9を昇降自在に装着した移植機において、前記植付体14の前方に横方向の作溝軸20を駆動回転自在に支架し、該作溝軸20の前記植付体14と対応する部位毎に、外周に一定幅の作溝刃21aを有する作溝体21を装着すると共に、該作溝体21の両側に作溝体21の外径より小径に構成したローラ22,22を遊転自在に配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧することを特徴とする不耕起移植機。 【考案の詳細な説明】 【請求項1】 走行車1の後方に、複数の植付体14・・を横方向に間隔をおいて配設し、それらの植付体14・・と対向する部位に苗載台15を設けて移植装置9を構成し、該移植装置9を昇降自在に装着した移植機において、前記植付体14の前方に横方向の作溝軸20を駆動回転自在に支架し、該作溝軸20の前記植付体14と対応する部位毎に、外周に一定幅の作溝刃21aを有する作溝体21を装着すると共に、該作溝体21の両側に作溝体21の外径より小径に構成したローラ22,22を遊転自在に配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧することを特徴とする不耕起移植機。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、耕起しない圃場に苗を植付る不耕起移植機に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、穀稈を刈り取った不耕起圃場に苗を植付る際、耕耘軸に部分的に耕耘爪を設けて耕起して溝を形成する耕耘装置の後側に、前記耕耘爪と対応する位置に植付け爪を配置した移植装置により苗を植付るようにした部分耕起移植機は既に知られている。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 上記従来の部分耕起移植機は、耕耘装置の後部に移植装置を連結するもので、耕耘装置と移植装置は同時に降下しその接地したとき機体の長さは著しく長くなると共に後部の重量が極めて大になり、機体の回行時に耕耘装置と移植装置を上昇させるには動力の消費が極めて大きく、また、苗を移植する場合、移植装置の植付体は未耕起の硬い田面に苗を移植することになり不正常な移植であったり、植付体の植付爪は早期磨耗や折損する等の欠点がある、更に、前部には大きなバランスウェートを取付ける必要があり、機体重量が増大する等の問題がある。 【0004】 【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するために本考案が講じた技術的手段は、走行車の後方に、複数の植付体を横方向に間隔をおいて配設し、それらの植付体と対向する部位に苗載台を設けて移植装置を構成し、該移植装置を昇降自在に装着した移植機において、前記植付体の前方に横方向の作溝軸を駆動回転自在に支架し、該作溝軸の前記植付体と対応する部位毎に、外周に一定幅の作溝刃を有する作溝体を装着すると共に、該作溝体の両側に作溝体の外径より小径に構成したローラを遊転自在に配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧するものである。 【0005】 【作用】 耕起しない圃場において苗を植付ける際、移植機の各部を駆動しながら走行すると、作溝体は駆動回転することにより田面の藁屑等を前方や側方に跳ね飛ばしながら所定の間隔をおいて一定幅の溝を形成する一方、苗載台上の苗は植付体で掻き取られて順次前記溝に植付けられる。その時、前記作溝体の両側に位置するローラは作溝体の回転とは独立して遊転自在になっており、田面上を遊転して、跳ね飛ばされた藁屑等の巻付きを少なくし、これらを圧蔽しながら前記作溝体で溝を形成した際に浮き上がった溝の両側部を略同一の高さに均平し鎮圧する。 【0006】 【実施例】 本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 走行車1は前輪2,2と後輪3,3とからなる走行装置を有し、エンジン4の動力をミッションケース5により走行装置と後方へ向けて設けたPTO軸とに分配する乗用移植機の本機である。その後方にはトップリンク6とロアリンク7,7とがリンクホルダ8に連結した移植装置9を昇降可能に装着している。該移植装置9は従来のものと同様、入力軸をPTO軸10aにより自在継手及び中間軸を介して駆動する伝動ケース10と該伝動ケース10により保持筒11内の横軸を介して伝動する複数の植付伝動ケース12・・と、先端に植付爪13と押出し具13aを有し上下動する植付体14・・と、横方向に左右往復動する苗載台15とにより構成されている。両側端の植付伝動ケース12,12の下部には後輪3の車輪跡を消去するように滑走するフロートからなる側部滑走体16,16を後部はリンクにより昇降調節可能に枢支し、前部はく字状リンクで昇降可能に連結し、中央の植付伝動ケース12の下部には側部滑走体16,16の接地滑走、及び感知性能を阻害しないように前後長さを短く且つ底面が側部滑走体16のそれより5?10mm、例えば7mm程度高くしたセンター滑走体16aを必要に応じて装着する。 前記側部滑走体16,16の前部を左右一体的に連結した横杆の中間部に固定したアームは、複数のリンクを介して移植装置9を昇降させるための油圧シリンダの制御バルブに連動連結することにより側部滑走体16,16の一体的な感知動作に連動して植付深さを一定に制御する。 【0007】 そして、前記左右両側端の植付伝動ケース12,12の外側面には、後部ステー18,18を固定し、それらの前部には前部ステー19,19を回動可能に連結している。これらの前部ステー19,19の前端部は六角軸からなる作溝軸20を回転自在に支承し、該作溝軸20の前記植付体14・・により形成される植付条の仮想延長線と対応する部位には、円盤状の作溝体21・・の中央に穿設した六角孔を嵌合して、各作溝体21・・の両側に装着したスリーブ23,23a,24により各作溝体21・・を位置決めし、且つ上下調節可能に吊設している。前記作溝体21の外周の多数の鋸歯状の作溝刃21a・・は、歯振(アサリ)を有し、図1に示すように歯振(アサリ)の幅の溝21bを形成するとき図2に示すように側面視で田面と略90度の角度αで抜け上がり、しかも、刃面を大半径Rで形成する円弧状の曲面刃であり、更に、先端が丸味を有するように小半径rで構成しているので田面55に散乱した藁屑56等は作溝刃21aに巻き付いて持ち上げられることがなく、前方及び側方へ跳ね飛ばされ排除される。 【0008】 そして、それぞれの作溝体21・・の両側には、作溝体21の外径より小径のローラ22,22をスリーブ23,23a,24に遊転自在に嵌挿する。該ローラ22,22は内部に泥土,藁屑56等が入り込まないよう中実体あるいは中空体で構成する。更に、作溝軸20の端部に装着したスリーブ23及びローラ22の抜け止めをする座金25をボルト26で固定し、スリーブ23及び24に嵌挿したローラ22の横移動はC型止め輪27で位置決めするもので、ローラ22は接地した状態で作溝体21とは独立して遊転し、跳ね飛ばされた藁屑56等を圧蔽しながら作溝刃21aで溝21bを形成した際に浮き上がった溝21bの両側部をほぼ同一の高さで均平に鎮圧する。 また、ローラ22の外周面に藁屑56等の巻き付き防止のため、図7に示すようにスクレーパステー28から垂下した支持板28aの先端には、ゴム板により構成されていて一側が作溝体21に向けて片持状に延出したスクレーパ28bを取付け、該スクレーパ28bの下端縁はローラ22に摺接し、更にスクレーパ28bの側縁は作溝体21に摺接乃至近接させてある。尚、植付伝動ケース12,12の前面にボルト29で取付けたブラケット31の側面の孔と作溝体ブラケット32の長孔を調節ボルト33で連結し、調節ボルト33を任意の位置に締付けることにより前部ステー19,19の前部の高さを昇降調節することができる。 【0009】 ミッションケース5から後部の作溝ケース34に伝動する駆動シャフト35の動力は、図8に示すように、カップリング36,スプロケット37,チェン38,入力スプロケット39を経て減速装置40の入力軸41を駆動し、切換歯車42を歯車43aに噛合させると正転減速し、また、逆転軸44の歯車44bと常時噛合している歯車44aを介して逆転減速して、出力軸43,自在継手45,伝動軸46から伸縮自在に嵌合する中空軸47へ伝達する。60は変速レバーで上記切換歯車42を変速操作する。61はレバーパネルで変速レバー60を位置決めする。62は後部ステップである。 【0010】 また、図9に示すように、前記中空軸47へ伝達された動力は作溝ケース34内の入力軸48に伝動された動力は一対の傘歯車49によって方向変換され、前記作溝軸20を駆動する。51は中空軸47を保持するベアリング支え、52はベアリングである。 【0011】 上記の構成において、移植機の各部を駆動しながら走行すると、前記作溝体21は苗の植付け位置に相当する部位を駆動回転し、藁屑56等を前方及び側方へ跳ね飛ばしながら一定幅の溝21bを形成する。同時にローラ22は作溝体21とは独立して遊転し、跳ね飛ばした藁屑56等を圧蔽して、前記作溝体21で溝21bを形成した際に浮き上がった凸部を押圧しながら溝21bの両側部をほぼ同一の高さとなるよう均平に鎮圧する。植付体14は、その先端の植付爪13により横方向に左右往復動する苗載台15上のマット苗を一株分づつ掻き取って前記作溝体21が形成した溝21bに上方から侵入し、その下降下端近傍で押出し具13aが苗を押出してほぼ同じ深さに植付る。その際、作溝刃21aの歯振(アサリ)幅の溝21bは植付爪13の外幅より狭く形成されるので、植付爪13が溝21b内に侵入して苗を植付ける場合、植付爪13の外側縁が溝21bの側面を僅かに削り取るが、溝21bの内側の土は泥土化しているので、植付爪13はスムーズに侵入し、植付苗、特にその根株の両側面は粗雑面となった溝21bの側面、または、植付爪13が溝21bの内側に形成した筋状の溝に当接すると共に押出し具13aは苗の根株を植付爪13の先端より下方の狭い溝21b内に強制的に押し込むので、根株の両側面が溝21bの両側面により挟持されることとなり、苗離れがよく、且つ、苗を整然とした起立姿勢に保持する。 【0012】 また、本考案の不耕起移植機は1行程の植付けが終わり、枕地にて回行をするとき、作溝軸20及びそれに取り付けた複数の作溝体21等からなる作溝装置を移植装置9の前部に装着するだけで機体の全長に変化がなく、重量の増加もさほど大きくないので、乗用田植機と略同様な操作性及び回行半径で機体の回行を行うことができる。 また、植付体14は溝21b内に強制的に苗を移植するので、植付爪の早期磨耗や折損するようなことがない。 【考案の効果】 本考案は 以上説明したように、走行車1の後方に、複数の植付体14・・を横方向に間隔をおいて配設し、それらの植付体14・・と対向する部位に苗載台15を設けて移植装置9を構成し、該移植装置9を昇降自在に装着した移植機において、前記植付体14の前方に横方向の作溝軸20を駆動回転自在に支架し、該作溝軸20の前記植付体14と対応する部位毎に、外周に一定幅の作溝刃21aを有する作溝体21を装着すると共に、該作溝体21の両側に作溝体21の外径より小径に構成したローラ22,22を遊転自在に配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧するので、駆動回転する作溝体21が形成した一定幅の溝21bの両側の凹凸をローラ22,22で鎮圧均平することとなり、その際、ローラ22は遊転自在であるので泥土,藁屑56等の付着・持ち回りもなく、それにより圃場の凹凸が多くて固い不耕起圃場でありながら、良好に均平し、転び苗や浮苗が生ずることなく整然とした植付けをすることができる。また、圃場上に藁屑56等が散布してあっても、前記作溝体21が跳ね飛ばし、ローラ22で鎮圧して均平にするので作溝体21に藁屑等が巻きつくことがなく、乗用田植機と同様に安定した植付作業を行うことができると共に、植付爪13の磨耗や折損等もない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 作溝体の立面断面図である。 【図2】 作溝体の作用側面図である。 【図3】 移植機の側面図である。 【図4】 移植機の平面図である。 【図5】 移植装置の正面図である。 【図6】 移植装置の側面図である。 【図7】 作溝体の斜視図である。 【図8】 減速装置の展開断面図である。 【図9】 作溝ケースの断面図である。 【符号の説明】 1 走行車 9 移植装置 14 植付体 15 苗載台 20 作溝軸 21 作溝体 21a 作溝刃 22 ローラ |
訂正の要旨 |
(3)訂正の要旨 ▲1▼実用新案登録請求の範囲の限縮について ア 平成9年5月19日提出の「手続補正書」第1頁下から2行目(公報第1欄第11行目)の「配置した」とあるのを 『配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧する』と訂正する。 ▲2▼誤記の訂正について ア.平成9年5月19日提出の「手続補正書」第4頁下から5行目(公報第4欄第15行目)の「図2に」とあるのを 『図1に』と訂正する。 ▲3▼明瞭でない記載の釈明について ア.平成9年5月19日提出の「手続補正書」第2頁下から1行目(公報第3欄第14行目)の「配置した」とあるのを 『配置して、前記作溝体で形成した溝の側部を均平に鎮圧する』と訂正する。 イ.同上第3頁下から2行目(公報第3欄第24行目)の「前記溝」とあるのを 『前記作溝体で溝を形成した際に浮き上がった溝』と訂正する。 ウ.同上第4頁下から5行目(公報第4欄第17行目)の「側面 視」の前に『図2に示すように』を加入する。 エ.同上第5頁下から10行目(公報第4欄第33行目)の「作溝刃21aで形成した溝」とあるのを 『作溝刃21aで溝21bを形成した際に浮き上がった溝』と訂正する。 オ.同上第7頁下から14行目(公報第5欄第18行目)の「凸部を」とあるのを 『前記作溝体21で溝21bを形成した際に浮き上がった凸部を』と訂正する。 カ.同上第8頁下から9行目(公報第6欄第12行目)の「配置した」とあるのを 『配置して、前記作溝体21で形成した溝21bの側部を均平に鎮圧する』と訂正する。 |
異議決定日 | 1999-09-30 |
出願番号 | 実願平3-26771 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(A01C)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 郡山 順 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
浜 勇 西川 一 |
登録日 | 1997-09-05 |
登録番号 | 実用登録第2558023号(U2558023) |
権利者 |
三菱農機株式会社 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 |
考案の名称 | 不耕起移植機 |