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審決分類 審判 全部申し立て   B32B
管理番号 1007621
異議申立番号 異議1997-72039  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-04-30 
確定日 1999-05-28 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2516036号「液晶モジュ-ル用の紐状シリコ-ンゴムスペ-サ-」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2516036号の実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
登録実用新案第2516036号の請求項1に係る考案についての出願は、平成3年2月28日に実用新案登録出願され、平成8年8月20日にその考案について実用新案権の設定の登録がなされ、その後、実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由通知(第1回目)がなされ、その指定期間内である平成9年10月28日に訂正請求がなされ、再度取消理由通知(第2回目)がなされ、その指定期間内である平成10年8月24日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内になにも応答がなされなかったものである。
なお、平成9年10月28日付けの訂正請求は平成10年8月24日付けの訂正請求に伴い取り下げたものと認められる。
2.訂正の適否
(1)平成10年8月24日付け訂正請求書に添付した、訂正した明細書(以下、訂正明細書という)の請求項1に係る考案(以下、訂正後の請求項1に係る考案という)
訂正後の請求項1に係る考案は訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認められる。
「伸縮性を有しない紐状の可撓性プラスチックシートの一面に、シリコーンゴム系接着剤を介してゴム硬度が20?70°Hである紐状シリコーンゴム成形体が接着されてなり、上記可撓性プラスチックシートの他面にアクリル系接着剤を塗布してなることを特徴とする液晶モジュール用の紐状シリコーンゴムスペーサー」
(2)訂正拒絶理由において刊行物1として引用した「実願昭63-78543号(実開平2-470号)のマイクロフィルム」(以下、引用刊行物という)に記載の考案
引用刊行物には、
a)「シリコーンゴムシートと非伸縮性部材からなるシート状体とを積層一体化してなることを特徴とするパッキング部材」(実用新案登録請求の範囲)、
b)「シリコーンゴムは伸縮性が80?200%(JIS法)と大きいため、このリボン状の製品はパッキング部材として使用すると変形し易く、ねじれたり、蛇行し易いために位置合わせの作業性がわるく、正確に位置合わせすることが難しいという不利があり、特にこれを回路基板と液晶モジェールの接続のために用いられるダミーコネクタ(スペーサー、ヒートシール部のバックアップ部材およびクッション部材などの目的として使用される。)として使用する場合には比較的低硬度(通常硬度20°)のものが要求されるので、伸び、蛇行が著しく、したがって目的の位置への正確な組込が難しく、自動組込が出来ないし、これを無理に粘着材で固定すると制御不能な伸びや縮みが混在した状態で固定されるために厚みが過不足し、本来のシール効果やクッション効果などの目的を満足することができないという欠点がある」(第1頁第16行-第2頁第16行)、
c)「なお、このシリコーンゴムシートはその目的に応じてJIS硬度が70?10°のものから適宜選択すればよい。また、このシリコーンゴムシートに積層されるシート状体は目的とするパッキング部材を伸縮性、ねじれ性の改良されたものとするということから非伸縮性のもの(0.25kg/cm^(2)荷重におけるJIS法伸びが5%以下のもの)とすることが必要とされるので、これはポリエステル、……などのプラスチック、……から適宜選択されるものとすることが必要とされる。プラスチックの場合には厚さが0.01mmより薄いとねじり、曲りを防ぐことができず、他方これが2mmより厚いと剛性が強すぎてシリコーンゴムシートをいたずらに厚くする必要が生じるので、0.01?2mmの範囲とされる」(第5頁第11行-第6頁第20行)、
d)「この積層は、……してもよいし、加硫ずみのシリコーンゴムシートとプラスチックシートとを室温加硫型のシリコーンゴム系接着材を用いて接着一体化させるようにしてもよい」(第7頁第15行-第8頁第9行)、
e)「なお、本考案になるパッキング部材を例えば巾30cm×長さ30mm×厚さ3mmのシート状体から切断して巾5cmのストライプ状体(紐状体)とする場合には、切断の前に貼付……(密着)しておけば、……有利性をもっている」(第10頁第11行一第20行)、
f)「実施例1で得られたパッキング部材の表面に接着材塗布加工したのち、これを長さ300mm×巾3.0mm×2.2mmに切断してスペーサーを作り、これについてLCDモジュールの組込みのテストを行ったところ、このものは……モジュールの耐久性を満足し、……組込み作業性を向上させることができた」(第15頁下から第3行-第16頁第5行)が図面第1図とともに記載されていると認められる。
上記a)?e)の記載を総合すると、引用刊行物には、伸縮性を有しない紐状の可撓性プラスチックシートの一面に、JIS硬度が70?10°の紐状シリコーンゴム成型体が、シリコーンゴム系接着材を用いて接着一体化された、回路基板と液晶モジュールの接続のために使用されるパッキング部材の考案(以下、引用考案という)が記載されていると認められる。
(3)対比・判断
訂正後の請求項1に係る考案と引用考案とを対比すると、前者が可撓性プラスチックシートのシリコーンゴム成型体を接着した面と異なる面に接着剤を塗布した構成を有するのに対して、後者ではこのような構成を有することが明記されていない点で相違していると認められる。
しかし、引用刊行物には上記f)に示したように、引用考案とはその層構造は異なるものの、得られたパッキング部材の表面に接着剤塗布加工をすることが記載されているから、引用考案のパッキング部材の表面に接着剤を塗布することは当業者にとってきわめて容易に想到できることであり、その場合、接着剤を塗布する面として、シリコーンゴム成型体の表面と、可撓性プラスチックシートの表面と、が択一的に想定されるが、接着性を考慮すると、シリコーンゴム成型体の面に塗布する場合にはシリコーンゴム系接着剤を、プラスチックシートの面に塗布する場合には適宜のプラスチックシート用の接着剤を使用することは当然のことであると認められる。
そして、プラスチックシートの面に使用する接着剤として、プラスチック材料、金属材料等の広い材料の接着剤として使用されることが従来周知であるアクリル系接着剤(例えば、「技術シリーズ接着」第27-28頁、3.7アクリル樹脂エマルジョン接着剤の項、株式会社朝倉書店、1989年10月10日発行,「接着ハンドブック」第319-323頁、5.2.2アクリル系接着材の項、日刊工業新聞社、昭和46年5月30日発行を参照すること)を採用することは、当業者が適宜選択できることと認められる。
また、訂正後の請求項1に係る考案において可撓性プラスチックシートのための接着剤としてアクリル系接着剤を選択して採用したことにより格別顕著な効果を奏し得たものとも認められない。
したがって、訂正後の請求項1に係る考案は、上記刊行物1に記載の考案及び従来周知の技術的事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、旧実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年12月14日法律第116号附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第3項でさらに準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、当該訂正請求は認められない。
3.特許異議申立てについての判断
(1)本件請求項1に係る考案
平成10年8月24日付けの訂正請求は、上記2.訂正の適否に記載した理由により、訂正を認められないものであるから、本件請求項1に係る考案は、願書に添付した明細書及び図面(以下、登録明細書等という)の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認められる。
「伸縮性を有しない紐状の可撓性プラスチックシートの一面に、ゴム硬度が20?70°Hである紐状シリコーンゴム成形体が接着されてなり、他面に接着剤を塗布してなることを特徴とする液晶モジュール用の紐状シリコーンゴムスペーサー」
(2)取消理由通知において引用した刊行物記載の考案
第2回目の取消理由通知(平成10年6月10日付け)において引用した刊行物(実願昭63-78543号(実開平2-470号)のマイクロフィルム)には、上記2訂正の適否の(2)において記載した考案が記載されていると認められる。
(3)対比・判断
本件請求項1に係る考案は、上記2.訂正の適否(1)の訂正明細書に記載された考案を包含するものであるから、上記2.訂正の適否に記載した理由と同様の理由により引用刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであると認められる。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る考案は、旧実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、平成6年12月14日法律第116号附則第9条第2項で準用する特許法第113条第2号に該当するので、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-04-16 
出願番号 実願平3-17096 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (B32B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鴨野 研一  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
石井 克彦
登録日 1996-08-20 
登録番号 実用登録第2516036号(U2516036) 
権利者 信越ポリマー株式会社
東京都中央区日本橋本町4丁目3番5号
考案の名称 液晶モジュール用紐状シリコーンゴムスペーサー  
代理人 宮尾 明茂  
代理人 藤本 博光  
代理人 松田 寿美子  
代理人 長谷川 一  
代理人 神田 正義  
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