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審決分類 審判 全部申し立て   A01K
審判 全部申し立て   A01K
管理番号 1009172
異議申立番号 異議1998-72193  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-24 
確定日 1999-11-29 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2552268号「釣竿」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2552268号の実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2552268号(以下、本件登録という)は、昭和62年10月27日に出願した実願昭62-164353号の一部を平成7年5月26日に新たな実用新案登録出願としたものであって、平成9年7月4日に設定登録されたところ、本件登録に対し、実用新案登録異議申立が寺井徳男(以下、申立人という)よりされたものである。
2.実用新案登録異議申立について
ア.本件考案
本件登録に係る考案(以下、本件考案という)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】釣竿の先端部に固着させた軸杆保持筒内に回転軸部を竿先の中心軸線を略中心として密接回動自在に支承せしめ、該回転軸部の前方部の外側に釣糸を結着させるリリアン等の柔軟性部材の基部を抜けないように被嵌させると共に、前記回転軸部の長さを該回転軸部の直径の2倍程度以上に長く形成したことを特徴とする釣竿。」
イ.申立の理由の概要
申立人は、下記の証拠を提出し、(1)本件考案は、甲第1,2号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない(以下、理由1という)、(2)本件考案は、原出願の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内の考案ではなく、本件登録は適法な分割出願ではないので、本件登録の出願日は、繰り下がって分割出願時である平成7年4月26日である。その結果、本件考案は、甲第3号証記載の考案と同一か又は同号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第1項第3号又は同条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない(以下、理由2という)。よって、取り消されるべきである旨主張する。

甲第1号証:[実願昭58-69384号(実開昭59-172566号)のマイクロフィルム]
甲第2号証:[実願昭59-115696号(実開昭61-30367号)のマイクロフィルム]
甲第3号証:[実願昭62-164353号(実開平1-68775号)のマイクロフィルム]
ウ.判断
i)理由1について
甲第1号証には、「一端を閉塞させた筒状体における上記閉塞部の中心に小孔を穿設し、この筒状体内に、一端に釣糸結合用の蛇口を、他端に抜け止め用の突部を各形成せしめた線状杆における前記蛇口を上記小孔より取出すことにより該線状杆を回動自在に挿通せしめた状態で該筒状体を穂先先端に嵌合止着したことを特徴とする釣糸と穂先の結合構造。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、従来技術として「釣糸を竿の穂先につなぐ手段として、当該穂先の先端にリリアン状の筒紐をさしこませて両者を接着し、ついで紐の先端に形成した結び玉(蛇口)に釣糸の端を結びつけ」(明細書第2頁3行?6行)ることが、この考案の目的・効果として「線状体を回動自在に挿通せしめた状態で、該筒状体を竿の穂先先端に嵌合止着したもので、上記蛇口に結合させた釣糸における道糸部分に生じようとするよじれを前記線状杆の回動により解消させること」(明細書第3頁4行?14行)が記載されている。
甲第2号証には、「魚釣り竿の穂先(1)のナイロン製リリアン部にサルカン(5)を挿入しサルカンのの左・右(6)・(7)とリリアン部とを細い糸で縛ったうえで接着剤で固着したことを特徴とする穂先。」(実用新案登録請求の範囲)、「この考案は上述のように穂先リリアン部にサルカンを取り付けることにより道糸のねじれ、絡みを従来の穂先使用の場合と比べ一層のこと、防止できる特徴を有する。」(明細書第2頁3行?11行、図面参照)が記載されている。
本件考案と甲第1、2号証記載の考案とを比較・検討する。
先ず、本件考案は、その明細書からみて、釣糸の撚れや糸絡みを防止すると共に、釣竿に糸絡みした場合でも容易に解除できるようにした釣竿を提供することを目的として、前記の構成を採用したものである。
ところで、甲第1号証には、釣糸の撚れを防止するために、釣竿の先端部に固着させた筒状部内に、一端に釣糸結合用の部材(蛇口)、他端部に抜け止め用の突部を各形成せしめた線条杆比丘を回動自在に挿通させた釣竿が記載されており、甲第1号証記載の前記突部は、本件考案の回転軸部に対応するといえる。しかしながら、前記突部は、このような部材名から、長い形状のものとはいえず、また筒状部から抜けないようにするための部材であり、図面からみても、その突部の長さは、その直径に比べて極端に短いものと認められる。
そうすると、甲第1号証には、本件考案の「回転軸部の長さを該回転軸部の直径の2倍程度以上に長く形成したこと」については記載ないし示唆されていないといえる。
次ぎに、甲第2号証は、釣竿先端部に間接的に筒状部(サルカン)が設けられ、釣竿先端部と柔軟部材に、一端部がそれぞれ固着し、他端部が筒状内に遊嵌されるようにされた線条体を有し、線条体の先に柔軟性部材を固着した釣竿が記載されており、このように、この種釣竿において本件考案の一部である柔軟性部材が記載されているに止まるといえる。
そうすると、甲第1号証および甲第2号証に記載された考案を組み合わせて、本件考案を想到することは当業者とはいえ困難であるといわざるを得ない。
そして、本件考案は、上記の構成を採用したことにより、甲第1号証および甲第2号証記載の考案から予期できない優れた効果を奏するものと認められる。
してみると、申立人の理由1は採用できない。
ii)理由2について
申立人は、本件考案の「前記回転軸部の長さを該回転軸部の直径の2倍程度以上に長く形成した」は、原出願当初の明細書および図面には全く記載されてなく、又自明のことでもない旨主張している。
そこで、本件考案が出願当初の明細書または図面(甲第3号証参照)に記載されているか否かを先ず検討する。
当初明細書第2頁の「考案が解決すべき問題点」の欄には、「回転軸部を釣竿の先端部に設けた軸杆保持筒内で回動するようにして砂その他の異物の回転部分への侵入を極力防止すると共に釣糸を結着した柔軟性部材が各方向の張力に順応して回転軸部において円滑に回動するようにして」の記載があり、本件考案の目的を達成するための構造を開示している。
そして、当初明細書第4頁の考案の効果の欄には、本件考案によって上記目的の異物侵入を防止できたこと(第4頁下から2行?末行)が記載されており、この記載と図面の記載から、軸杆保持筒2と回転軸部4との隙間は異物の侵入を拒むことのできるように密に形成されていることが明らかである。しかしながら、いかに密な隙間に形成されていても、回転軸部4は軸杆保持筒2内において回動自在であるため、その意味での隙間は存在しているものといえる。この隙間が存在しているうえで、上記目的の張力に応じて回転軸部が円滑に回動するためには、軸杆保持筒内に支承された回転軸部4は長く形成する必要があることは力学的にみて自明のことである。
ところで、「長い」という構成については、考案の効果の欄(明細書第4頁15行?16行に「・・・長い回転軸部の自在な回転によって・・・」の記載がある。さらに、当初明細書の図面(第1図)をみてみると、回転軸部の長さをその直径の2倍を多少越える長さに図示されていることが明白である。この図面に開示された構造は、本件考案の効果を呈する実施形態の一つの例示であり、この直径の2倍程度の長さを、考案の効果の欄において述べている「長い」の一つの形態例としているものといえる。 したがって、回転軸部が上記実施例の寸法形態(2倍程度)よりも更に長い形態にすることは本願考案の目的に沿うことは明らかである。
以上のことより、本件考案の「前記回転軸部の長さを該回転軸部の直径の2倍程度以上に長く形成した」は、原出願当初の明細書または図面に記載されているといえる。
そうすると、本件登録は、適法な分割出願に係るものといえるのであり、甲第3号証は、本件出願後に頒布された刊行物であるから、甲第3号証を検討するまでもないといえる。
したがって、申立人の理由2は採用できない。
3.むすび
以上のとおりであるから、申立人の主張する理由および提出した証拠方法によっては、本件登録を取り消すことはできない。
また、他に本件登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-10-26 
出願番号 実願平7-4948 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (A01K)
U 1 651・ 03- Y (A01K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 郡山 順
大▲高▼ とし子
登録日 1997-07-04 
登録番号 実用登録第2552268号(U2552268) 
権利者 ダイワ精工株式会社
東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
考案の名称 釣竿  
代理人 越智 俊郎  
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