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審決分類 審判 全部申し立て   F28F
管理番号 1009179
異議申立番号 異議1999-72619  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-05 
確定日 1999-12-20 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2588082号「熱交換器における伝熱管」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2588082号の実用新案登録を維持する。
理由 1.本件実用新案登録の請求項1に係る考案
本件実用新案登録第2588082号(平成10年10月23日設定登録)の請求項1に係る考案は、その実用新案登録明細書の請求項1に記載された事項により特定される次の通りのものにある。
「燃焼によって発生した排ガスが通過する経路の沿って、複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して、排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより排ガスの温度を下降させる熱交換器において、各伝熱管は、異なる材質の少なくとも2本の管を継いでなり、これらの材質のうちの1つが耐蝕性を持ち、耐蝕性を持つ各伝熱管の部分は、排ガスの温度が排ガスの成分の露点に達する範囲に配置される熱交換器における伝熱管。」
2.実用新案登録異議申立ての理由
これに対して、実用新案登録異議申立人、松村忠明は、甲第1号証(米国特許第4791142号明細書)、甲第2号証(実願昭51-36354号(実開昭52-126457号公報)のマイクロフィルム)、甲第3号証(特開昭57-131998号公報)、および、甲第4号証(特開昭57-188984号公報)を証拠方法として提出して、本件の請求項1に係る考案の実用新案登録に対して、「本件考案(請求項1)は、甲第1号証乃至甲第4号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到できたものであり、いわゆる考案の進歩性が欠如したものである。よって、本件実用新案登録を取り消す、との決定を求める次第である。」(実用新案登録異議申立書第9頁第4?7行)と主張している。
3.実用新案登録異議申立ての理由についての検討
3-1.甲第1号証乃至甲第4号証に記載されたもの
上記甲第1号証には、「ヒートパイプ熱交換装置であって、a.内側にガスの流路を形成するケーシングと、b.前記ケーシング内に配置されてガス流路を分割して、その一方側を第1の腐蝕性ガスが流れる第1ガス導管に、また他方側を第2の非腐蝕性ガスが流れる第2ガス導管にする密閉プレートと、c.前記密閉プレートに貫通状に取付けられた少なくとも1つのヒートパイプ装置とを備え、該少なくとも1つのヒートパイプ装置は、前記第1ガス導管内に配置される閉鎖端と前記第2ガス導管内に配置される開放端とを有する第1細長管状部材と、第2ガス導管内に配置される閉鎖端と第2ガス導管内に配置され且つ前記第1細長管状部材の開放端と流体連通する開放端とを有する第2細長管状部材と、軸方向に間隔を開けて第1と第2の開放端を有し且つ該第1の端部に前記第1細長管状部材の開放端が嵌合し、該第2の端部に前記第2管状部材の開放端が嵌合するようになった環状カラー手段とから成り、前記環状カラーは全体が第2ガス導管内に配置され、その第1の端部が前記第1細長管状部材の開放端に、またその第2の端部が前記第2細長管状部材の開放端に夫々固定されており、前記第1細長管状部材は比較的耐蝕性の高い材料でできており、前記第2細長管状部材は比較的耐蝕性の低い材料でできていることを特徴とするヒートパイプ熱交換装置。」(実用新案登録異議申立人が上記甲第1号証に添付した全文翻訳第9頁第1?20行)が記載されており、この「ヒートパイプ熱交換装置」に関し、上記甲第1号証には、「ヒートパイプを用いて高温煙道ガスからの熱伝達によって燃焼用空気の予熱又は煙道ガスの再加熱を行うときに通常発生する問題は、煙道ガスの温度がその凝結温度よりも低くなったときに煙道ガス内で腐蝕性ガスの凝結が発生することである。燃焼用空気の予熱に用いた場合、腐蝕性ガスの凝結は通常熱交換器の低温の端部で煙道ガス流内に配置されたヒートパイプの蒸発部の外側表面上に発生する。しかし、予熱中の燃焼用空気内に腐蝕性ガスが存在しないため、これらの同じヒートパイプの復水部は腐蝕に暴露されない。煙道ガスの再加熱に用いた場合、腐蝕性ガスの凝結は通常煙道ガススクラバーから排出された低温の水分飽和煙道ガス流内の熱交換器の低温の端部に配置されたヒートパイプの復水部の外表面上に発生する。しかし、かかる煙道ガスの再加熱において加熱ガスとして機能する高温の煙道ガスは一般的に飽和点よりもかなり高温で熱交換器から排出されるため、これらの同じヒートパイプの蒸発部は腐蝕に暴露されない。………本発明は、2つの別体の管状部材からなり、その一方を比較的高い耐蝕性を有する材料又は耐蝕性の材料の皮膜でコーテイングした材料で作り、他方を安価で耐蝕性が比較的低い材料で作ることのできるヒートパイプを提供することを目的とする。」(同全文翻訳第2頁第15行?第3頁第12行)ことが記載されている。
また、上記甲第1号証には、その図1に「本発明による複数のヒートパイプを備えたガス対ガス熱交換器の部分断面側面図」が、その図2に「環状カラーによって密閉連結された2つの管状部材からなる本発明によるヒートパイプの一実施例の断面側面図」が、その図3には「環状カラーによって密閉連結された2つの管状部材からなる本発明によるヒートパイプの他の実施例の断面側面図」が記載されている。
上記甲第2号証には、「内外二重壁より成る筒体(1)と、この筒体(1)の上縁に該筒体(1)内と連通するように設けた上側環状体(2)と、筒体(1)の下縁に該筒体(1)内と連通するように設けた下側環状体(3)と、下側環状体(3)の下側に設けた最下位環状体(4)と、下側環状体(3)に設けた流入孔(5)と、最下位環状体(4)に設けた排出孔(6)と、上端が上側環状体(2)に、かつ下端が最下位環状体(4)に夫々連通するようにして円柱状に配列したパイプ(7)と、この所要位置のパイプ(7)の任意位置を各隣接用の間隙を小なるように互いに内方に屈曲した屈曲部(8)とから成る熱交換器。」が記載されており、この「熱交換器」に関し、上記甲第2号証には、「本考案に係る熱交換器(A)は、流入孔(5)から下側環状体(3)内に空気又は気体を流入せしめると、その気体は筒体(1)内をへ上側環状体(2)内に向う。従って上側環状体(2)から各パイプ(7)をへて最下位環状体(4)に向かうものであるが、その際筒体(1)の内側を上昇する高温な排ガスとパイプ(7)内の気体と熱交換を行ない、以って最下位環状体(4)から排出孔(6)に向う。」(第2頁第18行?第3頁第6行)ことが記載されているけれども、上記甲第2号証には、排ガスは各パイプに沿って流れるから、排ガスの温度はパイプの最下位環状体(4)側よりも上側環状体(2)側の方で低くなり、パイプの上側環状体(2)側において排ガスの成分の露点温度まで低下してパイプの上側環状体(2)側表面に結露する旨の記載や、各パイプを異なる材質の少なくとも2本の管を継ぎ、これらの材質のうちの1つの材質を耐蝕性を持つものとし、その耐蝕性を持つ各パイプの部分を排ガスの温度が排ガスの成分の露点に達する範囲に配置する旨の記載は見当たらない。
上記甲第3号証には、「硫黄酸化物を含有する高熱排ガスを流通せしめるケーシングに被鉛伝熱管を蛇行状に挿着せしめて廃熱を回収する熱交換器において、該ケーシングの内面に排ガスと接触する部分に鉛ライニング板を貼着し且つ該被鉛伝熱管が該ケーシング壁を挿通する挿通孔に鉛スリーブを設け、該鉛ライニング板と溶接することを特徴とする耐硫酸露点腐食用熱交換器。」が記載されているけれども、上記甲第3号証には、燃焼排ガスが通過する経路に沿って複数の被鉛伝熱管を並設し、これらの被鉛伝熱管に空気を通して燃焼排ガスの熱を各被鉛伝熱管内の空気に吸収し、これにより燃焼排ガスの温度を下降させる熱交換器についての記載や、燃焼排ガスは各被鉛伝熱管に沿って流れるから、燃焼排ガスの温度は被鉛伝熱管の吐出側よりも給水側の方で低くなり、被鉛伝熱管の給水側において燃焼排ガスの成分の露点温度まで低下して被鉛伝熱管の給水側側表面に結露する旨の記載は見当たらないし、被鉛伝熱管を異なる材質の少なくとも2本の管を継ぎ、これらの材質のうちの1つの材質を耐蝕性を持つものとし、その耐蝕性を持つ各被鉛伝熱管の部分を燃焼排ガスの温度が燃焼排ガスの硫酸露点に達する範囲に配置する旨の記載も見当たらない。
上記甲第4号証には、「腐食性ガス(例えばSO_(2)、SO_(3)、HClなど)を含む燃焼排ガスより熱交換器を用いて燃焼ガスの酸露点温度以下の温度にまで効果的に廃熱を回収するに当たり、上記熱交換器の接ガス部はγFeーPb合金面を介在させる条件にて純鉛による浸鉛加工を行ない耐食性を与え、熱交換器の型式は伝熱管としてコルゲート管を用いたシェル・アンド・チューブ型式とするとともに、伝熱面に付着するダストの洗浄除去に高圧水自動洗浄装置を組み込んだことを特徴とする排熱回収方法。」が記載されているけれども、上記甲第4号証には、燃焼排ガスが通過する経路に沿って複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して燃焼排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより燃焼排ガスの温度を下降させる熱交換器についての記載や、燃焼排ガスは伝熱管に沿って流れるから、燃焼排ガスの温度は伝熱管の吐出側よりも給水側の方で低くなり、伝熱管の吸入側において燃焼排ガスの成分の露点温度まで低下して伝熱管の吸入側側表面に結露する旨の記載は見当たらないし、伝熱管を異なる材質の少なくとも2本の管を継ぎ、これらの材質のうちの1つの材質を耐蝕性を持つものとし、その耐蝕性を持つ各伝熱管の部分を燃焼排ガスの温度が燃焼排ガスの酸露点に達する範囲に配置する旨の記載も見当たらない。
3-2.本件の請求項1に記載されたものと、甲第1号証に記載されたもの乃至甲第4号証に記載されたものとの対比検討
本件実用新案登録明細書の第3乃至11段及び第16段の記載からみて、本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、燃焼によって発生した排ガスが通過する経路に沿って複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより排ガスの温度を下降させる熱交換器においては、排ガスは各伝熱管に沿って流れるから、排ガスの温度は伝熱管の空気排出側よりも空気吸入側の方で低くなり、伝熱管の空気吸入側において排ガスの成分の露点温度まで低下して伝熱管の空気吸入側表面に結露するという認識に基づいて、燃焼によって発生した排ガスが通過する経路に沿って複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより排ガスの温度を下降させる熱交換器において、各伝熱管は異なる材質の少なくとも2本の管を継いでなり、これらの材質のうちの1つの材質を耐蝕性を持つものとし、その耐蝕性を持つ各伝熱管の部分を排ガスの温度が排ガスの成分の露点に達する範囲に配置することにより、耐蝕性を持つ材質の管を適用しながらもコストの上昇を抑えることが可能な熱交換器における伝熱管を提供せんとするものであると解することができる。
これに対し、上記甲第1号証に記載されたものの「密閉プレートに貫通状に取付けられた少なくとも1つのヒートパイプ装置」は、そのパイプ内の作動液の気化により排ガスの熱を吸収するものであって、そのパイプ内に空気を通して排ガスの熱をパイプ内の空気に吸収するものではない。
また、上記甲第1号証の上記記載と図1乃至3の記載からみて、上記甲第1号証に記載されたものの「ヒートパイプ装置」は、その比較的耐蝕性の高い材料でできた「第1細長管状部材」を腐蝕性ガスの流れる「第1ガス導管」内に配置し、その比較的耐蝕性の低い材料でできた「第2細長管状部材」を非腐蝕性ガスの流れる「第2ガス導管」内に配置するものであって、その比較的耐蝕性の高い材料でできた「第1細長管状部材」と比較的耐蝕性の低い材料でできた「第2細長管状部材」の両部材を腐蝕性ガスの流れる「第1ガス導管」内に配置するものではないということができるから、上記甲第1号証に記載されたものの「ヒートパイプ装置」は、「第1ガス導管」内の腐蝕性ガスの流れを横切るように設けられており、「第1ガス導管」内の腐蝕性ガスの流れに沿って設けられてはいないということができる。
したがって、上記甲第1号証に記載されたものの「ヒートパイプ装置」は、排ガスが通過する経路に沿って複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより排ガスの温度を下降させる熱交換器における伝熱管であるということができないし、また、その耐蝕性を持つ各伝熱管の部分を排ガスの温度が排ガスの成分の露点に達する範囲に配置される上記熱交換器における伝熱管であるということもできない。
そして、上記甲第2号証乃至甲第4号証の記載からみて、上記甲第2号証乃至甲第4号証には、そのいずれにも、排ガスが通過する経路に沿って複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより排ガスの温度を下降させる熱交換器においては、排ガスは各伝熱管に沿って流れるから、排ガスの温度は伝熱管の空気排出側よりも空気吸入側の方で低くなり、伝熱管の空気吸入側において排ガスの成分の露点温度まで低下して伝熱管の空気吸入側表面に結露する旨の記載は見当たらないし、排ガスが通過する経路に沿って複数の伝熱管を並設し、これらの伝熱管に空気を通して排ガスの熱を各伝熱管内の空気に吸収し、これにより排ガスの温度を下降させる熱交換器において、各伝熱管は異なる材質の少なくとも2本の管を継いでなり、これらの材質のうちの1つの材質を耐蝕性を持つものとし、その耐蝕性を持つ各伝熱管の部分を排ガスの温度が排ガスの成分の露点に達する範囲に配置する旨の記載も見当たらない。
そうすると、本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、上記甲第1号証に記載されたもの乃至上記甲第4号証に記載されたものに基づいて、当業者が極めて容易に発明できたものであるということはできないから、実用新案法第3条第2項の規定に該当するものであるということができない。
4.むすび
以上の通りであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由も発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-12-06 
出願番号 実願平5-43553 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (F28F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 信平  
特許庁審判長 寺尾 俊
特許庁審判官 櫻井 康平
岡田 和加子
登録日 1998-10-23 
登録番号 実用登録第2588082号(U2588082) 
権利者 瀬尾高圧工業株式会社
大阪府大阪市西区立売堀1丁目3番13号 第三富士ビル5F
考案の名称 熱交換器における伝熱管  
代理人 安田 敏雄  
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