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審決分類 審判 全部申し立て   D06F
管理番号 1009181
異議申立番号 異議1999-73099  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-08-12 
確定日 1999-12-18 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2590510号「洗濯機用ホース」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2590510号の実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録第2590510号(平成5年1月22日出願、平成10年12月11日実用新案件の設定登録。)の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】洗濯機(A)内に位置する部分と洗濯機(A)の外部に位置させて使用する部分とが一体的に連なって、基端側に洗濯機の排水筒(a)に接続する受水用口部(1)と、先端側に洗濯機(A)における外箱の側壁(b)に形成されたホース係止部(c)係止するようにした排水用筒状部(3)に係止するようにした排水用筒状部(3)とを有する洗濯機用ホースであって、ホースの全長が、洗濯機(A)における排水筒(a)から間隔の長い側の側壁(b)に形成されたホース取り出し口(d)を通って当該側壁(b)側の係止部(c)の位置に至る長さに形成され、かつ、該ホース本体(2)における、前記洗濯機(A)の排水筒(a)から間隔の短い側の側壁(b’)に形成されたホース取り出し口(d’)を通って当該側壁(b’)側のホース係止部(c’)に至る長さに相当する位置に、別の排水用筒状部(3’)となる部分が一体的に形成されている洗濯機用ホース。」
2.申立理由の概要
申立人ホンダ電気工業株式会社は、証拠方法として、
甲第1号証(実願昭52-93760号(実開昭54-20013号)のマイクロフィルム)
甲第2号証(実願昭50-50195号(実開昭51-130672号)のマイクロフィルム)
甲第3号証(実願昭53-84424号(実開昭55-1443号)のマイクロフィルム)を提出して、
本件登録実用新案は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案から当業者であれば極めて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、準用される特許法第113条第1項第2号の規定に該当し登録を取り消されるべきものである、
旨主張している。
3.甲号各証記載の発明
甲第1号証には、「第1図は一般の二槽式洗濯機の構成を示したもので、1は洗濯機本体、2は本体1内に設置された洗濯機で、脱水槽3とともに樹脂により一体形成されている。・・・8は洗濯槽2の底部に設けられた排水口で、この排水口8には排水フィルター10を着脱自在に装着している。11は排水弁で、この排水弁11には排水ホース12が連結され、洗濯機本体1外へ洗濯槽2内の水は排水される。13は排水ホース12の端部に装着されたホース口金である。」(明細書1頁20行?同2頁15行)こと、「本考案は第3図に示すような構造にしたものである。すなわち排水ホース12の蛇腹部15,16,17間に、ホース口金13の排水ホース挿入部13’の外径dと略同一ないしは締代を見込んで若干小さ目の内径d’を有する直線部分18,18’と、この直線部分18,18’の外径Dとほぼ同一の内径(d’+2t,t:肉厚)を有する直線部分19,19’とを連続して設けるとともに、さらに前記大径の直線部分19,19’と蛇腹部15,16との間にホース口金接続用の案内部20,20’を設けたものである。この場合、前記案内部20,20’は大径の直線部分19,19’の内径より大きな内径としている。」(明細書3頁11行?同4頁4行)こと、「上記構成において排水ホース12を排水口14に装着した場合、排水ホース12に屈曲部ができる場合は、使用後はまず排水口14と洗濯機本体1との距離に応じて、21あるいは21’部で排水ホース12を切断する。次にホース口金13の端面に沿って排水ホース12の端部12’を切断する。この場合、排水ホース12の端部12’はホース口金18の排水ホース挿入部18’に接着された状態で残っている。したがって前記21あるいは21’部で切断された排水ホース12を前記排水ホース12の端部12’の上から挿入してホース口金13に装着する。またこの場合、排水ホース12の案内部20,20’は排水ホース12接着時の案内の役目をなすため、ホース口金13への装着はきわめて容易に行える。」(明細書4頁8行?同5頁2行)ことが記載されている。
甲第2号証には、「1は洗濯機の外槽、2は洗濯槽、3は脱水槽、4は洗濯槽の排水管、5は洗濯槽の溢水管、6は脱水槽の排水管で、排水管4,6および溢水管5はバルブ7を介して排水ホース8に結合されている。排水ホース8はポリプロピレン等の可撓性樹脂でブロー成形により蛇腹状に形成されており、外槽1の一方の外壁に設けた引出口9を貫通して槽外に引き出され、不使用時には、その先端が外槽に取付けてあるハンガー10に係合されている。前記引出口9は外槽1の反対側の側壁にも設けてあって、排水ホース8は洗濯機の据付個所によって、そのいずれからでも引き出されるようになっている。点線で示すハンガー10は左側の引出口9から排水ホース8を引き出したとき、右側のハンガー10をとりはずして取り付けることを示している。排水ホース8は左右の引出口9のいずれからでも引き出すことができるように十分な長さを持っている。」(明細書1頁19行?同2頁18行)こと、「第2図は本案のホースストッパ13で、弾性と可撓性を有する物質によりリング状に形成されており、一部に切溝14を設けてある。本案のホースストッパ13は、その切溝14を押拡げて排水ホース8の所定の個所にはめこむと、その弾性によって第3図に示すように蛇腹状の排水ホースのくびれ部にくい込んで定着する。本案は以上の構成を有するのでホースストッパ13を排水ホース8の所定の個所にはめこんでおくと、排水ホース8を引出口9から引き出したとき、ホースストッパ13が引出口9に係止して、排水ホース8の槽外引出長を規正すると共に、排水ホースの取付基部11および屈曲部12に応力を加えない。」(明細書3頁7行?同4頁1行)ことが記載されている。
甲第3号証には、本考案は洗濯機の排水ホース接続用のジョイントに関するものであるとし、そのジョイントは「洗濯機本体に設けた排水管1に接続する排水管接続用のストレート部2と、このストレート部2から順次、蛇腹部3,鍔4,中央ストレート部5,切断用の溝部6,蛇腹部7,鍔8および排水ホース接続用のストレート部9とにより構成されている。」(明細書2頁12?16行)こと、「この排水ホース10はいわゆる小型(たとえば洗濯容量2kg)の洗濯機に適合してその長さを決定しており、したがって本考案のホースジョイントの全長は大型(たとえば洗濯容量3.2kg)の洗濯機の場合に前記小型洗濯機用の排水ホース10と接続して適正な排水ホースの長さが確保されるように予めその長さが設定される。」(明細書3頁4?10行)こと、「また中型(たとえば洗濯容量2.5kg)の洗濯機に適用する場合は切断用の溝部6を案内として切断し、中央ストレート部5を排水ホース接続用の口金部として利用するもので、この場合も排水ホース10は共用するものである。なお中央ストレート部5およびストレート部9の基部に形成した鍔4,8はそれぞれ排水ホース10を接続した際の当り部となっている。また小型(たとえば洗濯容量2kg)の洗濯機にあっては本考案のホースジョイントを用いず、排水ホース10を直接洗濯機本体の排水管に接続する。」(明細書3頁10行?同4頁1行)ことが記載されている。
4.対比・判断
本件考案と甲第1号証乃至甲第3号証に記載の考案とを対比すると、上記甲号各証には、洗濯機用ホースにおいて「ホースの全長が、洗濯機(A)における排水筒(a)から間隔の長い側の側壁(b)に形成されたホース取り出し口(d)を通って当該側壁(b)側の係止部(c)の位置に至る長さに形成され、かつ、該ホース本体(2)における、前記洗濯機(A)の排水筒(a)から間隔の短い側の側壁(b’)に形成されたホース取り出し口(d’)を通って当該側壁(b’)側のホース係止部(c’)に至る長さに相当する位置に、別の排水用筒状部(3’)となる部分が一体的に形成されている」構成を備えていない。
すなわち、甲第1号証に記載の排水ホースは、蛇腹部の数ケ所に、ホース口金の排水ホース挿入部外径と略同一ないしは若干小さ目の内径を有する直線部分と、この直線部分の外径とほぼ同一の内径を有する直線部分とを連続して設けておき、設置場所に設けた排水口との距離に応じて排水ホースを直線部分で切断して使用するものであり、また、甲第3号証に記載のものは、容量の異なる大きさの洗濯機において、その排水ホースを共用化するため、洗濯機本体の排水管と排水ホースの間に長さ調節をするためのジョイントを用いたものであり、本件考案のように、洗濯機のホース取出口を変えたとき排水口とホース係止部との長さが異なる洗濯機において、左右何れの側でも、それ専用に製造されたホースの場合と全く同様に、ホースを洗濯機の側壁に沿わせた姿勢にしてホース係止部に係止させておくようにしたものではない。
同じく、甲第2号証に記載のものは、排水ホースにホースストッパをはめて槽外への引き出し長を一定にしようとするものであり課題解決手段が本件考案とは全く異なるものである。
そして、本件考案は上記構成により、「洗濯機の設置場所と排水孔の関係で、ホースを排水筒から側壁までの間隔の長い側において使用するときには、ホースの先端側に形成してある排水用筒状部を使用するようにし、ホースを排水筒から側壁までの間隔の短い側において使用するときには、ホースの先端側から離れた位置に形成してある別の排水用筒状部の先端側の部分を切断して、該別の排水用筒状部をその側壁側のホース係止部に係止させて使用することによって、左右何れの側でも、それ専用に製造されたホースの場合と全く同様に、ホースを洗濯機の側壁に沿わせた姿勢にしてホース係止部に係止させておくことができる」という明細書記載の効果を奏するものである。
したがって、本件考案は、本件考案の上記構成を備えていない甲第1号証乃至甲第3号証に記載のものから当業者がきわめて容易に考案することができたものとすることはできない。
5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申し立ての理由及び証拠によっては本件考案についての実用新案登録を取り消すことができない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
異議決定日 1999-12-06 
出願番号 実願平5-4869 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (D06F)
最終処分 維持    
前審関与審査官 梅田 幸秀  
特許庁審判長 岡田 幸夫
特許庁審判官 熊倉 強
長崎 洋一
登録日 1998-12-11 
登録番号 実用登録第2590510号(U2590510) 
権利者 金尾 茂樹
兵庫県西宮市鷲林寺南町2-40
考案の名称 洗濯機用ホース  

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