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審決分類 |
審判 全部申し立て F16C |
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管理番号 | 1009195 |
異議申立番号 | 異議1998-75102 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-10-13 |
確定日 | 1999-11-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2568862号「スラスト針状ころ軸受」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2568862号の実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件実用新案登録第2568862号の請求項1に係る考案は、平成4年9月16日に出願され、その後、平成10年1月16日に、その実用新案登録の設定登録がされたものである。これに対して、日本精工株式会社より実用新案登録異議の申立があったので、当審において、当該申立の理由を検討し、実用新案登録取消理由を通知したところ、それで指定した期間内の平成11年3月8日に実用新案登録異議意見書が提出されると共に訂正請求がされ、その訂正請求に対して、当審より平成11年4月13日付で訂正拒絶理由を通知して、意見書を提出する機会を与えたが、実用新案登録権者からは何らの応答もない。 II.訂正の適否 上記訂正請求に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるとおりのものと認められるが、当該訂正請求に係る考案についての上記訂正拒絶理由は、改めて検討しても妥当なものである。 したがって、この訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第3項でさらに準用する同第126条第2項及び第4項の規定について、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされることより適用される平成5年改正特許法第126条第1項ただし書き及び第3項の規定に適合しないもので、当該訂正は認められない。 III.実用新案登録異議申立について 1.本件考案 本件実用新案登録第2568862号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、その実用新案登録明細書及び図面の記載から、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により構成されるものである。 「軌道輪にフランジを設け、そのフランジの開口縁に保持器抜け止め用の係合部を設けた非分離形のスラスト針状ころ軸受において、前記軌道輪を、保持器抜け止め用の係合部が形成された前記フランジを有する外側軌道輪と、その軌道輪に重なり、針状ころの転動を案内する環状の内側軌道輪とで形成したことを特徴とするスラスト針状ころ軸受。」 2.引用刊行物 上記本件考案に対し、当審が取消理由通知に引用した実願昭53-56375号(実開昭54-158158号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物」という。)には、軸端部でスラスト荷重及びラジアル荷重を受ける複合型針状軸受に関し、 「従来において、このようなスラスト・ラジアル荷重を受ける軸受としては第1図及び第2図に示すようなものがある。第1図のものはラジアル軸受としての保持器付き針状ころ軸受とスラスト軸受としての針状ころ軸受とが一体型の場合である。外輪(1)は薄肉鋼板の絞り加工品で、その軸方向途中において径方向外向きに伸びるフランジ(2)を有し、軸方向部は保持器(3)を備える針状ころ(4)の軌道輪として働き、フランジ(2)は軌道板(5)を介して保持器(6)を備える針状ころ(7)のスラスト荷重を受ける。(8)は軸受箱である。そして、この場合にはラジアル軸受の外径Dに対してスラスト軸受のフランジ外径D_(1)をD<D_(1)にし、しかも軸(9)の針状ころ(4)との内接径drとスラスト荷重を受ける針状ころ(7)に対する段部外径d_(1)をdr<d_(1)に仕上げなければならない。このため、軸(9)の端部を特別に加工するか、この軸(9)にスラスト荷重の作用する別部材を取付ける等の必要があり、又、軸受箱(8)や軸受装置全体が大型化・複雑化する欠点がある」(第1頁第14?第2頁第13行、第1図参照)こと及び 第1図には、フランジ(2)の円筒状部分はその閉口縁部分に(図面右方)において内側に折れ曲がり、この内側に折れ曲がった部分の内径は円筒状部分の内部に納められている保持器(6)の外径よりも小にしたものが記載されている。 3.対比・判断 本件考案と上記刊行物に記載された考案とを対比すると、刊行物に記載の「フランジ(2)」は、本件考案の「外側軌道輪」及び「フランジ」に相当する部分により構成されているものであり、 また、該「フランジ(2)」の内側に折れ曲がった部分は、その内径が円筒状部分の内部に納められている保持器(6)の外径よりも小になっていることより、保持器の抜け止めの作用をすることは明らかなことより、該内側に折れ曲がった部分は、本件考案の「保持器抜け止め用の係合部」に相当し、 さらに、「軌道板(5)」は、針状ころ(7)のスラスト荷重を受けるものであり、また、その形状は機能上当然に環状であることが必要であることより、該「軌道板(5)」は、本件考案の「針ころの転動を案内する環状の内側軌道輪」に相当することより、 上記刊行物には、本件考案の構成であるスラスト針状ころ軸受において「軌道輪にフランジを設け、そのフランジの開口縁に保持器抜け止め用の係合部を設けた非分離形のスラスト針状ころ軸受において、前記軌道輪を、保持器抜け止め用の係合部が形成された前記フランジを有する外側軌道輪と、その軌道輪に重なり、針状ころの転動を案内する環状の内側軌道輪とで形成したこと」が全て記載されている。 よって、本件考案は、上記刊行物に記載された考案である。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件考案は、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものであって、本件考案に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。 よって、本件考案に係る実用新案登録は、平成6年法律第116号附則第9条第7項の規定に基づき適用される、平成7年政令205号第3条第1項及び第2項の規定により、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-09-21 |
出願番号 | 実願平4-64541 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
ZB
(F16C)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 秋月 均 |
特許庁審判長 |
佐藤 洋 |
特許庁審判官 |
西村 敏彦 鳥居 稔 |
登録日 | 1998-01-16 |
登録番号 | 実用登録第2568862号(U2568862) |
権利者 |
エヌティエヌ株式会社 大阪府大阪市西区京町堀1丁目3番17号 |
考案の名称 | スラスト針状ころ軸受 |
代理人 | 東尾 正博 |
代理人 | 貞重 和生 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 天野 正景 |
代理人 | 鳥居 和久 |