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審決分類 |
審判 一部申し立て B65H |
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管理番号 | 1009210 |
異議申立番号 | 異議1999-71972 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-05-18 |
確定日 | 1999-12-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2585433号「印刷装置の排出用紙受け装置」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2585433号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
I.手続きの経緯 実用新案登録第2585433号に係る考案についての出願は、平成3年2月19日に実用新案登録出願され、平成10年9月11日にその考案について設定登録がなされ、その後、その考案について、異議申立人、有限会社光陽社より実用新案登録の異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年10月26日に訂正請求がなされたものである。 II.訂正の適否についての判断 (1)訂正事項 a.実用新案登録請求の範囲の請求項1を削除するとともに、請求項3を訂正後の請求項1に係る考案として、さらに限定を加え、 「印刷装置の排出口に接続され、その排出口から略水平方向に排出される用紙を受け取る印刷装置の排出用紙受け装置において、 複数の紙受部材が略一定の間隔で配置された無端ベルトと、同無端ベルトを張設かつ駆動させる2本のローラーとからなる排紙受け手段を、一対で互いに対向配置し、この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、 用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、 上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記排紙部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され、同無端ベルトの一回当たりの移動量を上記紙受部材の間隔に略等しく設定し、上記紙受部材上に排出された用紙間に隙間を持たせながら順次下降させて、装置最下部に積載収納することを特徴とする印刷装置の排出用紙受け装置。」と訂正する。 また、上記訂正にともない、請求項4の記載において、「請求項1,2または3記載の」を「請求項1または2記載の」と訂正する。 b.明細書の段落【0005】の 「この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙に合わせて間欠的に駆動され」を 「この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記排紙部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され」と訂正する。 また、明細書の段落【0006】の「請求項3記載の考案では、・・・制御手段を有している。」の一文を削除し、また、「請求項4記載の考案では、」を「請求項3記載の考案では、」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存在 上記訂正事項aは実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、また、上記訂正事項bは明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)訂正明細書請求項1及び2に係る考案 異議申立の対象となっている請求項は、請求項1乃至請求項3であったが、上記訂正により請求項1は削除され、請求項3が訂正後の請求項1となったため、現在、異議申立の対象となっている請求項は、請求項1および請求項2である。 訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、それぞれ、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載されとおりの次のものである。 「【請求項1】印刷装置の排出口に接続され、その排出口から略水平方向に排出される用紙を受け取る印刷装置の排出用紙受け装置において、 複数の紙受部材が略一定の間隔で配置された無端ベルトと、同無端ベルトを張設かつ駆動させる2本のローラーとからなる排紙受け手段を、一対で互いに対向配置し、この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、 用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、 上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記排紙部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され、同無端ベルトの一回当たりの移動量を上記紙受部材の間隔に略等しく設定し、上記紙受部材上に排出された用紙間に隙間を持たせながら順次下降させて、装置最下部に積載収納することを特徴とする印刷装置の排出用紙受け装置。 【請求項2】互いに対向配置された一対の排紙受け手段が、用紙排出方向と直交する方向にそれぞれ移動自在に支持され、一対の排紙受け手段の間隔を、排紙される用紙のサイズに合わせて調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の印刷装置の排出用紙受け手段。」 (4)独立登録要件の判断 <引用刊行物の記載> 当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開昭62-275963号公報)には、印刷装置の排出用紙受け装置に関するものが記載されており、印刷装置から排出用紙受け装置(搬送装置)への用紙の受け渡しについて ▲1▼「実施例では、スプロケット5,5の回転は排紙チェーン2の回動と連動するように設けられ、搬送される紙1とのタイミングが図られている。」(第3頁左上欄第15?18行)および ▲2▼「その際搬送速度を紙の自重による落下速度よりも遅い速度で行うため、スプロケット5によるチェーン6の回動を間欠的に作動する。」(第3頁右上欄第6?8行)と記載されている。 また、当審が通知した取消理由で引用した刊行物2(実願平1-32586号(実開平2-124966号)のマイクロフイルム)には、印刷機の排紙台に関するものが記載されており、用紙のストッパー部材について ▲3▼「第2図において、側板1および側板2と、ストッパー3で定められた区間Aに、紙が排出され、積み重ねられるが、」(第2頁第20行?第3頁第2行)と記載されている。 また、当審が通知した取消理由で引用した刊行物3(特公昭48-16273号公報)は、板状体移送装置に関するものであり、板状体を供給する供給コンベアを含む図面が記載されているとともに、 ▲4▼「供給コンベアにより運ばれて来たパッド15はガイドバー9(前側)により位置を決められ、連続搬送体A,Bの支持板4により支持されて(第2図参照)連続搬送体A,Bの移動につれ下部に移送され、搬送コンベア14上に落とされる」(第2頁左欄第38?42行)と記載されている。 また、当審が通知した取消理由で引用した刊行物4(実願平1-37901号(実開平2-129359号)のマイクロフィルム)は、排出カット紙スタック装置に関するものが記載されており、排出カット紙のストッパとなるガイド板について、 ▲5▼「3枚の前記ガイド板は排出カット紙1の大きさに合せて、ガイド板を差し換えられ、」(第4頁第5?7行)と記載されている。 また、当審が通知した取消理由で引用した刊行物5(特開昭60-48862号公報)は、コピー用紙送受トレイに関するものが記載されており、コピー用紙のストッパとなるガイドについて、 ▲6▼「両ガイド3,4を用紙2の各サイズのい応じて前後に移動調整できるようにしていた。」(第1頁右欄第13?15行)と記載されている。 <対比・判断> (a)本件請求項1に係る考案について ここで、本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案1」という。)と上記刊行物1乃至5に記載されている考案とを対比する。 上記▲1▼および▲2▼の記載より、上記刊行物1には、「用紙排紙タイミングに同期させ」て排出用紙受け装置の「駆動手段を間欠的に動作させる」ところまでは記載されているものと認められるが、「紙受部材の位置に基づいて」排出用紙受け装置の駆動手段を動作させることは記載されていない。 上記▲3▼?▲6▼の記載より、上記刊行物2,4,5には本件考案1の「ストッパ」に相当する部材の構成が記載されていることは認められ、また、上記刊行物3には、板状部材排出装置と板状部材受け(搬送)装置の関連構成が記載されていることも認められるが、いずれの引用刊行物においても「紙受部材の位置に基づいて」排出用紙受け装置の駆動手段を動作させることは記載されていない。 そして、本件考案1は、この「紙受部材の位置に基づいて」排出用紙受け装置の駆動手段を動作させるという構成により、「同時に左右の紙受け部材の高さが揃えられる」という明細書記載の作用を奏し、紙受け部材は用紙を良好に受け取ることができるという実用上優れた効果を有するものであるから、上記刊行物1乃至5に記載の考案に基づいてきわめて容易に想到し得るものとは認められない。 したがって、本件考案1は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 (b)本願請求項2に係る考案について 本件請求項2に係る考案(以下、「本件考案2」という。)も「紙受部材の位置に基づいて」排出用紙受け装置の駆動手段を動作させるという構成を考案の構成要件とするものであるのに対し、上記刊行物1乃至5には該構成要件が記載されていないから、本件考案1の場合と全く同様の理由で、本件考案2は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、実用新案法附則(平成5年法律第89号)第9条第2項において準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.実用新案登録異議の申立てについての判断 (1)申立の理由の概要 申立人、有限会社光陽社は、本件考案1及び本件考案2は、甲第1号証(特開昭62-275963号公報;上記刊行物1と同じ)、甲第2号証(実願平1-32586号のマイクロフィルム;上記刊行物2と同じ)、甲第3号証(特公昭48-16273号公報;上記刊行物3と同じ)、甲第4号証(実願平1-37901号のマイクロフィルム)及び甲第5号証(特開昭60-48862号公報)をもとにきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案登録を取り消すべきと主張している。 (2)判断 本件考案1,2は、上記II.(4)で示したように、甲第1乃至5号証(刊行物1乃至5)に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたとすることはできない。 (3)むすび したがって、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件考案1,2の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件考案1,2の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 印刷装置の排出用紙受け装置 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 印刷装置の排出口に接続され、その排出口から略水平方向に排出される用紙を受け取る印刷装置の排出用紙受け装置において、 複数の紙受部材が略一定の間隔で配置された無端ベルトと、同無端ベルトを張設かつ駆動させる2本のローラーとからなる排紙受け手段を、一対で互いに対向配置し、この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、 用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、 上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記紙受部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され、同無端ベルトの一回当たりの移動量を上記紙受部材の間隔に略等しく設定し、上記紙受部材上に排出された用紙間に隙間を持たせながら順次下降させて、装置最下部に積載収納することを特徴とする印刷装置の排出用紙受け装置。 【請求項2】 互いに対向配置された一対の排紙受け手段が、用紙排出方向と直交する方向にそれぞれ移動自在に支持され、一対の排紙受け手段の間隔を、排紙される用紙のサイズに合わせて調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の印刷装置の排出用紙受け装置。 【請求項3】 紙受部材上面に吸引孔が形成され、かつ、該紙受部材との接合部位に開口部を設けた無端ベルトと、同無端ベルトとローラー部間に遮蔽板を設けて形成される吸引室と、 この吸引室と連通し排気手段が形成された排気部とが形成され、上記紙受部材が排出口から排出される用紙を吸いつけながら装置最下部まで搬送する請求項1または2記載の印刷装置の排出用紙受け装置。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、印刷装置の排出用紙受け装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 一般に、輪転式印刷装置は外周面に孔版原紙が装着された版胴を有し、印刷用紙が前記原紙に接触して版胴の回転に同期して移動されることにより前記印刷用紙の上面に印刷インキによる印刷画像を形成するようになっている。例えば、孔版印刷機であれば、プレスローラー等の押圧手段により原紙開孔部よりインキを印刷用紙に転移させ、また、オフセット印刷機であれば、圧胴、ゴム胴により印刷される。そして、この種の印刷装置における排紙、即ち印刷終了した印刷用紙は吸着搬送装置や排紙ローラー等の排紙装置によって排出口より排紙トレイに排出され、積載されている。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 排出時、排出口より排出される印刷用紙は多くの場合、水平方向に排出されているが、自重によりその先端からたれ下がる。このため、インキの浸透性が悪い用紙を使用した場合やベタ画像の多い印刷を行った場合、インキの乾燥が排紙速度に追い付かず、排紙トレイに印刷用紙が積載されるときに先に排紙されている印刷用紙の画像面を、後から排紙される印刷用紙の先端が擦ってしまい、先に排紙された印刷用紙の画像面を汚損してしまったり、後から排出される印刷用紙の裏面が汚れるいわゆる裏移り現象が発生するという問題点がある。 【0004】 また、上記裏写りを防止する手段として、装置一回転ごとに印刷を行うのではなく、数回から数十回ごとに給紙し、前記印刷物が乾燥した後に次の印刷を行う間欠給紙式の用紙積載装置があるが、この方法ではインキの乾燥を待っている空転時間が長く、印刷時間が長いという問題を残している。 【0005】 【課題を解決するための手段】 そこで、請求項1記載の考案では、印刷装置の排出口に接続され、その排出口から略水平方向に排出される用紙を受け取る印刷装置の排出用紙受け装置において、複数の紙受部材が略一定の間隔で配置された無端ベルトと、同無端ベルトを張設かつ駆動させる2本のローラーとからなる排紙受け手段を、一対で互いに対向配置し、この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記紙受部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され、同無端ベルトの一回当たりの移動量を上記紙受部材の間隔に略等しく設定し、上記紙受部材上に排出された用紙間に隙間を持たせながら順次下降させて、装置最下部に積載収納することを特徴とする。 【0006】 請求項2記載の考案では、互いに対向配置された一対の排紙受け手段が、用紙排出方向と直交する方向にそれぞれ移動自在に支持され、同一対の排紙受け手段の間隔を、排出される用紙のサイズに合わせて調整可能となっている。請求項3記載の考案では、紙受部材上面に吸引孔が形成され、かつ、該紙受部材との接合部位に開口部を設けた無端ベルトと、同無端ベルトとローラー部間に遮蔽板を設けて形成される吸引室と、この吸引室と連通し排気手段が形成された排気部とが形成され、上記紙受部材が排出口から排出される用紙を吸いつけながら装置最下部まで搬送するようになっている。 【0007】 【作用】 このような構成を有する装置においては、画像形成されて略水平方向に排出される用紙は、一対の用紙受け手段の間でその先端がストッパー部材と当接して、排紙方向への移動が阻まれ、一対の紙受部材上に一枚ずつその位置を揃えられて保持され、一定時間をかけて排紙トレー上に積載される。ストッパー部材が用紙排出方向に移動可能に設けられているので、ストッパー部材と用紙の先端の当接位置を変えられる。 【0008】 【実施例】 以下、本考案の一実施例を図面を用いて説明する。図1の紙面垂直方向には図示しない印刷装置の排出口が紙面に向かって開口されており、印刷用紙Pが略水平方向に排出される。この排出口の下方には排出トレー1が取付けられている。排出トレー1の上面には内部に固定された軸2と同方向に長孔3aが穿設された受台3に断面L字状のサイドガイド4が案内板5を介して紙面奥行き方向と左右にそれぞれ取り付けられている。 【0009】 案内板5はコの字型で、その両端部に軸2が貫通しており、軸2により紙面に向かって左右に摺動自在に支持されている。よって、サイドガイド4は、同方向に摺動し、サイドガイド間の間隔はある一定範囲で調整可能である。また、差医度ガイドと案内板5の接合部にはサイドガイドの位置決めネジ6が長孔3aを通り、それを捩じ込んだときに軸2に当接するように取り付けられている。 【0010】 紙面奥行き方向に位置するサイドパネル4の片側(図1では左側)上縁4aには、一端に図面下方に向かって片7aが固定されたストッパー部材7が上縁4aを緩やかに挾み込み、紙面に対して垂直方向(排紙方向)に移動可能に取り付けられている。このストッパー7は、排出された印刷用紙Pの紙面垂直方向の積載位置を規制する。すなわち、排出された印刷用紙Pの先端と当接し、印刷用紙Pの排出方向への移動を規制して後述する一対の紙受部材12上に対する積載位置を一定の位置としている。 【0011】 また、このサイドガイド4には支持板8がそれぞれに形成されていて、紙面奥行方向の支持板8間、つまり、図2において、支持板8,8’の間には従動ローラー9と駆動ローラー10が支持されていて、従動ローラー9は支持板8,8’間の上方に位置し、駆動ローラー10は下方に位置している。(図1参照) 【0012】 駆動ローラー10にはモーター11が支持板8を介して取り付けられており、図1における左側のモーター11は時計周りに回転し、右側のモーター11は反時計周り回転する。また、これらモーター11は後述する制御部に接続されている。 【0013】 従動ローラー9と駆動ローラー10にはこれらローラー9,10の幅し略同幅の複数の紙受部材12が当間隔に取り付けられた無端ベルトが掛け渡されている。紙受部材12は中空状の三角柱を横にした形状で、サイドガイド4間に位置するときに平面となる面12a(以下、「上面12a」という)と、紙受部材12と無端ベルト13の接合面とにそれぞれ開口部12b,12cが形成されている。 【0014】 図2において、無端ベルト13内の外側(図面では下側)には支持版8,8’に支持されて遮蔽板14が設けられていて、この遮蔽板14と左右の支持板8,8’により無端ベルト13内には吸引室15が形成されている。 【0015】 モーター11が取付けられた支持板8と対面する支持板8’には、排気ダクト16が取付けられていて、同ダクト16には吸引室15に負圧を発生させる排気ファン17が取付けられており、さらに、支持板8’とダクト16との接合部には開口部8’aが形成されている。また、図1に示す駆動ローラー10下方のサイドガイド4の外側にはセンサー18が設けられていて、このセンサー18は紙受部材12の位置を感知して図示しない制御部に信号を送っている。 【0016】 制御部には、センサー18の他にモーター11と排気ファン17が接続されている他、印刷用紙Pが排紙されるタイミングが設定されており、このタイミングとセンサー18からの信号でモーターの駆動を制御している。つまり、モーター11が作動して無端ベルト13が移動して紙受部材12がセンサー18位置に来ると、センサー18から制御部に信号が送られモーター11の作動が一時停止する。これにより、同時に左右の紙受部材け12の高さが揃えられる。この時、センサー18から排気ファン17に信号が送られ、排気ファン17が作動する。そして、印刷用紙Pが排紙され紙受部材12の上面12aに位置すると、センサー18からモーター11に信号が送られモーター11は次の紙受部材12がセンサー18位置にくるまで作動する。 【0017】 上記構造から、まず、サイドガイド4を左右に動かし、所望の印刷用紙P幅にサイドガイド4間を調整しネジ6で固定する。そこで、排出用紙受け装置の電源をいれると、モーター11の駆動により、図1における右側の無端ベルト13は反時計周り、左側の無端ベルト13は時計周りに移動する。この移動に伴い紙受部材12は装置上方から下方に向かって移動し、無端ベルト13下方に位置する紙受部材12がセンサー18で感知されるとその場で一時停止する。この状態を待機状態とする。この時、排気ファン17が作動して紙受部材12の上面12aには吸引作用が起こる。 【0018】 そして、図示しない印刷装置から印刷用紙Pが上面12aに略水平方向に排出されると、印刷用紙Pは上面12aに吸いつけられて保持される。この時、印刷用紙Pの先端がストッパー部材7とサイドガイド4,4の間で当接して同用紙の排紙方向への移動が規制されるので、排紙された印刷用紙Pが上面12a上で確実に落とされるて保持される。ここで、待機状態が解除されて紙受部材12は下方に位置する排紙トレー1に向かって移動し、センサー18に新たに紙受部材12が感知されると再び待機状態となる。印刷中は順次この動作が繰返されるので上面12aに保持される印刷用紙Pが一定の位置の揃えられる。最初に排紙された印刷用紙Pを保持する紙受部材12がセンサー18の手前(無端ベルト13の下方)に来ると、紙受部材12が駆動ローラー10部に巻き込まれるように移動してサイドガイド4間からなくなり、保持されていた印刷用紙Pは一枚ずつサイドガイド4間の受台3に順次積載されていく。また、ストッパー部材7は、用紙排紙方向に移動可能となっているので、印刷用紙Pのサイズに応じてその位置を移動させることで、印刷用紙Pの先端とストッパー部材7との当接位置を変えられ、両者の当接具合を調整できる。 【0019】 【考案の効果】 本考案によれば、印装装置の排出口より略水平方向に排出される印刷用紙は、紙受部材で一枚ごとに保持されて一定時間をかけて装置最下部に向かって搬送されて前記装置最下部に積載されるので、用紙のインキは乾燥し、且つ、前記印刷用紙の自重による先端折れ曲がりがなくなり、先に排紙された用紙の画像面の汚損や、後から排紙される用紙への裏写りを防止することができる。略水平方向に排出される用紙は、一対の用紙受け手段の間でストッパー部材にその先端が当接するので、排紙方向に対する移動が規制されて確実に一対の紙受部材上に保持できる。加えて、ストッパー部材が用紙排紙方向に移動可能となっているので、用紙の先端とストッパー部材との当接位置を用紙サイズに応じて適切に変えられ、より確実に一対の紙受部材上に用紙を保持できる。各排紙ごとに紙受部材が移動するので、間欠排紙の必要もなく、印刷時間を大幅に短縮することができる。紙受部材を排紙される印刷用紙一枚ごとに動かさずに、数枚ごとに間欠駆動可能にした場合には印刷用紙の区別装置としても使用可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案の一実施例を示す排出用紙受け装置の正面方向からの部分破断図である。 【図2】 排出用紙受け装置の片側拡大断面図である。 【符号の説明】 1 排紙トレー 3 受台 4 サイドガイド 7 ストッパー部材 9,10 ローラー部 11 駆動手段 12 紙受部材 12b 吸引孔 12c 開口部 13 無端ベルト 14 遮蔽板 15 吸引室 16 排気部 17 排気手段 18 検知手段 P 用紙 |
訂正の要旨 |
<訂正の要旨> ▲1▼訂正事項a 実用新案登録第2585433号明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1を減縮を目的として削除するとともに、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、請求項3を訂正後の請求項1として、さらに限定を加え、 「印刷装置の排出口に接続され、その排出口から略水平方向に排出される用紙を受け取る印刷装置の排出用紙受け装置において、 複数の紙受部材が略一定の間隔で配置された無端ベルトと、同無端ベルトを張設かつ駆動させる2本のローラーとからなる排紙受け手段を、一対で互いに対向配置し、この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、 用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、 上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記排紙部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され、同無端ベルトの一回当たりの移動量を上記紙受部材の間隔に略等しく設定し、上記紙受部材上に排出された用紙間に隙間を持たせながら順次下降させて、装置最下部に積載収納することを特徴とする印刷装置の排出用紙受け装置。」と訂正する。 また、上記訂正にともない、明瞭でない記載の釈明を目的として、請求項4を訂正後の請求項3として、さらに、もとの請求項4の記載における「請求項1,2または3記載の」を「請求項1または2記載の」と訂正する。 ▲2▼訂正事項b. 明細書の段落【0005】の 「この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙に合わせて間欠的に駆動され」を 「この一対の排紙受け手段の間に排出される用紙の先端が当接する用紙排紙方向に移動可能なストッパー部材を設け、用紙排紙タイミングに同期させるとともに上記紙受部材の位置に基づいて、上記ローラーを駆動する駆動手段を間欠的に動作させる制御手段を有し、上記無端ベルトは、上記排出口から排出される用紙の排紙と上記排紙部材の位置とに合わせて間欠的に駆動され」と訂正する。 また、明細書の段落【0006】の「請求項3記載の考案では、・・・制御手段を有している。」の一文を削除し、また、「請求項4記載の考案では、」を「請求項3記載の考案では、」と訂正する。 |
異議決定日 | 1999-11-29 |
出願番号 | 実願平3-13724 |
審決分類 |
U
1
652・
121-
YA
(B65H)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小田 光春 |
特許庁審判長 |
佐藤 久容 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 祖山 忠彦 |
登録日 | 1998-09-11 |
登録番号 | 実用登録第2585433号(U2585433) |
権利者 |
株式会社リコー 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 |
考案の名称 | 印刷装置の排出用紙受け装置 |
代理人 | 樺山 亨 |
代理人 | 樺山 亨 |
代理人 | 本多 章悟 |
代理人 | 本多 章悟 |
代理人 | 村田 実 |