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審決分類 |
審判 全部無効 審決却下 A23L |
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管理番号 | 1010443 |
審判番号 | 審判1998-35117 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-09-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-03-16 |
確定日 | 2000-01-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1690527号実用新案「えび入り加工食品」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
I.手続きの経緯 本件登録第1690527号実用新案に係る考案(以下本件考案という)は、昭和57年7月1日に実用新案登録出願され、昭和61年12月2日に出願公告(実公昭61-42400号)された後、昭和62年7月27日にその登録の設定の登録がなされたものであるが、その後、平成10年3月16日にホンダ製菓株式会社より、本件審判が請求された。 II.請求人の主張 請求人は、本件実用新案登録(以下本件登録という)は、これを無効とする、との審決を求め、請求人には「利害関係」がある(平成3年1月21日に被請求人から実用新案権侵害を理由に提訴されたので、平成3年3月11日に応訴した)旨、及び、▲1▼本件登録は、実用新案法第5条第3項に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたものである、▲2▼本件考案は、実用新案法第3条柱書きでいう考案に該当しないものである、▲3▼本件考案は、実用新案法第3条1項第1号,2号に該当する、及び、本件登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件登録は、無効とすべきである旨述べ、その証拠方法として、下記甲第1号証?甲第23号証を提出した。 記 甲第1号証:「澱粉科学ハンドブック」1977年7月20日初版(株)朝倉書店p.34-37,566-567頁 甲第2号証:「製菓事典」1981年10月30日初版(株)朝倉書店第390-420頁 甲第3号証:ビデオテープ(実験を撮影、1998年4月24日ホンダ製菓松原吉治) 甲第4号証:「広辞苑」昭和30年5月25日初版(株)岩波書店「焼成」の項 甲第5号証の1:Agric.Biol.Chem.,48(1),1-7,1984 甲第5号証の2:上記訳文 甲第6号証:澱粉科学第39巻第1号 p.51-56頁(1992) 甲第7号証の1:Agric.BioL.Chem.,47(11),2421-2425,1983 甲第7号証の2:上記訳文 甲第8号証:食品工業 1969年1下 p.89-98 甲第9号証:農化第48巻、第12号、p.663-669,1974 甲第10号証:農化第52巻、第10号、p.441-448,1978 甲第11号証:鈴木繁男外1編「澱粉科学実験法」p.145-146,175-176 1979年10月1日初版(株)朝倉書店 甲第12号証:調理科学 Vol.24NO.1(1991)p.54-61 甲第13号証:東京水産大学第9回公開講座編集委員会編「日本のエビ・世界のエビ」61年4月8日初版(株)成山堂書店p.159,162 甲第14号証:調理科学Vol.24No.2(1991)p.157-164 甲第15号証の1:渡辺忠雄編「食品学」 三訂版1985年3月10日(株)講談社 p.18-23,140-147 甲第15号証の2:渡辺忠雄編「食品学」四訂版1989年3月20日(株)講談社p.32-35 甲第16号証:Netsu Sokutei 14(1)1987,p.37-38 甲第17号証:Nippon Nogeikagaku Kaishi Vol.62,No.5,pp.879-881,1988 甲第18号証:「生化学辞典」1984年4月10日初版(株)東京化学同人「熱変性」の項 甲第19号証:新栄養講座7「食品加工貯蔵」昭和40年8月25日初版(株)朝倉書店p.159-160 甲第20号証の1:実公昭61-42399号公報 甲第20号証の2:実用新案登録第1690526号原簿写し 甲第21号証の1:実公昭63-10710号公報 甲第21号証の2:実用新案登録第1749255号原簿写し 甲第22号証:「気軽に家庭で作れる 中華料理 周富徳 料理シリーズ▲1▼」ブックマン社1993年11月30日初版 p.34-35 甲第23号証:高橋著「でん粉製品の知識」1996年5月25日初版(株)幸書房p.52-71,138-149 III.被請求人の主張 一方、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求人には、利害関係がなく、請求人適格を欠いていること、仮に、そうでないとしても、請求人が主張する無効理由によっては、本件登録が無効になるものではない旨主張している。 IV.請求人適格についての検討 (1)本件審判の請求人適格について、争いがあるので、まず、この点を検討する。 本件審判の請求人適格に関する両当事者の主張(第1回口頭審理において陳述)は、以下のとおりである。 a.被請求人の主張 ▲1▼審判請求の利益は、審決時をもって判断すべきところ、本件実用新案権に係る侵害事件については、請求棄却の判決(平成10年7月15日)が確定していること、及び、既に当該実用新案権は権利期間が満了していることからすると、請求人は、審判請求の利益を失っている。 ▲2▼請求人の主張する「侵害の訴えが提起される可能性」については(下記b▲2▼参照)、本件実用新案権に係る損害賠償請求権の時効は成立しているか、仮に残っていても数ケ月である。 又、請求人の「過去の実施」について(下記b▲2▼参照)、他の侵害訴訟は提起しておらず、提起の準備もしていない。 b.請求人の主張 ▲1▼被請求人が主張する実用新案権の「権利期間が満了している」点(上記a▲1▼参照)については、権利消滅後でも無効審判が請求できることが実用新案法に規定されているから、本件審判請求は適法なものである。 ▲2▼「請求の利益を失っている」との被請求人の主張(上記a▲1▼参照)については、請求人の「えびせんシリーズ」に係る権利期間消滅前の「過去の実施」について侵害等の訴えが提起される可能性があることから、請求の利益はある。 ところで、両当事者は、上記侵害事件番号は、平成3年(ワ)548号であると述べているので職権で調査したところ、当該判決は確定している。 又、閉鎖実用新案原簿によれば、本件実用新案権は、平成8年12月2日にその期間が満了している。 (2)請求人適格についての当審の判断 本件無効審判請求時には、本件登録実用新案に係る実用新案権はその権利期間が既に満了していたものの、当該権利期間中の請求人の実施に係る侵害訴訟は継続中であったので、請求人に、「利害関係」があったことは明らかであり、平成5年法律第26条附則第4条第1項でその効力を有するとされる実用新案法第41条で準用する特許法第123条第2項の規定による無効審判の請求は適法であったといえる。 しかしながら、その後、本件実用新案権に係る侵害訴訟において請求棄却の判決が確定したこと、他に請求人の「過去の実施」に対する侵害訴訟も提起されていないこと、さらに、本件実用新案権の権利期間は満了しているし、その後相当経っているにもかかわらず被請求人が訴訟の「準備もしていない」と述べていることからして、当該権利期間の期間満了による消滅前の請求人の実施に対して今後訴訟が提起される可能性は極めて低いとみるのが自然であることを考慮すると、請求人には、もはや、「利害関係」があるとはいえず、本件審判請求の利益はないといえる。 そして、請求人適格の判断時は審決時と解されるので、請求人に本件無効審判の請求人適格はないと認められる。 V.結語 以上のとおりであるから、本件審判請求は、不適法な審判請求であって、その補正ができないものと認められるので、平成5年法律第26条附則第4条第1項でその効力を有するとされる実用新案法第41条で準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。 |
審理終結日 | 1999-09-29 |
結審通知日 | 1999-10-12 |
審決日 | 1999-10-22 |
出願番号 | 実願昭57-98219 |
審決分類 |
U
1
112・
02-
X
(A23L)
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最終処分 | 審決却下 |
前審関与審査官 | 徳廣 正道 |
特許庁審判長 |
田中 倫子 |
特許庁審判官 |
佐伯 裕子 大高 とし子 |
登録日 | 1987-07-27 |
登録番号 | 実用登録第1690527号(U1690527) |
考案の名称 | えび入り加工食品 |
代理人 | 松下 義勝 |
代理人 | 副島 文雄 |
代理人 | 小林 孝次 |