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審決分類 審判 全部申し立て   H01F
管理番号 1010513
異議申立番号 異議1998-75465  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-05 
確定日 2000-01-26 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2572845号「小型電磁石装置のヨーク」の請求項1ないし4に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2572845号の請求項2に係る実用新案登録を取り消す。 同請求項1、3ないし4に係る実用新案登録を維持する。
理由 1 請求項1?4に係る考案
実用新案登録第2572845号(平成4年11月19日出願、平成10年3月13日設定登録)の請求項1?4に係る考案は、それぞれ、実用新案登録請求の範囲の請求項1?4に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 コイル及び永久磁石の装着された3本の足部をもつ固定ヨークと、前記固定ヨーク足部に吸着、離反するよう移動可能な可動ヨークとからなる小型電磁石装置において、前記固定ヨークの永久磁石の保持部の薄肉部と該保持部の近傍に薄肉部を形成し固定ヨークを一体に成形したことを特徴とする小型電磁石装置のヨーク。
【請求項2】 前記固定ヨークを2本足の固定ヨークとしたことを特徴とする請求項1記載の小型電磁石装置のヨーク。
【請求項3】 前記固定ヨークを1本足の固定ヨークとしたことを特徴とする請求項1記載の小型電磁石装置のヨーク。
【請求項4】 前記固定ヨークは足部を有しないことを特徴とする請求項1記載の小型電磁石装置のヨーク。」
(以下、請求項1?4に係る考案を、それぞれ、本件考案1?4という。)
2 実用新案登録異議申立て理由の概要
実用新案登録異議申立人ティディケー株式会社は、証拠として、甲第1号証(特開昭63-173306号公報)、甲第2号証(実願平1-111763号(実開平3-50304号)のマイクロフィルム)を提出し、本件考案1?4についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
また、実用新案登録異議申立人内山英夫は、証拠として、甲第1号証(実願平1-111763号(実開平3-50304号)のマイクロフィルム)を提出し、本件考案1?4についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
3 本件考案2について
(1) 請求項2は、請求項1を引用した引用形式で記載されているところ、これを独立形式で記載すれば、次のとおりである。
「【請求項2】 コイル及び永久磁石の装着された2本の足部をもつ固定ヨークと、前記固定ヨーク足部に吸着、離反するよう移動可能な可動ヨークとからなる小型電磁石装置において、前記固定ヨークの永久磁石の保持部の薄肉部と該保持部の近傍に薄肉部を形成し固定ヨークを一体に成形したことを特徴とする小型電磁石装置のヨーク。」
(2) これに対し、当審において通知した取消理由で引用した刊行物1(実願昭63-50135号(実開平1-154608号)のマイクロフィルム)には、小型プランジャのヨークに関し、「ヨーク1は第2図の平面図に示すように、対称形をなす2個の分割ヨーク1a、1bを、第3図の平面図に示す形状の板状の台座4を両者に溶接(第2図の5は溶接箇所を示す。)することにより、第4図の側面図に示すように一体化してコ字形に形成する。・・・分割ヨーク1a、1b間に永久磁石7が固定される。・・・一方巻線9を巻付けるボビン2は、第2図に示すように、樹脂成形材により製作された2個の分割ボビン2a、2bでなり、各分割ボビン2a、2bには、各分割ヨーク1a、1bおよび第2図に示す磁性材でなる可動片10の2つの腕部10a、10bがそれぞれ反対側から挿入される構造を有する。」(明細書3頁16行?4頁13行)と記載され、また、第2図には、台座4の分割固定ヨーク1a、1bと重ならない部分に、永久磁石を固定するとともに、永久磁石近傍にも台座4の分割固定ヨークと重ならない部分が存在することが示されている。
また、同じく引用した刊行物2(特開昭63-173306号公報)には、「次に、実公昭58-44574号公報にあっては、バイパス磁路を構成する固定枠に一対のヨークと永久磁石を半田により固定しているため、部品点数が増え組み立てが煩雑になるとともに、組み立て時にヨーク端面の平行度や同一平面度を確保することが難しく特性にバラツキを生ずる恐れがある。」(2頁右上欄8?14行)、「本発明は上記問題点に着目してなされたもので、一対のヨークと取付部を一体に形成することで組立作業を簡略化してコストの低減を図るとともに、一対のヨークを同1条件で研磨でき各ヨークの磁極面の平行度ならびに同一平面度を高精度に得ることができる有極形電磁石装置を提供することを目的とする。」(2頁左下欄13?19行)と記載されている。
そして、同じく引用した刊行物3(実願平1-111763号(実願平3-50304号)のマイクロフィルム)には、「前記ヨーク1の頭部1aはプレスによって薄型に形成することにより、磁気抵抗を大とし、永久磁石3による磁束の多くが吸着される可動片4側の吸着力として作用すると共に、ヨークの左右の足1b、1bが頭部1aにおいて一体化される。この構造は、分割化したヨークを台座の溶接により一体化する場合に比較し、部品点数が減少するという利点がある。」(明細書2頁12?19行)と記載されている。
(3) 本件考案2と刊行物1に記載された考案を対比するに、刊行物1の「巻線」、「分割ヨークのボビンに挿入される部分」、「ヨーク」、「可動片」、「小型プランジャ」が本件考案2の「コイル」、「足部」、「固定ヨーク」、「可動ヨーク」、「小型電磁石装置」に相当するから、両者は、
「コイル及び永久磁石の装着された2本の足部をもつ固定ヨークと、前記固定ヨーク足部に吸着、離反するよう移動可能な可動ヨークとからなる小型電磁石装置のヨーク。」
である点で一致し、
本件考案2の固定ヨークは、固定ヨークの永久磁石の保持部の薄肉部と該保持部の近傍に薄肉部を形成し固定ヨークを一体に成形したものであるのに対し、刊行物1に記載された考案の固定ヨークは、2個の分割ヨークを板状の台座に溶接することにより一体化形成したものであり、台座の分割固定ヨークと重ならない部分に、永久磁石を固定するとともに、永久磁石近傍にも台座の分割固定ヨークと重ならない部分が存在する構造である点(以下、「相違点」という。)でのみ相違する。
(4) 上記相違点について検討するに、刊行物2、3には、刊行物1と同じ小型電磁石装置において、一対のヨークと薄肉部を一体に形成することにより、分割ヨークにおける、ヨーク端面の同一平面度維持の困難さ、部品点数の増加、組み立ての煩雑さ等の問題点を解消することが記載されている。
してみると、刊行物1記載の小型電磁石装置において、2個の分割ヨークを板状の台座に溶接して固定ヨークを形成するのに代えて、一対の固定ヨークと板状の台座を一体に成形して固定ヨークを形成することは、当業者がきわめて容易に着想し得るものである。
その際、一対の分割ヨークと板状の台座を一体に成形すれば、板状の台座が分割ヨークの厚さに比べて薄いことからして、台座の分割固定ヨークと重ならない部分が本件考案2の薄肉部に相当し、固定ヨークの永久磁石の保持部の薄肉部と該保持部の近傍に薄肉部が形成される構成となることは当業者には明らかである。
そして、本件考案2の奏する作用効果も、刊行物1?3の記載からきわめて容易に予測できるものであり、格別のものではない。
したがって、本件考案2は、刊行物1?3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
4 本件考案1、3、4について
(1) 当審が通知した取消理由において引用した刊行物1?3のいずれにも、本件考案1の「3本の足部をもつ固定ヨーク」、本件考案3の「1本足の固定ヨーク」、本件考案4の「固定ヨークは足部を有しない」が記載されておらず、また、これらの構成を示唆する記載もない。
(2) したがって、本件考案1、3、4は、刊行物1?3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(3) 足部の本数に関し、実用新案登録異議申立人ティディケー株式会社は、「足部の本数の変更によって本件考案が進歩性を持つことは有り得ない。」と主張し、また、実用新案登録異議申立人内山英夫は、「一般にこの種の電磁石装置においてヨークの足部の数を1本、2本、あるいは3本とすることは磁気回路設計の必要に応じ選択できることであ」ると主張するが、足部の本数を3本、1本、0本とした小型電磁石装置が周知技術であるとは認められず、また、そのような本数の足部を有する小型電磁石装置の公知例が示されているわけでもないから、刊行物2、3の技術思想を適用すべき基本的構成が存在しないことになり、刊行物2、3のみで、本件考案1、3、4の進歩性を否定することはできない。。
5 むすび
以上のとおり、本件考案2は、刊行物1?3に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案2についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定より、取り消されるべきものである。
また、本件考案1、3、4についての実用新案登録は、他に取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-11-30 
出願番号 実願平4-86235 
審決分類 U 1 651・ 121- ZC (H01F)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 植松 伸二  
特許庁審判長 下野 和行
特許庁審判官 小林 信雄
治田 義孝
登録日 1998-03-13 
登録番号 実用登録第2572845号(U2572845) 
権利者 株式会社トーキン
宮城県仙台市太白区郡山6丁目7番1号
考案の名称 小型電磁石装置のヨーク  
代理人 若田 勝一  
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