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審決分類 |
審判 補正却下の決定 特29条特許要件(新規) B60N |
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管理番号 | 1010522 |
審判番号 | 審判1998-4787 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-09-29 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 1999-12-08 |
事件の表示 | 昭和62年実用新案登録願第140664号「パワーシート装置」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成10年4月24日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
1 平成10年4月24日付けの手続補正は、出願公告時の明細書(なお、出願公告の後本件手続補正の前に平成8年4月12日付でなされた手続補正は却下されるべきものであるから、その補正に係る内容を実用新案法第55条第2項において準用する特許法第17条の3第1項ただし書の要件の存否判断の基準とすることはできない。)の実用新案登録請求の範囲の記載において ▲1▼「鉄線を捩じつて構成され…回転トルクを…伝達するケーブル」を「鉄線を細かく捩じつて構成され…回転トルクを高回転高トルクで…伝達するケーブル」に改め、 ▲2▼「…表面の凹凸を無くすように前記ケーブルの表面を覆う…熱収縮チューブ…」を「…表面の凹凸を無くすようにまた前記ケーブルの表面を締め付けるように前記前記ケーブルの表面に熱収縮して密着し且つ該表面を覆う…熱収縮チューブ」と改め、 発明の詳細な説明の記載において、上記▲2▼の補正に伴い、 ▲3▼「…熱収縮チューブによりケーブルの表面を締め付けているので、…熱収縮チューブの剛性を向上させ、…ケーブルの剛性を向上させることができ」るとの考案の効果を加える 補正を含むものである。 2 (1)審判請求理由を補充する平成11年2月19日付けの上申書中、上記1▲1▼の補正の根拠として請求人が指摘する「出願当初の明細書第3頁第20行目から第4頁第20行目の「シート1は?させる。」及び第5頁第1行目から同頁第13行目の「動力伝達?ことができる。」の記載」(4.上申の理由(1)▲1▼、公告公報では3欄25行?4欄3行、4欄4?14行の記載)中には、よりの「細か」さ、伝達される回転・トルクについてどの程度の範囲のものか説明する記載は見出せないことを考えれば、それらについて当業者はパワーシートにおいて通常採用される範囲のものである(異なる範囲のものとすれば明細書中説明がなされるはずであるから)と理解するものと認められる。 (2)上記1▲1▼の補正の内容(「細かく捩じつて」、「高回転高トルク」)について、それらの明示的な説明のない明細書の記載内容「…から自明である」(上記上申書4.(1)▲1▼)と請求人は述べており、また、平成10年4月24日付け審判請求理由補充書中原審の実用新案登録異議申立人ユニフレックス株式会社の引用した甲第1号証(実願昭60-2920号(実開昭61-119836号)のマイクロフィルム)の考案と対比して、その「ケーブルは、…鉄線を細かく捩じつたものであり、又、モータからの回転トルクを高回転高トルクで…伝達するものであり、この点において本願考案のケーブルと…一致する」(4頁4?9行)と述べている(甲第1号証でもそのケーブル(「インナワイヤ18」)のより、回転・トルクについての明示的な説明は見出せない。)ことを考えれば、パワーシートにおいて通常採用される範囲のもの(出願公告時の明細書の記載から当業者が理解するもの)について「細かく捩じつて」、「高回転高トルク」と表現したものと認められる。 (3)上記(1)、(2)の検討によれば、上記1▲1▼の補正は、実用新案登録請求の範囲の実質的な変動をもたらすものではなく(減縮に当たらない)、また明りょうでない記載の釈明にも当たらず(「細かく…」、「高…」といった相対的表現では、基準・尺度が与えられなければ内容が定まらない。)、誤記の訂正に当たらないことも明らかである。 3 上記1▲2▼の補正の根拠について上申書(上記2(1))中請求人は「出願当初の明細書第5頁第4行目から同頁第13行目の「ケーブル21の表面に?できる。」の記載のうち、「熱収縮チューブ22がケーブル21の表面の凹凸を無くす」ことから自明である」と述べている(4.上申の理由(2)▲1▼)ことを考えれば、「表面の凹凸を無くすように」「ケーブルの表面を覆う」結果「ケーブルの表面を締め付ける」ものであって、「ケーブルの表面を締め付けるように」との記載は「ケーブルの表面の凹凸を無くすように」との記載により規定されている要件とは異なる要件を規定するものではないと認められる(異なる要件であるとすれば、「…剛性を向上させる」(上記1▲3▼)ために必要な「締め付け」の程度とその「締め付け」をなしうる熱収縮の条件についての説明が必要であるが、明細書中これらについて説明する記載は見出せない。)。 (2)上記(1)の検討によれば、上記1▲2▼の補正により「ケーブルの表面を締め付けるように」との文言を加入しても特許請求の範囲は減縮されることはなく、また明りょうでない記載の釈明にも誤記の訂正にも当たらないことは明らかである。 4 以上の検討によれば、上記1▲1▼、▲2▼の補正は実用新案法第55条第2項において準用する特許法第17条の3第1項ただし書の規程に違反するものであると認められる。したがって本件手続補正は実用新案法第41条において準用する特許法第159条第1項においてさらに準用する同法第54条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-10-20 |
出願番号 | 実願昭62-140664 |
審決分類 |
U
1
93・
1-
(B60N)
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前審関与審査官 | 阿部 寛、師田 忍、和泉 等 |
特許庁審判長 |
岡田 幸夫 |
特許庁審判官 |
梅辻 幹男 藤本 信男 |
考案の名称 | パワーシート装置 |