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審決分類 審判 全部申し立て   F16C
管理番号 1010534
異議申立番号 異議1998-75100  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-14 
確定日 2000-01-12 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2568797号「動圧軸受」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2568797号の実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続の経緯
実用新案登録第2568797号(昭和62年2月3日原出願、平成10年1月16日設定登録。)に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、鵜久森 須恵子より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月19日に訂正請求がなされ、これに対し平成11年5月10日に期間を指定して訂正拒絶理由通知がなされると共に権利者に対して審尋がなされたが、その指定期間内に何らの応答もないものである。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項1
実用新案登録請求の範囲の記載を下記のとおりに訂正。
1.ハウジングに軸の一部を収納すると共に、上記ハウジングの内周面または軸の外周面の少なくとも一方に溝を設けて上記軸とハウジングとの相対的な回転により軸とハウジングとの間の流体に動圧を発生させてラジアル方向に軸を支持するようにし、さらに、上記軸の収納される側の端面とこの端面に対向するハウジングの端面とにそれぞれ磁石を同極を向かい合わせて取り付け、上記軸の磁石と上記ハウジングの磁石の反発力でアキシャル方向に上記ハウジングと非接触で軸を支持するようにした動圧軸受において、
上記ハウジングに一体的に形成されると共に、上記軸の磁石と上記ハウジングの磁石との間に上記軸とハウジングとの間の動圧発生用の流体の一部が充填される密封空間を形成するカバー部と、
上記密封空間のアキシャル方向の間隔よりも狭く形成されると共に、この密封空間に対して外部から上記流体が出入り可能なように上記密封空間を上記外部に連通させて、上記流体を上記両磁石間の反発力と協働させることによって上記軸とハウジングとの間のアキシャル方向の相対的振動を減衰する絞り通路を上記軸の外周面と上記ハウジングの内周面との間の微小隙間で構成したことを特徴とする動圧軸受。
(2)訂正事項2
明細書の考案の詳細な説明の欄の段落番号【0005】の記載を訂正事項1に合わせて訂正。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項1は実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項2は明りょうでない記載の釈明に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3.独立実用新案登録要件の判断
(1)訂正明細書に係る考案
訂正明細書に係る考案(以下、「本件訂正考案」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された事項により特定されたとおりのもの(訂正事項1参照)である。
(2)引用例
申立人が甲第1号証として提示した発明協会公開技報 公技番号86-13237(昭和61年9月20日発行)(以下、「引用例」という。)には、次のような考案(以下、「引用考案」という。)が記載されていると認めることができる。
「中空の回転軸7に固定軸9の一部を収納すると共に、上記中空の回転軸7の固定軸9の外周面にヘリングボーン溝を設けて上記固定軸9と中空の回転軸7との相対的な回転により固定軸9と中空の回転軸7との間の流体に動圧を発生させてラジアル方向に軸を支持するようにし、さらに、上記固定軸9の収納される側の上部とこの上部に対向する中空の回転軸7の上部とにそれぞれ磁石10を同極を向かい合わせて取り付け、上記固定軸9の磁石10と上記中空の回転軸7の磁石10の反発力でスラスト方向に上記中空の回転軸7と非接触で固定軸9を支持するようにした動圧軸受において、
上記中空の回転軸7に一体的に形成されると共に、上記固定軸9の磁石と上記中空の回転軸7の磁石10との部位の空気ダンパー機能を有するスラスト磁気軸受部を形成する中空の回転軸7の部分と、
上記スラスト磁気軸受部に対して外部から上記流体が出入り可能なように上記スラスト磁気軸受部を上記外部に連通させて、上記流体を上記両磁石間の反発力と協働させることによって上記固定軸9と中空の回転軸7との間のスラスト方向の相対的振動を減衰する絞り機能を有する連絡孔11′を上記中空の回転軸7の一部に構成したスラスト磁気軸受。」
(3)対比・判断
本件訂正考案と引用考案を対比すると、引用考案の「中空の回転軸7」は本件訂正考案の「ハウジング」に相当し、同様に、「固定軸9」は「軸」に、「ヘリングボーン溝」は「溝」に、「軸9の収納される側の上部」は「軸の収納される側の端面」に、「回転軸7の上部」は「ハウジングの端面」に、「スラスト方向」は「アキシャル方向」に、「スラスト磁気軸受」は「動圧軸受」にそれぞれ相当すると認められるので、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
中空のハウジングに軸の一部を収納すると共に、上記ハウジングの軸の外周面に溝を設けて上記軸とハウジングとの相対的な回転により軸とハウジングとの間の流体に動圧を発生させてラジアル方向に軸を支持するようにし、さらに、上記軸の収納される側の端面とこの端面に対向するハウジングの端面とにそれぞれ磁石を同極を向かい合わせて取り付け、上記軸の磁石と上記ハウジングの磁石の反発力でアキシャル方向に上記ハウジングと非接触で軸を支持するようにした動圧軸受において、
上記ハウジングに一体的に形成されると共に、上記軸の磁石と上記ハウジングの磁石とに接近してダンパー作用をする空間を形成するハウジングの部分と、
上記空間を外部に連通させて、上記流体を上記両磁石間の反発力と協働させることによって上記軸とハウジングとの間のアキシャル方向の相対的振動を減衰する絞り通路を構成した動圧軸受。
<相違点>
▲1▼ダンパー作用をする空間について、本件訂正考案では、上記ハウジングに一体的に形成されると共に、上記軸の磁石と上記ハウジングの磁石との間に上記軸とハウジングとの間の動圧発生用の流体の一部が充填される密封空間を形成するカバー部となっているのに対し、引用考案では、上記ハウジングに一体的に形成されると共に、上記軸の磁石と上記ハウジングの磁石との部位の空気ダンパー機能を有するスラスト磁気軸受部を形成するハウジングの部分となっている点。
▲2▼絞り通路について、本件訂正考案では、上記密封空間のアキシャル方向の間隔よりも狭く形成されると共に、この密封空間に対して外部から流体が出入り可能なように上記密封空間を上記外部に連通させて、上記流体を両磁石間の反発力と協働させることによって軸とハウジングとの間のアキシャル方向の相対的振動を減衰する絞り通路を上記軸の外周面と上記ハウジングの内周面との間の微小隙間で構成したとしているのに対し、引用考案では、上記スラスト磁気軸受部に対して外部から上記流体が出入り可能なように上記スラスト磁気軸受部を上記外部に連通させて、上記流体を上記両磁石間の反発力と協働させることによって上記軸とハウジングとの間のアキシャル方向の相対的振動を減衰する絞り機能を有する連絡孔11′を上記ハウジングの一部に構成したとしている点。
次いで、これらの相違点について検討する。
<相違点▲1▼について>
本件訂正考案の構成「動圧発生用の流体の一部が充填される密封空間」における「密封空間」とは、絞り通路を介して空気の流出するものであるから、厳密な意味では、「密封」されていないと考えられ、また、同構成における「動圧発生用の流体の一部が充填される」とは、該「空間」に動圧発生用の流体の一部が流れ込むというものであると考えられる。
してみると、本件訂正考案の「密封空間」は、絞り通路を介して外界と通ずる程度の「密封」状態の区域と考えられるところ、引用考案の「スラスト磁気軸受部」は、動圧発生用の流体の一部が流れ込むものであって、この部位が空気ダンパー機能を有するものであることから看て、絞り通路を介して外界と通ずる程度の「密封」状態の区域であって、さらに、該区域に動圧発生用の流体の一部が流れ込むと解されるから、本件訂正考案の「密封空間」と実質的な相違はないものと認められる。
したがって、この相違点▲1▼は、格別なものではない。
<相違点▲2▼について>
引用考案において、両磁石間の間隙の機能とハウジングと軸の間隙の機能、及び、本件訂正考案の「密封空間」と実質的な相違はない「スラスト磁気軸受部」と絞り機能により空気ダンパー効果を生じさせるものであることから看て、前者の間隙を後者のそれより大とすることは、当業者にとってきわめて容易に想到できる程度のことと認められる。
また、当業者にとって、引用考案の空気ダンパを効果的に生じさせるための絞り機能として明確に示された連絡孔11′に換えて、絞りの調整の容易性に係る得失を考慮した上で、既存の他の隙間を絞り機能として利用することに格別な考案力が必要とは認められない。
してみると、この相違点▲2▼に係る本件訂正考案の構成は、引用考案に基いて、当業者がきわめて容易に想到することができたものと認められる。
したがって、本件訂正考案は、引用考案に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるので、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案である。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正を認めることができない。
III.実用新案登録異議申立てについての判断
1.申立ての理由の概要
申立人 高木 達夫は、甲第1号証として実願昭62-82532号(実開昭63-188356号)のマイクロフィルム(上記II.3.(2)「引用例」に同じ。)を、甲第2号証として「圧力容器の構造 4.3内圧を受ける胴及び鏡板」JIS B8250-1983(第39?43頁,第212?213頁)(以下、「引用例2」という。)を、それぞれ提示し、本件実用新案登録第2568797号考案(以下、「本件考案」という。)は、引用例及び引用例2に記載された考案に基づき、本件考案に係る出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべきである旨、主張している。
2.本件考案
本件考案は、上記II.で説示のとおり訂正請求による訂正が認められないものであるから、設定登録時の願書に添付された明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された事項により特定されたとおりのものである。
すなわち、本件考案は、上記II.3.(1)「訂正明細書に係る考案」において認定した本件訂正考案において、「絞り通路」について「上記軸の外周面と上記ハウジングの内周面との間の微小隙間で構成した」とする限定を除いたものに相当する。
3.引用例
引用例(実願昭62-82532号(実開昭63-188356号)のマイクロフィルム)には、上記II.「訂正の適否についての判断」の3.(2)「引用例」において認定したとおりの引用考案が記載されている。
4.本件考案と引用考案との対比・判断
上記III.によると、本件訂正考案は、引用考案に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであって、本件考案は、そのような本件訂正考案から特定の構成の限定を除いたものに相当するのであるから、当然、上記III.で説示したと同様の理由により、引用考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
5.むすび
以上のとおり、本件実用新案登録第2568797号に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-11-25 
出願番号 実願平6-15815 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (F16C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 戸田 耕太郎森林 克郎後藤 正彦  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 西村 敏彦
佐藤 洋
登録日 1998-01-16 
登録番号 実用登録第2568797号(U2568797) 
権利者 光洋精工株式会社
大阪府大阪市中央区南船場3丁目5番8号
考案の名称 動圧軸受  
代理人 山崎 宏  
代理人 青山 葆  
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