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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B21D
管理番号 1010549
判定請求番号 判定請求1999-60055  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 判定 
判定請求日 1999-08-05 
確定日 1999-12-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第1872007号実用新案「プレス用パンチのリテ-ナ-装置」判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「プレス用パンチのリテ-ナ-装置」は、登録第1872007号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 I.判定の趣旨
本件判定の請求は、イ号パンフレット及びイ号写真に示すチェンジリテーナ(以下「イ号装置」という。)は、請求人所有の登録第1872007号の考案(以下「本件考案」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。
II.本件考案の要旨
本件考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付して分節して記載すると次のとおりである。
「(1)カム板3が前進したときはパンチ8がリテーナーブロック1の下面からストローク分突出し、且つカム板3が後退したときはパンチ8がリテーナーブロック1内にストローク分引込む如く構成したプレス用のパンチリテーナー装置において、
(2)カム板3及びパンチ8両移動方向と直方する方向の深横溝1aをリテーナーブロック1の上面に凹設すると共に該深横溝1a中にパンチ用嵌合孔1bを設け、
(3)パンチ用嵌合孔1bの仮想中心軸とカム板3の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔1c‥‥‥1cを設け、
(4)圧縮バネ10を配して長方形状パンチセットブロック2を上下動のみ可能に深横溝1aに嵌合配置し、
(5)該パンチセットブロック2に鍔付きパンチ8の段付孔2aを設け、
(6)カム板3に対応する傾斜面2cをパンチセットブロック2に設けたことを特徴とするプレス用パンチリテーナー装置。」
III.イ号装置
これに対し、イ号装置は、次のとおりのものである(本件考案と対応させて、符号を付して分節して記載)。
(a)カム▲3▼が前進したときはパンチがリテーナー本体▲1▼の下面からストローク分突出し、且つカム▲3▼が後退したときはパンチがリテーナー本体▲1▼内にストローク分引込む如く構成したプレス用のチェンジリテーナーにおいて、
(b)カム▲3▼及びパンチ両移動方向と直方する方向の深横溝をリテーナー本体▲1▼の上面に凹設すると共に該深横溝中にパンチ用嵌合孔を設け、
(c)深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔を設け、
(d)スプリング▲5▼を配して長方形状パンチセットブロック▲2▼を上下動のみ可能に深横溝に嵌合配置し、
(e)該パンチセットブロック▲2▼に鍔付きパンチの段付孔を設け、
(f)カム▲3▼に対応する傾斜面をパンチセットブロック▲2▼に設けたプレス用チェンジリテーナー。」
IV.対比・判断
1.構成要件(1)について
イ号装置の「カム▲3▼」、「リテーナ本体▲1▼」及び「チェンジリテーナー」は、本件考案の「カム板3」、「リテーナーブロック1」及び「パンチリテーナー装置」にそれぞれ相当するので、構成要件(a)と構成要件(1)とに差異はなく、イ号装置の構成要件(a)は、本件考案の構成要件(1)を充足する。
2.構成要件(2)について
構成要件(b)と構成要件(2)とに差異はなく、イ号装置の構成要件(b)は、本件考案の構成要件(2)を充足する。
3.構成要件(3)について
イ号装置の構成要件(c)は、深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔を設けたものであるのに対し、本願考案の構成要件(3)は、深横溝の溝底に設けた複数個のバネ用有底孔の位置を、パンチ用嵌合孔の仮想中心軸とカム板の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置と限定している。
そこで、複数個のバネ用有底孔が設けられている位置について検討すると、イ号装置の複数個のバネ用有底孔は、イ号パンフレット(甲第2号証)の記載から明らかなように、イ号パンフレットの左上の図において、破線で描かれたパンチ用嵌合孔に対して左上と右下との位置に破線で描かれた円で示されている。すなわち、イ号装置のバネ用有底孔は2個であって、この2個のバネ用有底孔が設けられている位置は、パンチ用嵌合孔の仮想中心軸とカムの移動方向によって決まる仮想中立面に対して非対称な位置となっている。
したがって、イ号装置は、「パンチ用嵌合孔1bの仮想中心軸とカム板3の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔1c‥‥‥1cを設け」るという本件考案の構成要件(3)を充足していない。
なお、請求人は、判定請求書において、本件考案の認定に際し、バネ用有底孔に関して、単に、「深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔1cを設け」と認定するだけで、本件考案の構成要件(3)中の「パンチ用嵌合孔1bの仮想中心軸とカム板3の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる」という複数個のバネ有底孔を設ける位置の限定要件を除外したうえで、イ号装置がこの「深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔1cを設け」という構成要件を充足するものである旨を主張している。
しかしながら、イ号装置が前記除外された「パンチ用嵌合孔1bの仮想中心軸とカム板3の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる」という複数個のバネ有底孔を設ける位置の限定要件をも充足するものである旨については、何等主張されていない。
4.構成要件(4)について
イ号装置の「スプリング▲5▼」は、本件考案の「圧縮バネ10」に相当するので、構成要件(d)と構成要件(4)とに差異はなく、イ号装置の構成要件(d)は、本件考案の構成要件(4)を充足する。
5.構成要件(5)について
構成要件(5)と構成要件(e)とに差異はなく、イ号装置の構成要件(e)は、本件考案の構成要件(5)を充足する。
6.構成要件(6)について
構成要件(6)と構成要件(f)とに差異はなく、イ号装置の構成要件(f)は、本件考案の構成要件(6)を充足する。
V.むすび
以上のとおり、イ号装置は、本件考案の構成要件である「パンチ用嵌合孔1bの仮想中心軸とカム板3の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔1c‥‥‥1cを設け」ることを充足しないものであるから、イ号装置が本件考案の技術的範囲に属するものとすることはできない。
よって、結論のとおり判定する。
判定日 1999-11-30 
出願番号 実願昭61-126046 
審決分類 U 1 2・ 1- ZB (B21D)
最終処分 不成立    
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 小関 峰夫
宮崎 侑久
登録日 1991-11-19 
登録番号 実用登録第1872007号(U1872007) 
考案の名称 プレス用パンチのリテーナー装置  

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