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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1012711
審判番号 審判1998-1110  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-01-16 
確定日 2000-02-16 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第9198号「送風機用ブラシレスモータ」拒絶査定に対する審判事件(平成5年9月21日出願公開、実開平5-70183)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年2月27日の出願であって、その考案は請求項1及び請求項2に記載されたものであるところ、請求項1に係る考案(以下、本願考案という。)は実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「筒状のケーシングと;このケーシングの内側に収容され、巻線が巻回されたステータコアを有するステータと;上記ステータコアの内側に回転自在に挿通されたロータ軸と、このロータ軸に支持されたマゲネットとを有するロータと;このロータのロータ軸の両端部を上記ケーシングに回転自在に支持する軸受と;上記ロータ軸の一端部に取り付けられ、上記ロータと一体に回転する送風ファンと;を備えており、上記ケーシングの内部に上記送風ファンによって送風される空気の流れ経路が形成された送風機用ブラシレスモータにおいて、上記ケーシングの内部に、少なくとも上記ロータやその軸受およびステータの巻線を上記空気の流れ経路から遮蔽するように取り囲む防塵壁を配置するとともに、上記スチータコアは、上記ケーシングの内面との間に上記空気の流れ通路の一部を構成し、この流れ通路に臨むステータコアの外周面に、上記流れ経路を流れる空気に接するとともに上記流れ風路を流れる空気の流れ方向に延びる多数の凹凸を形成したことを特徴とする送風機用ブラシレスモータ。」
なお、上記中、「上記流れ風路を流れる空気の流れ方向に延びる」との記載個所の「流れ風路」は「流れ経路」の誤記であることは明らかであるから、以下、「流れ経路」とする。
II.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-219433号公報(以下、引用例1という。)の、「本発明によれば、IP23よりも高度な保護方式のために、電気部品を保護するために、付加的な着脱自在のカバーが、単に皿状、環状或は円環状板の形で提供されるのであり、更に詳しくは、活性(aggressive)或は湿気のある大気、外部粒子(ごみ等)或は水等に対する特別な要求に従って、そのようなカバーはステータプレートパックの端面とベアリングシールドとの間でモーターの端部空間に挿入されかつ接触表面部で封止されている。」(3頁左上欄20行乃至右上欄9行)との記載、「以下、の各図は各モータにおける拡大部分断面図である。図中同一要素については同一符号が付されている。第5図を参照すると、冷却用ロータリー交流(A C )モーターは例えば保護方式IP23用に作られたものであって、ステータープレートパック1、ステータープレートパック1の端部をこえて両側に突出しているワインデングヘッド(windinghead)3をもつステーターのコイル及びステーターに同心的に配置されワインデングヘッド3の冷却を強制するためのファンブレード5をその軸に持っているローター4とを含んでいる。ステーターとローターはケーシンゲ6により覆われている。該ケーシング6の軸方向の対向する端部にはケーシング6に冷却用空気を流出入させる出口部及び入口部となる開口部8、9を設けたベアリングシールド(bearingshield)7がフランジ(flange)を形成するように設けられている。」(3頁右下欄8行乃至4頁左上欄5行)との記載、「保護方式IP23よりも高い保護方式のために、第1図によれば、モーターの電気的部品、特に、コイルワインデングヘッド3は着脱自在のカバーによって仕切られている。第1図における具体例では、着脱自在のカバーはキャップ20の形状を有している。キャップ20はモーターの両端部におけるベアリングシールド7とステータープレートパツク1との間に延長せしめられている。キャップ20を介して外気から隔離された空気内における空気の流通は矢印15で示されるている。吸引ファン29により移動せしめされる冷却空気は開口部8を通して外気からモーターに吸引されステータープレートパック1とケーシング6の間に形成された環状ダクトを介してキャップ20のまわりを軸方向に矢印13に示すような方向に流れる。」(4頁左上欄18行乃至右上欄13行)との記載、及び第1図の記載によれば、引用例1は湿気ある大気、ごみ等の外部粒子からモーターを構成する電機部品を保護することを技術的課題とする、「筒状のケーシングと;このケーシングの内側に収容されたステータプレートパック;上記ステータプレートパックの内側に回転自在に挿通されたロータ軸と、このロータ軸に支持されたロータと;このロータのロータ軸の両端部を上記ケーシングに回転自在に支持する軸受と;ロータ軸に取り付けられた吸気ファンをを備えており、上記ケーシングの内部に空気の流れ経路が形成された交流モータにおいて、上記ケーシングの内部に、少なくとも上記ロータやその軸受およびステータプレートパックの巻線を上記空気の流れ経路から遮蔽するように取り囲むキャップを配置するとともに、上記ステータプレートパックは、上記ケーシングの内面との間に上記空気の流れ通路の一部を構成する交流モータ。」との考案が開示されていると認めることができる。
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-285551号公報(以下、引用例2という。)に、
「本発明は、例えば換気用ファン装置や電気掃除機用の駆動モータとしてあるいはその他の動力源として使用されるブラシレスモータおよびそのモータを用いた送風機に関する。」(2頁左上欄7行乃至10行)、「第1図はこの発明を適用した例えば掃除機に使用される「1500rpm以上」の高速回転をなす高入力・高出力のインナーロータ形の駆動モータを示し、1はステータコア1aに巻線1bを巻き付けてなるステータ、」(3頁左上欄14行乃至19行)、「このように構成されるロータ7のロータ軸8の両端部が上記軸受5、6で回転自在に支持され、各々球軸受5、6を貫通している」(4頁左上欄19行乃至右上欄1行)、「他方、ロータ軸8の上記ディスク7とは反対側となる他端部には、送風ファン、例えば遠心ファン28がナット29の軸端に対するねじ込みにて取付けられている。」(5頁右上欄1行乃至4行)と記載されていることが認められる。
III.対比・判断
本願考案と引用例1記載の考案とを対比すると、引用例1の「ステータプレートパック」、「キャップ」が本願考案の「巻線が巻回されたステータコアを有するステータ」、「防塵壁」にそれぞれ相当するといえるから、両者は「筒状のケーシングと;このケーシングの内側に収容され、巻回されたステータコアを有するステータと;上記ステータコアの内側に回転自在に挿通されたロータ軸と、このロータ軸に支持されたロータと;このロータのロータ軸の両端部を上記ケーシングに回転自在に支持する軸受と;を備えており、上記ケーシングの内部に空気の流れ経路が形成されたモータにおいて、上記ケーシングの内部に、少なくとも上記ロータやその軸受およびステータの巻線を上記空気の流れ経路から遮蔽するように取り囲む防塵壁を配置するとともに、上記ステータコアは、上記ケーシングの内面との間に上記空気の流れ通路の一部を構成するモータ。」の点で一致し、
(1)本願考案のモータがロータにマグネットを有する送風機用ブラシレスモータであって、流れ経路を流れる空気が送風ファンによって送風されるものであるのに対し、引用例1のモータが交流モータであって、流れ経路を流れる空気が吸気ファンによって移動されるものである点、
(2)本願考案がステータコアの外周面に流れ経路を流れる空気に接するとともに流れ経路を流れる空気の流れ方向に延びる多数の凹凸を形成したのに対し、引用例1がそのような構成を備えていない点、
で相違する。
そこで、前記各相違点について検討する。
1.相違点(1)について
引用例1は湿気ある大気、ごみ等の外部粒子からモーターを構成する電機部品を保護することを交流モータについて記載するものであるが、湿気ある大気、ごみ等の外部粒子からモーターを構成する電機部品を保護することは交流モータに限定されるものとはいえず、引用例1に接した当業者であれば、そのような環境で使用されるモータであればそのモータを構成する電機部品を保護することを着想できるものといえるところ、前示のとおり引用例2には換気用ファン装置や電気掃除機に使用されるマグネットを有するロータとステータからなる送風機用ブラシレスモータが示されており、このモータが湿気ある大気、ゴミ等の外部粒子が存在する環境で使用されるものであるということができから、引用例1の交流モータのステータ、ロータを引用例2のブラシレスモータのマグネットを有するロータ及びステータとすること、そして、引用例1の吸気ファンに代えて引用例2の送風ファンは引用例1のケーシングに設けられた冷却用空気の開口部側のロータ軸の一端部に取り付けて足り、これによって送風ファンから空気が流れ経路を流れることになることは容易に予測でき、したがって、本願考案の前記相違点(1)に係る構成は当業者が容易に想到できたものというべきである。
2.相違点(2)について
本願考案が相違点(2)に係る構成のステータコアの外周面に多数の凹凸を形成したのは、ステータコアの外周面を流れ経路を流れる空気との接触面積が大きくし、放熱・冷却効果を高めるためといえるが、しかし、引用例1にも「このような高度な保護方式のために、外部周縁部に冷却フィン(fin)を有する構造がよく用いられている。」(2頁右上欄4行乃至6行)と記載され、また、第6図に符号16として示されている(5頁右上欄7行16・・・フィン、)ように、冷却すべき対象の放熱・冷却効果を高めるためその表面を空気との接触面積が多くなるように凹凸を形成し流れる空気の流れ方向に延びて配置することは周知技術であり、そして、この周知技術を引用例1のステータに適用できなとする理由はないのであるから、相違点(2)に係る本願考案の構成は当業者が容易に想到できたものというべきである。
そして、本願考案が奏する作用効果は引用例1及び引用例2から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願考案は引用例1及び引用例2から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本願考案は実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-11-29 
結審通知日 1999-12-14 
審決日 1999-12-15 
出願番号 実願平4-9198 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米山 毅  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 槇原 進
川端 修
考案の名称 送風機用ブラシレスモータ  
代理人 鈴江 武彦  
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