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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない F16L
管理番号 1012723
審判番号 審判1998-35406  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-08-27 
確定日 2000-02-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2142045号実用新案「伸縮自在管継手用ストッパー」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件登録第2142045号実用新案は、平成3年7月12日に実用新案登録出願され、平成8年1月17日に出願公告(実公平8-1353号)された後、平成8年11月13日に設定の登録がなされたもので、その後、請求人大成機工株式会社より無効審判が請求され、平成10年12月7日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年6月28日に手続補正がなされ、手続補正指令がなされ、その指定期間内である平成11年8月27日に手続補正がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)補正の適否について
ア.補正の内容
(a)全文訂正明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1の「伸縮動作を規制するためのストッパー」を、「伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパー」と補正する。
(b)全文訂正明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1の「前記両方の継手本体1,1a…破断部20が設けられ」を、「前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられ」と補正する。
(c)全文訂正明細書の第2頁第22行目から第27行目の「一対の継手本体1,1aが、…ストッパー」を、「一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパー」と補正する。
(d)全文訂正明細書の第2頁第27行目から第3頁第3行目の「伸縮自在継手…破断しうる破断部20」を、「伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパーであって、前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20」と補正する。
イ.補正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記補正事項(a)及び(b)に関連する記載として、願書に添付した明細書(以後、実用新案登録明細書という。)には、下記の事項が記載されている。
「17…は両継手本体1,1aのフランジ部7,8の残る貫通孔5a…,6a…に挿通せしめて該継手本体1,1a間に架設した棒状のストッパーであり、その両端部に形成されたネジ部18にナット19…を締着せしめてフランジ部7,8に固定されると共に、略中央部には周方向に環状の切欠部20が設けられて、所定の外力が加わった場合は該切欠部20を介してストッパー17が破断しうる構成にてなる。」(公告公報段落【0015】)
「一方、施工後に於いて、例えば地盤沈下が生じて伸縮自在管継手21に外力が加わった場合には、かかる外力よりストッパー17が伸長し、これに伴って伸縮自在管継手21も多少伸長することとなり、一定以下の外力であればストッパー17は破断することなく伸縮自在管継手21の伸縮動作は規制される。これに対して、一定以上の外力が加わった場合にはストッパー17の切欠部20を介して該ストッパー17が破断し、この破断により伸縮規制が解除されることとなり、よって図2の如く伸縮自在管継手21が伸縮及び揺動動作を行って、該伸縮自在管継手21の有する本来の機能を奏するものである。即ち、ストッパー17の伸長可能な範囲で外力に応じて適当に伸縮自在管継手21が伸長することとなり、よってかかるストッパー17が伸長する性質を利用して、その材質や切欠部20の切欠幅を適宜変更することにより、種々の状況に応じて伸縮自在管継手21の伸縮規制を行わしめることができるという利点がある。」と記載されている。(公告公報段落【0019】)
そうすると、上記補正事項(a)は、実用新案登録明細書.に記載された事項の範囲内において、ストッパーの形状と機能について明りょうにしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記補正事項(b)は、実用新案登録明細書に記載された事項の範囲内において、ストッパーの取付態様、ストッパーによるジョイント管2,2aの保持態様及び破断部20の破断後の伸縮自在継手の動作について明りょうにしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、上記補正事項(c)及び(d)は、上記補正事項(a)及び(b)による請求項1の補正に伴ってその請求項1の記載と考案の詳細な説明の【課題を解決するための手段】の記載とを一致させるために補正したものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記補正事項(a)乃至(d)は、平成5年法律第26号附則第4条第2項において読み替えるものとする実用新案法第40条第2項の規定に適合するので当該補正を認める。
(2)訂正の適否について
上記平成11年6月28日付け及び平成11年8月27日付け手続補正書により補正された訂正明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)について検討する。
ア.訂正明細書の考案
本件訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパーであって、前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられてなることを特徴とする伸縮自在管継手用ストッパー。
【請求項2】前記破断部20が切欠部である請求項1記載の伸縮自在管継手用ストッパー。」
イ.訂正事項
訂正事項a
実用新案登録第2142045号の明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「一対の継手本体1,1aが伸縮自在となるべく相互にスライド自在に嵌合された伸縮自在管継手の伸縮動作を規制するための棒状のストッパー」を、「一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパー」と訂正する。
訂正事項b
同明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「該継手本体1,1aに夫々設けられたフランジ部間に架設され且つ所定以上の外力が加わった際に破断しうる破断部20が設けられ」を、「前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられ」と訂正する。
訂正事項c
同明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項3を削除する。
訂正事項d
公告公報第2頁左欄第22行目乃至第24行目の「一対の継手本体1,1aが…棒状のストッパー」を、「一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパー」に訂正する。
訂正事項e
公告公報第2頁左欄第25行目乃至第27行目の「該継手本体…設けられ」を、「前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられ」に訂正する。
ウ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a、bに関連する記載として、実用新案登録明細書には、下記の事項が記載されている。
「図1に於いて、1はジョイント管2と該ジョイント管2の一端部に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5とこの両者の離脱を阻止するための補助環体6とからなる継手本体で、揺動管継手5と補助環体6の外周には複数の貫通孔(図示せず)を有するフランジ部7,8が夫々形成され、両側の貫通孔5a…,6a…を残して挿通したボルト9にナット10を締着せしめて両者が取付けられてなる。」(公告公報段落【0012】)
「17…は両継手本体1,1aのフランジ部7,8の残る貫通孔5a…,6a…に挿通せしめて該継手本体1,1a間に架設した棒状のストッパーであり、その両端部に形成されたネジ部18にナット19…を締着せしめてフランジ部7,8に固定されると共に、略中央部には周方向に環状の切欠部20が設けられて、所定の外力が加わった場合は該切欠部20を介してストッパー17が破断しうる構成にてなる。」(公告公報段落【0015】)
「一方、施工後に於いて、例えば地盤沈下が生じて伸縮自在管継手21に外力が加わった場合には、かかる外力よりストッパー17が伸長し、これに伴って伸縮自在管継手21も多少伸長することとなり、一定以下の外力であればストッパー17は破断することなく伸縮自在管継手21の伸縮動作は規制される。これに対して、一定以上の外力が加わった場合にはストッパー17の切欠部20を介して該ストッパー17が破断し、この破断により伸縮規制が解除されることとなり、よって図2の如く伸縮自在管継手21が伸縮及び揺動動作を行って、該伸縮自在管継手21の有する本来の機能を奏するものである。即ち、ストッパー17の伸長可能な範囲で外力に応じて適当に伸縮自在管継手21が伸長することとなり、よってかかるストッパー17が伸長する性質を利用して、その材質や切欠部20の切欠幅を適宜変更することにより、種々の状況に応じて伸縮自在管継手21の伸縮規制を行わしめることができるという利点がある。」と記載されている。(公告公報段落【0019】)
また、第1図からは、一対の継手本体1,1aがジョイント管2,2aと球面部3,4を具備した揺動管継手5と補助還体6とからなり、棒状のストッパーは、一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべくフランジ部7,8間に架設され、フランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部に形成された両ネジ部にナット19を締着して揺動管継5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けていることが、第2図からは、ストッパーが破断した際には、伸縮自在管継手が伸縮及び揺動動作を行うことが見てとれる。
そうすると、上記訂正事項aの訂正は、実用新案登録明細書に記載された事項の範囲内において、一対の継手本体の構成を限定するとともに、ストッパーの形状と規制動作を明りょうにしたものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮と、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記訂正事項bの訂正は、実用新案登録明細書に記載された事項の範囲内において、ストッパーの揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8への取付構造を限定するとともに、ストッパーの保持形態と破断後の伸縮自在継手の動作を明りょうにしたものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮と、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記訂正事項cの訂正は、実用新案登録請求の範囲の請求項3を削除する訂正であるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記訂正事項d及びeの訂正は、上記訂正事項a乃至cによる実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、考案の詳細な説明の【課題を解決するための手段】の記載を実用新案登録請求の範囲の記載と整合させて明りょうにしたものであって、明りょうでない記載の釈明を目的としてなされた訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.独立実用新案登録要件
(引用刊行物)
訂正明細書の請求項1及び2に係る考案に対して、当審が通知した無効理由で引用した
甲第1号証の刊行物(実願平1-54587号(実開平2-145391号)のマイクロフィルム、以下、引用刊行物1という。)には、複数個のスリーブが互いに水密を保ちながら相対的に揺動自在かつ伸縮自在に接続されて成る伸縮可撓管継手に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
「1.複数個のスリーブ(2),(4)が互いに水密を保ちながら相対的に揺動自在かつ伸縮自在に接続されて成る伸縮可携管継手において、
前記スリーブ(2),(4)どうしを相対揺動不能又はほぼ不能に螺着連結するボルト(11)が設けられ、前記ボルト(11)には、管接続部(2c)に接続された接続管(1)の一定以上の変位力で破断される破断機構(B)が備えられていることを特徴とする伸縮可撓管継手。
2.前記ボルト(11)は、接続管(1)との接続用フランジ(2c)に螺着されるものである請求項1記載の伸縮可撓管継手。」(実用新案登録請求の範囲)
「前記連結用スリーブ(4)に突出片(4b)が連設され、この突出片(4b)を挿通させたボルト(11)が軸芯(X)方向に沿って螺進可能な状態で接続用フランジ(2c)に連設の突出片(4b)に螺着されて、接続用スリーブ(2)と連結用スリーブ(4)とが相対揺動不能又はほぼ不能に螺着固定されている。
前記ボルト(11)の長手方向中間位置に断面積が急激に小さくなるくびれ部(11a)を構けて、接続用フランジ(2c)に接続用輪体(7)を介して接続された接続管(1)の一定以上の変位力でそのくびれ部(11a)が破断される破断機構(B)を構成してある。」(第6頁7行乃至19行)
同じく引用した甲第4号証の刊行物(実公平2-37018号公報、以下、引用刊行物2という。)には、パイプを例えば伸縮・揺動自在に連結するような場合に使用される可動管継手の取扱いを良好にすることができる押ねじ体に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
「第1図は本考案に係る押ねじ体1の一実施例を示し、図中、2は雄ネジを螺刻したネジ部3を有する押ねじ本体を示し、その上部には六角ボルトの頭部と同形状の頭部4が設けられている。5,5は前記押ねじ本体2の下端先端部に二個突設された鋭利な形状の喰込用刃を夫々示す。6は該喰込用刃5,5の上方位置に形成された被剪断部を示し、該被剪断部6は押ねじ本体2の他の箇所よりも剪断強さが劣るようにその外周に切欠み7が施されている。」(第2頁4欄18行乃至27行)
「すなわち、同図に示す管継手は、連結対象となる管体10,10aの端部に夫々螺着される継手本体11,11aに別途補助環体12,12aをボルト13・・にて連結せしめて、その球面状凹部14,14a内にジョイント管16,16aの球面状膨出部15,15aを夫々揺動可能に連結したものである。・・・中略・・・
従って、この管継手構造では、継手本体11,11aの相互間寸法Lが増減可能で且つ該継手本体11,11aとジョイント管16,16aとが夫々相対的に揺動可能である。」(第2頁4欄36行乃至第3頁5欄4行)
「該ストッパー体18,18aは・・・中略・・・補助ジョイント管17等の抜脱を防止するためのものである。
然して、上記管継手に於いて、押ねじ体1は例えば同図の如くストッパー体18,18aの側部の肉厚部19,19a、及び補助環体12,12aに夫々設けられた各ネジ孔20,20a,…に螺合装着して使用するのである。
すなわち、これを詳細に説明すれば、例えば第3図及び第4図の如くストッパー体18のネジ孔20に螺合せしめた押ねじ体1を強固に締付けて、その先端部の喰込用刃5,5
をジョイント管16の外周面に喰込ませるのである。
このように、各部に設けた押ねじ体1…の喰込用刃5,5を夫々その対面する各継手部材の表面に喰込ませれば、ジョイント管16,16aと補助ジョイント管17とは相互に何らスライドすることがなく、また各ジョイント管16,16aは継手本体11,11aに対して揺動することもない。」(第3頁5欄7行乃至28行)
(対比・判断)
そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案と引用刊行物2に記載された考案とを対比すると、引用刊行物2に記載された考案の「継手本体11,11a」、「ジョイント管16,16a」、「球面状膨出部15,15a」、「球面状凹部14,14a」、「球面状凹部15,15aを具備した継手本体11,11a」、「補助環体12,12a」、「押ねじ体1」及び「切欠み7」は、訂正明細書の請求項1に係る考案の「一対の継手本体1,1a」、「ジョイント管2,2a」、「球面部3」、「球面部4」、「揺動管継手5」、「補助還体6」、「伸縮自在管継手用ストッパー」及び「破断部20」に相当するものであるら、両者は、「一対の継手本体が、ジョイント管と、該ジョイント管の一端に設けた球面部に球面摺動自在に外嵌する球面部を具備した揺動管継手と、この両者の離脱を阻止するための補助還体とからなり、継手本体が互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するためのストッパーであって、所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部が設けられてなる伸縮自在管継手用ストッパー。」で一致しており、下記の点で相違している。
相違点;訂正明細書の請求項1に係る考案では、ストッパーが棒状であって、ストッパーの両端部にはネジ部がそれぞれ形成され、ストッパーの両端部は揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通され、上記両ネジ部にナット19を締着して揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設されるものであるのに対して、引用刊行物2に記載された考案の押ねじ体1は、上部には六角ボルトの頭部と同形状の頭部4を設け、下端先端部に喰込用刃5,5を二個突設させた雄ネジを螺刻したネジ部3から構成されるものであって、夫々相対的に揺動可能である部材(例えば、ジョイント管16と補助ジョイント管17)間を押ねじ体1を強固に締付けることにより、喰込用刃5,5をジョイント管或いは補助ジョイント管の外周面に食い込ませるものであって、一対のジョイント管を収縮保持すべく、両方の継手本体のフランジ部間に棒状のストッパー部材が架設されるものではない点。
上記相違点について検討するに、引用刊行物1にも、上記摘記したような接続用スリーブ2と連結用スリーブ4とを相対揺動不能とするためにボルト11を両スリーブにそれぞれ連設された突出片に螺着固定するようにした伸縮可擁管継手が記載されているにすぎないものであって、訂正明細書の請求項1に係る考案の上記相違点のような棒状のストッパー部材による一対のジョイント管の収縮保持構造については記載されておらず、示唆する記載も見出すことができない。
そして、本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記相違点の技術事項によって、実用新案登録明細書中に記載された格別な作用効果を奏するものと認める。
したがって、本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、引用刊行物1及び2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
また、本件訂正明細書の請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案の技術事項を備えたものであるから、同様の理由により引用刊行物1及び2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
オ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成5年法律第26号附則第4条第2項において読み替えるものとする実用新案法第40条第2項の規定及び同法第40条第5項で準用する同法第39条第2-4項の規定に適合するので当該訂正を認める。
3.実用新案登録無効の申立てについての判断
(1)本件考案
本件訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、「2.訂正の適否についての判断」の「(2)訂正の適否について」のア.訂正明細書の考案の項に記載されたとおりのものと認める。
(2)請求人及び被請求人の主張
【請求人の主張】
これに対して、請求人は、「本件登録実用新案は、その出願前日本国内において頒布された甲第1号証乃至甲第4号証の刊行物に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違背して登録されたものであり、その登録は同法第37条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。」旨主張している。
証拠方法
甲第1号証;実開平2-145391号公報及び全文明細書
甲第2号証;特公昭55-40796号公報
甲第3号証;実公昭55-37816号公報
甲第4号証;実公平2-37018号公報
【被請求人の主張】
一方、被請求人は、下記の旨主張している。
[主張1]本件審判請求人は、審判請求書において利害関係につき何ら主張していない他、何らの立証もされていないものである。よって、本件審判請求人は、本件審判請求について法律上の利益を有するものでないため、本件審判請求は、直ちに却下されるべきである。
[主張2]本件考案は、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案することができたものではないから、本件考案が進歩性を欠くという無効理由も全く根拠がない。
(3)当事者適格について
被請求人の[主張1]について検討するに、本件請求人が、土中埋設用の伸縮可とう管の分野において被請求人とは競合関係にあることは、弁駁書において提出した甲第5号証(「伸縮可とう管タイ・フレックス」に関するカタログ)により明らかであり、同号証記載の商品「伸縮可とう管タイ・フレックス」は現在も請求人会社より多数販売されているものと認められるから、請求人は本件考案の登録の存否に利害関係を有しているといえる。
したがって、本件審判請求は請求人不適格として却下されるべきであるとの被請求人の主張は採用しない。
(4)請求人の主張する無効理由について
そこで、請求人の主張する無効理由について検討する。
本件訂正明細書の請求項1及び2に係る考案と甲第1号証及び甲第4号証との対比・判断は、「2.訂正の適否についての判断」の「(2)訂正の適否について」のエ.独立実用新案登録要件の項で記載したとおりである。
そこで、甲第2号証及び甲第3号証について検討するに、甲第2号証には、継手の管受口に接続される管挿口の外周に管受口端面に対向するようにフランジを固着し、前記受口端面には、前記フランジを貫通すると共にくびれ部を有するボルトを植立し、管受口内に係合されたロックリングと係合断面との聞及び管挿口先端と管受口の挿口接当用断面との間に間隔をあけた状態で前記フランジに両側から係合するナットを前記ボルトに螺合した耐震管継手が、甲第3号証には、継手本体に摺動自在で水密的に嵌合するパイプの外周に外方へ突出するリング体を嵌着し、このリング体に当接する係止環を前記パイプに嵌合して設け、この係止環と前記継手本体とを通水試験時に発生する引張荷重には耐え前記パイプが破裂する内圧における引張荷重が作用する前に切断される強度に設定された連結体により連結した管継手装置がそれぞれ記載されているにすぎないものであって、本件訂正明細書の請求項1及び2に係る考案に共通する技術事項である「ストッパーが棒状であって、ストッパーの両端部にはネジ部がそれぞれ形成され、ストッパーの両端部は揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通され、上記両ネジ部にナット19を締着して揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設される」点については、記載されておらず、示唆する記載も見出すことができない。
そして、本件訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、上記技術事項によって、実用新案登録明細書中に記載された格別な作用効果を奏するものと認める。
したがって、本件訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
なお、請求人は、弁駁書で甲第6号証(「WSP管路に付属する弁類並びに伸縮可撓管の据付け」表紙、中表紙、第14頁乃至19頁、奥付日本水道鋼管協会、昭和55年2月1日発行)を提出して、ねじ切りされたロッドがフランジ間に架設される技術が周知・慣用手段であると主張しているが、上記甲第6号証には、「ドレッサー型伸縮管」の構造が第16頁に記載されているにすぎないものであって、上記訂正明細書の請求項1及び2に係る考案に共通する技術事項については、記載されておらず、示唆する記載も見出すことができない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件登録実用新案を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
伸縮自在管継手用ストッパー
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパーであって、前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられてなることを特徴とする伸縮自在管継手用ストッパー。
【請求項2】 前記破断部20が切欠部である請求項1記載の伸縮自在管継手用ストッパー。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は伸縮自在管継手用ストッパー、さらに詳しくは例えば水道配管等の管体を伸縮自在に連結可能な伸縮自在管継手に適用される伸縮規制用のストッパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種伸縮自在管継手に於いては、組立後に漏水等の有無を確認すべく所謂水圧性能試験が行われている。この場合、伸縮自在管継手を収縮させた状態で試験治具にセットし、該伸縮自在管継手に一定圧の流体を流通せしめて試験が行われるのである。
【0003】
また、その搬送途中等に於いては、伸縮自在管継手21aが不用意に伸縮することがないように図3の如く複数本の枕木22上に該伸縮自在管継手21aをセットした状態でバンド23…等で固定せしめて搬送等が行われている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の水圧性能試験にあっては、試験治具への伸縮自在管継手21aの取付け及び取外し時に於いて、該伸縮自在管継手21aが不用意に伸縮動作を行うおそれがあるために、試験作業が極めて煩雑なものとなり、よって作業性に著しく欠けるという大なる問題点を有していたのである。
【0005】
また、搬送時等に於ける伸縮自在管継手21aの枕木22への取付作業、及び配管施工時に於ける枕木22からの取外し作業も煩雑であると共に、この枕木22の取外しによって施工中にも伸縮自在管継手21aが不用意に伸縮してしまって施工作業を妨げるという大なる不都合もあった。
【0006】
それ故、本考案は上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、伸縮自在管継手の伸縮機能を損なうことなく、搬送前の水圧性能試験等から、搬送及び施工作業に至るまでの各作業の便に供すべく取扱いを極めて簡易にすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記課題を達成するために、本考案は一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパーであって、前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられてなる伸縮自在管継手用ストッパーである。
【0008】
【作用】
従って、上記構成を特徴とするストッパーを具備した伸縮自在管継手の水圧試験を行う場合には、ストッパーにより伸縮自在管継手の伸縮動作が規制されてなるため、この状態で水圧試験の治具に容易に着脱が行えることとなる。
【0009】
また、搬送時や施工時等に於いても、伸縮自在管継手が不用意に伸縮することがないために、その取扱いの便に大いに供するのである。
【0010】
一方、施工後に於いて、例えば地盤沈下等の事態が生じた場合には、かかる地盤沈下による土圧等が伸縮自在管継手及びストッパーに加わることとなるが、該ストッパーは所定以上の外力が加わった際には破断部20を介して破断しうるように構成してなるため、このストッパーの破断により伸縮自在管継手は伸縮動作の規制が解除されて、この種継手本来の機能を発揮させ得るのである。
【0011】
【実施例】
以下、本考案の一実施例について図面に従って説明する。
【0012】
図1に於いて、1はジョイント管2と該ジョイント管2の一端部に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5とこの両者の離脱を阻止するための補助環体6とからなる継手本体で、揺動管継手5と補助環体6の外周には複数の貫通孔(図示せず)を有するフランジ部7,8が夫々形成され、両側の貫通孔5a…,6a…を残して挿通したボルト9にナット10を締着せしめて両者が取付けられてなる。
【0013】
11はジョイント管2と補助環体6間に取付けたゴムからなる蛇腹状のカバー体で、泥水,土砂,小石等の異物の摺動面内への侵入を阻止する。12はシール用のOリングである。
【0014】
1aは前記継手本体1と同様に構成した他方の継手本体で、該継手本体1aは一方の継手本体1にスライド自在に嵌入されると共に、その外周面に突設した環状凸部13と、一方の継手本体1の内周面に突設した環状凸部14及び該継手本体1の先端部に取付けられたリング体15とが夫々係合して両者のスライド規制が図られてなる。16は一方の継手本体1の環状凸部14の背面部に装着したシール用のOリングである。尚、一方の揺動継手管5の他端部にはフランジ部5aが設けられている。
【0015】
17…は両継手本体1,1aのフランジ部7,8の残る貫通孔5a…,6a…に挿通せしめて該継手本体1,1a間に架設した棒状のストッパーであり、その両端部に形成されたネジ部18にナット19…を締着せしめてフランジ部7,8に固定されると共に、略中央部には周方向に環状の切欠部20が設けられて、所定の外力が加わった場合は該切欠部20を介してストッパー17が破断しうる構成にてなる。
【0016】
本実施例は以上のような構成からなり、かかる伸縮自在管継手21は例えば水道用配管の継手用として地中に埋設して使用されるが、該伸縮自在管継手21の組立後に於いて水圧性能試験が行われる。
【0017】
この場合、伸縮自在管継手21を試験治具にセットするのであるが、該伸縮自在管継手21はストッパー17…によりその伸縮動作が規制されてなるために、試験治具へのセット時及び取外し時に於いて不用意に伸縮することがなく、よってかかる一連の試験作業が極めて簡易且つ迅速に行えることとなる。
【0018】
また、搬送時及び施工時に於いても、ストッパー17…により同様に伸縮動作が規制されて搬送及び施工作業も煩雑になることがなく、取扱いが簡易であるために、その作業の便に大いに供するのである。
【0019】
一方、施工後に於いて、例えば地盤沈下等が生じて伸縮自在管継手21に外力が加わった場合には、これによりストッパー17…の切欠部20を介して該ストッパー17…が破断しうるように構成してなるために、この破断により伸縮規制が解除されることとなり、よって図2の如く伸縮自在管継手21が伸縮及び揺動動作を行って、該伸縮自在管継手21の有する本来の機能を奏するのである。
【0020】
また、ストッパー17の構成は非常に簡易であり、継手本体1,1aの既存のフランジ部を利用してその取付けも行えるために、安価且つ容易に製作できるという実用的な利点もある。
【0021】
尚、上記実施例に於いては、ストッパー17の破断部20として切欠部を形成してなるが、かかる破断部20の具体的な構成は決してこれに限定されず、またストッパー17の数や強度についてもその使用用途や使用態様に応じて任意に変更自在である。
【0022】
さらに、ストッパー17は必ずしも棒状に形成する必要はなく、その具体的な形状は問わない。要は、継手本体1,1aのフランジ部に架設しうるように構成されればよい。
【0023】
また、該実施例では揺動機能をも具備する伸縮自在管管継手21について説明したが、伸縮自在管継手21には必ずしも揺動機能を具備させる必要はなく、その具体的な構成は問わない。
【0024】
その他、ストッパー17と継手本体1,1aとの取付手段も本考案の意図する範囲内に於いて任意に設計変更自在である。
【0025】
【考案の効果】
叙上の様に、本考案は両継手本体に夫々設けられたフランジ部間にストッパーを架設し且つ該ストッパーは所定以上の外力が加わった際に破断しうるように構成してなるため、例えば水圧性能試験等に於ける試験治具の取付け及び取外し作業や搬送時及び施工時等に於いて、何ら伸縮規制手段を具備しない従来の伸縮自在管継手の如く不用意に伸縮してしまうような不都合は一切なくなり、その取扱いが極めて簡易になものとなる結果、一連の作業の便に大いに供するという格別の効果を得るに至った。
【0026】
一方、施工後に於いて地盤沈下等が生じ、伸縮自在管継手及びストッパーに一定の土圧等の外力が加わった場合には、該ストッパーに設けられた破断部が破断するために、伸縮自在管継手の有する本来の伸縮機能が良好に発揮されるのである。
【0027】
また、本考案に係るストッパーは非常に簡易な構成にてなるため、その製作が容易且つ安価に行えると共に、既存の伸縮自在管継手のフランジ部を有効に利用して取付け得るという実用的な利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案に係るストッパーの一実施例を示した伸縮自在管継手の半裁断面図。
【図2】
伸長状態にある伸縮自在管継手の半裁断面図。
【図3】
従来に於ける伸縮自在管継手の搬送形態を示す正面図。
【符号の説明】
1,1a…継手本体
20…破断部
訂正の要旨 訂正の要旨
1.登録第2142045号実用新案の明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「一対の継手本体1,1aが伸縮自在となるべく相互にスライド自在に嵌合された伸縮自在管継手の伸縮動作を規制するためのストッパー」を、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として「一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパー」と訂正する。
2.同明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「該継手本体1,1aに夫々設けられたフランジ部間に架設され且つ所定以上の外力が加わった際に破断しうる破断部20が設けられ」を、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられ」と訂正する。
3.同明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項3を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として削除する。
4.同明細書における考案の詳細な説明中、「一対の継手本体1,1aが・・・ストッパー」(公告公報第2頁左欄第22行乃至第24行)との記載を、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、考案の詳細な説明の【課題を解決するための手段】の記載を実用新案登録請求の範囲の記載と整合させて明りょうにするために、明りょうでない記載の釈明を目的として、「一対の継手本体1,1aが、ジョイント管2,2aと、該ジョイント管2,2aの一端に設けた球面部3に球面摺動自在に外嵌する球面部4を具備した揺動管継手5と、この両者の離脱を阻止するための補助還体6とからなり、継手本体1,1aが互いに伸縮自在となるべく前記ジョイント管2がスライド自在に嵌合された伸縮自在継手の伸縮及び揺動動作を規制するための棒状のストッパー」と訂正する。
5.同明細書における考案の詳細な説明中、「該継手本体1,1aに・・・設けられ」(公告公報第2頁左欄第25行乃至第27行)との記載を、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、考案の詳細な説明の【課題を解決するための手段】の記載を実用新案登録請求の範囲の記載と整合させて明りょうにするために、明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記両方の継手本体1,1aの揺動管継手5と補助還体6の外周にそれぞれ設けられたフランジ部7,8に挿通されるストッパーの両端部には、ネジ部がそれぞれ形成され、両ネジ部にナット19を締着して前記揺動管継手5と補助還体6の両フランジ部7,8を取り付けると共に、前記一対のジョイント管2,2aを収縮保持すべく、両方の継手本体1,1aのフランジ部7,8間に架設され、且つ所定以上の外力が加わった際に破断して、伸縮自在継手が伸縮及び揺動動作を行う破断部20が設けられ」と訂正する。
審理終結日 1999-11-26 
結審通知日 1999-12-10 
審決日 1999-12-27 
出願番号 実願平3-83614 
審決分類 U 1 112・ 121- YA (F16L)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 秋月 均佐藤 洋  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 佐藤 久容
鈴木 美知子
登録日 1996-11-13 
登録番号 実用登録第2142045号(U2142045) 
考案の名称 伸縮自在管継手用ストッパー  
代理人 藤本 昇  
代理人 尾崎 雄三  
代理人 大内 信雄  
代理人 谷口 俊彦  
代理人 室之園 和人  
代理人 大内 信雄  
代理人 梶崎 弘一  
代理人 鈴木 崇生  
代理人 藤本 昇  

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