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審決分類 審判 全部申し立て   D04H
審判 全部申し立て   D04H
管理番号 1012738
異議申立番号 異議1998-75778  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-24 
確定日 2000-01-11 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2582994号「OA機器用などのフェルト素材」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2582994号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 同請求項2ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.本件の経緯
本件実用新案登録第2582994号は、平成4年12月25日に出願し、平成10年7月31日に設定登録され、同年10月15日に実用新案登録公報に掲載されたところ、同年11月24日に市川毛織株式会社から実用新案登録異議の申立を受けたものであって、その後平成11年6月21日付で取消理由通知がなされたものである。
2.本件考案
本件考案は、本件明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次のものである。
[請求項1]平滑性の良好である上方層と、主としてクッション性を付与する下方層とを有するフェルト素材であって、上方層としてフッ素系繊維単独又は該フッ素系繊維と熱融着性繊維とを混綿してなるフェルトと、下方層として羊毛繊維単独又は通常の合成繊維と熱融着性繊維とを混綿してなるフェルトとを用い、両フェルトをニードルパンチングでシート状に一体化し、加熱・加圧処理によって所定の厚みに定めるフェルト素材。
[請求項2]平滑性の良好である上方層と、主としてクッション性を付与する下方層とを有するフェルト素材であって、上方層としてフッ素系繊維単独又は該フッ素系繊維と熱融着性繊維とを混綿してなるフェルトと、下方層として羊毛繊維単独又は通常の合成繊維と熱融着性繊維とを混綿してなるフェルトとを用い、両フェルトをニードルパンチングでシート状に一体化してから、上方よりウオータージェット処理を施し、加熱・加圧処理で所定の厚みに定めるフェルト素材。
[請求項3]平滑性の良好である上方層と、主としてクッション性を付与する下方層とを有するフェルト素材であって、上方層としてフッ素系繊維単独又は該フッ素系繊維と熱融着性繊維とを混綿してなるフェルトを用い、該フェルトにウオータージェット処理を施し、一方、下方層として羊毛繊維単独又は通常の合成繊維と熱融着性繊維とを混綿してなるフェルトとを用い、両フェルトの間にシート状の接着剤を挟んで加熱・加圧処理でシート状に一体化するとともに所定の厚みに定めるフェルト素材。
3.異議申立人の主張
異議申立人市川毛織株式会社は甲第1号証および参考文献を提出して次のような主旨の主張をしている。
「本件請求項1?3に係る考案は、本件実用新案登録の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。」
4.平成11年6月21日付の取消理由通知
上記取消理由通知で通知した理由は、次のとおりである。
「本件請求項1に係る考案は、本件実用新案登録の出願前に頒布された刊行物である実願平3-45225号(実開平4-130966号)のマイクロフィルムに記載された考案と同一であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。」
5.当審の判断
5-1.本件請求項1に係る考案について
本件請求項1に係る考案については、平成11年6月21日付で取消理由を通知し期間を指定し意見書を提出する機会を与えたが、実用新案権者からは何らの応答もない。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであるから、実用新案法附則(平成6年法律第116号)第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号に該当し、この取消理由によって取り消すべきものである。
5-2.本件請求項2?3に係る考案について
甲第1号証(実用新案登録第2537613号公報)は、本件特許の出願後である平成9年3月7日に頒布されたものにすぎないし、また、参考文献は、表紙も奥付もないものであり、しかもそれにはフッ素繊維-ゴアテックスについて記載されているにすぎないから、上記3の実用新案登録異議申立人の主張は理由がない。
なお、本件実用新案登録の出願前に頒布された刊行物である実願平3-45225号(実開平4-130966号)のマイクロフィルムには、「トナーボックスの開口部に位置するロールの両端部に、該ロールに接して設けた複写機用トナー流出防止材において、ロールに接する作用層となる四フッ化エチレン繊維層と、クッション層となる繊維層とをニードルパンチングにて一体化し、その作用層表面を熱プレスにて平滑形成したことを特徴とする複写機用トナー流出防止材。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)等が記載されているものの、それには、本件請求項2および3に係る考案の構成に欠くことができない事項である「ウオータージェット処理」に関して記載するところはないし、また、本件請求項3に係る考案の構成に欠くことができない事項である「両フェルトの間にシート状の接着剤を挟んで加熱・加圧処理でシート状に一体化する」ということについても記載するところはないから、本件請求項2および3に係る考案は、上記マイクロフィルムに記載された考案に基づいて当業者が容易に考案をすることができたものとすることはできない。
5,結び
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る実用新案登録は、上記取消理由によって取り消すべきものであり、本件請求項2および3に係る実用新案登録については、実用新案登録異議の申立の理由および証拠によっては取り消すことができない。
また、他に本件請求項2および3に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-11-10 
出願番号 実願平4-93229 
審決分類 U 1 651・ 121- ZC (D04H)
U 1 651・ 113- ZC (D04H)
最終処分 一部取消    
前審関与審査官 松縄 正登  
特許庁審判長 荻島 俊治
特許庁審判官 石橋 和夫
蔵野 雅昭
登録日 1998-07-31 
登録番号 実用登録第2582994号(U2582994) 
権利者 中辻 富一
大阪府堺市土塔町2215
考案の名称 OA機器用などのフェルト素材  
代理人 鴇田 將  

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