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審決分類 |
審判 補正却下の決定 B42D |
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管理番号 | 1012755 |
審判番号 | 審判1998-2419 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-10-27 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 2000-01-31 |
事件の表示 | 平成 6年実用新案登録願第5675号「テレホンカード」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 平成11年12月06日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
1.平成11年12月6日付手続き補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、出願公告決定の謄本の送達後になされた平成11年10月28日付の手続き補正書(全文補正)で補正された明細書及び図面をさらに補正するものである。 2.補正の内容 ここでは考案の詳細な説明の欄の補正について取り上げることとする。 A.「問題点を解決するための手段」及び「作用」の項 「押型部」を「切欠状または穴形状の押型部」と補正。 B.「実施例」の項 図面として図2から図5を追加するとともに、以下の記載を追加している。 (1)図2に対応する実施例として「即ち、図2は図1のX-Y断面構造を示しおり、指示部2はカード厚み方向にくぼんだ押し型構造となっている。」 (2)図3に対応する実施例として「また、指示部2としては、図3の断面図に示すような穴としても良い。穴6は押し型によって容易に形成することができる。」 (3)図4に対応する実施例として「カード本体1の外周縁から内方向に向かって一部が切除された押形部で成る切欠形状3が設けられた指示部2の例を示している。」 (4)図5に対応する実施例として「カード本体1の外周縁から内方向に向かって、押形部で成る長形若しくは楕円形の切欠形状7が指示部2として設けられた例を示している。これら図4及び図5の各形状は、押し型によって容易に形成することができる。」 3.補正の検討 ここでは特に上記「実施例」の項の補正事項(2)?(4)に関して検討する。なお、「問題点を解決するための手段」及び「作用」の項の補正は、「実施例」の項の補正を基にしたものであるから、実施例の補正についての検討結果は、「問題点を解決するための手段」及び「作用」の項の補正についてもそのまま当てはまる。 A.(2)の補正に関しては、公告時の明細書には「この指示部2はカード本体1の一部に押形部5を形成して、これを指示部2とした。この指示部は、図1に示す如くカード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんで形成されている」とあるのに対して、(2)の補正では指示部2としては穴としても良いとした上で、穴は押し型によって容易に形成することができるとしている。 この補正は「図1に示す如くカード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんで形成されている指示部」についてさらに具体的な構成として説明するものであって一応「明瞭でない記載の釈明」といえる。 ところで、一般的にいって「押し型」とは材料に圧力を加えて成形するのに用いる器具(広辞苑第2版、昭和45年11月18日発行)であり、それによって形成された「押形部」は材料が押し型によって成形された形状部を意味する。公告時の明細書の上記押形部に関する記載もこのような「押形部」の一般的な解釈と合致するし、それ以外のものを含むものとして解釈すべき記載もないから、本願考案における「押形部」は材料に押し型によって圧力を加えて成形した形状部を意味する。 ところが、(2)の補正によって「カード本体の外周緑からカード本体の内方向にくぼんでいる指示部」の形状が、材料に押し型によって圧力を加えて成形した形状だけではなく穴形状をも含むものとなる。(2)の補正によると穴6は押し型によって容易に形成することができるとあるが、一般的にいって押し型が穴をあけることをも意図した器具であるとはいえないし、公告時の明細書にもそれを窺わせるような記載もない。したがってこの補正は実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものである。 B.(3)の補正に関しては、上記(2)の補正に関して述べたと同様に、押形部についてさらに具体的な構成として説明するものであって一応「明瞭でない記載の釈明」といえる。 しかし、公告時の明細書に記載された「押形部」は上記のとおり「材料に押し型によって圧力を加えて成形した形状部」を意味するものであって、図4及び図5の各形状の形成方法について記載した(4)の補正によると、切除された切欠形状は押し型によって容易に形成することができるとあるが、一般的にいって押し型が切除を意図した器具であるとはいえないし、公告時の明細書にもそれを窺わせるような記載はないことから、押形部が切除によって形成された切欠形状を含むものとはいえない。 ところが(3)の補正によって「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる指示部」が、材料に押形によって圧力を加えて成形した形状だけではなく、切除によって形成された切欠形状をも含むものとなり、この補正は実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものである。 C.(4)の補正に関しては、上記(2)の補正に関して述べたと同様に、押形部についてさらに具体的な構成として説明するものであって一応「明瞭でない記載の釈明」といえる。 しかし、上で述べたとおり押形部が切除によって形成された切欠形状を含まないものであるところ、(4)の補正によって、 「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる指示部」が、材料に押し型によって圧力を加えて成形した形状だけではなく、切断によって形成される切欠と実質的に同じ形状をも含むものとなり、この補正は実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものである。 なお、上記AからCで述べたように、本願考案にかかる「押形部」が「切欠部」や「穴部」を含むものでないとする解釈は、原出願の出願当初明細書において指示部の構成としてそれらを異なる構成として記載していることとも合致する。 4.結論 以上のことから考案の詳細な説明の欄の(2)から(4)の補正は、一応明瞭でない記載の釈明を目的とするものではあるが、この補正によって実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものである。 したがって本件補正は実用新案法第13条で準用する特許法第64条第2項で準用する同法第126条第2項の規定に違反するから、実用新案法第41条で準用する特許法第159条第1項において準用する特許法第54条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論の通り決定する。 |
決定日 | 2000-01-26 |
出願番号 | 実願平6-5675 |
審決分類 |
U
1
93・
2-
XX
(B42D)
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前審関与審査官 | 外山 邦昭、藤井 靖子、砂川 克、國田 正久 |
特許庁審判長 |
石川 昇治 |
特許庁審判官 |
小沢 和英 伊波 猛 |
考案の名称 | テレホンカード |
代理人 | 村山 勝 |
代理人 | 安形 雄三 |
代理人 | 安形 雄三 |
代理人 | 村山 勝 |
代理人 | 安形 雄三 |
代理人 | 村山 勝 |