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審決分類 審判 全部申し立て   F16H
審判 全部申し立て   F16H
審判 全部申し立て   F16H
管理番号 1012769
異議申立番号 異議1999-70678  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-02-24 
確定日 2000-03-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第2579381号「ボールねじのシール装置」の請求項1及び2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2579381号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2579381号の請求項1?2に係る考案は、平成4年6月30日に出願され、平成10年6月5日に設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人(以下、申立人という)・重宗 孝及び同じくテイエチケー株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、当審において取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年1月18日に訂正請求及び意見書の提出がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正請求書における訂正の内容は、
実用新案登録請求の範囲の欄を訂正事項a、b、c、d、eのように訂正し、この実用新案登録請求の範囲の訂正に合わせて、考案の詳細な説明の欄を、訂正事項f、g、h、i、j のように訂正するものである。
訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1第3行の「複数」を「複数部分」と訂正する。
訂正事項b 実用新案登録請求の範囲の請求項1第3行の「この分割した部分」を「これら分割部分」と訂正する。
訂正事項c 実用新案登録請求の範囲の請求項1第5行の「シール部材」を「分割部分」と訂正し、これに伴い、考案の詳細な説明も同様に訂正する。
訂正事項d 実用新案登録請求の範囲の請求項1第6行の「傾斜させた」を「傾斜させ、前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、前記分割部分の一方の分割面は、前記螺旋溝の表面に付着した異物を掻き取ってボールナットの外部に排出し、前記分割部分の他方の分割面は、潤滑剤をボールナットの内部に押しやる」と訂正する。
訂正事項e 実用新案登録請求の範囲の請求項2を削除する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び実用新案登録請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記訂正請求における訂正事項a、b、c、d、eは、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、訂正事項f、g、h、i、j は上記訂正事項a、b、c、d、eに合致するように明細書を訂正したものであって、明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)独立実用新案登録要件の判断
訂正明細書の請求項1に係る考案は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を複数部分に分割すると共に、これら分割部分を内径側に弾圧することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記分割部分の各分割面を、軸線に対して前記螺旋溝のねじれ方向に傾斜させ、さらに、前記ボールナットの内方側に傾斜させ、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に着してボールナット内をシールし、
前記分割部分の一方の分割面は、前記螺旋溝の表面に付着した異物を掻き取ってボールナットの外部に排出し、
前記分割部分の他方の分割面は、潤滑剤をボールナットの内部に押しやることを特徴とするボールねじのシール装置。」
これに対して、当審における取消理由通知で引用した
WARNER ERECTRIC社の「精密ボールねじ」のカタログ 1982年2月発行(公知性については、実用新案登録異議申立人・テイエチケー株式会社への当審の審尋に対する同社の回答書を参照。以下、引用例という。)
には、第8頁の図18及びその説明並びに第21頁の図35等からみて
「ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部を有するC型リング状のスクレーパを、ボールナットの端部に装着したスクレーパにおいて、
前記スクレーパの軸方向一端側を複数部分に分割すると共に、これら分割部分を内径側に弾圧し、前記分割部分の各分割面を、軸線に対して前記螺旋溝のねじれ方向に傾斜させ、さらに、前記ボールナットの内方側に傾斜させ、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有するボールねじのスクレーパ。」
が記載されている。
そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案と引用例に記載された考案とを比較すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
相違点1 訂正明細書の請求項1に係る考案が、「リング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするもの」であるのに対して、引用例に記載された考案は、「C型リング状のスクレーパを、ボールナットの端部に装着したスクレーパ」である点。
相違点2 訂正明細書の請求項1に係る考案が「前記シール部材を複数部分に分割すると共に、これら分割部分を内径側に弾圧することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし」たのに対して、引用例に記載された考案は、「前記スクレーパの軸方向一端側を複数部分に分割する」ものであって、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたか否かは不明な点。
相違点3 訂正明細書の請求項1に係る考案が、
「前記分割部分の一方の分割面は、前記螺旋溝の表面に付着した異物を掻き取ってボールナットの外部に排出し、
前記分割部分の他方の分割面は、潤滑剤をボールナットの内部に押しやる」のに対して、引用例に記載された考案の前記分割部分の各分割面が、そのようになっているか否かは不明な点。
以下、上記相違点について検討する。
相違点1及び2によって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、「シール部材の突部をねじ軸の螺旋溝に常にゼロ以下の嵌合すきまをもって密着させることができる。」という明細書記載の効果を奏するものであるから、訂正明細書の請求項1に係る考案の相違点1及び2の構成を当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。
訂正明細書の請求項1に係る考案の相違点3の構成についても、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。
してみると、訂正明細書の請求項1に係る考案は、前記引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとはいえない。
よって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項でさらに準用する同法第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議の申立てについての判断
(1)申立人・テイエチケー株式会社は、証拠方法として、甲第1号証(上記引用例)を提示して、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、その実用新案登録は取り消されるべきである旨主張し、また、本件請求項2に係る考案は、甲第1号証に記載された考案と同一であり、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、その実用新案登録は取り消されるべきである旨主張している。
ところが、申立時の実用新案登録は、そのうち請求項2を削除する訂正が認められることは、2.で検討したとおりであるから、申立の対象は実質的に訂正後の請求項1に係るものとなった。
してみると、前記独立実用新案登録要件の判断に記載したのと同様な理由で、記訂正明細書のとおり訂正された本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとはいえない。
(2)更に、申立人・重宗 孝は、証拠方法として、甲第1号証の説明図を提示して、甲第1号証のベクトル図によれば、θ1>θのとき(図II)は、Faが異物をボールナットの軸線方向外部(B方向)へ移動させる力として作用するが、θ1<θのとき(図I)のFaは異物をボールナットの軸線方向内部(A方向)へ移動させる力として作用することが判る。
したがって、本件請求項1及び2に考案は、実用新案登録請求の範囲の記載が不当に広範囲にわたりすぎるため、実用新案法上の考案を完成していないか、若しくは実用新案登録請求の範囲には、考案の構成に欠くことができない事項のみが記載されていないことになるから、実用新案法第3条第1項柱書きの規定に違反してなされたか若しくは実用新案法第5条第4項、第5項の規定に違反してなされたものであり、その実用新案登録は取り消されるべきである旨主張している。
しかしながら、申立時の実用新案登録は上記のように訂正が認められており、申立人が主張するような実用新案登録請求の範囲の限定は、当業者が実施に際し適宜なしうる設計事項であり考案の構成として格別必要とは認められず、申立人の主張は採用できない。
(3)むすび
したがって、実用新案登録異議申立ての理由および証拠方法によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-03-01 
出願番号 実願平4-45436 
審決分類 U 1 651・ 534- YA (F16H)
U 1 651・ 1- YA (F16H)
U 1 651・ 121- YA (F16H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田々井 正吾  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 鳥居 稔
西村 敏彦
登録日 1998-06-05 
登録番号 実用新案登録第2579381号(U2579381) 
権利者 エヌティエヌ株式会社
大阪府大阪市西区京町堀1丁目3番17号
考案の名称 ボールねじのシール装置  
代理人 森 哲也  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 城村 邦彦  
代理人 崔 秀▲てつ▼  
代理人 田中 秀佳  
代理人 江原 省吾  
代理人 内藤 嘉昭  
代理人 白石 吉之  
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