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審決分類 審判 全部無効  無効とする。(申立て全部成立) H01Q
審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) H01Q
管理番号 1014943
審判番号 審判1998-35172  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-04-22 
確定日 2000-04-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2147710号実用新案「アンテナ装置」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2147710号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 (一)手続の経緯・本件考案の要旨
本件実用新案登録第2147710号の考案は、昭和62年1月14日の出願であって、平成8年3月4日に出願公告され、平成9年1月30日に登録されたものであり、その考案の要旨は、公告決定時の明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの下記のものと認められる。
「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメントを絶縁体を介して電気的に絶縁して一軸上に配設したアンテナ部と、このアンテナ部を前記一軸上で摺動自在に支持するとともにこれを収納し得る収納部と、この収納部の先端部に設けられて前記アンテナエレメントに摺接する給電部と、を備え、前記アンテナ部の摺動位置により前記給電部が前記複数のアンテナエレメントのいずれか1つの下端部に摺接して電気的接続するようになすとともに、収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出しているように構成したことを特徴とするアンテナ装置。」
(二)審判請求の主旨及び請求理由等
これに対して、請求人は、本件実用新案登録第2147710号を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、主旨の無効審判を請求し、本件実用新案登録を無効とする理由として、公告前の平成7年9月29日付け手続補正書によりなされた補正は明細書の要旨を変更するものであるので本件の出願日は上記手続補正書提出日に繰り下がり、結局、本件考案は出願前に頒布された刊行物である甲第9,10号証に記載された考案と同一であるので実用新案法第3条第1項第3号に規定する考案に該当するか、又は、出願前に頒布された刊行物である甲第8?10号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから同法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることのできないものであり、本件実用新案登録は同法第37条第1項第1号の規定により無効とされるべきである旨主張している。
(請求人の提出した証拠)
請求人は、証拠方法として下記甲第1,2,3,5,8,9,10号証を提出している。
甲第1号証(実願昭62-3854号の出願当初の明細書)
甲第2号証(実願昭62-3854号の平成7年9月13日付手続補正書)
甲第3号証(実願昭62-3854号の平成7年9月29日付手続補正書)
甲第5号証(実公平8-7689号公報)
甲第8号証(実願昭62-3854号(実開昭63-113308号)の願書に最初に添付した明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年7月21日特許庁発行))
甲第9号証(欧州特許出願公開第0467822A2号明細書(1992))
甲第10号証(米国特許明細書第5204687(1993))
(三)被請求人の答弁
これに対し、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との主旨の審決を求め、その理由として、平成7年9月29日付け手続補正書の補正によって明細書の要旨変更はなく、本件の出願日が繰り下がることはない。甲第8?10号証は本件の出願日以降に公知になったものであるから証拠として採用できず、請求人の主張する無効理由には根拠がない旨主張している。
(被請求人の提出した証拠)
請求人は、証拠方法として下記乙第1,2,3号証を提出している。
乙第1号証(平成4年11月18日(審判請求時)付け手続補正書)
乙第2号証(昭和40年審査基準「明細書の要旨変更」の抜粋の写し(旧審査基準))
乙第3号証(昭和63年審査基準「第III部明細書等の補正」の抜粋の写し(改訂審査基準))
(四)要旨変更について
そこで、本件の拒絶査定不服審判手続きにおいて提出された平成7年9月29日付け手続補正書(甲第3号証)によりなされた補正(以下、それぞれ最終補正書、最終補正という。)が明細書の要旨を変更するものであるか否かを検討する。
(請求人の主張の要点)
(要点1)
甲第1号証として提出した出願当初の明細書及び図面(以下、出願当初の明細書等という)に記載された「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメント」とは「互いに外形形状の長さが異なる複数の線状のアンテナエレメント」を意味していた。しかし、補正の結果、アンテナの長さに関し、新たに「電気長」なる用語が用いられたため、外形形状の長さと周波数との対応関係が切断され、出願当初の意味に加え、「互いに外形形状の長さが異なるが対応する周波数が同じ複数のアンテナエレメント」なる意味も付加されることになった。
(要点2)
出願当初の明細書等に記載された「アンテナ装置」では、唯一のシステムが使用するアンテナエレメントが1本に限られていたが、補正により、補正後の実用新案登録請求の範囲の欄に記載された「アンテナ装置」には、「唯一のシステムに2本の互いに異なる長さアンテナエレメントを使用するアンテナ装置」が追加された。
(要点3)
出願当初の明細書等には、アンテナ装置として、3状態、つまり
i)アンテナエレメント3を使用する状態。
ii)アンテナエレメント1を使用する状態。
iii)使用しないアンテナエレメント1,3を収納部に収納した状態。
を有した実施例が記載されている。しかし、補正後の実用新案登録請求の範囲に記載された「収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出しているように構成」するとは、2状態、つまり、
i)アンテナエレメント3を使用する状態。
ii)アンテナエレメント1を使用する収納状態。
を意味する。この「2状態」とする点は出願当初の明細書等に記載されていない新たな実施例である。
(被請求人の主張の要点)
(要点1)
出願当初の明細書の従来技術の欄には「送受する周波数帯に対してアンテナエレメントが電気的に当該周波数帯の波長に一致するように構成されている。」と記載されている。よって、出願当初の明細書等に記載された「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメント」とは「互いに電気長が異なる長さの複数のアンテナエレメント」を意味し、これを「複数のアンテナエレメントを異なる周波数帯に用いる」という意味に限定解釈すべきではない。よって、「出願当初の明細書等においては、複数のアンテナエレメントを『同じ周波数帯』に用いることが排除されていた」とすべき理由はない。また、本件考案の対象である「アンテナの形状・構造」によって生ずる直接的な作用効果は、一言でいえば、「収納性に優れた」ことであって、最終補正は単なる付随的事項である使用・用途の可能性を記したにとどまり、アンテナとして機能する部分や形状の意味が変化するわけではないので、補正の前後を通じ、実用新案登録請求の範囲に記載された「互いに異なる長さ」の技術的事項に変更はない。さらに、アンテナの収納状態とアンテナの伸びた状態とで同じ周波数の信号を受信することは周知技術であるので、最終補正書によって付加された事項は、本件考案の構成に伴って生ずる自明の作用効果である。
(要点2)
出願当初の明細書等に記載されたのは互いの周波数が極端に異なるシステム事例、つまり、使用例の例示であって、「1システムが使用するアンテナエレメントが1本に限られる」旨の解釈は成り立たない。唯一のシステムに2本のアンテナエレメントを使用し得ることは、補正後の「収納状態」が、出願当初の図面第2図に記載された状態、すなわち「上部のアンテナエレメント1がアンテナとして機能する状態」に対応するものであることから、当業者か容易に理解できることである。
(要点3)
出願当初の明細書第2頁第12?13行に記載された「アンテナエレメントを伸縮自在として使用していないときには収納する」とは、アンテナ部を縮めた状態(図面第2図の状態)にして収納することを意味する。補正後の実用新案登録請求の範囲に記載された「収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出している」状態とは、上記の状態、すなわち「アンテナ部を縮めた状態」(図面第2図の状態)をいう。
(当審の判断)
(要点1について)
実用新案登録請求の範囲に記載された「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメント」なる技術的事項が実質的に変更されたか否かについて以下検討する。
本件の出願当初の実用新案登録請求の範囲に記載された「アンテナエレメント」は、単に「複数のアンテナエレメント」ではなく、「互いに異なる長さの」と限定されており、この限定が本件出願当初の明細書等の記載からみて、「異なる周波数帯に対応している」ことは明かである。つまり、本件の出願当初の実用新案登録請求の範囲に記載された「互いに異なる長さのアンテナエレメント」とは、本件の出願当初の明細書等の記載(甲第1号証)からみて「互いに異なる寸法のアンテナエレメントが、それぞれ異なる周波数帯に用いられること」を意味していたものと理解するのが適切かつ素直な解釈である。被請求人の主張するように、本件の出願当初の明細書等の[従来の技術〕の欄に「送受する周波数帯に対してアンテナエレメントが電気的に当該周波数帯の波長に一致するように構成されている。」なる記載があり、上記「電気的に」なる用語を「電気長」と解する余地があるとしても、この記載は、異なる寸法のアンテナエレメントを同じ周波数帯に用いることまで示唆するものではない。
一方、補正により、明細書の発明の詳細な説明の欄に「また、アンテナ部4の収納状態でも先端部の上部アンテナエレメント1がアンテナとして機能するので、これを待ち受け受信用のアンテナとして用い、信号を送受信する際にはアンテナ部4を伸ばしてより高利得の下部アンテナエレメント3をアンテナとして用いるようにしても良い。」(甲第3号証:(実施例)の欄)、「また、収納状態であっても、先端部の上部アンテナエレメントが収納部から突出していてアンテナとして機能するので、アンテナ部の収納状態で先端部の上部アンテナエレメントを待ち受け受信用のアンテナとして用い、信号を送受信する際にはアンテナ部を伸ばしてより高利得の下部アンテナエレメントをアンテナとして用いることもできる。」(甲第3号証:(考案の効果)の欄)なる記載が追加されたことにより、補正後の実用新案登録請求の範囲に記載された「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメント」とは、「互いに寸法は異なるが、同一の周波数帯に用いられるアンテナエレメント」を含む意味となった。よって、補正の前後により実用新案登録請求の範囲に記載された「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメント」なる技術的事項は実質的に変更されたものと認められる。
この補正は、実用新案登録請求の範囲に記載された技術的事項に実質的な変更を生じさせているから、被請求人の主張するような「単なる付随的事項である使用・用途の可能性」にとどまるものではない。
また、アンテナの収納状態とアンテナの伸びた状態とで、同じ周波数の信号を受信することが周知技術であるとしても、上記周知技術は「単一のアンテナ装置で同一の周波数帯を送受する」ものであるから、本件の出願当初明細書第2頁第1?2行の「単一のアンテナ装置で複数の周波数帯を送受する」こととは質的に異なるものである。それ故、上記周知技術と本件の出願当初の明細書等の記載とを組み合わせることにより「単一のアンテナ装置で同一の周波数帯を送受する」ことが自明である、とすることはできない。
(要点3について)
補正後の実用新案登録請求の範囲の「収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出しているように構成した」点は出願当初の明細書等に記載さているか否かについて以下検討する。
出願当初の明細書には、「〔作用〕 上記手段において、アンテナ部を摺動して所望のアンテナエレメントをセットする。このとき該アンテナエレメントは給電部と電気的接触が成され送受信された信号が外部に導出又は導入される。またアンテナ部は不使用時には収納部に収納する。」(甲第1号証:第3頁〔作用〕の段落)、「一方、第2図はアンテナ部を縮めた状態を示し、上部のアンテナエレメント1の下端部がアンテナ支持部5によって支持されると共に、給電チューブ6と接触している。従ってアンテナエレメント1による設定周波数に共振して送受信を行なう。」(甲第1号証:第4?5頁」と記載されている。
すると、出願当初の明細書等において「アンテナ部が収納された状態」と「アンテナ部を縮めた状態」とは区別されて記載されており、前者はアンテナ部が不使用の状態を、後者は上部アンテナエレメントを使用する状態を意味していたものと認められる。
なお、被請求人は、出願当初の明細書第2頁第12?13行に記載された「アンテナエレメントを伸縮自在として使用していないときには収納する」とは、アンテナ部を縮めた状態(図面第2図の状態)にして収納することを意味する旨主張するが、上記記載は、収納状態において上部のアンテナエレメントが収納部から突出しているか否かについて何も言及していないのであるから、被請求人の主張には論理の飛躍があり、採用できない。
これに対し、補正後の明細書等には「さらに、収納状態であっても先端部の上部アンテナエレメントが収納部から突出しているので、アンテナとして機能しうる。」(甲第3号証;(作用)の欄)、「また、第2図のごとく、アンテナ部4を縮めて上部アンテナエレメント1の下端部が、アンテナ支持部5によって支持されて給電チューブ6に電気的に接触している収納状態では、収納部7から突出する上部アンテナエレメントがアンテナとして機能し、上部アンテナエレメント1の電気長に応じた周波数帯の信号の送受信が可能である。」(甲第3号証第3頁第17?21行)、「アンテナ部4の収納状態でも先端部の上部アンテナエレメント1がアンテナとして機能する」(甲第3号証第4頁第1?2行)、「また、収納状態であっても、先端部の上部アンテナエレメントが収納部から突出していてアンテナとして機能する」(甲第3号証;(考案の効果)の欄)と記載されているから、補正後の実用新案登録請求の範囲に記載された「収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出しているように構成した」とは、収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが使用可能な状態であることを意味していると解釈できる。よって、補正後の実用新案登録請求の範囲に記載された「収納状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出しているように構成した」点は、出願当初の明細書等に記載されておらず、また、それらの記載から自明でもない事項である。
以上により、(要点2)について判断するまでもなく、(要点1)及び(要点3)について記載した上記理由により、最終補正は明細書の要旨を変更するものである。
(出願日の繰り下がりについて)
次に、最終補正書が明細書の要旨を変更するものであるとき、本件の出願日がいかなる日に繰り下がるべきかについて、請求人は、最終補正書提出日であると主張し、被請求人は、平成4年11月18日付手続補正書(乙第1号証)の提出日であると主張している。
そこで、この点について検討すると、本件の最終補正書は全文訂正補正書であって、全文訂正補正書とは、それ以前に提出された補正書の再度の補正ではなく、出願時に遡及させる意図でなされる明細書全文の補正であるから、最終補正書提出以前に提出された補正書の効力は、最終補正書の提出により効力を失うと解することができる。
すると、最終補正書提出以前に提出された補正書が明細書の要旨を変更するものであったか否かにかかわらず、最終補正書が明細書の要旨を変更するものであれば、本件の出願日は最終補正書の提出日とみなすべきである。
よって、本件の出願日は、最終補正書の提出日である平成7年9月29日に繰り下がることになると解するのが相当である。
もっとも、後述の通り、本件考案の進歩性を判断するためには、本件の出願日が平成4年11月18日以降に繰り下がることをもって足りるから、上記判断の当否は結論に影響を及ぼさない。
よって、以下の判断においては、本件の出願日が平成4年11月18日以降に繰り下がるものとして扱う。
(五)本件考案の進歩性について
(甲第8号証及び甲第9号証の記載について)
請求人の提出した甲第8号証(実願昭62-3854号(実開昭63-113308号)の願書に最初に添付した明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年7月21日特許庁発行))は、本件の出願当初の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルムであって、「互いに長さが異なり、それぞれ異なる周波数帯に用いられる複数のアンテナエレメントを絶縁体を介して電気的に絶縁して一軸上に配設したアンテナ部と、このアンテナ部を前記一軸上で摺動自在に支持するとともにこれを収納し得る収納部と、この収納部の先端部に設けられて前記アンテナエレメントに摺接する給電部と、を備え、前記アンテナ部の摺動位置により前記給電部が前記複数のアンテナエレメントのいずれか1つの下端部に摺接して電気的接続するようになすとともに、アンテナ部を縮めた状態で先端部の上部アンテナエレメントが前記収納部から突出しているように構成したアンテナ装置。」が記載されている。
甲第9号証(欧州特許出願公開第0467822A2号明細書(1992))は、平成4年1月22日に頒布された刊行物であって、同号証の訳文によると、同号証には「当発明の目的は、特に前述のCT2コードレス電話システムの電気送受信機に使われる新しいアンテナアセンブリを持つ電気装置を提供することである。当発明を拡大した観点から見れば、電気装置の電気回路を収納するハウジング;ハウジングに保持されているアンテナロッド;アンテナロッドの一方エンドに支持されているアンテナコイル;により構成される電気装置を提供することである。アンテナロツドは、ハウジングの開孔部に可動できるように取りつけられ、縮納された状態では実質的にアンテナコイルのみがハウジングの外部に露出し、そして伸長された状態では実質的にアンテナロッド全体とアンテナコイルがハウジングの外部に露出する。電気装置は更に、アンテナロッドが縮納された状態では、アンテナコイルが電気回路に接続され、そしてアンテナロッドが伸長された状態では、アンテナロッドが電気回路に接続されるための、電気スイッチング装置を持つ。
当発明を更に特定した観点から見ると、上に述べたような電気送受信機を接続することであるが、その他に特にCT2コードレス電話に使用され、アンテナコイルとアンテナロッドのいずれもが1/4波長となっていて、それらを選択的に使用できるものを提供することである。
このようにユーザーは、最も近い所にあるテレポイントと関連して、特にユーザーのいる場所により、装置および特にアンテナアセンブリの条件を、近距離操作または遠距離操作のためのいずれかを選択することができる。従って、ユーザーがテレポイントに比較的近い所に位置している場合には、アンテナロッドを縮納した状態に動かしてもよく、これによりアンテナコイルが働くようになり、そしてユーザーがテレポイントから比較的遠い所に位置している場合には、アンテナロッドを伸長させてもよく、これによりアンテナロツドが働くようになり、これによりアンテナコイルよりも高いゲインを提供することができる。」(第1欄第20?41行)、「アンテナロッド10とアンテナコイル12は両方とも1/4波長である。アンテナ12はコイル状になっているのでアンテナロッド10よりもはるかにコンパクトである点で相違している。アンテナコイル12は、非導電材16の内部に埋蔵されており、一方アンテナロッド10は非導電スリーブ18の中に収納されている。アンテナロッド10は硬質な導電性のロッドでできているストレートで長いものでもよいが、破損の危険を防くために柔軟性を増すため、硬いコイル状であることが望ましい。」(第2欄第38?47行)、「この様に、ユーザーがテレボイントに比較的接近した場所にいる時には、常にアンテナアセンブリ10は、第2および4図に図示されている様に縮納された状態にしてもよく、こうすると固定電気コネクター20は、可動電気コネクター24と接続され、更にアンテナコイル12は電気回路4に接続される。これにより、比較的近距離範囲で使用する場合には、アンテナロッド10は働かなくなり、そしてアンテナコイル12が働くようになる。
しかし、ユーザーが最も近いテレポイントから比較的遠い場所にいる時には、アンテナアセンブリ10を第1および3図に図示されているように、伸長した状態にしてもよく、こうすると、固定コネクター20が可動コネクター22と接続され、更にアンテナロッド10が電気回路4に接続される。これにより、アンテナコイル12は働かなくなり、そしてアンテナロッドが働くようになる。」(第3欄第24?40行)と記載されている。
(対比・判断)
上記(四)(当審の判断)(出願日の繰り下がりについて)の欄に記載したとおり、本件の出願日は、平成4年11月18日以降となるから、甲第8号証及び甲第9号証は、本件の出願前に頒布された刊行物に該当することになる。
そこで、本件考案と甲第8号証に記載された考案と対比すると、両者は下記1及び2の点で相違している。
1.「互いに異なる長さの複数のアンテナエレメント」とは、本件考案では、「互いに異なる長さのアンテナエレメントが同じ周波数帯に用いられ得る」という技術内容を包含する意味であるのに対し、甲第8号証に記載された考案では、「互いに異なる長さのアンテナエレメントは異なる周波数帯に用いられるものである」ことを意味している点。
2.「先端部の上部アンテナエレメントが収納部から突出している」状態を、本件考案では「収納状態」としているのに対し、甲第8号証に記載された考案では、「アンテナ部を縮めた状態」としている点。
そこで、上記相違点について検討すると、複数のアンテナエレメントの使用周波数帯を同じにすること、及び、先端部の上部アンテナエレメントが収納部から突出している状態を「収納状態」とすることは甲第9号証に記載されているから、甲第8号証に記載された考案においても、互いに異なる長さのアンテナエレメントを同じ周波数帯に用いるようにすること、及び「先端部の上部アンテナエレメントが収納部から突出している」状態を「収納状態」とすることは当業者がきわめて容易になし得ることと認められる。
(六)まとめ
以上により、本件考案は、出願日が平成4年11月18日以降に繰り下がり、その結果、甲第8号証及び甲第9号証に記載された考案に基づいて当業者が容易に考案をなし得るものとも認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。
従って、本件実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第1号の規定に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-02-25 
結審通知日 1999-03-12 
審決日 1999-03-08 
出願番号 実願昭62-3854 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (H01Q)
U 1 112・ 03- Z (H01Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 丸山 光信  
特許庁審判長 木南 仁
特許庁審判官 清水 稔
吉見 信明
登録日 1997-01-30 
登録番号 実用登録第2147710号(U2147710) 
考案の名称 アンテナ装置  
代理人 小橋 信淳  
代理人 高橋 英生  
代理人 武山 吉孝  
代理人 浅見 保男  
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