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審決分類 審判    B65F
管理番号 1014951
審判番号 審判1999-40012  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-07-27 
確定日 2000-02-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第3055255号実用新案「ゴミ袋及び建築現場用ゴミ袋」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3055255号実用新案の明細書の請求項第2項、第6項、第7項に記載された考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 〔1〕手続の経緯
本件実用新案登録第3055255号(以下「本件実用新案登録」という。)は、平成10年6月24日に出願され、平成10年10月14日に設定登録がされたものであり、これに対して、請求人マルミ屋商事有限会社より平成11年7月26日付けで実用新案登録の無効の審判が請求され、その後、実用新案登録権者からの平成11年9月29日付け実用新案登録訂正書により、請求項1、3、4、5の削除を目的とする願書に添付した明細書の訂正がされ、その訂正は、平成11年10月25日に登録された。
〔2〕本件実用新案登録に係る考案
本件実用新案登録に係る考案は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項2、6、7に記載された以下のものにある。
「請求項2
内部にゴミが収納される袋であって、袋の色彩は内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報が印刷されていることを特徴とするゴミ袋。
請求項6
ポリプロピレンよりなる樹脂材料をメッシュ状に編んで内部にゴミが収納される袋を構成し、袋の色彩は内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報が印刷されていることを特徴とする建築現場用ゴミ袋。
請求項7
ポリプロピレンよりなる樹脂材料をメッシュ状に編んで内部にゴミが収納される袋を構成し、袋の色彩は内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミが燃焼物ゴミ、不燃焼物ゴミ、再生利用ゴミかの分別情報及び具体的なゴミの種別情報が印刷されていることを特徴とする建築現場用ゴミ袋。」
〔3〕請求の趣旨及び理由
これに対して、請求人は、本件実用新案登録の全請求項に係る考案について、登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めるものであって、請求の理由は、▲1▼請求項2に係る考案は、本件実用新案登録の出願前に発行された刊行物(甲第1号証及び甲第2号証)に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し実用新案登録を受けることができないものであり、▲2▼または、請求項2に係る考案は、本件実用新案登録の出願前に発行された刊行物(甲第1号証乃至甲第5号証)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、▲3▼請求項6及び請求項7に係る考案は、本件実用新案登録の出願前に発行された刊行物(甲第1号証乃至甲第5号証)に記載された考案及び周知の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、いずれも同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである、というにあるものと認める。
そして、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:実用新案登録第3018072号公報
甲第2号証:特開平7-204617号公報
甲第3号証:実願平5-67245号(実開平8-1176号)の CD-ROM
甲第4号証:特開平3-243502号公報
甲第5号証:実用新案登録第3027279号公報
甲第6号証:特開平7-300763号公報
甲第7号証:特開平8-224409号公報
甲第8号証:特開昭62-275902号公報
〔4〕答弁の趣旨及び理由
一方、被請求人は、「登録第3055255号実用新案の請求項2、6、7に係る考案についての登録に無効理由はない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、概要、以下のとおりの答弁をしている。
「…本件考案では、以下の効果を奏する。
(a)ゴミ袋の種別をゴミ袋の色や袋の表面に印刷された情報で確認できるので、ゴミの投入にあたってゴミ袋の種別判別が簡略化されて作業効率が向上する。
(b)ゴミ袋の種別をゴミ袋の色で確認でき、さらに袋の表面に印刷された情報でも確認できるので、分別の徹底が図れる。また、ゴミ袋の表面には「燃焼物」、「不燃焼物」とかのゴミの分別情報だけでなく、「燃焼物」ゴミのなかのどんなゴミかというゴミの種別情報も併せて表示されるので分別の徹底を図ることができる。
(c)分別を徹底するので、再生利用ゴミ等、ゴミとして排出されないゴミが増え、ゴミ回収コストが低くなる。
(d)分別が徹底されでゴミの発生が抑制できるので、ダイオキシンの発生を抑制でき、環境破壊を招かない。
…これに対して、甲第1号証乃至甲第8号証にはそれぞれゴミ袋が記載されているので、以下、本件考案と対比する。
まず、甲第1号証には、分別のためのカラー帯2及び内容表示の印刷3がなされたゴミ袋が記載されている。
しかしながら、甲第1号証では、分別のための内容表示は燃焼物とか不燃焼物とかの分別表示だけである。従って、甲第1号証では、例えば不燃焼物はみな不燃焼物として一緒に集められ、きめ細かい分別収集はできない。
また、ゴミの取り扱い現場では、このゴミは不燃焼物なのか燃焼物なのかという判別がしにくい場合があり、このような場合には誤って、例えば不燃焼物用のゴミ袋に燃焼物を入れる等の不具合が発生する。
また、甲第1号証では、ゴミ袋はポリエチレン樹脂フィルムより構成されている。従って、簡単に破れ、本件のごとき、建築現場用ゴミ袋等には適用できない。
これに対して、本件では、ゴミの分別情報に加えてゴミの種別情報を印刷するようにしているので、ゴミの分別を確実にでき、さらにきめ細かい分別を行なうことができる。
また、本件では、ポリプロピレン樹脂をメッシュ状に編んでゴミ袋を構成するようにしたので、容易に破れにくい建築現場用ゴミ袋等とすることができる。
次に、甲第2号証には、生ゴミなどを入れる生活廃棄物用の袋と、他の燃焼する生活廃棄物用の袋と、燃焼しない生活廃棄物用の袋のそれぞれのゴミ袋の表面に文字、色彩、模様などを表示して相互を区別できるようにしたものが記載されている。
しかしながら、甲第2号証でも、生ゴミなどを入れる生活廃棄物用の袋と、他の燃焼する生活廃棄物用の袋と、燃焼しない生活廃棄物用の袋との区別はできるかもしれないが、上記甲第1号証と同様、種別情報の表示がないので、例えば不燃焼物はみな不燃焼物として一緒に集められ、きめ細かい分別収集はできない。
また、甲第2号証では、例えば色彩によってゴミ袋の種類を区別するとするとしても(文字、色彩、模様全てを表示するとすると別論だが、甲第2号証ではそのうちのいずれか一つを表示するものと思われる)、これだけではゴミ袋の種類の識別がしずらい。色彩とゴミの種類との対応関係を正確に把握しなければならないからである。また、色彩とゴミの種類との対応関係は、ゴミの取扱者が記憶するか、ゴミの取り扱い場所の近傍等に別途対応表を張り出す等して確認しなければならないので、ゴミ袋の種類を取り違えるおそれがあるとともに、使い勝手が悪いという不具合がある。
これに対して、本件では、袋の色彩を内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報を印刷するよう構成されている。つまり、内部に収納されるゴミの種類によってゴミ袋の色彩を異ならせているだけでなく、ゴミ袋の表面には、内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報をが印刷されている。従って、ゴミ袋の種類を取り違えたりすることはなく、また、ゴミ袋の色とゴミの種類との対応関係を確認しながら取り扱う等の煩わしさがなく、使い勝手がよい。
また、ゴミの取り扱い現場では、このゴミは不燃焼物なのか燃焼物なのかという判別がしにくい場合があるが、本件では内部に収納されるゴミの分別情報に加えてゴミの種別情報が印刷されているので、ゴミの種別に応じた回収を確実に行なうことができる。
次に、甲第3号証には、ゴミ袋の表面に色彩を異ならせて「もえるゴミ」なる文字と「もえないゴミ」なる文字を印刷したゴミ袋が記載されている。従って、甲第3号証では、「もえるゴミ」のゴミ袋と「もえないゴミ」のゴミ袋の区別はできる。
しかし、甲第3号証では、上記甲第1号証と同様、種別情報の表示がないので、例えば不燃焼物はみな不燃焼物として一緒に集められ、きめ細かい分別収集はできない。
次に、甲第4号証には、ゴミ袋の表面に、「台所ゴミ」、「可燃性」、「有害ゴミ」との分別情報が表示されたものが記載されている。
しかしながら、甲第4号証には、ゴミの種類によってゴミ袋を区別するという本件考案の技術思想がぼんやり記載されているだけで、本件のように袋の色彩は内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報が印刷されているという構成は全く記載されていない。
次に、甲第5号証には、ガラスビンゴミは赤色の袋に入れ、鉄製缶ゴミは黒色の袋にいれるというように、ゴミの種類によって異なる色のゴミ袋に入れるようにしたものが記載されている。
しかし、甲第5号証では、ゴミ袋の色をゴミの種類によって異ならせているだけである。従って、上記甲第2号証と同様、ゴミ袋の色とその中に入れるゴミとの対応関係の識別がしずらい。この場合、色彩とゴミの種類との対応関係は、ゴミの取扱者が記憶するか、ゴミの取り扱い場所の近傍等に別途対応表を張り出す等して確認しなければならないので、ゴミ袋の種類を取り違えるおそれがあるとともに、使い勝手が悪いという不具合がある。
次に、甲第6号証乃至甲第8号証にはポリプロピレンをゴミ袋材料に使用できる点等が記載されている。
しかしながら、甲第6号証乃至甲第8号証には、本件の、袋の色彩は内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報が印刷するという構成は全く記載されていない。
以上説明したように、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証には、中に収納されるゴミの種類に応じてゴミ袋の表面になんらかの色彩による区別を設けるという技術思想は示されている。
しかしながら、いずれの証拠にも、袋の色彩を内部に収納されるゴミの種類によって異ならせ、かつ袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報を印刷する、つまり、内部に収納されるゴミの種類によってゴミ袋の色彩を異ならせているだけでなく、ゴミ袋の表面には、内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報が併わせて印刷されるという構成は全く記載されていない。
また、甲第4号証には、ゴミの種類によってゴミ袋を区別するという技術思想が記載されているだけであり、甲第6号証乃至甲第8号証にはポリプロピレンをゴミ袋材料に使用できる点等が記載されているだけである。
…本件の請求項2、6、7に記載の考案は審判請求人の提出した各証拠を寄せ集めて想到し得る程度のものとは、その構成及び作用効果を全く異にする。…」
〔5〕当審の判断
そこで、請求人の主張する無効理由と提出された証拠について検討する。
1.請求項2に係る考案について
(1)請求人が提出した甲第1号証には、「カラー帯付印刷付透明ポリエチレンごみ袋」に関して、第1?3図とともに、下記の事項が記載されている。
▲1▼「透明のポリエチレンごみ袋に、内容物を表記した黒文字印刷がなされ、さらにポリエチレン袋の上部にカラー帯の印刷がなされることにより、ごみの内容証明がなされるところを特徴とするカラー帯付印刷付透明ポリエチレンごみ袋。」(実用新案登録請求の範囲)。
▲2▼「本考案の透明ポリエチレンごみ袋に、黒文字印刷の内容表示通りごみがつめられ、一定の集積所にそのごみ入り袋が置れる。そこで、ごみの集荷者は、袋に印刷された黒文字印刷の内容表示及びカラー帯の印刷の色に従って、一目瞭然にごみを分別、収集することができる。また同時にポリエチレンの透明部から内容物を確認することもでき、ごみの集荷時に、二重三重のチェックができるということもポイントとしておきたい。」(第3頁段落【0005】)
▲3▼「…1は透明ポリエチレンにて、これにて内容物の確認ができるものとする。2はポリエチレンにカラーの印刷をなした帯状のものであり、これによって色分けによってごみの分別が可能なものであるとする。3はポリエチレンに黒色の印刷をなしたものであり、ごみの内容表示を示すところのものである。4は3と同一性のものであり、個人名団体名を示すものである。5はやはり3と同一性のものであり、ごみ袋のキャッチフレーズを示したものである。…上記のことによりごみを出す側、又集荷する側双方にごみに対する責任感や義務感が生まれ、またごみの明確化、分別化、収集の合理化、しいては、資源の再利用化から地球環境の美化に至るまでの事に役立つ所のものを最大の目的とするものである。」(第4頁段落【0006】)
▲4▼「袋本体に、カラー帯印刷2及びゴミの内容表示印刷(「可燃物」)3が施されたごみ袋」(図1及び図3)
(2)甲第2号証には、「生ごみなどの微生物が発生し易い生活廃棄物用の袋と他の燃焼する生活廃棄物用の袋と燃焼しない生活廃棄物用の袋のそれぞれの袋の表面に文字、色彩、模様などの表示により適宜所望の文字、色彩、模様などを表示し、それらの複数の袋の間で互いに識別し得るような袋にして、それらの袋によりその内容物を区別して処理するために、それらの複数の袋の間で互いに分別し得るようにした請求頂1記載の生活廃棄物を分別し処理して生ごみから生活に有益なものと熱エネルギーを回収するシステムにおいて使用される生活廃棄物用の分別袋。」(請求項19)が記載されている。
(3)甲第3号証には、「もえるゴミ」なる文字をオレンジ色系で印刷し、「もえないゴミ」なる文字をグリーン色系で印刷したゴミ袋が記載されている。
(4)甲第4号証には、外面にゴミの種類区分(台所ゴミ)、収集日曜日、可燃性・不可燃性・有害・再生資源等の文字を印刷したゴミ袋が、第1?3図とともに記載されている。
(5)甲第5号証には、「ゴミ袋の分別装置」に関して、「分別収集を徹底する方法としては、例えば、ガラスビンゴミは赤色の袋に入れ、鉄製缶ゴミは黒色の袋に入れ、アルミニウム製缶ゴミは緑色の袋に入れ、新聞紙ゴミは青色の袋に入れ、新聞紙以外の白紙ゴミは白色の袋に入れ、段ボール紙ゴミは茶色の袋に入れ、プラスチックゴミは黄色の袋に入れ、ゴムゴミ等は燈色の袋に入れると言った具合に、企業または個人が数色のゴミ袋を用意しゴミ袋の色に応じてリサイクルゴミを袋の色毎に分別収納して集積所ヘリサイクルゴミを排出する一方、集積所へ排出されたりサイクルゴミを分別収納した数色のゴミ袋を行政機関の清掃局員等が回収するようにすれば、それほど困難なく達成できそうである。そのようにすれば、行政当局は集積所でゴミ袋の色を分別することなくトラックに載せて収集し、一次ストックヤードでコンベアに一個ずつ流しゴミ袋の色毎に分別してから、リサイクルゴミの種類に応じてリサイクルゴミを企業に引き取って貰うことができるので、手間が少なくて済む利点がある。」(第3頁の段落【0002】の第15行目以下)旨記載されている。
(6)甲第1号証には、「2はポリエチレンにカラーの印刷をなした帯状のものであり、これによって色分けによってごみの分別が可能なものであるとする。」(第4頁段落【0006】中)と記載されているので、甲第1号証の「カラーの印刷をなした帯状のもの」とは、請求項2に係る考案における「分別情報」に相当するものと認められ、甲第1号証の「内容物を表記した黒文字印刷」が請求項2に係る考案における「種別情報」に相当するものと認められる。
この点を考慮して、本件の請求項2に係る考案と甲第1号証に記載された考案を対比すると、両者は、「内部にゴミが収納される袋であって、袋の表面には内部に収納されるゴミの分別情報及び種別情報が印刷されているゴミ袋」である点で、実質的に一致するものと認められる。一方、以下の点で相違している。
(相違点)
(ア)本件考案が、袋の色彩を内部に収納されるゴミの種類によって異ならせているのに対して、甲第1号証のものは、袋の一部にごみの分別のためのカラー帯の印刷がされたものであって、カラー帯がゴミの分別情報となっている点。
そこで、以下に、この相違点について検討する。
甲第2号証には、「…袋の表面に文字、色彩、模様などの表示により適宜所望の文字、色彩、模様などを表示し、それらの複数の袋の間で互いに識別し得るような袋にして、それらの袋によりその内容物を区別して処理するために、それらの複数の袋の間で互いに分別し得るようにした…分別袋」、すなわちゴミの種別をごみ袋の色で識別できるようにしたゴミ袋」が開示されており、甲第3号証には、「もえるゴミ」なる分別情報を印刷したゴミ袋及び「もえないゴミ」なる文字を印刷した分別情報を印刷したゴミ袋が開示されており、甲第4号証には、外面にゴミの分別情報(可燃性・不可燃性・有害・再生資源等の文字)及び種別情報(台所ゴミ)を印刷したゴミ袋が開示されており、さらに、甲第5号証には、「分別収集を徹底する方法としては、例えば、ガラスビンゴミは赤色の袋に入れ、鉄製缶ゴミは黒色の袋に入れ、アルミニウム製缶ゴミは緑色の袋に入れ、新聞紙ゴミは青色の袋に入れ、新聞紙以外の白紙ゴミは白色の袋に入れ、段ボール紙ゴミは茶色の袋に入れ、プラスチックゴミは黄色の袋に入れ、ゴムゴミ等は燈色の袋に入れると言った具合に、企業または個人が数色のゴミ袋を用意しゴミ袋の色に応じてリサイクルゴミを袋の色毎に分別収納して集積所ヘリサイクルゴミを排出する。」旨の記載があり、袋全体の色彩を内部に収納されるゴミの種類によって異ならせることが開示されている。
そうすると、袋の色彩を内部に収納されるゴミの種類によって異ならせることも、ゴミ袋の表面に内部に収納されているゴミに関する分別情報及び種別情報を印刷しておくことも、本件実用新案登録の出願前公知の事項にすぎないので、相違点は当業者が必要に応じてきわめて容易になし得る程度のことというべきである。
また、請求項2に係る考案を全体としてみても、当業者が予測できないような顕著な効果を奏するものであるとも認められず、被請求人の主張は採用できない。
したがって、請求項2に係る考案は、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきであって、本件の請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
2.請求項6に係る考案について
(1)請求人が提出した甲第6号証には、「ポリプロピレン製不織布または織布」に関して、第1?6図とともに、下記の事項が記載されている。
▲1▼「従来、縦一軸延伸多層フィルムを網状化してなる不織布、あるいは縦一軸延伸多層テープを経緯積層しまたは織成した不織布または織布としては、高密度ポリエチレンの両面に低密度ポリエチレンを積層したフィルムを延伸した後、割繊し、得られた網状化フィルムを配向軸が交差するように経緯積層して熱融着したポリエチレン製不織布または織布が開発されており、農業用被覆材、ゴルフ場のグリーンカバー、フィルター、水切り袋、各種袋類、油吸着材、フラワーラップ、ハウスラップ等の農・園芸用資材や建築用資材等に利用されている。しかし、昨今では用途の多様化により、安価で、しかもより高い耐熱性、耐引裂性および接着強度等を有することが要求され、改良が望まれている。これらの要望を満足するために、ポリエチレン製不織布より優れた耐熱性を有する素材としてポリプロピレン樹脂が挙げられ、これを用いたポリプロピレン製割繊維不織布の開発が期待されている。」(第2頁第1欄第36行?同第2欄第2行)
▲2▼「本発明は、ポリプロピレン系樹脂層(I)の片面または両面に、樹脂層(I)のポリプロピレン系樹脂より融点の低い、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる接着層(II)を積層して形成した下記(a)、(b)および(c)から選ばれる少なくとも1種の一軸配向体を、接着層(II)を介して配向軸が交差するように経緯積層しまたは織成してなるポリプロピレン製不織布または織布を提供するものである。
(a)縦一軸配向網状化フィルム
(b)横一軸配向網状化フィルム
(c)一軸配向多層テープ」(第2頁第2欄第30?41行)
(2)甲第7号証には、「グリース阻集器用網袋」に関して、第1?11図とともに、下記の事項が記載されている。
▲1▼「…本発明は、下部を細目の網で、上部を粗目の網で1つの袋体を形成して成る、グリース阻集器用網袋を要旨とする。更に、細目の網は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂フィルム又はテープにて網状に形成され、調理屑等の生ゴミを捕集出来るようにしたこと、粗目の網は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂モノフィラメントを5?10mm角程度にラッセル編みしたこと、袋体の下半分が細目の網、上半分が粗目の網となるように縫着したこと、を要旨とする。」(第2頁第1欄第46行?同第2欄第5行)
▲2▼ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂フィルム又はテープにて網状に形成された細目の網2と、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂モノフィラメントを網5?10mm角程度にラッセル編みした粗目の網3から構成された網袋1(図1参照)
(3)甲第8号証には、ごみ空気輸送方法とそれに用いるポリプロピレン製ネットからなる袋が記載されている。
(4)本件の請求項6に係る考案と前掲の甲第1号証に記載された考案を対比すると、両者は、前掲の相違点(ア)のほか、以下の点で相違している。
(相違点)
(イ)本件考案が、ゴミ袋を、ポリプロピレンよりなる樹脂材料をメッシュ状に編んだものにしているのに対して、甲第1号証にはその記載がない点
(ウ)本件考案が、ゴミ袋を建築現場用ゴミ袋としているのに対して、甲第1号証にはゴミ袋の用途に関する記載がない点。
そこで、以下に、これら相違点について検討する。
甲第6号証及び甲第8号証には、ポリプロピレン製の網状の袋類が開示され、甲第7号証には、ポリプロピレン製で、編んだ(ラッセル編)網状のゴミ袋が開示されているように、ゴミ袋をポリプロピレン製とすることも、網状に編んだものも、本件実用新案登録の出願前にすでに公知のものと認められる。また、「建築現場用」はゴミ袋のありふれた用途の一つにすぎないものであるから、相違点(イ)及び相違点(ウ)も、当業者が必要に応じてきわめて容易になし得ることというべきである。
また、請求項6に係る考案を全体としてみても、当業者が予測できないような顕著な効果を奏するものであるとも認められず、被請求人の主張は採用できない。
したがって、請求項6に係る考案は、甲第1号証乃至甲第8号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきであって、本件の請求項6に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
3.請求項7に係る考案について
本件の請求項7に係る考案と前掲の甲第1号証に記載された考案を対比すると、両者は、前掲の相違点(ア)?(ウ)のほか、以下の点で相違している。
(相違点)
(エ)本件考案が、ゴミ袋の表面に、分別情報として、ゴミが燃焼物ゴミ、不燃焼物ゴミ、再生利用ゴミかを印刷しているのに対して、甲第1号証には「可燃物」についての記載しかない点。
そこで、以下に、この相違点について検討する。
甲第3号証には、「もえるゴミ」及び「もえないゴミ」を表示により区分したゴミ袋が開示され、甲第4号証には、「可燃性」「不燃性」「有害」「再生資源」などを表示により区分したゴミ袋が開示されているように、「可燃」「不燃」「再生」などの表示をしたゴミ袋は本件実用新案登録の出願前にすでに公知のものであるから、相違点(エ)も、当業者が必要に応じてきわめて容易になし得ることというべきである。
また、請求項7に係る考案を全体としてみても、当業者が予測できないような顕著な効果を奏するものであるとも認められず、被請求人の主張は採用できない。
したがって、請求項7に係る考案は、甲第1号証乃至甲第8号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきであって、本件の請求項7に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
〔6〕まとめ
以上によれば、本件請求項2、請求項6、請求項7に係る考案の実用新案登録は、いずれも実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
よって、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条を適用して、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-11-29 
結審通知日 1999-12-06 
審決日 2000-01-11 
出願番号 実願平10-4570 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (B65F)
最終処分 成立    
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 熊倉 強
藤本 信男
登録日 1998-10-14 
登録番号 実用登録第3055255号(U3055255) 
考案の名称 ゴミ袋及び建築現場用ゴミ袋  
代理人 神保 欣正  
代理人 和田 成則  

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