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審決分類 審判    C12M
審判    C12M
管理番号 1014953
審判番号 審判1999-40001  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-02-03 
確定日 2000-01-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第3046187号実用新案「固体培養装置」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3046187号実用新案の明細書の請求項第1項、第4項に記載された考案についての登録を無効とする。登録第3046187号実用新案の明細書の請求項第2項ないし第3項に記載された考案についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする
理由 I.手続の経緯・本件考案
本件登録第3046187号実用新案の請求項1乃至4に係る考案(以下、「本件考案1乃至4」という。)についての出願は、平成9年8月11日に実用新案登録出願され、平成9年12月3日に設定の登録がなされたもので、本件考案は、その明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至4に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】送風空気の気流方向に対して傾斜した複数の邪魔板付きルーバーを、送風空気の気流方向と垂直方向に間隔をおいて配置してエリミネータを形成し、単数の前記エリミネータを送風経路内に設置したことを特徴とする固体培養装置。
【請求項2】送風空気の気流方向に対して傾斜した複数の邪魔板付きルーバーを、各邪魔板付きルーバーの全面が送風空気の上流側又は下流側から目視可能な位置で、かつ送風空気の気流方向と垂直方向に間隔をおいて配置してエリミネータを形成し、単数の前記エリミネータを送風経路内に設置したことを特徴とする固体培養装置。
【請求項3】送風空気の気流方向に対して傾斜した複数の邪魔板付きルーバーを、各邪魔板付きルーバーの全面が送風空気の上流側又は下流側から目視可能な位置で、かつ送風空気の気流方向と垂直方向に間隔をおいて配置してエリミネータを形成し、単数の前記エリミネータを送風経路内に設置し、該エリミネータを洗浄する洗浄ノズル又は洗浄装置を、該エリミネータの送風空気の上流側又は下流側に設けたことを特徴とする固体培養装置。
【請求項4】送風空気の気流方向に対して傾斜した複数の邪魔板付きルーバーを、送風空気の気流方向と垂直方向に間隔をおいて配置してエリミネータを形成し、送風空気に加湿する二流体ノズルと該二流体ノズルの送風空気の下流側に単数の前記エリミネータを送風経路内に設置したことを特徴とする固体培養装置。」
II.当事者の主張
(1)請求人の主張
請求人は、「実用新案登録第3046187号の実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至4に記載された考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、証拠方法として下記の甲第1乃至4号証を提出して、本件考案は、甲第1乃至4号証に記載された考案であり、実用新案法3条1項3号の規定に該当し、或いは甲第1乃至4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、同条2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案法37条1項2号によって無効とすべきである旨主張している。

甲第1号証:武藤重郎訳「空気調和法」(昭和35年8月20日丸善発行)238?241頁
甲第2号証:井上宇市著「新版空気調和ハンドブック」(昭和42年4月20日丸善発行)141?142頁
甲第3号証:実公昭60-18075号公報
甲第4号証:守安虎治著「空気調整工学」(昭和34年9月1日技報堂発行)239?240頁
(2)被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。
III.当審の判断
(A)本件考案4について
甲第3号証には、「製麹装置は加湿装置を備えており、2流体ノズルから空気とともに水を噴出せしめて加湿空気を生成せしめている。」(1頁1欄11?13行)、「図において、符号1は製麹室で、この室1へ、外気取入口2からの外気が送風機3にて加湿室4を経て送られ、製麹室1からの空気は排気ダクト5にて一部は大気に放出され、残りはリターンダクト6から外気導入ダクト7よりの外気と合流して、給気ダクト8,送風機3,加湿器4を経て再び製麹室に供給される。」(1頁1欄23行?2欄2行)、及び「加湿室4からの空気が、その湿度が高い場合にはノズル9a、9bへの供給空気圧が大となって、微粒子の霧状水滴でノズルから噴出せしめて加湿量を小ならしめ、逆に湿度が低いばあいには前記空気圧が小となって、粗い粒子の水滴でノズルから噴出せしめて加湿量を大ならしめるように電動弁21の開度が比例調節される。」(2頁2欄15?22行)と記載され、そして、加湿室4内に2流体ノズル9a,9b及び単数のエリミネータ16が「図」に示されている。
また、本件明細書には、従来技術として、「従来の固定培養装置は、送風空気の気流方向に対して傾斜した複数のくの字形ルーバーを、送風空気の気流方向と垂直に間隔をおいて配置してエリミネータを形成し、このエリミネータを通常は3?5枚組合せて送風経路内に設置していた。」(段落番号【0002】)と記載されている。
これらの記載、並びに従来技術を加味すると、甲第3号証には、「2流体ノズル及び送風空気の気流方向に対して傾斜したルーバーを送風空気の気流方向と垂直方向に間隔をおいて配置してエリミネータを形成した加湿室、並びに製麹室、更にこれらを連絡するダクトからなる製麹装置」が記載されているといえる。
しかるに、本件明細書には、「本考案は、培養床に原料を堆積して麹菌等の微生物を培養する固体培養装置に関する。」(段落番号【0001】)、及び「本装置の培養室1内部には多孔板で形成された培養床2を水平に設置し、この培養床2に原料3を堆積して微生物を培養する。原料3に送風する送風経路は、送風機4、空調機5,床下6,床上7,ダクト8で構成し、ダクト8に設けた吸気ダンパ9,排気ダンパ10及び中間ダンパ11を調整して外気の導入を行う。送風機経路内である空調機5内部には送風空気の上流側から順に、二流体ノズル12,上流側洗浄のノズル16,エリミネータ13,下流側洗浄ノズル17が設置されている。この二流体ノズル12には、加湿水配管14と加湿空気配管15が接続してあり、送風空気に加湿を行う。二流体ノズル12は効率よく加湿できるため、湿度の高い空気を送風する場合の固体培養装置には有利である。」(段落番号【0009?0010】)との記載があり、この記載を踏まえ、本件請求項4に係る考案と甲第3号証に記載された考案とを対比すると、両者は、「送風空気の気流方向に対して傾斜したルーバーを、送風空気の気流方向と垂直方向に間隔をおいて配置してエリミネータを形成し、送風空気に加湿する二流体ノズルと該二流体ノズルの送風空気の下流側に単数の前記エリミネータを送風経路内に設置したことを特徴とする固体培養装置」である点で一致し、ただ、ルーバーが、前者では、「複数の邪魔板付き」であるのに対して、後者では、そのような記載がない点で相違する。
この相違点について検討するに、甲第2号証には、「エリミネータは同図に示すごとく鉄板をジグザグに折り曲げたもので、これにより水滴の流出を防止する。」(141頁11?12行)ことが、また甲第4号証には、「エリミネータは洗浄器からでる空気中の水滴を除去するもの」(240頁24?25行)であることが、また、甲第1号証には、「実際にはたいがいのエリミネーターは、外部の端を折り曲げ端として、水がここから運び去られないようにする。」ことが記載されており、これらの記載によると、エリミネーターは、水滴の流出防止を目的に設置されること、しかも、「外部の端を折り曲げ端」としていることが分かる。
しかるに、「外部の端を折り曲げ端」とすることは、「邪魔板」を設けることに他ならず、この場合、1つより複数設ける方が、水滴の流出をより効率的に防止できることは、当業者であればきわめて容易に気付くことである。
そうすると、本件考案4は、甲第1乃至4号証に記載された考案に基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたといえる。
したがって、本件考案4は、実用新案法3条2項の規定に違反するものである。
(B)本件考案1について
本件考案1は、本件考案4の「送風空気に加湿する二流体ノズルと該二流体ノズルの送風空気の下流側に」という構成がないものであって、本件考案4のいわば上位概念に相当するものであるから、本件考案4で記載した同じ理由により、甲第1乃至4号証に記載された考案に基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたといえる。
したがって、本件考案1は、実用新案法3条2項の規定に違反するものである。
(C)本件考案2について
本件考案2に係る「各邪魔板付きルーバーの全面が送風空気の上流側又は下流側から目視可能な位置」とは、その文言どおり、ルーバーを構成する屈折板の全ての面が、送風空気の上流側又は下流側から目視可能であることと解される。
しかるに、甲第3号証の「図」によると、エリミネータの一部分は、加湿室の底凹部に嵌入された状態となっているので、ルーバーの全面が、送風空気の上流側又は下流側から目視することは不可能である。
甲第1号証には、「・・・エリミネーター板(・・・)を取り付ける。これらの板は普通11/8インチ間隔とし、・・・(略)・・・エリミネーター板は空気がその中で約6回方向を変えるように設計されている。」(239頁左欄32行?右欄2行)が記載され、また、「図7-U」として、6つ折りの屈折板からなるエリミネーターを備えた「空気洗滌器」が図示されている。
甲第2号証には、「表5.22」として、「エアワッシャの構造」に係る表が示され、「エリミネータ」という欄には、「間隔30?40mm、長さ4560cmの鉄板を6つ折とし製作する。」との記載があり、「図5.23(a)エアワッシャ平面図」の右上には、「エリミネータ詳細図(0.60mm鉄板)」として、6つ折りの屈折板からなるものが図示されている。
甲第1及び2号証の記載によると、エリミネーターは、いずれも、6つ折りの屈折板であるルーバーで形成されているので、ルーバーの全面が、送風空気の上流側又は下流側から目視出来ないことは明らかである。
甲第4号証には、「エリミネータは洗浄器からでる空気中の水滴を除去するもので、5?7折にした亜鉛めっき鉄板(・・・)で作られ、・・・」(240頁24?27行)と記載されているところ、「5折」でも、ルーバーの全面が、送風空気の上流側又は下流側から目視することは不可能である。
そうすると、甲第1乃至4号証には、「各邪魔板付きルーバーの全面が送風空気の上流側又は下流側から目視可能な位置」という事項について、教示するところがないから、本件考案2は、甲第1乃至4号証に記載された考案であるとはいえず、また、甲第1乃至4号証に記載された考案に基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたということはできない。
したがって、本件考案3は、実用新案法3条1項3号並びに同条2項の規定に違反するものではない。
(D)本件考案3について
本件考案3は、本件考案2に、「該エリミネータを洗浄する洗浄ノズル又は洗浄装置を、該エリミネータの送風空気の上流側又は下流側に設けたこと」という構成を付加し限定したものであるから、本件考案2についての判断と同じ理由により、甲第1乃至4号証に記載された考案に基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたということはできない。
したがって、本件考案3は、実用新案法3条1項3号並びに同条2項の規定に違反するものではない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1及び4に係る考案の実用新案登録は、実用新案法37条1項2号に該当し、無効にすべきものであり、また、請求項2及び3に係る考案の実用新案登録は、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-10-29 
結審通知日 1999-11-19 
審決日 1999-11-26 
出願番号 実願平9-7105 
審決分類 U 1 111・ 121- ZC (C12M)
U 1 111・ 113- ZC (C12M)
最終処分 一部成立  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 田中 久直
田村 明照
登録日 1997-12-03 
登録番号 実用登録第3046187号(U3046187) 
考案の名称 固体培養装置  
代理人 山崎 隆  
代理人 森 廣三郎  
代理人 石山 博  
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