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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) B62D
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効とする。(申立て全部成立) B62D
管理番号 1014989
審判番号 審判1999-35288  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-06-10 
確定日 2000-04-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2149921号実用新案「動力舵取装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2149921号実用新案の明細書の請求項に記載された考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 [1]手続の経緯・本件考案の要旨
本件登録実用新案第2149921号(以下、「本件考案」という)は、昭和63年3月15日に実用新案登録出願され、出願公告(実公平7ー14109号)後の平成10年7月24日に設定の登録がなされたものであり、本件考案は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】操舵輪が連結された舵輪軸の回転を、軸を介して舵取機構の駆動軸へ伝動するようになしてあり、前記舵輪軸、又はこれと前記軸との間に舵輪軸に作用するトルクの検出手段を備え、該トルクの検出値に応じて動力源を駆動し、舵輪軸の回転を助勢する動力舵取装置において、前記軸は舵輪軸側部材と、駆動軸側部材とから成り、路面からの反力による舵輪軸に作用するトルクを抑制すべく両部材間に弾性材を介装してあることを特徴とする動力舵取装置。」
[2]請求人の主張
請求人の主張の概要は、以下の2点である。
2-1 無効理由1(新規性)
本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載されたものと実質的に同一のものであって実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
2-2 無効理由2(進歩性)
本件請求項1に係る考案は、甲第2号証乃至甲第7号証に記載されたものに基づいて当業者にとってきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
[3]被請求人の主張
3-1 無効理由1(新規性)に対して
甲第1号証に記載されたものは、本件考案の以下の2つの事項を備えておらず、甲第1号証に記載されたものと同一でないことは明らかであり、本件登録実用新案が無効となるべきものではない。
(イ)「舵輪軸、又はこれと軸との間に舵輪軸に作用するトルクの検出手段を備え、」の事項。
(ロ)「路面からの反力による舵輪軸に作用するトルクを抑制すべく両部材間に弾性材を介装してある」の事項。
3-2 無効理由2(進歩性)に対して
甲第2号証乃至甲第7号証に記載されたものには、本件考案の課題である「路面からの反力によるトルク検出手段の動作」を開示も示唆もしていない。従って、当業者がこの継手を本件考案の如きものにする構成である「路面からの反力による舵輪軸に作用するトルクを抑制すべく両部材間に弾性材を介装してある」の事項をきわめて容易に着想できるはずはない。
[4]証拠
請求人は、以下の甲号証を提出している。
4-1 甲第1号証(ドイツ公開特許3544350号公報、昭和62年6月19日公開)
甲第1号証には以下の事項が記載されている。
(1)図1において、ステアリングスピンドル11、カルダン継手13及びステアリングギア14を備えた乗用車ステアリングコラムが10で表されている。そして上記ステアリングスピンドル11が、ステアリングハンドル15によって操作される。ステアリングギア14はラックステアリングギア方式で構成され、ここには描かれていないシャーシの横梁16に取り付けられる。このステアリング支援機構は、ステアリングスピンドル11から継手の制振ダンパー17を経由してステアリングギア14に伝達される(公報第3欄52行?61行、訳文第5頁7行?12行)。
(2)ハンドル15にはひずみ測定ゲージが装着され、これによって直流モータ19が、上述したようなステアリングモーメントの大きさに関係してコントロールされる(公報第4欄54行?57行、訳文第6頁14行?16行)。
(3)第1図には、カルダン継手13とステアリングギア14との間に、円板形状の制振ダンパー継手17を備えた軸が図示されている。
4-2 甲第2号証(アメリカ特許第3983953号明細書、昭和51年10月5日特許)
甲第2号証には以下の事項が記載されている。
(1)第1,第2及び第3図において、自動車のステアリングシャフトには、2つの同軸部分1及び2がこれ等と同軸であると共に、これ等2つの部分を互いにそれ等の共通軸を中心に相対回転させるトーションバー3により連結されている(第5欄31行?36行、訳文第2頁 5行?8行)。
(2)スリーブ6に固着され、自動車の電源、即ち一般には蓄電池に接続された角度変位検出器8は、部分2に対する部分1の相対角度変位を電気信号に変換することができ、この変位はステアリングホイール4に加わるトルクに比例している(第5欄52行?59行、訳文第2頁18行?20行)。
(3)いずれの場合でも、ステアリング機構を作動させるモータ18のロータは、ステアリング機構に連結されたステアリングシャフトの部分2と、好ましくは減速ギヤを介して結合しており、(第7欄40行?44行、訳文第2頁22行?24行)
(4)第1図及び第6図には、ステアリングホイール4がステアリングシャフトの部分1に連結され、その部分1の回転がステアリングシャフトの部分2を介してステアリング機構T(請求人による朱記)に伝達される機構が開示されており、前記ステアリングシャフトの部分1と部分2との間にステアリングシャフトに発生するトルクを検出する角変位検出器8が配置されている。
(5)第1図及び第6図には、軸S1(請求人による朱記)と軸S2(請求人による朱記)との間に、円板状の部材R(請求人による朱記)が示されている。
4-3 甲第3号証(「自動車工学全書、11巻、ステアリング、サスペンション」昭和55年8月20日初版発行)
甲第3号証の第143頁下から3行?第145頁9行には、以下の事項が記載されている。
(1)5.1.4ステアリングシャフトの継手
ステアリングシャフトには、およそ3種類の継手が使用される。
(ア)ステアリングシャフトの角度を大きく変えるために用いるもの。
(イ)ステアリングシャフトの角度をわずかに変えるか、ステアリング系のねじり合成を下げるために用いるもの。
(ウ)ステアリングの後方突出し防止のために用いるもので、角度や剛性の変化をしないもの。
(続いて前記(ア)(イ)(ウ)の各ステアリングシャフトの継手の説明として、同じ記号を付して記載されている。)
(ア)一般の十字形自在継手が記載される。?
(イ)ステアリングシャフトの長さに対して、ステアリングギヤボックス内のシャフト側ベアリングの間隔はたいへん短いので、シャフト後端のわずかの曲げ変位でも、ベアリングにかかる負荷は以外に大きく、ステアリング系フリクションとして有害な影響を生じる。それゆえにこのような配置、構造をとる場合にはステアリングシャフトの中間に曲げを逃げるためのゴム継手を用いる必要がある。またアンダステアの傾向を強めたり、キックバックを緩和する目的で用いられることもある。この構造例を図5.24に示す。簡単なものは帆布状の補強を持つゴムの円板で、ボルト孔部は金属のブッシュを用い、締付トルクによる面圧を緩和する。層間はく離を避けるために、曲げ角度は2?3゜が限度とされているが、補強の構造を変更して許容角度を10゜以上とれるものも考案されている。
路面から伝わる細かいショックの吸収のみを目的としたものも用いられている。この種のショックは入力も非常に小さく、その吸収のためには相当軟らかい継手を必要とするが、軟らかいほど強度が低下し、ステアリングシャフトにかかるトルクの上限に耐え難いことと、剛性が下がりすぎる難点がある。したがって、大トルク時には金属面が直接接触し、常時はわずかなすきまを持たせ、その分だけゴムの変位を可能としたものである。(図5.25)
(ウ)図5.21を参照されたい。」
(なお、上記の記号(ア)(イ)(ウ)は、原文では丸1,丸2,丸3と記載されている。)
(2)図5.22及び図5.24には、円板状のラバーカップリングが図示されている。
4-4 甲第4号証(実公昭54-18745号公報)
甲第4号証には以下の事項が記載されている。
(1)クロスジョイント側軸部とギヤボックス側軸部とをラバーカップリングを介して結合するにあたり、上記軸部のいずれか一方にブッシュを施して他方の軸部内に嵌挿し、かつそれら軸部に形成したフランジをラバーカップリングに交互にボルトナットにて固着したことを特徴とする車輌用のラバーカップリングアツセンプリ(第1頁1欄14行?20行)。
(2)上記両軸部を連結するにあたり、ブッシュを介しての両軸部相互の連結を行い、常時軸方向に対しては融通性を持たせ軸の曲げ剛性のみを高めたので、従来構造にて生じた首振り現象が防止でき、また軸方向の振動をも吸収できるなどの効果を奏する(第2頁3欄1行?6行)。
(3)図1乃至図4には、円板状のラバーカップリングが図示されている。
4-5 甲第5号証(実公昭61-40967号公報)
甲第5号証には以下の事項が記載されている。
(1)この考案はステアリングシャフトの緩衝軸継手に関するものである。
ステアリングシャフトに路面からの振動、特に回転方向の振動が作用するとハンドル操作が不安定になる。そこで、通常、ステアリングシャフトは、ステアリングホイールに連結される駆動軸とステアリングギヤに連結される被駆動軸のそれぞれに互いにクロスして対向するヨークを設け、中央部に大きな貫通孔を有する円板形状の弾性部材に上記ヨークを結合して駆動軸と被駆動軸とを弾性的に連結する緩衝軸継手が採用されている(第1頁1欄12行?22行)。
(2)図1乃至図5には、円板状のラバーカップリングが図示されている。
4-6 甲第6号証(特公昭54-9768号公報)
甲第6号証には以下の事項が記載されている。
(1)操向ハンドルに連る上部操向軸と操向車輪に連なる下部操向軸とを、ゴム等の弾性材を介して互いに一体的に嵌合する角筒および角軸の一方と他方とにそれぞれ連結し、前記操向ハンドルおよび操向車輪間に過大な捩りトルクが作用すると角筒が弾性変形して角筒および角軸間に相対角変位が生じるようにした車両の操向装置(第1頁1欄14行?20行)。
(2)車輌が衝突事故に遭遇して、操向車輪にそれを転向するような過大な捩りトルクが加えられると、従来の操向装置では操向軸、操向歯車等の構成部材に破損を生じ、事故後操向不能となるか、またはそのような破損がない場合には操向ハンドルが操向車輪側から急激に回動されるキックバック現象を生じて操縦者の姿勢が崩され、いずれも2次事故を誘発する危険な状態となる。
本発明は、このような危険を回避するために、操向ハンドルおよび操向車輪間に上記のような過大な捩りトルクが加えられると、そのトルクを操向軸の途中で吸収し、しかもその過大な捩りトルクが消去すると操向機能を回復できるようにした車輌の操向装置を得ることを目的とするものである(第1頁1欄24行?37行)。
(3)図2,3には、角筒状のラバーカップリングが図示されている。
4-7 甲第7号証(実公昭60-31956号公報)
甲第7号証には以下の事項が記載されている。
(1)上記構成のステアリング用軸継手にあっては、ステアリングホイール3からの回転力は、ユニバーサルジョイント2を介して第1のシャフト1に伝えられ、さらに該第1のシャフト1からゴム弾性部材6を介して第2のシャフト5に伝えられ、この第2のシャフト5の他端側に連結されたステアリングリンケージ8を動かす。一方、車両走行時、路面から入るキックバック、振動等は、ステアリングリンケージ8側に連結された第2のシャフト5から弾性部材6に伝えられるが、この振動はスロット7に与えられた遊び角度の範囲内でゴム弾性部材6に吸収され、快適なドライブフィーリングを確保することができる(第1頁2欄9行?21行)。
[5]当審の判断
5-1 無効理由1(新規性)について
5-1-1 対比・判断
(1)上記[4]4-1に記載した事項ならびに口頭審理での両当事者の合意事項(口頭審理調書参照)に基づけば、甲第1号証には、「ハンドル15(操舵輪)が連結された舵輪軸の回転を、軸を介して舵取機構の駆動軸へ伝動するようになしてあり、前記ハンドル15(操舵輪)にハンドル15(操舵輪)に作用するひずみ測定ゲージ(トルクの検出手段)を備え、該ひずみ(トルク)の検出値に応じて動力源を駆動し、ハンドル15(操舵輪)の回転を助勢する動力舵取装置において、前記軸は舵輪軸側部材と、駆動軸側部材とから成り、両部材間に制振ダンパー継手17を介装してなる動力舵取装置。」が記載されていると認められる。
(2)してみると、本件考案と甲第1号証に記載されたものとは、以下の点で一応相違する。
(ア)前者は、トルクの検出手段を「舵輪軸、又はこれと軸との間に配置しているのに対し、後者のそれは、ハンドル15である点。
(イ)前者は、舵輪軸側部材と駆動軸側部材との間に、路面からの反力による舵輪軸に作用するトルクを抑制する弾性材が介装されているのに対し、後者の制振ダンパー継手17が前者の弾性材と同様なものかについて記載されていない点。
(3)そこで相違点について検討する。
相違点(ア)については、ハンドル操作時に、ハンドルないし舵輪軸に同じようなトルクが発生することは技術常識であり、ハンドルでのトルクの値を検出して動力源を駆動するようにしようが、舵輪軸でのトルクの値を検出して動力源を駆動するようにしようがその結果に格別の差異があるものとは認められず、また、甲第2号証にも開示されているように、助勢式動力舵取装置においてトルクの検出手段を舵輪軸、又はこれと軸との間に設けることが本件考案出願前周知の技術と認められることを勘案すれば、相違点(ア)は、当業者にとって単なる構成の変更程度にすぎず、実質的相違として認めることはできない。
(4)相違点(イ)について、一般に引用文献になにが記載されているかの判断は、該引用文献の頒布前(引用文献が特許公報である場合には、その引用文献出願前)の技術常識をも加味することにより行われているところ、甲第1号証の記載事項を技術常識をも加味して判断すると、甲第1号証には、制振ダンパー継手17についてそれ以上の記載はないが、「制振」という用語から「振動を抑制する」ことを、「ダンパー」という用語から「振動を抑える弾性部材を有してなるもの」を窺い知ることができるため、制振ダンパー継手17は、そのような機能を有する継手と解することができる。
また、甲第1号証のものの出願前に頒布された甲第3号証には、上記[4]4-3に記載したように、舵取装置のステアリングシャフトの継手には、3種類の継手があること、そのうちの(イ)の継手として紹介されているものの形状は、甲第1号証の制振ダンパー継手と同じ円板状からなるものであると共に、その材質はゴムからなる弾性材であり、キックバックを緩和する目的で用いられていることが明示されている。
さらに同じく甲第1号証のものの出願前に頒布された甲第4号証乃至甲第7号証には、[4]4-4?7に記載したように、舵取装置のステアリングシャフトの継手として、弾性材を使用すること、その弾性材は路面からの反力による回転方向の振動及び軸方向の振動を抑制することができることが明示されている。
すると甲第1号証のものの出願前においては、舵取装置のステアリングシャフトの継手として、路面からの反力による回転方向の振動及び軸方向の振動を抑制するために弾性材を介装してなる継手を用いることは、技術常識であったと認められる。
そこで前記甲第3号証乃至甲第7号証に記載される技術常識を踏まえて甲第1号証の制振ダンパー継手17をみると、該制振ダンパー継手17は、弾性材を介装するものであることはもちろんのこと、路面からの反力による舵輪軸に作用するトルクを抑制することができるものとして解することができる。
してみると、甲第1号証の制振ダンパー継手と本件考案の弾性材を介装してなる継手とは、実質的に同一のものと認められる。
5-1-2結論
よって、本件考案は、甲第1号証に記載されたものと同一であり、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
5-2 無効理由2(進歩性)について
5-2-1 対比・判断
(1)上記[4]4-2に記載した事項ならびに口頭審理での両当事者の合意事項(口頭審理調書参照)に基づけば、甲第2号証には、本件考案に対応させると「操舵輪が連結された舵輪軸の回転を、軸を介して舵取機構の駆動軸へ伝動するようになしてあり、前記舵輪軸、又はこれと前記軸との間に舵輪軸に作用するトルクの検出手段を備え、該トルクの検出値に応じて動力源を駆動し、舵輪軸の回転を助勢する動力舵取装置において、前記軸は舵輪軸側部材と、駆動軸側部材とから成り、継手を介装してなる動力舵取装置。」が記載されていると認められる。
(2)本件考案と甲第2号証に記載されたものとを対比すると、両者は、「操舵輪が連結された舵輪軸の回転を、軸を介して舵取機構の駆動軸へ伝動するようになしてあり、前記舵輪軸、又はこれと前記軸との間に舵輪軸に作用するトルクの検出手段を備え、該トルクの検出値に応じて動力源を駆動し、舵輪軸の回転を助勢する動力舵取装置において、前記軸は舵輪軸側部材と、駆動軸側部材とから成り、継手を介装してなる動力舵取装置。」で一致し、舵輪軸側部材と駆動軸側部材との間に介装した継手が、本件考案は、「路面からの反力による舵輪軸に作用するトルクを抑制する弾性材」であるのに対し、甲第2号証のものは、継手の機能について何ら記載されていない点で相違する。
そこで相違点について検討する。
(3)請求人は甲第2号証乃至甲第7号証には、本件課題がない旨主張するので検討すると、甲第3号証乃至甲第7号証に記載された事項は、上記[4]4-3?7に記載したとおりであるところ、これらの記載事項に基づけば、本件考案出願前には、舵取装置に継手を用いること、該継手は、路面からの反力を抑制するため弾性材を介在させたものであること、その場合円板状の継手が主として用いられていたことが周知慣用技術であったことを窺い知ることができる。
また、本件考案の助勢式動力舵取装置において、トルクの検出手段を用いて操舵助勢するものは本件考案出願前周知慣用であると共に、該トルクの検出手段は、軸のトルクに起因したねじれ量を測定するものであり、かつそのトルクは、ハンドル側から伝達されるもの及びその逆からのものにも反応するものであることも明らかである。
してみれば、甲第2号証に接した当業者においては、甲第2号証に記載される助勢式動力舵取装置においても路面からの反力が発生していること、この路面からの反力を防止するためには、弾性材を介在させた継手を用いればよいこと、さらには、そのような弾性材を介在させた継手を用いればトルクの検出手段に伝わるトルクを抑制することができるであろうことは、容易に予測し得るものであり、請求人がいう本件考案の課題は、本件考案の出願前の周知慣用技術に基づけば、当業者にとって容易に着想可能なものにすぎない。
(4)次に両者の前記構成の相違点について検討すると、甲第3乃至甲第7号証に開示されるように、本件考案出願前、舵取装置に継手を用いること、該継手は、路面からの反力を抑制するため弾性材を介在させたものであること、その場合円板状の継手が主として用いられていたことが周知慣用技術であり、かつたとえ甲第2号証に記載のものは動力助勢式であり、甲第3号証乃至甲第7号証のものは動力助勢式でないとの相違はあるものの、いずれも舵取装置としてその技術分野を共通するものである以上、甲第3号証乃至甲第7号証に記載される周知慣用の弾性材を介装してなる継手に関する技術を甲第1号証に記載の継手に転用する動機付けは充分存すればこそ、むしろその転用を阻害する要因は何ら認められないものである。
してみると、前記相違点は、甲第3号証乃至甲第7号証の周知慣用技術を甲第2号証に記載のものに転用することにより、当業者にとってきわめて容易に考案できたものと認めることができる。
(5)そして本件考案の効果は、実用新案公報の効果の欄の記載に基づけば、「舵輪軸と舵取機構の駆動軸とを連結する軸を舵輪軸側部材と、駆動軸側部材とから構成し、両部材間に弾性材を介装することにより、路面からの反力によって舵輪軸に作用するトルクを抑制できるので、トルク検出手段の検出信号に反力に起因する要素が入るのを大幅に低減できて、反力によって駆動源が駆動されるのを抑制でき、動力の電動機構に樹脂製品を使用する場合においても、その摩耗を減少でき、耐久性及び信頼性を高め得る等、本考案は優れた効果を奏する。」というものであるところ、甲第3号証乃至甲第7号証に記載される周知慣用技術は、路面からの反力を抑制し、操舵輪への伝達を防止する作用効果を奏するものである以上、これら技術を甲第2号証の継手に転用することにより、甲第2号証のものにおいても路面からの反力は、転用してなる継手で抑制され、それ以上操舵輪側へ伝達されないことは、当業者にとって容易に予測できることであり、してみると前記本件考案の効果は、甲第3号証乃至甲第7号証に記載される周知慣用技術を甲第2号証の継手に転用することにより必然的に生ずる効果にすぎず、そのような効果は当業者にとってきわめて容易に予想し得るものである。
5-2-2 結論
即ち、本件考案は、本件考案の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証乃至甲第7号証に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
[6]むすび
以上のとおりであるから、本件考案の登録実用新案は、旧実用新案法第37条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2000-01-26 
出願番号 実願昭63-34841 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (B62D)
U 1 112・ 113- Z (B62D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 浅野 長彦吉国 信雄溝渕 良一  
特許庁審判長 玉城 信一
特許庁審判官 鈴木 久雄
粟津 憲一
登録日 1998-07-24 
登録番号 実用新案登録第2149921号(U2149921) 
考案の名称 動力舵取装置  
代理人 河野 登夫  
代理人 天野 正景  
代理人 貞重 和生  
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