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審決分類 審判 全部申し立て   F27D
管理番号 1015000
異議申立番号 異議1998-72834  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-29 
確定日 2000-02-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2556810号「内張りれんが」の請求項に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。実用新案登録第2556810号の実用新案登録を維持する。
理由 1、手続の経緯
実用新案登録第2556810号考案は、平成3年4月25日に実用新案登録出願され、平成9年8月22日にその考案の設定登録がなされたものである。
これに対して、実用新案登録異議申立人ハリマセラミック株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内に訂正請求がなされ、その後訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内に訂正請求の手続補正書が提出され、その後再度取消理由通知がなされ、その指定期間内に上記訂正請求が取り下げられるとともに平成11年12月17日付けで新たに訂正請求がなされたものである。
2、訂正の適否
2-1、訂正の内容
訂正請求書における訂正の内容は、本件実用新案登録の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。
すなわち、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
(1)訂正事項(a) 請求項1の「台形をなす内張りれんがにおいて、」(本件実用新案登録公報第1頁第1欄第2?3行)を「台形をなし、」と訂正し、「満たすことを特徴とするマグネシア-カーボン質内張りれんが」(本件実用新案登録公報第1頁第1欄第7?8行)を「満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、相互に隣接する内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)の下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが」と訂正する。
また、明りょうでない記載の釈明を目的として、
(2)訂正事項(b) 明細書中の「溶融金属容器の内張り耐火面を構成する内張りれんが」(本件実用新案登録公報第1頁第1欄第11?12行)を「溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが」と訂正する
(3)訂正事項(c) 明細書中の「満たす構成するマグネシア-カーボン質内張りれんがである。」(本件実用新案登録公報第2頁第3欄第41?42行)を「満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、これら内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)を下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが。」と訂正する。
(4)訂正事項(d) 明細書中の「本考案は、図1に示すように、頂面11及び底面12が台形をなす内張りれんがを前提として、以下の手段を採用する。すなわち」(本件実用新案登録公報第2頁第4欄第34?36行)を「本考案の溶融金属容器の構築に使用する内張りれんがは、底面(11)、及び頂面(12)が台形をなし、」と訂正する。
(5)訂正事項(e) 明細書中の「取鍋用」(本件実用新案登録公報第3頁第5欄第5行)を「取鍋と」と訂正する。
(6)訂正事項(f) 明細書中の「内張りれんがの簡単な形状変更で、」(本件実用新案登録公報第3頁第6欄第13?14行)を削除する。
2-2、訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
上記訂正事項(a)は、内張りれんがの用途をを限定するものであり、この点は願書に添付した明細書及び図面に記載されているから(本件実用新案公報第2頁段落【0011】、図2)、上記訂正事項(a)は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではなく、新規事項の追加にも該当しない。
また、上記訂正事項(b)?(f)は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする上記訂正事項(a)の訂正に伴うものであり、減縮された実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載を整合させるために明りょうでない記載の釈明を行うことを目的とする訂正に該当する。
2-3、独立実用新案登録要件
2-3-1、訂正考案
訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】底面(11)、及び頂面(12)が台形をなし、a1:底面(11)の上辺(11a)の長さ、b1:底面(11)の下辺(11b)の長さ a2 :頂面(12)の上辺(12a)の長さ、b2:頂面(12)の下辺(12b)の長さとしたとき、a1<a2 、かつb1<b2 なる関係を満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、相互に隣接する内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)の下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが。」
2-3-2、引用刊行物の記載内容
当審が先に通知した取消理由に引用された、刊行物1(「耐火物」耐火物技術協会発行第74集第166?167頁(1963年9月))には、不焼成取鍋レンガ使用結果について記載されており、特に次の事項が記載されている。
(a)第166頁の図1にはレンガ形状が示されており、符号LUL-3-1、LUL-4-1およびLUL-5-1は底面、頂面、正面、裏面が台形をなしており、平面図における点線から下絞り形状であること、正面図の二重実線から先絞り形状であることが示されている。
(b)第166頁の図2には取鍋の側壁に沿ってのレンガ積が示されている。
同じく刊行物2(「耐火物」 耐火物技術協会発行:Vol.361 No.316第286?291(1984年5月))には、取鍋用マグネシア・カーボンれんがの目地損耗に関する考察が記載されており、特に次の事項が記載されている。(c)「精錬用取鍋や一般取鍋に使用されるマグ・カーボンれんが」(第38頁第3?4行)
(d)第38頁の第14図には、TypeIとしてれんがの背面全体が傾斜側壁に沿う積み方、TypeIIとして各々のれんがを水平に置く積み方が示されている。
(e)第38頁の第15図には、頂面と底面が台形であり、正面と裏面が長方形のれんがが示されている。
2-3-3、対比・判断
本件訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、訂正考案という。)は溶融金属容器の構築に使用する内張りれんがの考案であり、その構成要件を分説すると以下のとおりである。
(1)底面(11)、及び頂面(12)が台形をなし、a1:底面(11)の上辺(11a)の長さ、b1:底面(11)の下辺(11b)の長さ a2 :頂面(12)の上辺(12a)の長さ、b2:頂面(12)の下辺(12b)の長さとしたとき、a1<a2 、かつb1<b2 なる関係を満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、
(2)相互に隣接する内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)の下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが。
換言すれば、訂正考案は、特定の形状のマグネシア-カーボン質内張りれんが(上記構成要件(1))であって、特定の構築の仕方という用途(上記構成要件(2))を有する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんがであり、該れんがは築炉完了後、最初の受鋼に先立つ乾燥のための熱上げ時、内張りれんがは熱膨張に伴って所定角度だけ鉄皮側へ傾動して縦目地は略矩形状となるとともに、熱膨張に伴って該内張りれんが10自体が膨張して、該縦目地を閉じるという効果を奏する(実用新案登録公報第2頁第4欄段落【0012】)。
これに対して、刊行物1に記載されたレンガの形状は、底面、及び頂面が台形をなし、a1:底面の上辺の長さ、b1:底面の下辺の長さ a2 :頂面の上辺の長さ、b2:頂面の下辺の長さとしたとき、a1<a2 、かつb1<b2 なる関係を満たしているから、刊行物1にはレンガの材質を除いて上記構成要件(1)に相当する事項が記載されていると云えるが、そのレンガの構築の仕方という用途については単に側壁に沿っての構築の仕方が記載されているのみで、上記構成要件(2)に相当する相互に隣接する内張りれんがの左右の側面と頂面との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが間の縦目地の下端が開いた楔形に形成するように構築するという用途については何も記載されていないし、示唆もされていない。
また、刊行物2には、マグ・カーボンれんがについて記載されており、加えてれんがの背面全体が傾斜側壁に沿う積み方や、各々のれんがを水平に置く積み方は記載されているが、上記構成要件(2)に相当する相互に隣接する内張りれんがの左右の側面と頂面との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが間の縦目地の下端が開いた楔形に形成するように構築するという用途については何も記載されていないし、示唆もされていない。
上記のように、刊行物1、2には、上記構成要件(2)について何も示唆されてもいないから、刊行物1、2を組み合わせて訂正考案の構成とすることは当業者がきわめて容易に想到し得るものとすることはできない。
したがって、訂正考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
2-3-4、まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正請求は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3、実用新案登録異議申立てについて
3-1、申立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人は、証拠方法として甲第1、2号証を提出し、本件請求項1に係る考案は、甲第1、2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得るものであるから、本件請求項1に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
3-2、本件考案
本件請求項1に係る考案は上記2-3-1に摘記したとおりのものである。
3-3、甲号各証の記載内容
甲第1、2号証は刊行物1、2と同じ。
3-4、対比・判断
上記2-3-3に述べた理由で、甲第1、2号証を組み合わせて本件考案の構成とすることは当業者がきわめて容易に想到し得るものとすることはできない。
4、むすび
以上のとおり、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
内張りれんが
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 底面(11)、及び頂面(12)が台形をなし、a_(1):底面(11)の上辺(11a)の長さ、b_(1):底面(11)の下辺(11b)の長さ、 a_(2):頂面(12)の上辺(12a)の長さ、b_(2):頂面(12)の下辺(12b)の長さとしたとき、a_(1)<a_(2)、かつb_(1)<b_(2)なる関係を満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、相互に隣接する内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)の下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば取鍋等の溶融金属容器の構築に使用する内張りれんがに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に例えば取鍋等の溶融金属容器の内張り耐火面を構成する耐火れんがとしては、ろう石質、ジルコン質、ハイアルミナ質、マグネシア-クロム質、ドロマイト質、マグネシア-カーボン質等の材質が採用されている。その中でも不純物の溶出が少なく、また耐用性に優れたマグネシア・カーボン質れんがが多用され、特にLF法に代表されるような精錬が行われる取鍋の耐火ライニング全面をマグネシア-カーボン質れんがで被覆することも行われている。
【0003】
このような取鍋の耐火ライニングとしては、例えば図3に示すように、取鍋の鉄皮30の内側壁及び内底面をそれぞれ永久張り側壁れんが40及び永久張り底面れんが50で被覆し、さらにその内側を耐火モルタル20を使用して内張りれんが10及び内張り底面れんが60で被覆した構造とするのが一般的である。
多くの場合、平面視において円形もしくは楕円形をなす取鍋の内側壁の耐火ライニングを構成する上記内張りれんが10は、複数の該内張りれんが10を並置した場合に鉄皮30側に面する外形形状は平面視において正多角形をなすように、底面11及び頂面12が台形をなすように成形されている。
【0004】
すなわち、図4に示すように内張りれんが10は上辺11aの長さをa_(1)、下辺11bの長さをb_(1)、該上辺、下辺問の距離をDとした台形をなす底面11及び、上辺12aの長さをa_(2)、下辺12bの長さをb_(2)、該上辺、下辺間の距離をDとした台形をなす頂面12と、該底面11と頂面12とにいずれも直角で、矩形をなした背面13、側面14・15、及び稼働面16とで構成され、上記底面11と頂面12、及び背面13と稼働面16は互いに平行である。また、この内張りれんが10においては上記各部の長さ寸法の大小関係は、数式
a_(1)=a_(2)<b_(1)=b_(2)を満たし、上記底面11と頂面12との距離、すなわち高さをHとしている。
【0005】
このような内張りれんが10の築炉にあたっては、まず一段目に上記内張りれんが10の背面13を永久張り側壁れんが40(鉄皮30)側に向けて、該永久張り側壁れんが40に上記下辺11bの両端に位置する頂点を接するように並置される。このとき、各側面14・15間には耐火モルタル20を充填しないで、空隙のない縦目地を形成し、永久張り側壁れんが40を全内周にわたって被覆する耐火ライニングを形成する。一般に、上記鉄皮30の断面形状は上方に向かって広がっているため、上記内張りれんが10の背面13と永久張り側壁れんが40との間にできる空隙が、耐火モルタル20で充填される。このようにして完了した一段目の内張りれんが10の頂面12にも所定厚さ(通常2mm程度)の耐火モルタル20を介して2段目を積み上げ、以下同様の作業を繰り返し、永久張り側壁れんが40全面を被覆する。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記図3に示すような構造の耐火ライニングにおいて、内張りれんが10の背面側に生じる永久張り側壁れんが40との空隙を耐火モルタル20で、完全に充填することは難しいことに加えて、耐火モルタル20自身も熱により収縮する。従って、このような取鍋の操業時には内張りれんが10は溶鋼の圧力を受けて、上記底面11の下辺11bを傾動軸として永久張り側壁れんが40側に向かって傾動することとなる。
【0007】
このような場合には施工直後には図5(a)に示すように閉まった状態の内張りれんが10、10′の間の縦目地Vが、両内張りれんが10、10′が方向の異なる上記下辺11b、11b′を傾動軸として図中、紙背方向鉄皮30側へそれぞれ所定角度だけ傾動して、図5(b)に示すように上方に広がった形状で目地開きを生じることとなる。
【0008】
尚、図5では説明のために、内張りれんが10の各部分の寸法や傾動角度などはやや誇張し、さらに内張りれんが10、10′自体の熱による膨張も考慮せずに描いており、実際の目地の開き量は図示したよりも小さくなるものの、頂面12付近の縦目地では溶鋼の侵入を受けるに充分な目地開きが生じる。
そしてこのような状態の内張りれんが10の縦目地Vから側面14・15に向けて溶鋼およびスラグが集中的に侵入し、該内張りれんが10の中央部では充分な残厚であるにもかかわらず、稼働面16の縦目地部周縁及び側面14・15の損耗により、該耐火ライニングの補修を余儀無くされ、該取鍋の稼働効率が低下するとともに、維持・管理に要するコストが嵩むこととなる。
【0009】
本考案は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、上記取鍋等の溶融金属容器の使用時に必然的に生じる縦目地の開きを低減し、以て耐火ライニングの寿命を向上させることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本考案の溶融金属容器の構築に使用する内張りれんがは、底面(11)、及び頂面(12)が台形をなし、a_(1):底面(11)の上辺(11a)の長さ、b_(1):底面(11)の下辺(11b)の長さ、a_(2):頂面(12)の上辺(12a)の長さ、b_(2):頂面(12)の下辺(12b)の長さとしたとき、a_(1)<a_(2)、かっb_(1)<b_(2)なる関係を満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、これら内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)を下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが。
【0011】
【作用】
上記構成の内張りれんがを2片、図2(a)に示すように、左右の側面13、14と頂面12との境界となる稜線同士を密着させて並置した上記2片の内張りれんが10、10′間の縦目地Vaは下端の開き幅taの下に開いた楔形をなすが、上記両内張りれんが10、10′の各底面11、11′の下辺11b、11b′をそれぞれ傾動軸として、図中紙背方向に所定角度だけ傾動させると、図2(b)に示すように、2片の内張りれんが10、10′間の縦目地Vbは上下にわたって図2(a)に示す縦目地Vaの下端の開き幅taよりも小さい開き幅tbとなる。
【0012】
すなわち、このことは、築炉時には各段の各々の内張りれんがの下端面の縦目地は開いているものの、予め予測しうる傾動角度に基づいてa_(1)とa_(2)、及び、b_(1)とb_(2)の寸法差を見込んで成形すれば、築炉完了後、最初の受鋼に先立つ乾燥のための熱上げ時、内張りれんが10は熱膨張に伴って所定角度だけ鉄皮30側へ傾動して縦目地は略矩形状となるとともに、熱膨張に伴って該内張りれんが10自体が膨張して、該縦目地を閉じることになる。
【0013】
【実施例】
以下、図面をもとに本考案にかかる取鍋と内張りれんがの一実施例に関して、説明する。
図1に示すように、本実施例にかかる内張りれんが10は、底面11及び頂面12が台形をなし、さらに上辺11aの長さをa_(1)、下辺11bの長さをb_(1)、該上辺、下辺間の距離をDとした台形をなす底面11及び、上辺12aの長さをa_(2)、下辺12bの長さをb_(2)、該上辺、下辺間の距離をDとした台形をなす頂面12と、該底面11と頂面12の四辺に連続する、矩形をなした背面13、側面14・15、及び稼働面16とで構成される。該底面11の上辺11a及び下辺11bの各長さ寸法をそれぞれa_(1)、b_(1)とし、該頂面12の上辺12a及び下辺12bの各長さ寸法をそれぞれa_(2)、b_(2)とする。本実施例においては、上記a_(1)、b_(1)、a_(2)、b_(2)の大小関係を、a_(1)<a_(2)、かつb_(1)<b_(2)を満たすように、上記a_(1)、b_(1)、a_(2)、b_(2)及びH、Dの各長さ寸法を表1上欄に示すような値となるように成形した。
【0014】
尚、比較例として、上記実施例の各部に対応する長さ寸法を表1の下欄に示す値とした従来形状の内張りれんがも同一の原料を用いて成形した。
上記本実施例と比較例の内張りれんがを、ともに250t溶鋼鍋のスラグライン3段分にテスト張りしたところ、本実施例にかかる内張りれんがで築炉した場合には、53ヒートの寿命であったのに対し、比較例にかかる内張りれんがで築炉した場合では42?47ヒートの寿命に過ぎなかった。以上の試験結果から、本実施例によると約20%の寿命の延びをしたこととなる。また、補修作業後に回収した内張りれんがを観察すると、本考案にかかる実施例では稼働面の中央と周縁での損耗量の差に比べて、比較例では該周縁が集中的に損耗されることにより、上記損耗量の差が大きく、内張りれんが表面がカマボコ状となったことが明らかに観察できた。
【0015】
このことにより、本実施例による内張りれんがでは縦目地が締まり、該縦目地を中心とする損耗が軽減されたことが確認できる。
【0016】
【表1】

【0017】
【考案の効果】
以上のように、本考案によると、従来見られた目地部への集中的な損耗が軽減され、ひいては炉寿命の延長に寄与するものであり、補修に要するコストの低減に大きく貢献できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の一実施例の斜視図である。
【図2】
本考案の作用の説明図である。
【図3】
取鍋の縦断側面図である。
【図4】
従来例の斜視図である。
【図5】
従来例の説明図である。
【符号の説明】
11 底面
11a 底面11の上辺
11b 底面11の下辺
12 頂面
12a 頂面12の上辺
12b 頂面12の下辺
a_(1) 上辺11aの長さ
b_(1) 下辺11bの長さ
a_(2) 上辺12aの長さ
b_(2) 下辺12bの長さ
訂正の要旨 訂正の要旨
実用新案登録第2556810号考案の明細書を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、すなわち、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
(1)訂正事項(a) 請求項1の「台形をなす内張りれんがにおいて、」(本件実用新案登録公報第1頁第1欄第2?3行)を「台形をなし、」と訂正し、「満たすことを特徴とするマグネシア-カーボン質内張りれんが」(本件実用新案登録公報第1頁第1欄第7?8行)を「満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、相互に隣接する内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)の下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが」と訂正する。
さらに、明りょうでない記載の釈明を目的として、
(2)訂正事項(b) 明細暑中の「溶融金属容器の内張り耐火面を構成する内張りれんが」(本件実用新案登録公報第1頁第1欄第11?12行)を「溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが」と訂正する
(3)訂正事項(c) 明細暑中の「満たす構成するマグネシア-カーボン質内張りれんがである。」(本件実用新案登録公報第2頁第3欄第41?42行)を「満たすマグネシア-カーボン質内張りれんがであって、これら内張りれんがの左右の側面(13)(14)と頂面(12)との境界となる稜線同士を密着させて並置するとともに、上記内張りれんが(10)(10)’間の縦目地(Va)を下端が開いた楔形に形成する溶融金属容器の構築に使用する内張りれんが。」と訂正する。
(4)訂正事項(d) 明細書中の「本考案は、図1に示すように、頂面11及び底面12が台形をなす内張りれんがを前提として、以下の手段を採用する。すなわち」(本件実用新案登録公報第2頁第4欄第34?36行)を「本考案の溶融金属容器の構築に使用する内張りれんがは、底面(11)、及び頂面(12)が台形をなし、」と訂正する。
(5)訂正事項(e) 明細暑中の「取鍋用」(本件実用新案登録公報第3頁第5欄第5行)を「取鍋と」と訂正する。
(6)訂正事項(f) 明細暑中の「内張りれんがの簡単な形状変更で、」(本件実用新案登録公報第3頁第6欄第13?14行)を削除する。
異議決定日 2000-01-31 
出願番号 実願平3-29238 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (F27D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 寺本 光生  
特許庁審判長 石井 勝徳
特許庁審判官 山田 充
野田 直人
登録日 1997-08-22 
登録番号 実用新案登録第2556810号(U2556810) 
権利者 川崎炉材株式会社
兵庫県赤穂市中広字東沖1576番地の2
考案の名称 内張りれんが  
代理人 福井 豊明  
代理人 福井 豊明  

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