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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない H01Q
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない H01Q
管理番号 1016774
審判番号 審判1999-39024  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-12-22 
種別 訂正の審決 
審判請求日 1999-03-09 
確定日 2000-05-08 
事件の表示 実用新案登録第2093657号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・請求の要旨
本件審判請求の要旨は、登録実用新案第2093657号の明細書及び図面を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおりに訂正しようとするものである。これに対し、当審において平成11年11月2日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、平成12年1月17日付け手続補正書により前記審判請求書に添付の訂正明細書の補正が求められた。
2.そこで、まず、平成12年1月17日付け手続補正書による補正について検討する。
前記補正書は、
(1)審判請求書中の「(3)訂正の内容a.」について、
「a.実用新案登録請求の範囲を下記のとおり訂正する。

パラボラ反射器と、前記パラボラ反射器によって反射された電波を受けるように前記パラボラ反射器に対向して配置されるフイードホーンと、前記フイードホーンからの電波を受ける導波管開口部が形成されかつ前記フイードホーンに接続される長手ケースと、前記長手ケースに収納されて前記導波管開口部から導かれた電波を周波数変換するための周波数変換回路部と、その一方端に前記パラボラ反射器が固着された支持アームとを備えるアンテナ装置において、
前記支持アームの他方端を前記フイードホーンと前記長手ケースとの接続部で、かつ前記長手ケースに接近した位置に固着し、前記導波管開口部を前記長手ケースの上端部側面に、かつ出力側端部を前記長手ケースの下端部に配置して、前記長手ケースを垂下させたことを特徴とする、アンテナ装置。」を
『a.実用新案登録請求の範囲を下記のとおり訂正する。

パラボラ反射器と、前記パラボラ反射器によって反射された電波を受けるように前記パラボラ反射器に対向して配置されるフイードホーンと、前記フイードホーンからの電波を受ける導波管開口部が形成されかつ前記フイードホーンに接続される長手ケースと、前記長手ケースに収納されて前記導波管開ロ部から導かれた電波を周波数変換するための周波数変換回路部と、その一方端に前記パラボラ
反射器が固着された支持アームとを備えるアンテナ装置において、
前記支持アームの他方端を前記フイードホーンと前記長手ケースとの接続部に固着し、前記導波管開口部を前記長手ケースの上端部側面に、かつ出力側端部を前記長手ケースの下端部に配置して、前記長手ケースを垂下させたことを特徴とする、アンテナ装置。』と補正する(なお、前記補正書原文においては、「a.」及び「b.」は丸数字の1及び丸数字の2で記載されている。)、ことを含むものである。
前記(1)の補正事項について検討すると、前記補正事項は請求項1の
「前記支持アームの他方端を前記フイードホーンと前記長手ケースとの接続部で、かつ前記長手ケースに接近した位置に固着し、」 とあるを「前記支持アームの他方端を前記フイードホーンと前記長手ケースとの接続部に固着し、」と補正すること含むものであり、この補正は、支持アームの他方端の固着位置について、「前記長手ケースに接近した位置に」を削除するものであり、明らかに、請求項1の範囲を拡張する補正であって、前記審判請求書の要旨を変更するものであり、前記補正は、実用新案法附則(平成5年法律第26号)第4条第2項の規定により読み替えた旧実用新案法第41条で準用する特許法第131条第2項の規定に適合しない。
よって、前記補正は、他の補正事項を検討するまでもなく、採用しない。
3.前記訂正拒絶理由の概要は、
「i.訂正明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1の「前記長手ケースに接近した位置に固着し」なる記載は、願書に添付した明細書及び図面の記載の範囲内ということができず、この訂正は、実用新案法附則(平成5年法律第26号)第4条第2項の規定により読み替えた旧実用新案法第39条第1項の規定に適合しない。
ii.訂正明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1の考案は、甲第4号証(「テレビ技術」7月号、’88/VOL.36第42?46 頁(昭和63年7月1日発行、電子技術出版株式会社))、甲第1号証(実願昭59-8011号(実開昭60-119116号)マイクロフィルム(昭和60年8月12日特許庁発行))に記載されているもの及び周知技術に基づいて当業者が極めて容易に考案できたものであり、旧実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録をうけることができないものであり、この訂正は、旧実用新案法第39条第3項の規定に適合しない。」
、というものである。以下、本件審判請求書による訂正について
検討する。
ア.前記訂正明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1の記載は次のとおりである。
「パラボラ反射器と、前記パラボラ反射器によって反射された電波を受けるように前記パラボラ反射器に対向して配置されるフイードホーンと、前記フイードホーンからの電波を受ける導波管開口部が形成されかつ前記フイードホーンに接続される長手ケースと、前記長手ケースに収納されて前記導波管開口部から導かれた電波を周波数変換するための周波数変換回路部と、その一方端に前記パラボラ反射器が固着された支持アームとを備えるアンテナ装置において、
前記支持アームの他方端を前記フイードホーンと前記長手ケースとの接続部で、かつ前記長手ケースに接近した位置に固着し、前記導波管開口部を前記長手ケースの上端部側面に、かつ出力側端部を前記長手ケースの下端部に配置して、前記長手ケースを垂下させたことを特徴とする、アンテナ装置。」(以下、「本件考案」という。)
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否に関する検討
本件審判請求は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲請求項1の「前記支持アームの他方端を前記フィードホンと前記ケースとの接続部に固着し、」を「前記支持アームの他方端を前記フィードホンと前記長手ケースとの接続部で、かつ前記長手ケースに接近した位置に固着し、」と訂正することを求めているが、支持アームの固着位置に関し、実用新案登録明細書には、「支持アーム28の他方端にはフィードホーン14とBSコンバータ16との接続部すなわち点Cが固着される。」(平成4年12月21日付け手続補正書4頁12?14行)なる記載、及び、図1には、支持アーム28がフィードホン14とケース18の接続点Cでケース14に触れて固着されている記載、がなされているものの、前記訂正事項中にある「接近」は、「ちかくよること」「ちかづくこと」の意味であり、「触れて」とは異なる意味であるので、前記訂正事項の「前記長手ケースに接近した位置に固着し」なる記載は、願書に添付した明細書及び図面の記載の範囲内ということができない。
よって、前記訂正は、実用新案法附則(平成5年法律第26号)第4条第2項の規定により読み替えた旧実用新案法第39条第1項の規定に適合しない。
ウ.独立実用新案登録要件に関する検討
(引用例記載の考案)
当審が前記訂正拒絶理由で引用した各引用例には次の考案が記載されている。なお、書証番号は平成8年審判第11001号との関係上、該事件に関連して無効審判請求人が提示している番号を用いている。
(1)甲第4号証(「テレビ技術」7月号、’88/VOL.36第42?46 頁(昭和63年7月1日発行、電子技術出版株式会社))には、
その「写真1」および「第1図」に示された事項から、
「パラボラ反射器と、フィードホーンと、ケースと、支持アームとからなるアンテナ装置であって、支持アームの他方端をフィードホーンに固着し、かつケースを扁平な直方体状とし、その偏平方向一端面部の中央付近にフィードホーンが接続され、その下側側面部から出力端子が導出される」構造が示されている。
また、表1には、BSアンテナの仕様として、コンバータ部の仕様が記載され、出力構造として高周波同軸C15コネクタを用いることも記載されている。
(2)甲第1号証(実願昭59-8011号(実開昭60-119116号)マイクロフィルム(昭和60年8月12日特許庁発行))、には、
アンテナにおいて、アーム7の連結部7bと一体形成された二叉片8を一次放射器要素15とコンバータ要素16との接続部で、かつ前記コンバータ要素16に接近した位置に固着すること、が記載されている(4頁4?5頁7行、第3?6図参照)。
(3)甲第12号証(特開昭60-105301号公報)には、
アンテナにおいて、コンバータ4のケースとして長手ケースを用い、導波管開口部を該長手ケースの上端部側面に設けること、が記載されている(2頁右上欄18?左下欄6行、第6図参照)。
(4)甲第14号証(特開昭61-177003号公報)には、
アンテナにおいて、コンバータ部1のケースとして長手ケースを用い、コンバータ部1のケースの一部を支持具の中に収容し、導波管開口部を該長手ケースの上端部側部に設ける、ことが記載されている(2頁左上欄16?右上欄17行、第1図参照)。
(対比、判断)
本件考案と甲第4号証に記載されたものとを対比すると、甲第4号証に記載されたものにおいて、ケースにフィードホーンからの電波を受ける導波管開口部が形成されていること、及び支持アームの一方端がパラボラ反射器に固着されていることは自明のことであり、また、本件考案において、「垂下」とは、水平方向の寸法の最小化及び曲げモーメントの最小化のために、ケースの外寸のうち最も短い辺が水平方向になるように配置し、他の辺が垂直、又はそれに近い姿勢で配置するものであると認められ、一方、甲第4号証に記載されたものも、第1図のものは、実際使用する場合には、パラボラ反射器が衛星の方向に向けて、ある仰角を持って使用されるはずであり、その場合ケースが、ケースの最も短い辺が水平方向、他の辺は垂直、又はそれに近い姿勢で配置されるのであり、甲第4号証に記載されたものにおいて、ケースが本件考案の「垂下」に相当する姿勢で配置されることは、自明のことである、ので、
両者は、
A.パラボラ反射器と、前記パラボラ反射器によって反射された電波を受けるように前記パラボラ反射器に対向して配置されるフィードホーンと、前記フィードホーンからの電波を受ける導波管開ロ部が形成されかつ前記フィードホーンに接続されるケースと、前記ケースに収納されて前記導波管開口部から導かれた電波を周波数変換するための周波数変換回路部と、その一方端に前記パラボラ反射器が固着された支持アームとを備えるアンテナ装置であって、前記支持アームの他方端を、前記フイードホーン及び前記ケースからなるものの所定部分に固着し、前記導波管開口部を前記ケースにかつ出力側端部を前記ケースの下端部に配置し、前記ケースを垂下させたアンテナ装置、
である点で一致し、次のB、Cの点で相違する。
B.前記支持アームの他方端を固着する位置が、本件考案では、前記フイードホーンと前記ケースとの接続部でかつ前記ケースに接近した位置に、固着しているのに対して、甲第4号証に記載されたものでは、前記支持アームの他方端をフィードホーンに固着している点、
C.ケースの形状、導波管開口部の位置について、本件考案では、ケースの形状が長手ケースであり、導波管開口部を長手ケースの上端部側面に設けるのに対し、甲第4号証に記載されたものでは、ケースの形状が扁平な直方体状であり、導波管開口部をケースの扁平方向一端面部中央付近に設けるものである点、
次に、前記相違点B、Cについて検討すると、
(1)相違点Bについて
支持アーム7の他方端(連結部7bと一体形成された二叉片8)をフィードホン(一次放射器要素15)とケース(コンバータ要素16)との接続部で、ケースに接近した位置に固着することは、甲第1号証に記載されているように、甲第4号証に記載されているものと同じアンテナ装置の技術において、本件出願前公知であるから、甲第4号証に記載されているものにおいて、前記支持アームの他方端を前記フイードホーンと前記ケースとの接続部でかつ前記ケースに接近した位置に固着するようにすることは当業者がきわめて容易に成し得ることである。
(2)相違点Cについて
甲第12、14号証にみられるように、コンバータケースとして長手ケースを用い、導波管開口部を該長手ケースの上端部側部に設けることは本件出願前より周知であり、甲第4号証に記載されているものにおいて、ケースの形状を長手ケースとし、導波管開口部を長手ケースの上端部側面に設けることも当業者がきわめて容易になし得ることである。
また、本件考案の奏する効果も、甲第4号証、甲第1号証に記載されているもの及び前記周知技術から予測される範囲のものである。
よって、本件考案は、上記甲第4号証、甲第1号証に記載されているもの及び前記周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであり、旧実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録をうけることができないものであり、この訂正は、旧実用新案法第39条第3項の規定に適合しない。
4.以上のとおり、本件訂正請求は、実用新案法附則(平成5年法律第26号)第4条第2項の規定により読み替えた旧実用新案法第39条第1項の規定及び旧実用新案法第39条第3項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-02-14 
結審通知日 2000-02-29 
審決日 2000-03-13 
出願番号 実願昭63-111973 
審決分類 U 1 41・ 841- Z (H01Q)
U 1 41・ 856- Z (H01Q)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 倉地 保幸  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 松野 高尚
大塚 良平
登録日 1995-12-18 
登録番号 実用新案登録第2093657号(U2093657) 
考案の名称 アンテナ装置  
代理人 役 昌明  

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